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レブンシオガマ(Pedicularis chamissonis var rebunensis)

先月、我が家の嫁さんが塊根植物の一種である「アデニウム・オベスム(Adenium obesum)」を購入し、その後も大事に育ててくれています。
少しずつですが成長しており、蕾も大きくなり、花が咲く日も近いようです。砂漠のバラと称される美しい花が咲くと聞いているので、非常に楽しみです。

 

本日は北海道・礼文島に咲く「レブンシオガマ(Pedicularis chamissonis var rebunensis)」をご紹介します。今回の写真は、弊社が知床半島・羅臼にて営業している「知床サライ」に在籍する森田が撮影したものを拝借させてもらいました。

 

レブンシオガマ(Pedicularis chamissonis var rebunensis)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pedicularis chamissonis var rebunensis
和名:礼文塩竈
科名:ハマウツボ科(Orobanchaceae)
属名:シオガマギク属(Pedicularis)

 

レブンシオガマは北海道北部の礼文島に自生し、ハマウツボ科シオガマギク属の多年草、礼文島の固有種です。今回の写真も森田が6月末に礼文島で観察したもので、私も国内添乗員時代(まだ若かれし頃)に礼文島の桃岩展望台で群生を観察したことを覚えています。

 

資料によってはゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)に分類されていますが、分類の体系によって異なるそうですが、現在ではハマウツボ科に属します(私もゴマノハグサ科という認識でした)。

 

シオガマギク属は北半球に広く分布し、約500種もあります。
有名なヨツバシオガマ(四葉塩竈:Pedicularis japonica)、キタヨツバシオガマ(北四葉塩竈:Pediculasis chamissonis var. hokkaidoensis)、レブンシオガマ(礼文塩竈)などがありますが、実際に分類、見分けが非常に難しく、現場でも「シオガマですよ」と案内してしまうことが大半です。
キタヨツバシオガマ(北四葉塩竈)、レブンシオガマ(礼文塩竈)はヨツバシオガマの変種とされており、資料によってはキタヨツバシオガマとヨツバシオガマは区別をしない、ヨツバシオガマの大型種をハッコウダシオガマ(またはキタヨツバシオガマ)と呼ぶこともあるが、厳密に区別することはできないという資料など様々あり驚きました。

 

レブンシオガマは、草丈が70~100㎝で直立し、ヨツバシオガマに比べると大きく成長します。
葉の形状は羽状全裂で、見た目には鋸のような形状はシオガマギク属の特徴と同じですが、ヨツバシオガマとの大きな違いは、葉の付き方と数です。
ヨツバシオガマはその名のとおり、葉が4枚ずつ輪生(茎の一節に3枚以上が車輪状になってつくつき方)するのに対し、レブンシオガマは葉が5~6枚輪生するのが特徴です。
先程、見分けが難しいと記載しましたが、今回の写真を見た際にヨツバシオガマかレブンシオガマか非常に迷いましたが、写真を大きくアップにしてみると、葉が5枚輪生していることがわかり、レブンシオガマと判別しました(森田にも確認をしてもらいました)。

 

1つ1つの花は小さく、淡紫~紅紫色の色合いで、2㎝ほどの長さで2唇形の花弁を持ちます。
上唇の部分が鋭く尖って下向きになっています。まるでハチドリの嘴のような形状がシオガマギクの特徴で、印象深い姿をしています。

 

花期は6~7月、花は直立した茎に対して20~30段ほど輪生してつけ、花は下から順に咲いていきます。他のシオガマギク属の花に比べると輪生して花をつける段数が多いのも特徴です(背丈が高いのが原因かと)。

 

シオガマギク属の花の見分け方、分類などはまだまだ勉強が必要ですが、レブンシオガマをはじめとするシオガマギク属の花の可憐さ・美しさは必ず足を止めてゆっくりと観察したくなる魅力ある花の1つです。勉強の成果は・・・また後日。

 

レブンシオガマ(Pedicularis chamissonis var rebunensis)

 

<レブンシオガマが観察できるツアー>
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