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シラタマノキ(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

先日、「屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング」に同行させていただき、屋久島の亜熱帯植物や照葉樹林の植生を楽しみ、黒味岳の1泊2日の登山では屋久島固有の矮小化した高山植物や様々な苔類の観察を楽しむことができました。

 

以前、シラタマノキの実をご紹介しましたが、本日は「シラタマノキの花(白玉の木:Gaultheria pyroloides)」をご紹介します。

 

シラタマノキの花(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria pyroloides
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

ツツジ科の常緑小低木であるシラタマノキ(白玉の木)は、本州・中部地方の以北から北海道にかけて分布し、海外でも東北アジアからアラスカにかけて広く分布します。亜高山帯~高山帯にかけて、比較的乾燥した岩石地、林縁 草地などに自生します。

 

茎は地を匍い、草丈が10~20cmほどになります。葉は1.5~2.5cmの楕円形で少し厚みもあり、少し光沢も確認できます。葉の縁の鋸歯、葉の表裏にくっきりとした葉脈があるのが特徴です。

 

花は枝分かれした茎の上部に花柄を伸ばし、2~5個ほどの花が垂れ下がるように付いています。大きさは0.5cmほどと小さく、丸みのある壺型で花の先端がキュっとしぼんだ形状が何とも言えない愛らしさを感じます。よく観察すると、キュッとしぼんだ先端部分が浅く5裂していることも判ります。

 

シラタマノキは、9月を過ぎると1cm弱の小さく、白い球状の実を付けます。この事が和名「シラタマノキ」の名の由来であり、別名を「シロモノ」とも言います。
因みに、同じツツジ科でアカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)という花もあり、白い花を咲かせますが、赤い実を付けることから「アカモノ」と呼ばれます。
上の写真は、6月に群馬県中之条町のチャツボミゴケ公園を散策している際に観察したものですが、遊歩道を挟んで向かい側にアカモノの花も咲いており、振り返りながら2つの花を見比べることができました。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

シラタマノキの実は、筋肉疲労などの塗り薬でも使われる「サロメチール(サリチル酸)」の匂いがすることで有名ですが、一粒摘み採り口に入れると、わずかな甘味と清涼感が口に広がるそうですが、生食より果実酒に利用されるそうです。ある資料に焼酎に漬け込み、3ヶ月後に実を出して熟成させるとあり、花以上に興味のある情報でした。

 

シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

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アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

朝の出勤時も寒くなってきており、コートを着て出勤されている方の姿が多くなってきました。皆さんもコロナウイルスの感染症対策も大事ですが、風邪対策にも十分お気を付けください。

 

本日は「アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)」という名の花をご紹介します。
今回の花の写真は弊社東京本社・島田が裏磐梯の方で撮影したものです。私も観察したことがあるのですが、日本のどこだったかな~、思い出したらお知らせします。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria adenothrix
別名:イワハゼ(岩黄櫨)
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属 (Gaultheria)

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)は、ツツジ科の常緑小低木、先日ご紹介したシラタマノキの実と同じシラタマノキ属に属します。
アカモノ(赤物)は日本固有の植物で、本州では近畿以北の日本海側に分布し、その他、北海道や四国にも分布し、低山帯から亜高山帯に自生します。

 

上の写真の花は白いですが、和名はアカモノ(赤物)。少々可笑しなネーミングですが、名の由来は赤い実をつけることから「アカモモ」から転じたものと言われています。色々と調べていると、実が白いものもあるそうで、それは「シロミノアカモノ」と言われるそうです。頭が混乱しそうです。
また、別名「イワハゼ(岩黄櫨)」とも呼ばれ、実が蝋を取るハゼの実に似ている事が由来です。

 

草丈は10~20㎝、葉は2~5㎝弱の卵型、楕円形の葉が互生し、茎と若枝には短い腺毛が確認でき、ほんの少し葉の光沢も確認できます。

 

花期は5~7月。直径5~7mmの小さな釣鐘型の花を下向きに咲かせ、縁が浅く5裂しており、ほんの少しだけカールしていることが確認できます。
花を支える萼は非常に鮮やかな赤色をしており、花全体の色合いのアクセントになっています。この萼にも茎や若枝と同様、腺毛が密生していることが確認でき、萼の部分の腺毛は短いものと長いものが混在しています。

 

花期が終わると、シラタマノキの実と同様、萼の部分が大きく肥大し、果実となります。ただ、シラタマノキの白い実とは違い、赤い身を上向きにつけます。

 

釣鐘型の真っ白な小さな花、花弁の表面にカールした縁の部分から萼の方に向かってうっすらと紅を引いたような線、色鮮やかな萼、本当に花の色合いのバランスが美しく、形状のバランスやカールした先端部分の可愛らしいさも含め、非常に魅力あふれる花の1つです。

 

アカモノ(赤物:Gaultheria adenothrix)

 

 

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シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

本日は、9月に北海道・旭岳の麓で観察した「シラタマノキ(白玉の木:Gaultheria pyroloides)の実」をご紹介します。

 

シラタマノキの実(白玉の木:Gaultheria pyroloides)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gaultheria pyroloides
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

シラタマノキ(白玉の木)はツツジ科の高さが10~30㎝程度の常緑小低木です。
日本では本州・中部地方の以北から北海道に分布し、海外では東北アジアからアラスカまで分布します。亜高山帯~高山帯にかけて、比較的日当たりの良い礫地などに自生します。

 

葉は楕円形をしており、ほんの少し厚みがあり、光沢も若干確認ができます。葉脈が表も裏もくっきりと出ており、葉の縁が少し鋸歯となっています。

 

この9月には観察できませんでしたが、花は長さが0.5㎝程度と小さく、丸みを帯びた壺型で下向きに垂れ下がるように咲き、花の先端(キュっとしぼんだ部分)が浅く5裂しています。
アオノツガザクラなどと花の形状は壺型でよく似ていますが、個人的にはシラタマノキの花の方が少し角ばっている印象があり、アオノツガザクラの方がより丸い形状をしている印象です。
また、南米パタゴニアで観察したチャウラも同じシラタマノキ属です。花の形状は似ていますが、実は真っ赤です。

 

花期が過ぎ、9月を過ぎると萼の部分が大きくなり、果実を覆います。1㎝弱の小さな果実が、上の写真のように真っ白な玉状の実をつけることから「シラタマノキ」という和名になったと言われています。別名で「シロモノ」ともよばれ、同じシラタマノキ属で「アカモノ」という花もあります(別名はイワハゼ)。

 

シラタマノキの実は、口にすると甘味はあるそうですが・・・実は筋肉疲労などの塗り薬でも使われる「サロメチール(サリチル酸)」の匂い、味がします。
私は口にしたことはありませんが、落ちていた実を割って匂いは確認したことがあります。皆さん、是非匂いを確認してみてください・・・と言いたいところですが、生っている実を採ってはいけませんよ。

 

今年はシラタマノキの花を観察することができなかったので、いつの日か観察した際に花の方も改めてご紹介します。

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チャウラ Chura(Pernettya Mucronata)

先日、我が家の近所で白い水仙を栽培されているお宅の前を通り、思わず足を止めて観察してしまいました。関西では淡路島の灘黒岩水仙郷が有名ですが、すでに見頃は過ぎてしまっております。来年は水仙を見れる時期に淡路島に行ってみようと思います。

 

本日もパタゴニアの花「チャウラ(Pernettya Mucronata)」をご紹介させていただきます。

チャウラの花 (Pernettya Mucronata)

被子植物 双子葉類
学名:Pernettya Mucronata 現地名:チャウラ(Chura)
科名:ツツジ科(Ericaceae) 属名:シラタマノキ属(Gaultheria)

 

チャウラは、パタゴニアにある各地の展望台やハイキングルートで観察することができ、花は春から夏にかけて、夏から秋にかけて赤い実をつけます。
先日同行させていただいたパタゴニアの撮影ツアーでも、その実を摘み取りながらパタゴニアの風景とともに「チャウラの味」も楽しんできました。

 

チャウラはツツジ科の灌木で、葉は少し光沢があり、小さくて鋭く尖っており、花は白く丸みのある鐘形をして春から夏にかけて花を咲かせます。
花の形状からツガザクラかヒメシャクナゲか?と思わせる花です。

 

その後、直径で1㎝弱の大きさの鮮やかな赤い実をつけるのですが、実は少しリンゴのような食感と味。以前、パタゴニアへご一緒したお客様とチャウラの実を摘みながらハイキングを楽しんでいた際、空気が入ったような食感から「空気リンゴ」と名前を付けながら、何度も口に運んだことが思い出です。カラファテの実と違って、棘が無いので摘み取りやすいので、次から次へと手が伸びてしまいます。

 

現地では、夏から秋にかけてパタゴニアの草地にたくさんの実をつけるビタミンが豊富なチャウラは、年に2度ほど収穫され、ジャムにされています。
実は、そのジャムを食べたことがなく、いつかチャウラのジャムも食べてみたいと思っています。

 

以前紹介したカラファテの花の実や、今回紹介したチャウラの実を摘み取りながらのハイキングは、パタゴニアでの1つの楽しみでもあります。

チャウラ(Chura)の実