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グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)

先日『花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて』へ同行させていただき、残雪の影響で予定のハイキングトレイルを歩けない日もありましたが、私個人の念願だった黄色いカタクリ「グレーシャー・リリー」をはじめ、カナディアンロッキーに咲く花々を存分に楽しむことができました。

 

本日はツアータイトルにも謳い、私自身の念願だった『グレーシャー・リリー』(Erythonium grandiflorum)をご紹介します。

 

グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Erythonium grandiflorum
英名:グレーシャー・リリー(Yellow Glacier Lily)
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:カタクリ属(Erythronium)

 

カタクリと聞くと、日本に咲く淡い紫色の花をイメージされる方が多いと思います。観察されたことのない方は、同ブログ内の『カタクリ』をご覧ください。

 

日本で観察できる淡い紫色のカタクリ(Erythronium japonicum)は、日本(北海道~九州)、北東アジア(朝鮮半島、サハリン、千島列島)に自生する品種で、今回ご紹介する『グレーシャー・リリー』(学名:Erythonium grandiflorum)も同じユリ科カタクリ属の多年草です。

 

『グレーシャー・リリー』(学名:Erythonium grandiflorum)は、北米大陸のカナダ南西部(ブリティッシュ・コロンビア州、アルバータ州)、アメリカ合衆国西部(ニューメキシコ州、カリフォルニア州)に分布し、今回はカナダ・アルバータ州のカナディアンロッキーのバンフ国立公園にて観察することができました。

 

標高などによって異なりますが、一般的に花期は5~7月。日本のカタクリと同様に雪解けを迎えた林床で花が咲き始めます。

 

草丈は10~30cmで日本のカタクリよりは若干草丈は高い印象。長い茎の先端(頂部)に花をつけて前屈みのような姿は同じでした。
花弁は6枚でツアータイトルでは「黄色」と表記しましたが、実際は非常に鮮やかで「レモン色」(レモンイエロー)と表現する方がイメージに合う色合いで、6枚の花弁が外向きに大きく反り返る特徴は同じでした。

 

葉は2枚の根生葉を付け、長さは10~15cmの披針形。若干の光沢が確認できましたが、日本のカタクリのような斑模様(古い株につく模様)は確認できませんでした。実際、グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)の葉には斑模様は付かないそうです。
ただ、現場でハイキングを楽しんでいる際に『斑模様の付く黄色いカタクリ』を確認しました。
帰国後に調べてみると、同じ北米大陸に自生する黄色くカタクリには葉に斑模様をつける『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum )という種類もあるそうです。

 

実際にカナディアンロッキーのバンフ国立公園で観察した斑模様を付けたものが『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum)のものだったのか・・・来年以降の宿題とします。

 

その他、黄色いアツモリソウ『イエロー・レディース・スリッパー』や白いアツモリソウ『マウンテン・レディー―ス・スリッパ―』、黄色いチョウノスケソウ等々、様々な花を観察しましたが、それはまた次回のお話・・・。

 

葉に斑模様のないグレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)
葉に斑模様のつくのは『アメリカ・カタクリ』(Erythronium americanum)??
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ミヤマクロユリ (深山黒百合:Fritillaria camschatcensis var. keisukei)

昨年5月、私がぬか床づくりを始めた頃に「クロユリ(Fritillaria camschatcensis)」として「エゾクロユリ(蝦夷黒百合)」ご紹介しましたが、本日は「ミヤマクロユリ (深山黒百合:Fritillaria camschatcensis var. keisukei)」をご紹介します。因みに、今もぬか床づくりは継続しています。

 

ミヤマクロユリ (深山黒百合)の両性花

 

被子植物 単子葉類
学名:Fritillaria camschatcensis var. keisukei
別名:skunk lily(スカンクユリ)、outhouse lily(外便所ユリ) など
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:バイモ属(Fritillaria)

 

本日ご紹介する「ミヤマクロユリ(深山黒百合)」は、7月に木曽駒ケ岳の千畳敷カール、乗鞍・畳平にて観察したものです。

 

ミヤマクロユリ(深山黒百合)は、中部地方以北(白山が分布の西限)の高山帯~亜高山帯に自生する多年草。
クロユリは、広義ではエゾクロユリ(蝦夷黒百合)とミヤマクロユリ(深山黒百合)の両方を指し、狭義ではエゾクロユリ(蝦夷黒百合)のみを指します。
また、エゾクロユリとミヤマクロユリでは染色体数に違いがあり、ミヤマクロユリの染色体数は2対24本(2倍体)、エゾクロユリは3対36本(3 倍体)とのことです。
私個人的には、北海道などの低地に生える クロユリ は「エゾクロユリ(蝦夷黒百合)」、本州の高山に生えるクロユリはミヤマクロユリ(深山黒百合)という認識です。

 

草丈は10~30㎝で直立し、葉は披針形~長楕円状披針形をしており、茎の中央あたりから3~5枚の葉が輪生上に2~3段につきます。

 

花期は6~8月。茎の頂に柄を伸ばし、下向きに1~2輪ほど花を咲かせます。
長さ2~3cmの花被片を6枚付け、色は黒というより、暗紫褐色で、黄色の網目模様(黄色の細かい斑点と表現する資料もあり)が内外にあるのが特徴です。
個人的な印象として、黄色の網目模様があることで花の色が茶色に近い色合いに感じることもあります。

 

雄しべは6個あり花被片の半分ほどの長さで先端部(葯)が黄色く、花柱は黄緑色で基部から3裂し先は外側に曲がる形状をしています。

 

クロユリは、両性花と雄性花が同じ株に付き、雌花がない「雄性両全性同株」です。茎頂に2個以上の花をつける場合、両性花と雄性花を1つずつ、もしくはどちらか一方を複数咲かせる場合など、組み合わせは様々です。
両性花と雄性花の見分け方は一目瞭然で、花の中央に黄緑色で3裂した花柱が確認できれば両性花、なければ雄性花です。ちなみに、上の写真が両性花、下の写真が雄性花です。

 

クロユリには独特の悪臭があり、花粉を運ぶのは大部分が「ケブカクロバエ」と呼ばれるハエ。この悪臭がこのハエを呼び寄せるといわれています。
花が終わると徐々に上を向くように変化し、実が膨らみ羽をもった種子をたくさんつけますが、発芽率は良くなく、繁殖の大半は栄養繁殖と呼ばれる地下の鱗茎が分裂して数を増やしています。

 

<エゾクロユリとミヤマクロユリの見分け方>
1.草丈
エゾクロユリが10~50cm/ミヤマクロユリは10~30cm。
2.花の色
エゾクロユリは黒褐色に近い/ミヤマクロユリは茶色に近い暗紫褐色
3.網目模様
エゾクロユリはあまり目立たず/ミヤマクロユリは非常に目立つ
4.茎頂の花の数
エゾクロユリが3~5個/ミヤマクロユリは1~2個

 

ミヤマクロユリを見つけると「クロユリ?イメージと違う」という声が挙がり、実際7月のツアーの際にもそのような声が挙がりました。おそらく、クロユリ=エゾクロユリのイメージなのかもしれません。
次回、クロユリを観察する機会がありましたら、エゾクロユリとミヤマクロユリの違い、両性花と雄性花の違いをじっくりと観察してみてください。

 

ミヤマクロユリ (深山黒百合)の雄性花
エゾクロユリ(蝦夷黒百合)の両性花

 

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ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)

先日「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」に同行させていただいました。十数年ぶりに訪れた尾瀬、さらに群馬県の中之条町の自然名所を巡り、5日間で50種ほどの花々の観察を楽しむことができました。

 

本日は、尾瀬で観察したシンボル的な花の1つ「ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)」をご紹介します。

 

ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)

被子植物 単子葉類
学名:Hemerocallis dumortieri var. esculenta
正式名称:ゼンテイカ(禅庭花)
科名:ツルボラン科(Asphodelaceae)
属名:ワスレグサ属(Hemerocallis)

 

(※)ニッコウキスゲはユリ科(Liliaceae)に分類されていましたが、APG分類でススキノ科(anthorrhoeaceae)に分類され、さらにAPG分類の第4版(2016年~)よりススキノキ科はツルボラン科(Asphodelaceae)に名称を変更しました。
花図鑑など資料によって科名が異なるのは、APG分類で名称変更がここ数年で何度か行われてきたためのようです。

 

広く「ニッコウキスゲ」として知られるキスゲ亜科の多年草。
本州の中部以北では山地、亜高山、高原地域などに自生し、東北地方や北海道では海岸線でも観察することができます。
ニッコウキスゲの群落は、霧降高原(栃木県日光)、尾瀬(群馬県など)、霧ヶ峰(長野県)などが有名ですが、花の色が黄色、葉がカサスゲ(笠萓)似ているため、群落が有名な日光の地名を取り「ニッコウキスゲ」と呼ばれた始めたことがきっかけで全国に広まったとされていますが、栃木県日光の固有種という訳でなく、上記のとおり本州以北~北海道まで日本各地に分布します。
因みに、ゼンテイカ(禅庭花)という名の由来は、明確な資料はありませんでした。

 

草丈は60~80㎝で直立し、長さ60~70㎝、幅2㎝ほどの葉を付けます。
地域によって花期は異なりますが、花期は6~8月。
茎頂に短い花柄を伸ばし、3~10個ほどの蕾をつけ、黄色(山吹色)でラッパ型の花を咲かせます。また、朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花です。

 

これまでユリの仲間の花のご紹介で幾度かご紹介しましたが「花弁は6枚」ではありません。
6枚の花被片は6.5~8cm、3 枚の内花被(花弁)と3 枚の外花被(萼片)に分かれ、交互に並んでいます。内花被(花弁)は外花被(萼片)に比べてやや幅が広い点で見分けることができます。
花弁(内花被)と萼片(外花被)、それぞれから計6本の雄しべが伸び、雌しべが1 本です。

 

ゼンテイカは、各地で別々に同定されている点や分類に関する論争などで和名、学名などが様々で混乱してしまいます。
■エゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)は、花柄が短く、花被片がに厚みがあり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)と区別するという資料もあります。
上記の学名「H. dumortieri」はエゾカンゾウを分けないことを前提とした学名で、ヒメカンゾウの変種と位置づけです。
■学名を「H. middendorffii」とした場合、エゾカンゾウが基準変種となり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)はその変種になるそうです。
■別の資料では、エゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)、低地型で夜に花が閉じないムサシノキスゲは分けないともあります。
■山形県飛島や男鹿半島、佐渡の海岸線に自生し、大型で花序に15~30個ほどの花をつけるトビシマカンゾウ(var.exaltata)もあり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)の島嶼型とされています。
■今回訪れた群馬県中之条町の野反湖では、ゼンテイカを地元名「ノゾリキスゲ」と呼んでいました。

 

色々と考えすぎるとややこしいので、一般的に「ニッコウキスゲ」と知られる山吹色の色合いの花の正式名称は「ゼンテイカ(禅庭花)」という点を覚えていただければと思います。

 

尾瀬トレッキングのゴール地点・大清水湿原にニッコウキスゲが群生

 

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ショウジョウバカマ(猩々袴:Heloniopsis orientalis)

我が家の近所ではツルニチニチソウに続き、ツツジも蕾が膨らみ、早いものは花開くものもあり、通勤ルートに楽しみが増えてきました。
先日もお伝えしましたが屋久島の垂直分布を知るツアーとして、亜熱帯植物から着生植物、高山植物を観察するツアーが完成・発表間近です。今週中には・・・!!

 

本日は「ショウジョウバカマ(猩々袴:Heloniopsis orientalis)」をご紹介します。

 

ショウジョウバカマ(猩々袴:Heloniopsis orientalis)

 

被子植物 単子葉類
学名:Heloniopsis orientalis
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:ユリ属(Liliaceae)

 

ショウジョウバカマ(猩々袴)は、全国に広く分布しており、また垂直分布も広く(高度適応性が高い)、田んぼの用水路脇から高山帯の高層湿原までに分布し、やや湿った場所などに自生する多年草です。
※今回のショウジョジョウバカマの写真は、弊社楠が「紀伊半島 ダイヤモンドトレール縦走45km」に同行させていただいた際、大阪・奈良・和歌山の3つの県境に位置するあたりで観察したものです。

 

草丈は開花期には10~30㎝ですが、花後には新葉が芽吹き始め、50㎝くらいにまでなるものもあります。冬の間に雪の下で埋もれていた根生葉の中心から花芽が挙がってきます。
その根生葉は倒披針形で長さが7㎝ほどから長いもので20㎝になるものもあり、ロゼット状に広がり、少し光沢も確認できます。また、花茎には鱗片状の葉が数枚付いているのも確認できます。

 

ショウジョウバカマ(猩々袴)は、早春の代表花として紹介されることもあり、「スプリング・エフェメラル(春の妖精)」の1つとしても紹介される花です。
花期は3~7月と幅広く表記されている資料もありますが、これは花を咲かせる場所の標高による差が関係しています。低山や平地などでは雪解け後の3~4月の早春に花を咲かせ、高山では雪渓が溶ける頃の6~7月に花を咲かせます。

 

茎頂に密集する形で3-10個の花を総状に付け、横向きに花を咲かせるのですが、ショウジョウバカマの面白い点は、花の向きが片側に偏ったように咲かせることです。
ある資料には「半球型の総状花序」と記載されており、イメージにピッタリな表現だと個人的には思っています。
1つ1つの花は小さく10~15㎜ほどで、花被片が6枚です。ショウジョウバカマの花は色の変異が多く、淡紅色、淡紅紫色、濃紫色など様々で、稀に白色の花のものもあります。
ある資料には、シロバナショウジョウバカマは葉に鋸歯が見られる別種で、ショウジョウバカマ本種の白花ではないというものもありました。
中央から先端が濃紫色をした雄しべと雌しべが長く突き出ているのも、花の色合いを印象深いものとします。

 

上記で紹介した「スプリング・エフェメラル」(昔は春植物って呼んでいた気もします)は、落葉樹林で木々が芽吹く前の春先に花を咲かせ、夏までの間に光合成を行い、木々に葉が生い茂り林床が暗くなる夏には地上部を枯らして地中で過ごす草花のことですが、ショウジョウバカマは少し例外的です。
ショウジョウバカマの花被は花後も残り、緑色になって残るのが特徴です。

 

和名の「猩々袴」は、、花が赤いのを猩々(中国の伝説上の赤ら顔の動物)になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから名付けられたと言われています。

 

林床や湿原などに淡紅紫色のショウジョウバカマが群生していると、その色合いに魅了されて撮影に夢中になってしまいますが、次回の観察時にはバリエーション豊かな花が周囲にいくつ咲いているかなどを確認するのも面白いかもしれません。また、袴になぞらえた根生葉にも注目してみてください。

 

ショウジョウバカマの群生

 

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タチギボウシ(立擬宝珠:Hosta sieboldii var. rectifolia)

先日、大阪支社の同僚が駅の構内に置いてあった「六甲高山植物園」のパンフレットをわざわざ取ってきてくれました。その中にフラワーカレンダーがあり、六甲高山植物園で観察できる花暦が掲載されていました。
2月下旬~4月上旬はフクジュソウが観察できるとあり、久々に嫁さんと共に六甲へ出掛けてみようと検討中です。

 

本日は北海道の礼文島で観察した「タチギボウシ(立擬宝珠:Hosta sieboldii var. rectifolia)」をご紹介します。

 

タチギボウシ(立擬宝珠:Hosta sieboldii var. rectifolia)

 

被子植物 単子葉類
学名:Hosta sieboldii var. rectifolia
科名:キジカクシ科(Asparagaceae)
旧科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:ギボウシ属 (Hosta)

 

タチギボウシはリュウゼツラン亜科キジカクシ科に属する多年草です。
APG植物分類体系(第2版)までは、それぞれの亜科(リュウゼツラン亜科、ツルボ亜科、キジカクシ亜科など)は科として分離され、さらに古い体系では、これら全てがユリ科(Liliaceae)に含められてました。現在では目レベルで分離されています。

 

タチギボウシ(立擬宝珠)は、分布範囲は広く、日本では本州の中部から北海道にかけて、海外ではサハリンやシベリアにかけて分布。低地から亜高山帯の湿原などに自生します。
ある資料には「ギボウシ属の進化の中心は日本列島」とあり、日本固有の種と変種が多く、その多くは地域性が強くて狭い範囲に分布するとありました。
また、タチギボウシとコバギボウシ(Hosta sieboldii var. sieboldii)は変種の関係にあり、変異の範囲内であるとして区別しない見解もあるそうです。

 

草丈は40~100㎝ほどで直立し、葉は根生し、長柄をつけた長楕円形をしており、長さが30㎝ほどあり、葉の縁が少し波打ったような形状で葉脈もくっきりしている印象です。

 

花期は7~8月。タチギボウシは先端が5つに分かれているので花弁が5枚のようにも見えますが、ラッパ状の花弁で一つの花を形成する「合弁花(ごうべんか)」です。花茎に長さ5㎝ほどの細長い花をまばらにつけ(総状花序)、それぞれの花は横向き、下向きに花を咲かせます。
タチギボウシの花で最も印象的な部分が花弁に確認できる縞模様です。濃い紫色と淡い紫色(または白色)の縞模様が何とも言えない可憐さを印象付けるものとなっています。

 

雄しべが中央に数本伸びており、上部が反り返り、花糸に楕円形の葯が確認できます。雌しべは上の写真では確認しづらいですが、上写真の上の花(横向きの花)にわずかに柱頭部分(山吹色の部分)が確認できますが、こちらが雌しべです。マルハナバチなど大型のハナバチの訪花によって受粉されます。

 

ギボウシという名称の由来は、「擬宝珠(ぎぼうしゅ)」の転訛と言われています。擬宝珠とは、伝統的な建築物の装飾で橋や神社、寺院の階段、廻縁の高欄(手すり、欄干)の柱の上に設けられている飾り(京都などで伝統的な橋の欄干にたまねぎのようなものが装飾されているのを見たことがあるかと思います)です。
これはギボウシの蕾や苞葉に包まれた若い花序が擬宝珠に似ていることに由来すると言われています。

 

直立した花茎にまばらに花を咲かせるタチギボウシは、鮮やかな紫色が非常に美しく、群生していると思わず足を止めてしまいたくなる美しさです。また、1つ1つの花をじっくり観察すると、花弁の縞模様がより一層その美しさを際立たせていると感じさせる花でもあります。
やはり、花はじっくりと観察しなければいけませんね。

 

タチギボウシ(立擬宝珠:Hosta sieboldii var. rectifolia)

 

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春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
※南北に大佐渡、小佐渡の山地が連なり、中央には国中平野が広がる佐渡島。大佐渡山麓と世阿弥の道にてゆっくりとフラワーハイキングをお楽しみいただきます。

 

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花の利尻・礼文島とサロベツ原生花園
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花の利尻・礼文島から世界遺産・知床半島へ
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花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※専門ガイドとのんびりと花の観察を楽しみながら、尾瀬ヶ原から尾瀬沼へのフラワートレッキング。花咲く尾瀬を訪れる季節、8名様限定のツアーです。

 

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※高山植物の宝庫として知られる千畳敷カールや乗鞍・畳平でフラワーハイキング。旅の後半は、専門ガイドと共に静寂に包まれた奥上高地の徳沢を目指す。高山植物の観察と合わせて絶景も楽しむ5日間。

 

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エゾスカシユリ(蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)

早いもので2021年も1ヶ月が過ぎました。
今年は1897年(明治30年)以来、124年ぶりに節分の日が2月2日でした。毎年恒例の恵方巻も、例年より1日早く嫁さんと共に「無言」でいただきました。

 

本日は「エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)」をご紹介します。

 

エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Lilium pensylvanicum
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:ユリ属(Lilium)

 

エゾスカシユリと言えば、エゾキスゲ(蝦夷黄菅)の際にもお伝えしましたが、個人的に思い出されるのが北海道・小清水原生花園です。レモンイエローのエゾキスゲとオレンジ色のエゾスカシユリの両方を観察できたのが、良い思い出です。因みに北海道の小清水町がエゾスカシユリを町の花に指定しています。
また、北海道北部のサロベツ原生花園でも群生したエゾスカシユリを観察したのを覚えています。

 

エゾスカシユリ(蝦夷透百合)は、北海道の低地の原生花園に咲く代表的な花の1つです。海外では、シベリアやサハリンなどに広く分布します。海岸線の砂地・砂丘や産地の草地、岩場に自生し、北海道の道東や道北では原生花園以外の場所でも観察することができます。

 

草丈は30~100㎝と比較的大型で直立し、葉は先の尖った披針形で互生します。
花期は6~7月。茎頂に鮮やかなオレンジ色(橙赤色)で直径10cmほどの花を1~5個ほど、上向きに花を咲かせます。
花被片は6枚で、上部が外側に反り返っており、花被片の内側には濃紅色の斑点があるのが特徴的です。
※ユリの花は6枚の花被片のうち、外側の3枚が萼、内側の3枚が花弁です。
花被片内側の基部付近、花柄、蕾などには白い細かな毛が密集しています。

 

上の写真でも確認できますが、他のユリ科の花よりも花被片の根元が細くなっており隙間ができています。
この隙間(透かし)がある構造が和名の「スカシユリ」の由来となっています。

 

西遊旅行に入社する前、カナディアンロッキーのフラワーハイキングツアーに同行した際(確かボウバレー州立公園だったように記憶しています)、現地では「ウエスタン・ウッド・リリー」と呼ばれているエゾスカシユリに似た「Lilium philadelphicum」を観察しました。エゾスカシユリより赤みが強く、数は少なかったのですが、非常に印象深く、現地で「エゾスカシユリにそっくり」と大いに盛り上がりました。
その時のガイドさんが「日本のエゾスカシユリとウエスタン・ウッド・リリーは近縁種」と説明がありました。また、ウエスタン・ウッド・リリーの学名「Lilium philadelphicum」には、アメリカのフィラデルフィアの地名が、エゾスカシユリの学名「Lilium pensylvanicum」にはアメリカの州の1つであるペンシルベニア州の名が含まれているが、その理由は不明とのことでした。
エゾスカシユリは北米に分布しないはずなのに・・・。その時は解決できず、ブログを作成の際にも調べてみましたが、理由は判りませんでした。
ある資料には「エゾスカシユリにペンシルベニアの名が入っているのは腑に落ちない」とあり、原記載した研究者の勘違いかもとありました。

 

学名の不思議はありますが、色鮮やかで可憐な花であるのは間違いありません。
エゾスカシユリをはじめとするユリ科の花に出会った際は、是非細部までゆっくりと観察してみてください。

 

<これまでご紹介したユリ科の花々>
030.マルタゴン・ユリ(Lilium martagon)
031.ピレネー・ユリ(Lilium pyrenaicum)
054.クロユリ(Fritillaria camschatcensis)
070.カノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)
071.ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)
080.エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

 

エゾスカシユリ (蝦夷透百合:Lilium pensylvanicum)②

 

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花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く
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クルマユリ(車百合:Lilium medeoloides)

今年に入り首都圏1都3県に緊急事態宣言が発令され、さらに13日には7府県が追加発令されました。最近「コロナ慣れ」という言葉を耳にする事が多くなりましたが、今こそ気を引き締めて生活をしなければいけないと感じる日々です。
皆さんも体調管理、感染症対策に十分お気をつけください。

 

先日、カタクリの花をご紹介しましたが、本日は同じユリ科の「クルマユリ(車百合:Lilium medeoloides)」をご紹介します。

 

クルマユリ(車百合:Lilium medeoloides)

 

被子植物 単子葉類
学名:Lilium medeoloides
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:ユリ属(Lilium)

 

クルマユリ(車百合)は、北海道から本州、四国に分布し、亜高山帯や高山帯に自生しますが、北海道では低地にも自生します。海外では、中国、朝鮮半島、サハリン、カムチャッカ半島、千島列島などに分布します。

 

草丈は30~100㎝で直立し、茎の中ほどに長さ10㎝前後の披針形の葉を5~10枚、数段にかけて輪生します。茎の上部に向かうにつれ、葉は小さくなっていき、まばらに互生します。
葉が輪生するユリは珍しいそうで、ある資料によると「クルマユリ(車百合)」という名の由来は、茎の中ほどで輪生する葉を車輪に見立てたことから「車百合」と名付けられたとありました。私も知らなかったので、新たな発見でした。

 

花期は7~8月。茎頂に直径5㎝ほどのオレンジ色(朱色、朱赤色と表記されるものもある)の花を下向きに咲かせます。鮮やかなオレンジ色の花被片を6枚つけ、花弁の上半分が大きく反り返っているのが特徴です。時折、花被片が8枚になるものも確認されているそうです。

 

カノコユリをご紹介した際にも記載させていただきましたが「花弁が6枚」ではありません。
ユリの花は3枚の花弁と3枚の萼片に分かれており、外側の萼片はやや幅が狭く外花被と呼ばれ、内側の3枚は幅がやや広く内花被と呼ばれ、百合の花の構造の共通点です。
花弁、萼片とも外側に反り返った形状ですが、このように丸まっている姿が手毬のように見えることから「手毬型」と表記されています。
6枚の花被片には濃紅色の斑点が付いており、これもユリ科の花によく見られる特徴です。

 

下向きに咲く花の中央に花被片より少し短い雄しべが6本伸び、雄しべの上部に赤褐色の葯(花粉を入れる袋)があり、この葯の色合いがクルマユリの色合いを印象的なものにしていると、個人的に思っています。
花の中央に雌しべが1本伸びており、先端の柱頭(粘液を分泌して花粉を受ける部分)もハッキリと確認ができます。先端が丸いのが柱頭=雌しべ、先端が細長いのが葯=雄しべと見分けます。

 

アイヌ料理では、秋にクルマユリやエゾスカシユリの鱗茎を米と混ぜて炊き、杓子で鍋の片隅から飯を潰していく調理方法があるそうです。

 

ユリ科の花は非常に色鮮やかなものが多く、花の観察に出掛け、ユリの花に出会うと絶対に足を止めてしまい、ゆっくりと観察・撮影を楽しみたくなる花の1つです。ユリの花を観察する際、花被片や雄しべ・雌しべなど、細かな点にも一度注目をしてみてください。

 

<色鮮やかなユリの花>
カノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)
ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)
ピレネー・ユリ(Lilium pyrenaicum)
マルタゴン・ユリ(Lilium martagon)
クロユリ(黒百合:Fritillaria camschatcensis)

 

<おすすめ!! 花咲くシーズンに訪れるツアー>
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クルマユリ(車百合:Lilium medeoloides)
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カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)

新年あけましておめでとうございます。
2021年も日本各地、世界各地の花をご紹介させていただきます。
一日でも早く安心して旅行が満喫できる日が、各地で花々の観察が楽しめる日が訪れることを願うばかりです。

 

2021年、最初の投稿は代表的な春の花の1つである「カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)」をご紹介します。

 

カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)

 

被子植物 単子葉類
学名:Erythronium japonicum
古名:堅香子(カタカゴ)
(万葉集では、大伴家持がカタクリの花を「堅香子」と詠んでいます)
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:カタクリ属(Erythronium)

 

カタクリの花は、雪解けを迎えた落葉樹林の林床でニリンソウなどと共に真っ先に花を咲かせることから、春の花の代表格として紹介されます。
日本では、北海道から九州まで、特に中部地方以北に多く分布します。海外では、北東アジア(朝鮮半島、サハリン、千島列島)い分布します。
私もしばらくの間、カタクリの花は観察していませんが、三重県・鈴鹿山脈の藤原岳で観察したことを覚えています。
今回の写真は、弊社東京本社の堤が福島県三春にて観察したものです。

 

カタクリの鱗茎は長さ5~6㎝あり、毎年更新を続け、開花株では鱗茎は地中深くにもぐります。
カタクリの名の由来は、かつて鱗茎が栗の片割れに姿が似ていることから「片栗」と名付けられたといわれ、カタクリの鱗茎から抽出した澱粉が「片栗粉」です。

 

草丈は20~30㎝で直立しますが、花の大きさ(重さ)で前屈みのような状態のイメージです。
カタクリは淡い紫色の花弁の色合いが印象的ですが、葉の色合いも特徴的です。
葉は茎の根元に通常2枚(若い株は1枚のものも)つけ、長い柄を持ち、長楕円形で長さは6~10㎝と大きめです。
やや厚みを感、淡い緑色の葉には紫褐色のまだら模様が葉の色合いの印象を強いものにします。

 

カタクリは、種子で繁殖しますが、発芽から開花までは10年近くを要します。
花期は4~6月。茎頂に直径5㎝ほどの薄紫、淡いピンク色の花を1つ下向きに咲かせ、稀に白い花を咲かせる個体もあり、シロバナカタクリ(Erythronium japonicum f. leucanthum)と呼ばれます。
花弁は非常に細長い5㎝ほどで6枚、大きく反り返った花弁がカタクリの花の最大の特徴とも言えますが、是非注目してもらいたいのが花弁の基部です。
葉と同じく濃紫色のまだら模様(W字型と表現する資料も)があり、三重県で観察していた際、このまだら模様がハートの形に見えると盛り上がったことを覚えています。

 

カタクリの花は晴天時に朝日を浴びると開花し、夕暮れには閉じてしまいます。
また、1年のうちで地上に出ているのは春先の2ヶ月足らずで、開花の期間は2週間ほどと短い間だけとなります。その短い間に光合成をし、栄養分を鱗茎に蓄えます。その後、葉を枯らし、次の春を迎えるまで土中の鱗茎は休眠して過ごします。
カタクリの花が「春の妖精」や「スプリング・エフェメラル」と呼ばれる植物の1つと紹介される所以、エフェラルは「はかない命」という意味です。

 

様々調べていると、種子の散布に「蟻」が強く関係しているそうです。
種子にはエライオソームという蟻が好む物質が付着しているため、蟻が種子を運ぶことによって生息地を広げているそうです。
これは、スミレにも見られるため、「蟻は紫色の花が好きなのかな?」と思ってしまいました。

 

万葉集(大伴家持の一首)にも読まれていたカタクリの花、群生した風景は驚きと共に、心癒される素晴らしい風景です。

 

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春をつげる雪割草を求めて 早春の佐渡島
※南北に大佐渡、小佐渡の山地が連なり、中央には国中平野が広がる佐渡島。大佐渡山麓と世阿弥の道にてゆっくりとフラワーハイキングをお楽しみいただきます。

 

佐渡島・花咲く金北山縦走トレッキングと佐渡周遊の旅
※春の花咲くシーズンの佐渡の山旅。絶景ロッジ・ドンデン山荘に宿泊し、佐渡の最高峰金北山を目指し、花咲く楽園・アオネバ渓谷のハイキングも楽しみます。

 

カタクリ(片栗:Erythronium japonicum)②

 

 

080

エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

ついに、10月1日以降出発のツアーから「東京都除外が解除」されることが決定しました。西遊旅行では、本日9月18日より対象ツアーのキャンペーン価格での販売を開始いたします。これを機会に是非とも国内ツアーもご検討ください。
私のおすすめツアー:錦江湾に浮かぶ桜島と鹿児島の2つの半島を巡る旅
※菜の花の咲く指宿より開聞岳を、椿の咲く仙巌園より桜島を展望!

 

本日は「エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)」をご紹介します。

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

 

被子植物 単子葉類
学名:H. lilioasphodelus var. yezoensis
科名:ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)
属名:ワスレグサ属(Hemerocallis)
※旧科名のユリ科の時の学名は「Hemerocallis flava var. yezoensis」

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅)と言えば、思い出されるのが北海道・小清水原生花園です。
十数年前の7月、バスガイドさんが小清水原生花園へ向かう道中でエゾスカシユリとエゾカンゾウの花の説明をしてくれていたため、私を含め、車内のお客様は胸が高鳴る想いで小清水原生花園に到着しました。オレンジ色のエゾスカシユリやエゾカンゾウの花も確認できたのですが、それ以上に目をひいたのが鮮やかなレモン色のエゾキスゲでした。緑鮮やかな原生花園に一際鮮やかな色合いで群生するエゾキスゲに皆が心を奪われたことを今でも鮮明に覚えています。
今回使用する写真は弊社森田が7月に撮影したものですが、やはり小清水原生花園で撮影したものだったようです。

 

エゾキスゲは北海道や南千島に分布し、変種はユーラシア北部などにも広く分布します。
エゾキスゲは、ユリ科(Liliaceae)という認識でしたが、現在APG分類ではススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)に分類されています。エゾキスゲのことを調べなおしている際に「ユリ科」と記載されているものがほとんどでしたが、ここ数年で「ススキノ科」とされ、学名も「H. lilioasphodelus var. yezoensis」となったそうです。

 

草丈は50~80cm(直立)にもなり、葉は長さが幅は5~15mm、長さは30~50cmと長くて線形、葉が先端へ向かうにつれて垂れ下がったように下を向いているのが「ユリ科」らしい特徴です(ススキノ科です)。葉には腺毛などはなく、光沢も観られません。

 

花期は6~8月。花は茎頂に短い花柄をつけた先に5~10個ほど咲かせ、花被片が6枚。これまで幾度かご紹介しましたが、ユリの花は6枚の花被片のうち、外側の3枚が萼、内側の3枚が花弁です(ただ、今はエゾキスゲはススキノ科です)。
花被片の長さは10cm弱と大きく、何より印象的なのがその色合いです。鮮やかな黄色は「レモンイエロー」と表現されることが多いです。

 

以前、原生花園の係員さんに「エゾキスゲの花は夕方に開花し、翌日の昼頃にはしぼむ一日花」と教えてもらいました。ちなみにゼンテイカ(和名:ニッコウキスゲ)は朝に開花し、夕方にしぼむ一日花です。
また、色々と調べていると、旧学名(Hemerocallis flava var. yezoensis)の「Hemerocallis(ワスレグサ属)」はヘメロカリスと読み、ギリシャ語の「hemera(一日)&callos(美)」が語源ということです。

 

エゾキスゲやゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、以前ご紹介したユリ科の花々は、群生している風景と出会うと、思わず歓喜の声を挙げ、夢中になって観察してしまう魅力のある花でもあります。群生する風景も魅力的ですが、機会があれば是非1輪ずつゆっくりと観察してみてください。
それにしても、エゾキスゲの花はなぜススキノ科となったのでしょうか…。

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅)の群落

 

<これまでご紹介したユリ科の花々>
030.マルタゴン・ユリ(Lilium martagon)
031.ピレネー・ユリ(Lilium pyrenaicum)
054.クロユリ(Fritillaria camschatcensis)
070.カノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)
071.ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca

 

 

071

ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)

前回に引き続き、「甑島列島探訪と噴煙たなびく」で観察した甑島の花、ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)をご紹介します。

 

ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca)

 

被子植物 単子葉類
学名:Hemerocallis fulva var. aurantiaca
科名:ユリ科 (Liliaceae)
属名:ワスレナグサ属(Myosotis)

 

先日ご紹介したカノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)と同じくユリ科の花ですが、ワスレナグサ属に属し、ハマカンゾウの亜種とされています。
九州西部に分布し、今回は鹿児島県・下甑島の夜萩円山(よはぎまるやま)公園で群生を観察することができました。

 

草丈は70~80㎝、主に海岸線に群生し、葉は線状で60~70㎝、幅は1~1.5㎝と細長い形状をしています。非常に色濃い緑色の葉は少し光沢があり、触れてみると少々厚みを感じるほどでした。

 

花は色鮮やかな山吹色が印象的な色合いをし、ユリ科の特徴である3枚の花弁と3枚の萼片に分かれています。カノコユリほど幅の違いは感じませんでしたが、 外側の萼片(外花被)はやや幅が狭く、内側の3枚(内花被)の幅はやや広くなっています。
カノコユリのように花弁と萼片は先端で反り返ることはなく、カンソウの花らしくラッパ状で上向きに花を咲かせます。
花は朝に花開き、夕方にはしぼんでしまう一日花とのことでした。

 

ニシノハマカンゾウもレッドリストに登録されており、長崎県のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ 類(絶滅の可能性が増大している)に指定されているという資料もありました。
鹿児島・甑島では、6月下旬~7月下旬に山吹色のニシノハマカンゾウが、7月上旬~8月中旬にピンク色のカノコユリが花咲くシーズンです。今回は同じ場所に2つの花が群生するのは観察することができませんでしたが、甑島の海の風景を見ながら緑鮮やかな草地に咲くカノコユリとニシノハマカンゾウが同時に群生する風景を一度は観察してみたいものです。
それぞれが群生するのを観察できたので、贅沢かもしれませんが・・・。

 

ニシノハマカンゾウの群生を楽しむ