081

キバナシオガマ(黄花塩竃:Pedicularis oederi)

現在、「大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草」のツアーに同行させていただいており、秋の紅葉と共にわずかに残る秋の花も楽しんでいます。

また後日、このブログで紹介させていただきます。

 

本日は「キバナシオガマ(黄花塩竃:Pedicularis oederi)」をご紹介します。

 

キバナシオガマ(黄花塩竃:Pedicularis oederi)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pedicularis oederi
科名:ハマウツボ科(Orobanchaceae)
属名:シオガマギク属(Pedicularis)

 

キバナシオガマ(黄花塩竃)を含むシオガマギク属は、ハマウツボ科に分類されます。資料によってはゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)と記載のあるものもあり、私自身もゴマノハグサ科という認識を持っていました。これはいくつかある分類体系によるもののようです。

 

キバナシオガマは北半球の高山帯や寒冷地の礫地や草地に分布し、日本国内では北海道の大雪山の一部にのみ生育します。私も以前、大雪山縦走登山ツアーの添乗の際、昼食タイムの際に観察したのを覚えています。今回使用した写真も弊社森田が大雪山・銀泉台で観察・撮影したものです。

 

先日ご紹介したレブンシオガマなど、シオガマの花の種類は多く、日本国内にも15種ほど分布し、その多くが日本固有の種です。そんな中でも黄色の花を咲かせる種はキバナシオガマのみです。数も少ないことから、絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。
海外では黄色のシオガマギク属の花は比較的観察され、以前に紹介したペディクラリス・ロンギフロラ・トゥビフォルミス(Pedicularis longiflora tubiformis)もその1つです。

 

草丈は10~20㎝で直立し、茎は根の部分で分枝します。
葉は長さ1~1.5㎝で全体的に根元に集中し、羽状に切れ込みが入っています。ただ、茎の上部に向かって付く葉もあり互生しています。
また、根元にある葉は皺の寄ったように見える形状をしているのも特徴的です。いつの日か観察した際にお客様が「かわいい毛虫みたい」って表現されたことを今でも覚えています。

 

花期7~8月、花は長さ2㎝ほどで淡いレモン色の花で小鳥の嘴を思わせる上唇の先端が赤褐色(茶色に感じることも)という色合いで、シオガマの花特有の形状が見られます。茎の上部から茎頂に総状花序を作り、10個ほどの花を密集して付けます。

 

ある資料にシオガマ(塩竃)という和名の由来は、シオガマは花だけでなく葉まで(浜で)美しいことから、海辺で趣のある塩竃(海水を汲み入れて塩を精製するかまど)の名がついたと言われているそうです。私も初めて知った由来でした。

 

キバナシオガマ(黄花塩竃:Pedicularis oederi)②