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アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)

少しずつ涼しくなり、夜には秋の虫の音色も聞こえてくるようになりました。皆様体調など崩されず、お過ごしでしょうか。Go Toトラベルがようやく東京都への旅行と都内に住んでいる皆様の旅行を10月1日から対象に加える方針を明らかにされました。10月以降、日本各地で紅葉を楽しむことができるツアーも発表しておりますので、是非ご検討ください。
私のおすすめツアー:原生林・芦生の森と京都の奥座敷・鞍馬と貴船

 

本日は「アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)」をご紹介します。

 

079.アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Phyllodoce aleutica
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ツガザクラ属(Phyllodoce)

 

本日の写真は弊社森田が北海道の大雪山・銀泉台で観察したものを掲載させていただきます。私も以前に山形の月山でのフラワーハイキングや大雪山でのフラワーハイキングの際に観察しました。

 

アオノツガザクラは、ツツジ科ツガザクラ属の高山に自生する常緑小低木です。
日本では、北海道から本州中部地方以北に分布し、高山帯の適度に湿り気のある岩場や草地に生育します。北海道ではツガザクラ属が3種が自生していますが、エゾノツガザクラとナガバノツガザクラは南限が東北地方とされておりますが、アオノツガザクラは白山など日本アルプスでも観察できます。海外では、千島列島やサハリン、カムチャッカ半島、アラスカにも分布します。

 

草丈は10~30㎝、葉は長さが1㎝前後で線形の葉が密集しており、葉には少し光沢も確認でき、縁にはわずかに鋸歯も確認できます。

 

花期は7~8月、2㎝ほどの花柄にはわずかな腺毛が生え、長さ1㎝弱の壺型の白く(または淡い黄緑色)可愛らしい花が枝先に10個前後、下向きに花を咲かせます。
萼片が緑色で長さ5㎜ほどで花冠の中央部分までを包むようについており、こちらにも腺毛が確認できます。エゾノツガザクラと同様、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂して反り返っているのが可愛らしさを演出しているように感じます。
花は下向きに花を咲かせるのですが、花が終わり実となると花柄が起き、実は上向きになり、群生して並んでいると非常委印象的な風景となります(私も写真などでしか見たことがありません)。

 

アオノツガザクラの名前は、大半の資料では栂の木に似た葉と黄緑色の花から「青の栂桜」と名付けれらたとありますが、ある資料に「花の色が黄緑色なのになぜ青?」と興味深い由来の話が掲載されていたので、ご紹介します。
その資料によると青森、新潟、岐阜、福岡、沖縄などでは「あを」は黄色をも意味し、おそらく古代においては白や赤でない色は幅広く「あを」と言っていたのではないかということでした。緑色に対しての青という表現は現在でもしばしば使われているそうで、その影響でこの花も「青の」と付けられたのかもしれないということでした。

 

先日ご紹介したエゾノツガザクラとコエゾツガザクラ、今回のアオノツガザクラは小さいながら壺型の可愛らしい花であり、群生した花を見つけると心躍る風景です。3つのツガザクラ属の花が群生している場所を訪れ、色合いの違いや花の形状の違いをゆっくり観察してみたいものです。

 

アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)②
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エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)

先日発行させていただいた西遊通信や弊社ホームページなどをご覧いただき、ここ数日国内ツアーへのお問い合わせが増えてきており、次々と催行決定ツアーが増えてきております。年末年始ツアーも「まもなく催行」のものも多くなっております。少人数ツアーのため、催行決定となればすぐに満席となってしまいますので、お悩みでしたら早めにお問い合わせください。

 

本日は「エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)」をご紹介します。

 

エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)

 

被子植物 双子葉類
学名:Phyllodoce caerulea
科名:ツツジ科(Ericales)
属名:ツガザクラ属(Phyllodoce caerulea)

 

今回ご紹介するエゾノツガザクラは、弊社森田(知床半島・羅臼「知床サライ」に在籍)が7月に実施した弊社ツアー「花の北海道フラワーハイキング」で撮影したものを掲載させていただきます。私も西遊旅行に入社する前、大雪山系の旭岳の麓で群生を観察したのを覚えています。

 

エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)は、東北地方の北部から北海道に分布し、適度に湿り気のある岩場や草地に群生します。その他、北半球の寒冷地にも分布します。

 

草丈は10~30cmの常緑小低木で、枝に松葉状で長さ1㎝弱ほどの葉を多くつけます。
花期は7~8月、花の大きさは6~8㎜と小さく、形状は少し細長い壺型をしています。また、濃紅紫色が非常に印象的で、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂して反り返っているのが可愛らしさを演出しているように感じます。また、花冠と花柄に若干の繊毛が確認できます。
観察しているとほとんど確認することができませんが、雄しべが10個あるそうです。

 

私自身、観察したことはありませんが、大雪山のガイドさんの話では時折花弁に小さな穴が確認できることがあるそうです。これはツガザクラ類を好むエゾオオマルハナバチという蜂が盗蜜した痕です(盗蜜痕と表記している資料もあります)。
もともと寒冷な環境に適応しているマルハナバチは高山帯でも活発に活動し、北海道では12種のうち6種が活動しているそうです。また、ある資料では盗蜜は受粉に役立たず、このままだとエゾノツガザクラが見られなくなってしまうというものもありました。

 

今回、この花を紹介するにあたり、花の名前を調べるのに一苦労しました。
それは「コエゾツガザクラ」という花(下写真)があるからです。
コエゾツガザクラ(Phyllodoce aleutica x P. caerulea)は、自然環境で自生するエゾノツガザクラと後日紹介するアオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)が交配して生まれた種です(雑種と記載もありますが、キレイな花で雑種というのも・・・ここは種と記載させていただきます)。
見た目はほとんど変わらず、色合いが淡いピンク色で、花冠と花柄の繊毛がエゾノツガザクラより若干少ないのが特徴です。
形状も似ていますが、エゾノツガザクラより丸みを帯びた壺型です。比較するために、エゾノツガザクラを紡錘型(円柱状でまん中が太く、両端がしだいに細くなる形)、コエゾツガザクラを壺型と表記している資料もありました。また、細長い花のほうがアオノツガザクラの遺伝子が少ないとも言われているそうです。※ほぼ遺伝子レベルの見分けなので、本当に難しいです。

 

大雪山をはじめとする北海道内の高山帯ではアオノツガザクラとエゾノツガザクラが混生するため、エゾノツガザクラが多く自生するそうですが、同じ北海道内の羊蹄山にはアオノツガザクラがないので純粋なエゾノツガザクラが観察できるそうですが、オオマルハナバチの盗蜜の痕が見られ始めているそうです。
オオマルハナバチの盗蜜痕も観察してもらいたい気もしますが、盗蜜痕のない純粋なエゾノツガザクラをゆっくりと観察してもらいたいです。

コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜:Phyllodoce caerulea)
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ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)

早いもので明日から6月です。
6月と言えば、梅雨の時期に見頃を迎えるアジサイが思い浮かびます。近所でも花が咲き始めているアジサイに目が留まるようになりました。アジサイが満開に花咲く頃、気兼ねなく外出・観察できることを願うばかりです。

 

本日はツツジ科・イチヤクソウ属の一種「ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)」をご紹介します。

 

ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pyrola rotundifolia(ピロラ・ロトゥンディフォリア)
英名:Round-leaved Wintergreen
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:イチヤクソウ属(Pyrola)

 

以前はイチヤクソウ科(Pyrolaceae)に分類されていましたが、現在はツツジ科(Ericaceae)に分類されています。そのため、資料によってツツジ科、イチヤクソウ科と様々のようです。

 

ロトゥンディフォリア・イチヤクソウはヨーロッパの大部分をはじめ、西アジア、北米大陸の北東部にかけて広く分布します。低山から亜高山帯の林内、湿地などに自生し、石灰岩地帯を好んで自生するという資料もありました。
私がロトゥンディフォリア・イチヤクソウを観察したのはヨーロッパ・アルプスのスイス、スペイン・ピレネー山脈でフラワーハイキングを楽しんでいる道中でした。

 

草丈は10~40㎝と背が高く、茎は直立で花茎(かけい:花のみをつける茎)の上部に8~30個近い数の花をつけ、若干下向きに花を咲かせます。
葉は5㎝ほどの円形に近い楕円形で根生し、若干の光沢があり、縁に鋸葉が確認でき、少し肉厚でもあります。

 

花期は6~8月、花は1㎝前後と小ぶりで半球形状で花弁は白色で5枚、めしべの部分は赤身を帯びており、花弁より突き出しており、先端部が反るように曲がっているのが特徴的です。
白い花びらと赤みを帯びためしべが魅力的な、心惹かれる色合いです。

 

資料によっては、日本にも自生すると記載がありましたが、そうではないようです。近縁種としてイチヤクソウ(一薬草、学名:Pyrola japonica)やジンヨウイチヤクソウ(腎葉一薬草、学名:Pyrola renifolia)が紹介されていました。

 

花の1つ1つは小ぶりで白い花のため、他の花より目立ちにくいですが、数多く花をつけ、何より背丈の高い花であるため、フラワーハイキングを楽しんでいると見つけやすい花です。ピレネー山脈のフラワーハイキングの時には、皆さんで観察を楽しみ、順番に撮影を楽しんだのを今でも覚えています。