092

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

朝の出勤時も寒くなってきており、コートを着て出勤されている方の姿が多くなってきました。皆さんもコロナウイルスの感染症対策も大事ですが、風邪対策にも十分お気を付けください。

 

本日は「アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)」という名の花をご紹介します。
今回の花の写真は弊社東京本社・島田が裏磐梯の方で撮影したものです。私も観察したことがあるのですが、日本のどこだったかな~、思い出したらお知らせします。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria adenothrix
別名:イワハゼ(岩黄櫨)
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属 (Gaultheria)

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)は、ツツジ科の常緑小低木、先日ご紹介したシラタマノキの実と同じシラタマノキ属に属します。
アカモノ(赤物)は日本固有の植物で、本州では近畿以北の日本海側に分布し、その他、北海道や四国にも分布し、低山帯から亜高山帯に自生します。

 

上の写真の花は白いですが、和名はアカモノ(赤物)。少々可笑しなネーミングですが、名の由来は赤い実をつけることから「アカモモ」から転じたものと言われています。色々と調べていると、実が白いものもあるそうで、それは「シロミノアカモノ」と言われるそうです。頭が混乱しそうです。
また、別名「イワハゼ(岩黄櫨)」とも呼ばれ、実が蝋を取るハゼの実に似ている事が由来です。

 

草丈は10~20㎝、葉は2~5㎝弱の卵型、楕円形の葉が互生し、茎と若枝には短い腺毛が確認でき、ほんの少し葉の光沢も確認できます。

 

花期は5~7月。直径5~7mmの小さな釣鐘型の花を下向きに咲かせ、縁が浅く5裂しており、ほんの少しだけカールしていることが確認できます。
花を支える萼は非常に鮮やかな赤色をしており、花全体の色合いのアクセントになっています。この萼にも茎や若枝と同様、腺毛が密生していることが確認でき、萼の部分の腺毛は短いものと長いものが混在しています。

 

花期が終わると、シラタマノキの実と同様、萼の部分が大きく肥大し、果実となります。ただ、シラタマノキの白い実とは違い、赤い身を上向きにつけます。

 

釣鐘型の真っ白な小さな花、花弁の表面にカールした縁の部分から萼の方に向かってうっすらと紅を引いたような線、色鮮やかな萼、本当に花の色合いのバランスが美しく、形状のバランスやカールした先端部分の可愛らしいさも含め、非常に魅力あふれる花の1つです。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

 

088

シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

本日は、9月に北海道・旭岳の麓で観察した「シラタマノキ(白玉の木:Gaultheria pyroloides)の実」をご紹介します。

 

シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria pyroloides
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

シラタマノキ(白玉の木)はツツジ科の高さが10~30㎝程度の常緑小低木です。
日本では本州・中部地方の以北から北海道に分布し、海外では東北アジアからアラスカまで分布します。亜高山帯~高山帯にかけて、比較的日当たりの良い礫地などに自生します。

 

葉は楕円形をしており、ほんの少し厚みがあり、光沢も若干確認ができます。葉脈が表も裏もくっきりと出ており、葉の縁が少し鋸歯となっています。

 

この9月には観察できませんでしたが、花は長さが0.5㎝程度と小さく、丸みを帯びた壺型で下向きに垂れ下がるように咲き、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂しています。
アオノツガザクラなどと花の形状は壺型でよく似ていますが、個人的にはシラタマノキの花の方が少し角ばっている印象があり、アオノツガザクラの方がより丸い形状をしている印象です。
また、南米パタゴニアで観察したチャウラも同じシラタマノキ属です。花の形状は似ていますが、実は真っ赤です。

 

花期が過ぎ、9月を過ぎると萼の部分が大きくなり、果実を覆います。1㎝弱の小さな果実が、上の写真のように真っ白な玉状の実をつけることから「シラタマノキ」という和名になったと言われています。別名で「シロモノ」ともよばれ、同じシラタマノキ属で「アカモノ」という花もあります(別名はイワハゼ)。

 

シラタマノキの実は、口にすると甘味はあるそうですが・・・実は筋肉疲労などの塗り薬でも使われる「サロメチール(サリチル酸)」の匂い、味がします。
私は口にしたことはありませんが、落ちていた実を割って匂いは確認したことがあります。皆さん、是非匂いを確認してみてください・・・と言いたいところですが、生っている実を採ってはいけませんよ。

 

今年はシラタマノキの花を観察することができなかったので、いつの日か観察した際に花の方も改めてご紹介します。

083

エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅:Ledum palustre ssp.diversipilosum)

先日、北海道・大雪山麓に引き続き「秋の乗鞍・上高地を撮る」に同行させていただき、お客様と乗鞍の紅葉や上高地の自然の撮影を満喫させていただきました。

 

本日はエゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅:Ledum palustre ssp.diversipilosum)をご紹介します。

 

エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅:Ledum palustre ssp.diversipilosum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Leontopodium discolor
和名:蝦夷磯躑躅
別名:イソツツジ、変種カラフトイソツツジ(変種樺太磯躑躅)
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:イソツツジ属(Ledum)

 

エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)は、北海道、東北の高山帯に自生し、主に岩礫地や湿地などに自生します。資料によっては北海道固有というものあります。
私は現場で観察したことはありませんが、北海道では川湯温泉・硫黄山麓の群落が有名です。私は大雪山・旭岳の山麓でフワラーハイキングを楽しんだ際に観察したのを覚えています。

 

エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)は、ツツジ科の常緑小低木で、樹高は30~100㎝ほどで自然環境(風の強弱など)によって樹高に差が生じるようです。
葉は長さが3~5㎝ほどで細長い披針形、少し厚みがあり、葉裏や若い枝の部分に茶褐色の毛が密集しているのも確認できます。

 

花期は6~7月。花の直径は1㎝ほどと小さく、花弁は5枚。10本の雄しべが5枚の花弁の中央から真っすぐに伸びているのが印象的ですが、雄しべの真ん中にのびる雌しべも印象的です。真っ白な雄しべの花糸に比べ、緑色の雌しべは子房(将来種子になる部分)がぷっくりと膨らみ、花柱と柱頭(花粉がつく部分)もハッキリと判る姿をしており、まるで花のつくりを紹介する図鑑のような花の構造をしています。
枝の先端に花を密集して咲かせ、直径5~7㎝ほどの球体(ぼんぼりのような姿)となります。

 

エゾイソツツジ(蝦夷磯躑躅)は、別名を変種カラフトイソツツジ(変種樺太磯躑躅)や、単に、イソツツジとも言います。 様々な資料で名前につく「イソ」は、エゾが誤って(転訛して)「イソ」となったと紹介されています。海岸で咲くからではありません。

 

以前、サハリンへ添乗させていただいた際、東北地方からシベリアまでに自生する常緑小低木「カラフトイソツツジ」とガイドさんが案内していたものを観察しました。
カラフトイソツツジを調べていると、エゾイソツツジと同じと説明している資料や、葉裏に白毛の多いものを変種エゾイソツツジと呼んでいたという資料もあり、そのあたりの違いが難しいところでした。今後、北海道へ行った際にその違いを伺い、結果報告をさせていただきます。

サハリンで観察した「カラフトイソツツジ(樺太磯躑躅)」

 

082

キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)


北海道・旭岳で、その後に富士山でも初冠雪が観測されました。

先日北海道・旭岳に初冠雪直後に訪れ、チングルマの葉紅葉と共にうっすらと積もる雪や葉先が凍るハイマツ帯の風景を楽しむことができました。

 

本日はキバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)をご紹介します。

 

キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)

 

被子植物 双子葉類
学名:Rhododendron aureum
和名:黄花石楠花
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ツツジ属(Rhododendron)

 

キバナシャクナゲ(黄花石楠花:Rhododendron aureum)は、高山帯の自生する常緑低木。
日本では北海道から中部地方にかけて分布し、北海道では標高1,000~2,000m、本州では2,500~3,000mに自生します。北海道は高緯度に位置していることから本州の3,000m級の山岳に匹敵する自然環境があるため、自生標高に差が生じます。
海外ではシベリアの東部、朝鮮半島北部、カラフト、千島列島、カムチャツカなどの寒冷地に広く分布します。
私は、木曽駒ケ岳の千畳敷カールから険しい岩山である宝剣岳を登頂後、別ルートを周遊するかたちで極楽平へ向かった際に大群落とはいきませんでしたが、たくさんのキバナシャクナゲを観察したのを覚えています。

 

樹高は20~100㎝、風の強い稜線などに自生するものは枝が地面をはう様に広がるため樹高が低くなり、風の弱い山腹に自生するものは枝が斜上するため樹高が少し高くなります。エリア、自然環境によって樹高に差が生じます。今回掲載した写真は弊社森田が北海道の大雪山系・銀泉台で観察したもののため、樹高が低くなっています。

 

葉は長さが5㎝ほどで厚みがあり、細長い楕円形をし、少し光沢が確認できます。葉は無毛で、葉の縁が葉裏に向かって少し巻き込んでいるのが特徴的です。

 

花期は6~7月。「キバナシャクナゲ」という名前ですが、白色に近い淡黄白色をしており、花は直径3~4㎝ほどで漏斗型で5中裂し、枝先に2~5個ほど密集して花をつけます。
上写真でも判る通り、花冠の基部付近に茶色い斑点が多数確認できます(私も気に掛けたことがなかったので、次回観察の際には確認してみたいと思います)。
10本の雄しべが花弁から突き出ており、雌しべの子房に少し毛が生えているのが確認できます。
キバナシャクナゲという名の通り、黄色となるのは開花前のつぼみの状態のときだけです。
花の終わりには赤みがさし、花後には長さ1.5㎝ほどの蒴果を付けます。

 

「しゃくなげ」という名の由来は、枝が曲がっていて真っ直ぐな部分が1尺(約30.3cm)にもならないことから「シャクナシ」、これがなまった言葉が「しゃくなげ」となったという説が有力と言われています。

シャクナゲと言えば、真っ先にネパールやブータンを思い出しますが、今回キバナシャクナゲのブログを作成しているうちに、日本でゆっくりシャクナゲを観察してみたいと感じました。

キバナシャクナゲ(黄花石楠花)の群落
079

アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)

少しずつ涼しくなり、夜には秋の虫の音色も聞こえてくるようになりました。皆様体調など崩されず、お過ごしでしょうか。Go Toトラベルがようやく東京都への旅行と都内に住んでいる皆様の旅行を10月1日から対象に加える方針を明らかにされました。10月以降、日本各地で紅葉を楽しむことができるツアーも発表しておりますので、是非ご検討ください。
私のおすすめツアー:原生林・芦生の森と京都の奥座敷・鞍馬と貴船

 

本日は「アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)」をご紹介します。

 

079.アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)

 

被子植物 双子葉類
学名:Phyllodoce aleutica
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ツガザクラ属(Phyllodoce)

 

本日の写真は弊社森田が北海道の大雪山・銀泉台で観察したものを掲載させていただきます。私も以前に山形の月山でのフラワーハイキングや大雪山でのフラワーハイキングの際に観察しました。

 

アオノツガザクラは、ツツジ科ツガザクラ属の高山に自生する常緑小低木です。
日本では、北海道から本州中部地方以北に分布し、高山帯の適度に湿り気のある岩場や草地に生育します。北海道ではツガザクラ属が3種が自生していますが、エゾノツガザクラとナガバノツガザクラは南限が東北地方とされておりますが、アオノツガザクラは白山など日本アルプスでも観察できます。海外では、千島列島やサハリン、カムチャッカ半島、アラスカにも分布します。

 

草丈は10~30㎝、葉は長さが1㎝前後で線形の葉が密集しており、葉には少し光沢も確認でき、縁にはわずかに鋸歯も確認できます。

 

花期は7~8月、2㎝ほどの花柄にはわずかな腺毛が生え、長さ1㎝弱の壺型の白く(または淡い黄緑色)可愛らしい花が枝先に10個前後、下向きに花を咲かせます。
萼片が緑色で長さ5㎜ほどで花冠の中央部分までを包むようについており、こちらにも腺毛が確認できます。エゾノツガザクラと同様、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂して反り返っているのが可愛らしさを演出しているように感じます。
花は下向きに花を咲かせるのですが、花が終わり実となると花柄が起き、実は上向きになり、群生して並んでいると非常委印象的な風景となります(私も写真などでしか見たことがありません)。

 

アオノツガザクラの名前は、大半の資料では栂の木に似た葉と黄緑色の花から「青の栂桜」と名付けれらたとありますが、ある資料に「花の色が黄緑色なのになぜ青?」と興味深い由来の話が掲載されていたので、ご紹介します。
その資料によると青森、新潟、岐阜、福岡、沖縄などでは「あを」は黄色をも意味し、おそらく古代においては白や赤でない色は幅広く「あを」と言っていたのではないかということでした。緑色に対しての青という表現は現在でもしばしば使われているそうで、その影響でこの花も「青の」と付けられたのかもしれないということでした。

 

先日ご紹介したエゾノツガザクラとコエゾツガザクラ、今回のアオノツガザクラは小さいながら壺型の可愛らしい花であり、群生した花を見つけると心躍る風景です。3つのツガザクラ属の花が群生している場所を訪れ、色合いの違いや花の形状の違いをゆっくり観察してみたいものです。

 

アオノツガザクラ(青の栂桜:Phyllodoce aleutica)②
077

エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)

先日発行させていただいた西遊通信や弊社ホームページなどをご覧いただき、ここ数日国内ツアーへのお問い合わせが増えてきており、次々と催行決定ツアーが増えてきております。年末年始ツアーも「まもなく催行」のものも多くなっております。少人数ツアーのため、催行決定となればすぐに満席となってしまいますので、お悩みでしたら早めにお問い合わせください。

 

本日は「エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)」をご紹介します。

 

エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)

 

被子植物 双子葉類
学名:Phyllodoce caerulea
科名:ツツジ科(Ericales)
属名:ツガザクラ属(Phyllodoce caerulea)

 

今回ご紹介するエゾノツガザクラは、弊社森田(知床半島・羅臼「知床サライ」に在籍)が7月に実施した弊社ツアー「花の北海道フラワーハイキング」で撮影したものを掲載させていただきます。私も西遊旅行に入社する前、大雪山系の旭岳の麓で群生を観察したのを覚えています。

 

エゾノツガザクラ(蝦夷の栂桜:Phyllodoce caerulea)は、東北地方の北部から北海道に分布し、適度に湿り気のある岩場や草地に群生します。その他、北半球の寒冷地にも分布します。

 

草丈は10~30cmの常緑小低木で、枝に松葉状で長さ1㎝弱ほどの葉を多くつけます。
花期は7~8月、花の大きさは6~8㎜と小さく、形状は少し細長い壺型をしています。また、濃紅紫色が非常に印象的で、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂して反り返っているのが可愛らしさを演出しているように感じます。また、花冠と花柄に若干の繊毛が確認できます。
観察しているとほとんど確認することができませんが、雄しべが10個あるそうです。

 

私自身、観察したことはありませんが、大雪山のガイドさんの話では時折花弁に小さな穴が確認できることがあるそうです。これはツガザクラ類を好むエゾオオマルハナバチという蜂が盗蜜した痕です(盗蜜痕と表記している資料もあります)。
もともと寒冷な環境に適応しているマルハナバチは高山帯でも活発に活動し、北海道では12種のうち6種が活動しているそうです。また、ある資料では盗蜜は受粉に役立たず、このままだとエゾノツガザクラが見られなくなってしまうというものもありました。

 

今回、この花を紹介するにあたり、花の名前を調べるのに一苦労しました。
それは「コエゾツガザクラ」という花(下写真)があるからです。
コエゾツガザクラ(Phyllodoce aleutica x P. caerulea)は、自然環境で自生するエゾノツガザクラと後日紹介するアオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)が交配して生まれた種です(雑種と記載もありますが、キレイな花で雑種というのも・・・ここは種と記載させていただきます)。
見た目はほとんど変わらず、色合いが淡いピンク色で、花冠と花柄の繊毛がエゾノツガザクラより若干少ないのが特徴です。
形状も似ていますが、エゾノツガザクラより丸みを帯びた壺型です。比較するために、エゾノツガザクラを紡錘型(円柱状でまん中が太く、両端がしだいに細くなる形)、コエゾツガザクラを壺型と表記している資料もありました。また、細長い花のほうがアオノツガザクラの遺伝子が少ないとも言われているそうです。※ほぼ遺伝子レベルの見分けなので、本当に難しいです。

 

大雪山をはじめとする北海道内の高山帯ではアオノツガザクラとエゾノツガザクラが混生するため、エゾノツガザクラが多く自生するそうですが、同じ北海道内の羊蹄山にはアオノツガザクラがないので純粋なエゾノツガザクラが観察できるそうですが、オオマルハナバチの盗蜜の痕が見られ始めているそうです。
オオマルハナバチの盗蜜痕も観察してもらいたい気もしますが、盗蜜痕のない純粋なエゾノツガザクラをゆっくりと観察してもらいたいです。

コエゾツガザクラ(小蝦夷栂桜:Phyllodoce caerulea)
058

ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)

早いもので明日から6月です。
6月と言えば、梅雨の時期に見頃を迎えるアジサイが思い浮かびます。近所でも花が咲き始めているアジサイに目が留まるようになりました。アジサイが満開に花咲く頃、気兼ねなく外出・観察できることを願うばかりです。

 

本日はツツジ科・イチヤクソウ属の一種「ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)」をご紹介します。

 

ロトゥンディフォリア・イチヤクソウ(Pyrola rotundifolia)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pyrola rotundifolia(ピロラ・ロトゥンディフォリア)
英名:Round-leaved Wintergreen
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:イチヤクソウ属(Pyrola)

 

以前はイチヤクソウ科(Pyrolaceae)に分類されていましたが、現在はツツジ科(Ericaceae)に分類されています。そのため、資料によってツツジ科、イチヤクソウ科と様々のようです。

 

ロトゥンディフォリア・イチヤクソウはヨーロッパの大部分をはじめ、西アジア、北米大陸の北東部にかけて広く分布します。低山から亜高山帯の林内、湿地などに自生し、石灰岩地帯を好んで自生するという資料もありました。
私がロトゥンディフォリア・イチヤクソウを観察したのはヨーロッパ・アルプスのスイス、スペイン・ピレネー山脈でフラワーハイキングを楽しんでいる道中でした。

 

草丈は10~40㎝と背が高く、茎は直立で花茎(かけい:花のみをつける茎)の上部に8~30個近い数の花をつけ、若干下向きに花を咲かせます。
葉は5㎝ほどの円形に近い楕円形で根生し、若干の光沢があり、縁に鋸葉が確認でき、少し肉厚でもあります。

 

花期は6~8月、花は1㎝前後と小ぶりで半球形状で花弁は白色で5枚、めしべの部分は赤身を帯びており、花弁より突き出しており、先端部が反るように曲がっているのが特徴的です。
白い花びらと赤みを帯びためしべが魅力的な、心惹かれる色合いです。

 

資料によっては、日本にも自生すると記載がありましたが、そうではないようです。近縁種としてイチヤクソウ(一薬草、学名:Pyrola japonica)やジンヨウイチヤクソウ(腎葉一薬草、学名:Pyrola renifolia)が紹介されていました。

 

花の1つ1つは小ぶりで白い花のため、他の花より目立ちにくいですが、数多く花をつけ、何より背丈の高い花であるため、フラワーハイキングを楽しんでいると見つけやすい花です。ピレネー山脈のフラワーハイキングの時には、皆さんで観察を楽しみ、順番に撮影を楽しんだのを今でも覚えています。

015

チャウラ Chura(Pernettya Mucronata)

先日、我が家の近所で白い水仙を栽培されているお宅の前を通り、思わず足を止めて観察してしまいました。関西では淡路島の灘黒岩水仙郷が有名ですが、すでに見頃は過ぎてしまっております。来年は水仙を見れる時期に淡路島に行ってみようと思います。

 

本日もパタゴニアの花「チャウラ(Pernettya Mucronata)」をご紹介させていただきます。

チャウラの花 (Pernettya Mucronata)

被子植物 双子葉類
学名:Pernettya Mucronata 現地名:チャウラ(Chura)
科名:ツツジ科(Ericaceae) 属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

チャウラは、パタゴニアにある各地の展望台やハイキングルートで観察することができ、花は春から夏にかけて、夏から秋にかけて赤い実をつけます。
先日同行させていただいたパタゴニアの撮影ツアーでも、その実を摘み取りながらパタゴニアの風景とともに「チャウラの味」も楽しんできました。

 

チャウラはツツジ科の灌木で、葉は少し光沢があり、小さくて鋭く尖っており、花は白く丸みのある鐘形をして春から夏にかけて花を咲かせます。
花の形状からツガザクラかヒメシャクナゲか?と思わせる花です。

 

その後、直径で1㎝弱の大きさの鮮やかな赤い実をつけるのですが、実は少しリンゴのような食感と味。以前、パタゴニアへご一緒したお客様とチャウラの実を摘みながらハイキングを楽しんでいた際、空気が入ったような食感から「空気リンゴ」と名前を付けながら、何度も口に運んだことが思い出です。カラファテの実と違って、棘が無いので摘み取りやすいので、次から次へと手が伸びてしまいます。

 

現地では、夏から秋にかけてパタゴニアの草地にたくさんの実をつけるビタミンが豊富なチャウラは、年に2度ほど収穫され、ジャムにされています。
実は、そのジャムを食べたことがなく、いつかチャウラのジャムも食べてみたいと思っています。

 

以前紹介したカラファテの花の実や、今回紹介したチャウラの実を摘み取りながらのハイキングは、パタゴニアでの1つの楽しみでもあります。

チャウラ(Chura)の実

 

 

 

001

アルペンローゼ(Rhododendron ferrugineum)

 本日より定期的に高山植物をメインとして、世界各国の花々を紹介させていただきます大阪支社 高橋と申します。
 長らく添乗を続けていく中で、お客様とともに日本各地や世界各国で高山植物を観察していると、心癒されることも多く、いつしか私自身も高山植物に興味を持ち始めるようになりました。

 先日自宅から通勤ルートを歩いていると、近所でツツジが観察でき、またツツジの名所の開花が始まったとのニュースで発表されていたこともあり、同じツツジ科の花にしようと決め、ブログ「世界の花だより」の第一回目はアルプス三大名花の1つである「アルペンローゼ(Rhododendron ferrugineum)」というツツジ科の花を紹介させていただきます。

アルペンローゼ(Rhododendron ferrugineum)

 被子植物 双子葉類
学名:Rhododendron ferrugineum

科名 : ツツジ科(Ericaceae) 属名 : ツツジ属(Rhododendron)

 

「アルペンローゼ(Alpenrose)」は、ドイツ語の呼び名で「アルプスのバラ」という意味です。アルペンローゼという名称ですが、実際はバラではなく、ツツジ科ツツジ属に属する植物です。

 

主に、ヨーロッパ・アルプスやピレネー山脈、ジュラ山脈(アルプス山脈の西端)、アペニン山脈(イタリア半島を縦貫する山脈)に分布します。
高原の森やその周辺、石灰岩の隙間に生育し、5~7月にかけて細長い花を咲かせ花の大きさは日本のツツジに比べると小さく、小花の長さは1018mmの筒状で5つほどの小花に分かれます。
英語では「rusty-leaved alpenrose(錆びた葉のアルペンローゼ)」などとも呼ばれており、葉の裏の色の特徴からそう呼ばれています。英語ではその他に「Snow-rose(雪のバラ)」とも呼ばれることがあり、これは霜に敏感なアルペンローゼが冬の期間は分厚い雪の下で寒さをしのいで過ごすためと言われています。
実はアルペンローゼは有毒で、放牧地には好まれていない植物で、餌が少なくなる冬に、シカやカモシカがこの有毒な植物を食べてしまうこともあるそうです。

 

同じアルペンローゼでも、比較的珍しいヒルスツム種(Rhododendron hirsutum)があります。この2つはよく似ているので、見分けるのは難しいですが、ヒルスツム種の葉はたくさんの繊毛に覆われており、葉の裏は緑色のため、その違いで判別できます。

 

ヨーロッパの名峰を眺めながら、このアルペンローゼの群生に出会うと、山頂に真っ白な雪を冠した雄大なアルプスの山々に、アルペンローゼの可愛いピンク色の花が良いアクセントを与えてくれ、ヨーロッパらしい美しい景色を楽しむことができます。

モンテ・ビアンコ(モンブラン)の麓に群生するアルペンローゼ

 

<アルペンローゼに出会えるツアー>
アルプス三大名峰展望 花のアオスタ山麓ハイキング(イタリア)
花のドロミテハイキング(イタリア)
ドロミテ周遊トレッキング(イタリア)
花のモンブラン山麓ハイキング(フランス、イタリア)
ツール・ド・モンブラン Tour du Mont Blanc(フランス、イタリア、スイス)