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リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

「西遊通信」はお手元に届きましたでしょうか。日本国内の新企画ツアーも続々と発表しており、ホームページにも掲載しております。ご興味あるツアーがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川岳を撮る

 

本日は「リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)」をご紹介します。

 

リュウキンカ(立金花:Caltha palustris var. nipponica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Caltha palustris var. nipponica
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:リュウキンカ属(Caltha)

 

リュウキンカ(立金花)は、日本では本州と九州に分布し、海外では朝鮮半島や中国にも分布します。
湿地や水辺などに自生するリュウキンカ(立金花)は、雪融けのシーズンにミズバショウの傍らで咲くことも多く、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」では水辺に咲く水芭蕉とリュウキンカ、さらには群生するニリンソウの傍らにリュウキンカが群生する素晴らしい光景を楽しむことができました。

 

草丈は15~50㎝ほどで少し太めの茎が直立します。茎は中空ですが、なかなか観察時に確認することはできません。ナイフを入れて確認してはいけませんよ。
葉は長い葉柄(葉柄を持たないものもあるという資料もあり)を持ち、長さ5~10㎝ほどで丸い葉で少し光沢が確認でき、縁には少し鋸歯も確認できます。茎の上部(茎葉)になるにつれて少し小型のものを付けます。

 

花期は5~7月。茎頂や葉腋から少し長めの花柄を伸ばして、光沢はありませんが非常に鮮やかな黄色い花を咲かせます。ミズバショウの傍らに咲くとより黄色が鮮やかに感じます。
リュウキンカ(立金花)には花弁はなく、花弁に見えるのは萼片で「花弁状の萼片」と紹介されます。花弁状の萼片は5~7枚で、雄しべは多数つけ、雌しべは4~12本と変化が多いのが特徴です。

 

和名「立金花」は、直立した茎に黄金色の花をつけることが由来です。
ブログを作成の際に色々と調べていると、「球磨焼酎」でおなじみの熊本県球磨郡にある「あさぎり町」がリュウキンカを町の花に指定しており、町の天然記念物にしていされているそうです。また、日本における自生の南限も球磨郡あさぎり町と紹介されていました。

 

雪融けの季節、水辺や湿地で色鮮やかなリュウキンカの群生に出会うと思わず気持ちが高揚します。5月に長野県飯綱町のむれ水芭蕉園に訪れた際、それまでも幾度かリュウキンカを観察できたツアーだったのですが、3日目にしてようやく晴れ間が広がったタイミング、これまで以上の群生だったので、皆さんと共にリュウキンカの群生を楽しむことができました。

 

ミズバショウの傍らに咲くリュウキンカ
リュウキンカとニリンソウの群生地

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

先日、弊社ツアー「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング(8月23日出発)」の催行が決定しました。屋久島の固有種、固有変種の観察ができ、「ヤクシマ」と名のついた高山植物の観察が楽しみです。まだ残席もありますので、是非ご一緒しませんか?

 

本日は「フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)」をご紹介します。
フクジュソウ(福寿草)といえば、個人的には三重県の鈴鹿山脈・藤原岳へ雪解けの頃に訪れ、泥だらけになりながら福寿草を求めて登山したこと、泥だらけになってでも登った甲斐があり素晴らしい群生を観察できたことを今でも覚えています。

 

フクジュソウ(福寿草:Adonis ramosa)

 

被子植物 双子葉類
学名:Adonis ramosa
別名:ガンジツソウ(元日草)、エダウチフクジュソウ
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:フクジュソウ属(Adonis)

 

フクジュソウ(福寿草)は、キンポウゲ科フクジュソウ属の多年草。これまでご紹介したカタクリキクザキイチゲなどと同じくスプリング・エフェメラルとして紹介される花の1つです。
春を告げる花の1つであり、元日草朔日草(ツイタチソウ)という別名をもります。また、和名「福寿草」というのが信州を祝う意味もあり、縁起物として古くから栽培されてきました。
ある資料では、江戸時代から続く古典園芸植物と紹介されており、ミチノクフクジュソウとかけ合わせた「福寿海」など、緋色や緑色の花をつけるものなど多数の品種があるそうです。

 

草丈は15~30㎝。やや太めで紫褐色の茎が直立します。フクジュソウの茎は中実(ちゅうじつ)と解説されることがあり、茎の中身が詰まった断面をしており、ミチノクフクジュソウとの見分け方との事ですが・・・実際の観察時には断面を見るためにナイフを入れないようにして下さい。
葉は長めの葉柄を持ち、3~4回羽状複葉で細裂しています。葉裏には若干の毛が確認できるものもありますが、無毛のものもあります。

 

花期は早春の3~4月。花弁は20~30枚と多く、鮮やかな光沢があるのが特徴、資料によっては金属光沢という表現もありました。
直径3~4㎝ほどの小さな花を枝先に1~数個、上向きに咲かせます。
下の写真で若干判るかもしれませんが、花の一番外側に紫緑色の萼片が5~10枚あり、花弁より少し長い印象です(花弁と同じ長さという資料もあり)。

 

フクジュソウは、日当たりの良い時は良く開き、日当たりの悪い時は花を閉じ、また「向日性(こうじつせい)」を持つ花の1つで、花、葉、茎が太陽光の動きに合わせて動きます。
パラボラアンテナのような形状の花は、太陽の熱を効率よく集めることができ、花弁内は外気温より温かくなります。そうすることで花弁に集まった虫へ熱と花粉を与えます(ホットカーペットのような役割)。その結果、虫も体温があがり、受粉活動を活発に行うことができる仕組みです。
ある資料には、蜜腺を持たないフクジュソウが受粉活動を行う虫をおびき寄せるために発達した仕組みであると紹介されていました。

 

以前、「フクジュソウの向日性」について、社内で説明する機会があったのですが、ある社員から「自宅にある福寿草が見るタイミングによって向いている方向が違うことが疑問だった点が解消された」と言ってくれ、説明した甲斐がありました。それにしても、自宅で毎年フクジュソウを観察できるのは羨ましいい限りです。

 

フクジュソウについては、エダウチフクジュソウの事を指しますが、下記のフクジュソウ4種の総称である場合もあります。
違いに関しては、非常に難しく、実際に見分けるのは・・・簡単にご紹介します。

①フクジュソウ(エダウチフクジュソウ):自生地が北海道から九州。茎が中実。
②キタミフクジュソウ:自生地が北海道東部のみ。多毛。茎が中実。花は一株1輪。
③ミチノクフクジュソウ:自生地が東北~九州。茎が中空。萼が花弁の半分程度。
④シコクフクジュソウ:自生地が四国及び九州の一部。全草無毛。茎が中空。

 

今回掲載した2枚の写真は長野県の「姫川源流自然探勝園」にて観察したものです。当日は天気が悪く、花の開きがイマイチでしたが、それでも鮮やかな黄色いフクジュソウ(福寿草)をみつけた際には、雨など気にせず観察を楽しむことができました。

花弁の外側に暗紫色の萼片が確認できます。蟻ではありませんよ。

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! 8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)

現在、西遊通信の作成をすすめており、月末には発表予定です。私もいくつかツアーを造成させていただきました。是非ご検討ください。

屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング 
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅 
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
※秋の尾瀬、奥日光、谷川連峰の撮影ツアーも造成中

 

本日は「ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)」をご紹介します。

 

ニリンソウ(二輪草:Anemone flaccida)※根元に2輪目の蕾があります

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone flaccida
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

ニリンソウ(二輪草)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。以前ご紹介したキクザキイチゲアズマイチゲと同様、イチリンソウ属の仲間です。
また、カタクリやフクジュソウと合わせて、スプリング・エフェメラルと称される花の代表的な花として紹介される花の1つです。

 

日本では北海道、本州、四国、九州と幅広く分布し、海外ではサハリンや朝鮮半島、中国の北部や東北地方にも分布します。湿潤な山地や林床などに自生し、群生して見られることも多い花です。

 

草丈は15~30㎝で直立。葉に関しては、3全裂の根生葉を持ち、茎葉は茎頂に3枚輪生しており、こちらも3深裂。
ニリンソウの葉の特徴の1つが「葉柄を持たないこと」です。下の写真でも判るように、茎を包み込むように生えているのが確認できます。
もう1つの特徴が、根生葉、茎葉ともに「葉に白い斑をもつこと」です。
イチリンソウ(一輪草)の葉と形状は違いますが、この2点が見分け方のポイントです。

 

葉柄を持たないニリンソウの葉 ※2つの蕾があり、花の数が計3つ

花期は4~5月。ニリンソウ(二輪草)の和名の由来は、1つの茎から2輪の花を咲かせることに由来しますが、実際は茎頂に花茎を2~3つ伸ばし、花茎の先端に直径2~3cmほどの白い花を咲かせます。まれに1輪のもの、3輪のものもあり、資料によっては4輪咲かせるものもあるとのことで、ここがイチリンソウとニリンソウを見分けるややこしい点です。じつは、サンリンソウというのもあるのですよ。

 

花柄の頂に白い花を咲かせるニリンソウには、花弁はなく、花弁のように見える部分は「花弁状の萼片」で、通常5~7枚です。
「花弁状の萼片」である点は、同じイチリンソウ属のキクザキイチゲやアズマイチゲと同様です。

 

ニリンソウの仲間には花弁状の萼片の部分が緑色のものもあり「ミドリニリンソウ(Anemone flaccida f. viridis)」があり、さらにピンク色に染まるものは「ウスベニニリンソウ(Anemone flaccida f. rosea)」と呼ばれます。
ウスベニニリンソウは観察したことはありますが、ミドリニリンソウは観察したことが無く、是非一度観察したい花の1つです。5月に信州に訪れた際、隅々まで探しましたが、見つかりませんでした。

 

<イチリンソウとニリンソウの見分け方>
①花茎につける花の数
イチリンソウは主に1つ、ニリンソウは1~4つ
②花茎につく葉柄の有無
イチリンソウは葉柄を持ち、ニリンソウには葉柄はなく襟巻の様に葉柄を包む
ニリンソウの葉には白い斑がある
③花の大きさ
イチリンソウは直径4㎝ほど、ニリンソウは2~3cm

 

いつかイチリンソウ(一輪草)の花もご紹介しますので、お楽しみに。

 

花弁状の萼片が少しピンク色に染まるニリンソウ

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
 一番のオススメ! あと1名で催行決定!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プランで森林限界を目指す「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
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※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。
※6月23日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

 

一旦満席!
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※高山植物の宝庫・千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキングと静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。
※7月12日出発は、私(高橋)が同行させていただきます。

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アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana)

2021年の桜の開花は、観測史上最も早い開花日を更新する地域が多かった中、早くも梅雨入りのニュースが報道され始めました。私の住む近畿地方も、1951年の統計開始以来最も早い梅雨入りとなったそうです。早く梅雨入りしても良いですが、その分早く湿気の多い梅雨が終わってほしいものです。

 

前回に引き続き、この春に観察した花々を、この日は「アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana)」をご紹介します。前回ご紹介したキクザキイチゲ(菊咲一華)と見た目にもよく似ており、見分けが非常に難しい花ですが、違いなどを含めてご紹介します。

 

アズマイチゲ(東一華:Anemone raddeana):花弁状の基部が紫色

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone raddeana
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

アズマイチゲ(東一華)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草で、春先に花を咲かせ、夏には地上部は枯れてなくなり、翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種です。

 

アズマイチゲ(東一華)は、北海道から本州、四国、九州に分布し、山麓の日当たりの良い場所や落葉樹林の林床などに自生します。海外では、サハリンなどにも分布します。キクザキイチゲ(近畿以北~北海道)に比べ、分布域の広さに違いがあります。

 

「東一華」という和名の由来は、キクザキイチゲ(菊咲一華)と同様、茎頂に1輪の花をつけることに由来しますが、東日本で発見されたことから「東(あずま)」という名が付いたそうですが、その後に西日本でも発見されたそうです。

 

草丈は15~30cm、長さ2~3cmほどの茎葉をつけ、3輪生し3出複葉で小葉の先端には若干の鋸歯があります。葉も若干垂れ下がっているのも特徴です。
キクザキイチゲ(菊咲一華)に比べ、アズマイチゲ(東一華)の葉は切れ込みは浅く(非常に浅い)、楕円形に近い印象です。
根生葉も3出複葉ですが、小葉は茎葉に比べて深く切れ込んでいるため、この点がキクザキイチゲ(菊咲一華)と混同してしまう要因なのかもしれません。

 

花期は3~5月。茎頂に3~4cmほどの花を一輪咲かせ、キクザキイチゲ(菊咲一華)と同様に花弁に見える部分は「花弁上の萼片」で8~13枚です。花の色は白、キクザキイチゲ(菊咲一華)のように色に多様性はありません。
アズマイチゲ(東一華)を見分けるポイントとして花弁上の萼片の基部(花の中心部分)と裏面が少し紫色を帯びている点です。上の写真では少し判りづらいですが、よく見ると雄しべと雌しべが密集している基部の部分に紫色が少し確認できます。

 

アズマイチゲ(東一華)の花茎には毛はなく、花茎には短い軟毛があるのがキクザキイチゲ(菊咲一華)と良く紹介されます。
色々と調べていると、アズマイチゲ(東一華)にも開花前には軟毛があり、開花する頃にはなくなっているそうです。時折、残っていたりすることもあり、その場合は軟毛が長いとアズマイチゲ(東一華)、短いとキクザキイチゲ(菊咲一華)となるようです。

 

2種を見分けるポイントをまとめると、以下のとおりです。
<葉の違い>
◇「アズマイチゲ(東一華)」の葉は、垂れ下がり、切れ込みが非常に浅く楕円形に近い印象
◇「キクザキイチゲ(菊咲一華)」の葉は、横に広がり羽状に深裂し、先が尖っている

 

<花弁状の萼片の違い>
◇アズマイチゲ(東一華)は白色、白以外(紫、淡紫)はキクザキイチゲ(菊咲一華)
→ただ、キクザキイチゲ(菊咲一華)には白花もある
◇アズマイチゲ(東一華)は、花弁上の萼片の基部が紫色…これが最大の特徴。

 

<花茎の軟毛の有無>
◇アズマイチゲ(東一華)は軟毛はなく、キクザキイチゲ(菊咲一華)は短い軟毛がある
→アズマイチゲ(東一華)にも長い軟毛が残っているものもある
・軟毛が長いものがアズマイチゲ(東一華)
・軟毛が短いものがキクザキイチゲ(菊咲一華)

 

もう少し細かな見分け方もあるようですが、特に葉の違いと花弁状の萼片の基部が見分け方のコツではないでしょうか。皆さんも以前に観察・撮影したもので見比べてみてください。

 

アズマイチゲ(東一華):花茎に軟毛がなく、葉も垂れ下がる
キクザキイチゲ(菊咲一華):葉に切れ込みがあり、花茎に毛が確認できます

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
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屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
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ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
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※のんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。

 

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続々と催行決定コースも!是非ご検討を!!
花の利尻・礼文島とサロベツ原生花園
※6~7月は高山植物の開花の季節となる利尻・礼文島。専門ガイドと共にフラワーウォッチングや様々な植物の観察を満喫する5日間。

 

続々と催行決定コースも!是非ご検討を!!
花の利尻・礼文島から世界遺産・知床半島へ
※高山植物の季節が始まる利尻・礼文島から、オホーツク海沿岸を走り世界遺産・知床へ。利尻島・礼文島、知床半島を一度に楽しむ5日間。

 

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キクザキイチゲ(菊咲一華:Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica)

先日、信州・長野県の大町市、白馬村、鬼無里、戸隠を巡り、各所で水芭蕉やカタクリの群生を観察することができ、その他フクジュソウやニリンソウなど春の花の観察を満喫させていただきました。

 

本日から少しずつ春の花をご紹介していきます。
本日は「キクザキイチゲ(菊咲一華:Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica)」をご紹介します。

 

キクザキイチゲ(菊咲一華:Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:イチリンソウ属(Anemone)

 

スプリング・エフェメラルとは、落葉樹林で木々が芽吹く前の春先に花を咲かせ、夏までの間に光合成を行い、木々に葉が生い茂り林床が暗くなる夏には地上部を枯らして地中で過ごす草花の総称のことを言います。
本日ご紹介する「キクザキイチゲ(菊咲一華)」は、カタクリやフクジュソウと合わせて、スプリング・エフェメラルと称される花の代表的な花として紹介される花の1つです。

 

キクザキイチゲ(菊咲一華)は、キンポウゲ科イチリンソウ属の多年草。
菊のような形で花を咲かせ、茎頂に1輪の花をつけるため「菊咲一華」と呼ばれます。
「一華」は一茎に一輪の花を咲かせるという意味で、イチリンソウ属の花には「イチゲ」と名のついた花が多くあります。私も知りませんでしたが、キクザキイチゲは別名を「菊咲一輪草(キクザキイチリンソウ)」とも呼ばれるそうです。
因みに、イチリンソウ属の属名「Anemone」とは、ギリシャ語で「風=anemos」が語源と言われています。

 

近畿以北から北海道まで分布し、ブナ帯などの落葉樹林の林床などに自生します。ある資料には「日本固有種ではないが、国外分布については情報がない」とありました。

 

草丈は10~20㎝で直立し、茎葉は3枚で輪生し、3出複葉。小葉は羽状に深裂し、先が尖っているのが特徴です。
葉と花は同時に展開しますが、花の咲き始め(葉が伸びきっていない時)は葉の色に褐緑色が帯びており、成長・展開をすると葉は鮮やかな緑色となっていきます。
※上の写真は、葉に褐緑色が帯びているのが確認できるため、花の咲き始めのようです。

 

花期は3~5月。茎頂に直径3cmほどの花を1輪咲かせます。キクザキイチゲには花弁がなく、花弁に見えるのは「花弁状の萼片」で、8~13枚で、白色、淡い紫色、濃青紫色などバリエーションが豊かな花です。上の写真と下の写真では、色に差がありますが、同じキクザキイチゲです。
花の中央には雄しべ、雌しべをそれぞれ多数付け、葯(花粉のたまる部分)は白色をしています。

 

キクザキイチゲの花茎には毛が確認でき、よく似た花である「アズマイチゲ」との見分け方として、①葉の形状と②花茎の毛の有無があります。次回、アズマイチゲの紹介と2種の見分け方をご紹介しますので、お楽しみに。

 

キクザキイチゲ(菊咲一華:Anemone pseudoaltaica var. pseudoaltaica)

 

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ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
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※チングルマ、ミヤマキンバイ、エゾコザクラの観察、また銀泉台のコマクサ平では高山植物の女王『コマクサ』が観察できる季節限定ツアーです。

 

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※6~7月は高山植物の開花の季節となる利尻・礼文島。専門ガイドと共にフラワーウォッチングや様々な植物の観察を満喫する5日間。

 

続々と催行決定コースも!是非ご検討を!!
花の利尻・礼文島から世界遺産・知床半島へ
※高山植物の季節が始まる利尻・礼文島から、オホーツク海沿岸を走り世界遺産・知床へ。利尻島・礼文島、知床半島を一度に楽しむ5日間。

098

ヤチトリカブト(谷地鳥兜:Aconitum senanense ssp. paludicola)

2020年最後の投稿となります。
今年はコロナウイルスの影響に伴い、とんでもない一年になってしまいました。
4月に緊急事態宣言が出され、弊社でもテレワークの日々が続いたこともありました。その頃から日本国内の花の紹介を続けてきましたが、2020年最後は「ヤチトリカブト(谷地鳥兜:Aconitum senanense ssp. paludicola)」をご紹介します。

 

ヤチトリカブト(谷地鳥兜:Aconitum senanense ssp. paludicola)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aconitum senanense ssp. paludicola
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:トリカブト属(Aconitum)

 

トリカブト属は、ドクウツギやドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされており、日本国内には約20種が自生しています。
本州の北アルプスに分布し、亜高山帯~高山帯の湿った草地などに自生する日本固有の花です。
「ヤチ」とは湿地を意味することから、和名に用いられています。
私も上高地で観察したことがありますが、その際に「上高地で最初に発見された種類」とガイドさんより伺ったことを覚えています。
※今回掲載の写真は、弊社大阪支社・楠と東京本社・島田が「北アルプス 槍ヶ岳銀座ルート登山」のツアーに同行させていただいた際、上高地をスタートした直後に観察・撮影した写真です。

 

草丈は70~150㎝で直立し、葉は3~5裂、中裂~深裂しています。
花期は8~9月。茎頂は分枝し、葉の付け根部分から花柄を伸ばし、先端に5~10個の青紫の色鮮やかな花を咲かせます。
花の付き方も、標高の高低によって異なり、高山帯では散房花序(さんぼうかじょ:主軸が短く、長い柄をもった花が間を詰めて花がつく)、標高が比較的低い場所では円錐状花序(複総状花序とも言い、主軸が長く伸び、柄のついた間隔を開けて伸び、その先端にさらに同様に総状花序がつくもの)となります。
雄しべは無毛で、萼と花柄には開出した単純毛と腺毛が多く確認できます。

 

ある資料にトリカブトの見分け方が紹介されており、トリカブトで見られる花柄の毛は3種類あるそうです。
ヤチトリカブトは花柄の毛が開出毛(茎に対して直角に生える毛)であるのが特徴と記されていました。
その他、ガッサントリカブトやミヤマトリカブト、キタダケトリカブトなどは花柄全体が屈毛(先が曲がった毛)、タカネトリカブトは無毛とのことでした。
この点を観察の際に見分けるには虫メガネがルーペが必要かもしれませんが、非常に興味深い見分け方の紹介でした。来夏、上高地へ自然観察を楽しむツアーの造成を予定しておりますが、その際にはトリカブトの観察のため、ルーペを持って出掛けたいと思います。

 

トリカブトの名前の由来は、古来の衣装である鳥兜・烏帽子に似ているからとも、鶏の鶏冠(とさか)に似ているからとも言われ、海外では「僧侶のフード(monkshood)」と呼ばれています。
以前、ピレネー山脈で観察した「060.リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)」も是非ご覧ください。

 

2021年もしばらくの間は感染症対策に気を付けながらの生活が続くと思います。
この「世界の花だより」のブログが少しでも皆様の気晴らしページとなるよう、2021年も頑張って更新していきたいと思います。
また、2021年07月に乗鞍や上高地でフラワーハイキングを、さらには尾瀬でのフラワートレッキングのツアー造成を進める予定です。
興味がある方は、是非大阪支社へご連絡ください。

 

<おすすめ!! 春の花の観察ツアー>
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地を巡る
※春の花の代表格ともいえる水芭蕉やカタクリの花の観察を楽しむため、厳選した花の名所を訪れ、春の花を心ゆくまでご堪能いただける4日間です。

 

春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
※南北に大佐渡、小佐渡の山地が連なり、中央には国中平野が広がる佐渡島。大佐渡山麓と世阿弥の道にてゆっくりとフラワーハイキングをお楽しみいただきます。

 

ヤチトリカブト

 

 

097

サラシナショウマ(晒菜升麻、更科升麻:Cimicifuga simplex)

2020年も早いもので残すところあと一週間です。
例年だと、ウユニ塩湖やパタゴニア方面の年末ならびに年明けツアーの最終確認などで忙しくしていた時期ですが、今年は2020年1月に現地で購入したパタゴニアのカレンダーを寂しく眺めているだけとなってしまいました。
早く、パタゴニアへ再訪したいものです。

 

前回に引き続き、弊社大阪支社・楠と東京本社・島田が「北アルプス 槍ヶ岳銀座ルート登山」のツアーに同行させていただいた際に観察・撮影した「サラシナショウマ(晒菜升麻、更科升麻:Cimicifuga simplex)」をご紹介します。

 

サラシナショウマの花

 

被子植物 双子葉類
学名:Cimicifuga simplex
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:サラシナショウマ属(Cimicifuga)

 

サラシナショウマ(晒菜升麻、更科升麻)は、キンポウゲ科サラシナショウマ属の多年草。日本では、北海道から九州、低山帯~亜高山帯と広い範囲で分布し、落葉樹林の林や草地に自生します。排水の良い肥沃な土地を好むという資料もあります。

 

草丈は50~120㎝で直立し、葉は左右に小葉がいくつか並ぶ「羽状複葉(うじょうふくよう)」で、小葉は長さ3~8㎝の卵型や楕円形で2~3裂し、先端が尖っており、葉の縁には不揃いの鋸歯が確認できます。また、両面にほんの少し短毛が確認できます。

 

花期は8~10月、夏から秋にかけて花を咲かせます。
茎頂に長さ5~10㎝ほどの花柄を出し、穂状に真っ白な花を多数つけます。花穂(かすい:穂のような形で咲く花)の長さは30㎝近くあり、一つ一つの花は非常に密集して花を付けるため、遠目からはブラシの花や、キツネの尻尾かと思ってしまう形状です。
上写真は、真っ白で小さな花が満開の状態ですが、色合いが非常に印象的で思わず目を奪われてしまう姿をしています。
下写真は、蕾が開き始めた状態のものですが、1つ1つの蕾がまるでツガザクラやスズランを思わせる花の形状の様に見え、この状態でも印象的な姿をしています。
蕾が開く前と、花が満開となった時、これほどまでに姿に変化が出るものかと、2枚の写真を比べていただくと、その驚きが判っていただけるかと思います。

 

サラシナショウマの蕾が開き始めた状態

 

花は独特の香りがあり、雄花と両性花があります。
花弁が3枚で、長さ7mmほどの雄しべを多数つけます。長さ5㎜ほどの花柄には細毛が確認できるそうです。
サラシナショウマのことを調べていると、「花弁と萼片は早く落ちてしまい、長い雄しべだけが残って目立つ花」とありましたが、確かにその通りの印象です。短い花柄の細毛と合わせ、3枚の花弁や萼片、花柄の細毛など、1つ1つの花にも注目して観察したいと思います。

 

和名のサラシナショウマは、若芽を茹で、水にさらして山菜として食べていたことに由来し、別名でヤマショウマ、ヤサイショウマとも呼ばれているそうです。
また、サラシナショウマ属の根茎は「ショウマ(升麻)」という生薬で、発汗や解熱、解毒、消化不良などに効果があるそうです。
ある資料には、2gほどの升麻を煎じたものをうがい薬として用いるというものもありました。

 

個人的には、上高地が日本の名勝の中でも大好きな場所の1つです。
国内添乗員の頃には「目を閉じたまま、歩いても河童橋まで歩ける」というくらい訪れ、個人的にも若かれし頃に北アルプスの縦走登山の際に何度も訪れ、嫁さんとの旅行でも訪れました。
実は、2021年07月に上高地で自然観察をするツアーの造成を検討しているところです。是非、上高地での植生にご興味がある方は、大阪支社へご連絡ください。

 

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※南北に大佐渡、小佐渡の山地が連なり、中央には国中平野が広がる佐渡島。大佐渡山麓と世阿弥の道にてゆっくりとフラワーハイキングをお楽しみいただきます

 

 

060

リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)

先日、南極半島ではじめて緑色の雪が発見された地域を地図化したという興味深いネットニュースを見つけました。研究を率いたケンブリッジ大学植物科学科のMatt Davey教授は「雪面で1,679個の緑藻類の花を見つけました」と語っています。
緑藻類の花は、南極大陸で最も温暖化が進んでいる南極半島の西海岸に沿った島々で発生し、暖かくなるにつれて南極の雪面で胞子が発芽し、雪解け水の流れに乗って成長していくそうです。
また、野生動物の糞によって藻類が繁殖し、雪が緑色になることも判り、研究チームが地図化した緑藻類の花の60%以上は、ペンギンのコロニーやアザラシの生息地域の海岸から3マイル(約4.8km)以内で発見されたそうです。
未だ緑の雪がどのような影響をもたらすか不明な部分も多いようですが、グリーンランドで行われた雪原藻類の研究では、雪が吸収する日光と熱の量を増加させ、氷を早く溶かしてしまうことがわかっています(南極では過去10年間で3倍の氷が失われています)。今後の研究結果にも注目していきたいと思います。

 

本日はドクウツギやドクゼリと並んで日本三大有毒植物の一つとされるトリカブトの一種、ヨーロッパなどに自生する珍しい色合いのトリカブトである「リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)」をご紹介します。

 

リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Aconitum lycoctonum(アコニツム・リコクトヌム)
別名:Aconitum vulparia(アコニツム・ブルパリア)
英名:Yellow Wolfsbane
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:トリカブト属(Aconitum)

 

リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)は、毒草で有名なトリカブトの一種です。トリカブトはキンポウゲ科と案内すると驚かれる方も多いです。

 

ピレネー山脈、ヨーロッパ・アルプス、アペニン山脈(イタリア半島を縦貫する山脈)にかけての山岳地帯、西アジアにも自生する多年草です。私が観察したのは、スイスやピレネー山脈でのフラワーハイキング時でした。

 

草丈は50~120㎝と高く、開けた林内や標高2,000m前後の草原・牧草地などに自生します。
葉は掌状に3~6中裂し、全草が有毒で、とくに根には強い毒性があります。

 

花期は6月~9月、無毛の茎先に穂状の総状花序(総 (ふさ) の形になっている花のつき方)、長い花柄(かへい:花軸から分かれ先端に花をつける小さな枝)の先にクリーム色の花を咲かせます。
世界に約300種、日本には約30種が自生するそうですが、トリカブトと言えば紫色というイメージが強いため、クリーム色の花を「トリカブトですよ」と説明しても驚かれたり、信じてもらえないことがあります。

 

トリカブトの名前の由来は、花の形状が鳥兜・烏帽子に似ていることから名付けられたと言われており、海外では「僧侶のフード(monkshood)」と呼ばれています。

 

花弁がめしべやおしべを包んでいるような形状をしているように見えますが、実はクリーム色の部分は花弁ではなく、全て萼片(がくへん:花の最も下(外)側に生ずる器官で,葉の変形したもの)です。
合計5枚の萼片をもち、一番上の1枚(上萼片)は兜状で蜜を貯め込んだ部分を守る形状であり、雨対策の意味合いを持ちます。
ある資料には2枚の側萼片は受粉活動を担うマルハナバチの姿勢を制御する役割をもち、下萼片2枚はマルハナバチが花にとまるときの足場の役割をもち、この4枚の萼片がないと、効率的に花粉をつけられないとありました。

 

トリカブトの花弁は一番上の1枚(上萼片)に隠れており、上部が山菜のゼンマイのように渦を巻いており、そこに蜜を貯め込みます。トリカブトの形状は盗蜜できない構造となっており、虫媒花として最も進化した花とも言われています。

 

ピレネー山脈で上萼片に隠れているリコクトヌム・トリカブトの花弁を観察しようと思い、手を伸ばした際に現地ガイドから止められたことを覚えています。花に手をかけることに対して注意されたのか、毒性で危険だから止められたのか・・・そこまで覚えていませんが、一度じっくりと観察してみたいです。

 

リコクトヌム・トリカブト(Aconitum lycoctonum)②
059

グラキアリス・キンポウゲ(Ranunculus glacialis)

昨日ネットニュースにて、メキシコ南東部にあるマヤ文明の「アグアダ・フェニックス遺跡」で、紀元前1000年~同800年にかけて造られた巨大な土造りの祭祀施設が発見され、マヤ文明で最古、最大の公共建築物ということです。
コロナウイルスが終息し、1日でも早くマヤ文明の遺跡など見学するツアーが再開できることを願うばかりです。

 

本日はキンポウゲ科の一種である「グラキアリス・キンポウゲ(Ranunculus glacialis)」をご紹介します。

 

グラキアリス・キンポウゲ(Ranunculus glacialis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Ranunculus glacialis(ラヌンクルス・グラキアリス)
英名:Glacier buttercup
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:キンポウゲ属(Ranunculus)

 

グラキアリス・キンポウゲ(Ranunculus glacialis)は、ヨーロッパ・アルプスやピレネー山脈など標高2,000~4,000m地帯の岩場や岩礫地、アルプスでも最も高所に自生します。
また、スヴァールバル諸島(北極圏にあるノルウェー領の群島)やグリーンランドなど極地にも自生するキンポウゲの花です。
私がグラキアリス・キンポウゲを観察したのは、イタリアのモンテ・チェルビーノ(ヨーロッパの名峰マッターホルンのイタリア名)の麓でフラワーハイキングを楽しんでいた時でした。

 

種小名の「glacialis」は「氷河」という意味のため、直訳すると「氷河キンポウゲ」となりますが・・・「glacialisは氷河を意味する」という紹介はあっても「氷河キンポウゲ」と表記された資料はありませんでした。さすがに直訳すぎますね。

 

草丈は5~25㎝、写真では少し判りずらいですが茎の色は紫色なのが特徴的です。
根生葉は少し肉厚で掌状に3裂し、茎の上部に披針形(先が少し尖り細長い形)の葉をつけます。葉や茎は無毛と有毛の個体があるという資料もありました。

 

茎頂には直径2㎝ほどの白い花を1~2個咲かせ、丸みのある花弁が5枚あり、花弁が隙間なく重なり合っているのがキンポウゲの花らしい部分です。
葯(おしべ先端の,花粉を入れる袋状構造)の鮮やかな黄色。花弁の白色と葯の部分の黄色の色合いが何ともいえない可憐さを感じさせます。
萼片(花弁の付け根の最外側にある緑色の小さい葉のようなもの)も5つあり、茶色い毛が密集しています。
グラキアリス・キンポウゲの咲き始めは写真の様に白色の可憐な花を咲かせますが、時間の経過とともにピンク色から赤橙色に変化していきます。

 

厳しい環境の岩場や岩礫場に突如として鮮やかな白色のキンポウゲを見つけたのが、小休止をしている時でした。休憩そっちのけでグラキアリス・キンポウゲの観察を楽しんでいました。

048

デルフィニウム・カシメリアヌム(Delphinium cashmerianum)

ここ数日温かく天気の良い日が続いており、近所のあちらこちらでツツジが咲き始めています。私の自宅近くの蕾も大きくなり、開花も間もなくという状況です。
また、兵庫県丹波篠山市では大輪のシャクナゲ(ツツジ科)が咲き始めているというネットニュースを観ました。例年「にしきシャクナゲまつり」が行われているそうですが、今年はコロナウイルス騒動のため中止になってしまったそうです。残念なニュースですが、例年通りキレイなシャクナゲが咲いているというニュースは外出自粛が続く中、ほっこりとするニュースでした。

 

本日も前回に引き続き、インド・ザンスカール地方で観察した花の1つ「デルフィニウム・カシメリアヌム(Delphinium cashmerianum)」をご紹介します。

 

デルフィニウム・カシメリアヌム(Delphinium cashmerianum)

被子植物 双子葉類
学名:デルフィニウム・カシメリアヌム(Delphinium cashmerianum)
科名:キンポウゲ科(Ranunculaceae)
属名:デルフィニウム属またはオオヒエンソウ属(Delphinium)

 

属名の「デルフィニウム(Delphinium)」は、ギリシャ語でイルカを意味する「delphis」を語源とし、花の蕾の形がイルカに似ていることに由来するとされています。また、同じ属名で「オオヒエンソウ属」と紹介される図鑑などもありますが、これは和名の「大飛燕草(オオヒエンソウ)」からきており、花の形状が燕の飛来する形に似ていることが由来するとされています。

 

デルフィニウム属は、世界に約350種があり、北半球の温帯~寒帯に広く分布し、少数がアフリカの高地に分布します。英名ではbee larkspur 、larkspurと呼ばれています。

 

デルフィニウム・カシメリアヌムは、パキスタンからヒマラヤ西部、インド・ガルワール地方に分布し、乾燥した高山帯の岩礫地や斜面の草地に生え、花期は7~9月です。

花茎の高さは10~50cm、上部に軟毛が生え、葉の幅は3~8cm、葉の表裏にも太い毛がまばらに生えているのが確認できます。

花は散房状(下の方の花柄は長く、上の方は短い花がほぼ一面に並んで咲く状態)につき、花柄(先端に花を付ける柄の部分)は長さ4~7cm、花弁は暗紫色で、まばらに軟毛が生える淡い紫色の萼片(がくへん)で覆われています。

 

私がデルフィニウム・カシメリアヌム (Delphinium cashmerianum) を観察したのがインドのザンスカール地方で、標高5,000mのシンギ・ラ峠、さらには標高4,430mのキュパ・ラ峠の2つを1日で越えるトレッキングの道中でした。
最初の峠であるシンギ・ラ峠を目指す中、斜面に咲くデルフィニウム・カシメリアヌムやトラノオの一種の花が一面に咲き誇り、周囲の岩山、青空の色合いと相まって一服の清涼剤、活力になったのを覚えています。
岩山とデルフィニウム・カシメリアヌムの花を入れる構図の撮影は、標高4,000mを越える礫地で腹這い状態での撮影、まさに命がけの撮影でした。ただ、命懸けでも撮影したいと思えるほど可憐な花でした。

命懸けで撮影した「デルフィニュウム・カシメリアヌム」