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エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

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本日は「エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)」をご紹介します。

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅:H. lilioasphodelus var. yezoensis)

 

被子植物 単子葉類
学名:H. lilioasphodelus var. yezoensis
科名:ススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)
属名:ワスレグサ属(Hemerocallis)
※旧科名のユリ科の時の学名は「Hemerocallis flava var. yezoensis」

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅)と言えば、思い出されるのが北海道・小清水原生花園です。
十数年前の7月、バスガイドさんが小清水原生花園へ向かう道中でエゾスカシユリとエゾカンゾウの花の説明をしてくれていたため、私を含め、車内のお客様は胸が高鳴る想いで小清水原生花園に到着しました。オレンジ色のエゾスカシユリやエゾカンゾウの花も確認できたのですが、それ以上に目をひいたのが鮮やかなレモン色のエゾキスゲでした。緑鮮やかな原生花園に一際鮮やかな色合いで群生するエゾキスゲに皆が心を奪われたことを今でも鮮明に覚えています。
今回使用する写真は弊社森田が7月に撮影したものですが、やはり小清水原生花園で撮影したものだったようです。

 

エゾキスゲは北海道や南千島に分布し、変種はユーラシア北部などにも広く分布します。
エゾキスゲは、ユリ科(Liliaceae)という認識でしたが、現在APG分類ではススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)に分類されています。エゾキスゲのことを調べなおしている際に「ユリ科」と記載されているものがほとんどでしたが、ここ数年で「ススキノ科」とされ、学名も「H. lilioasphodelus var. yezoensis」となったそうです。

 

草丈は50~80cm(直立)にもなり、葉は長さが幅は5~15mm、長さは30~50cmと長くて線形、葉が先端へ向かうにつれて垂れ下がったように下を向いているのが「ユリ科」らしい特徴です(ススキノ科です)。葉には腺毛などはなく、光沢も観られません。

 

花期は6~8月。花は茎頂に短い花柄をつけた先に5~10個ほど咲かせ、花被片が6枚。これまで幾度かご紹介しましたが、ユリの花は6枚の花被片のうち、外側の3枚が萼、内側の3枚が花弁です(ただ、今はエゾキスゲはススキノ科です)。
花被片の長さは10cm弱と大きく、何より印象的なのがその色合いです。鮮やかな黄色は「レモンイエロー」と表現されることが多いです。

 

以前、原生花園の係員さんに「エゾキスゲの花は夕方に開花し、翌日の昼頃にはしぼむ一日花」と教えてもらいました。ちなみにゼンテイカ(和名:ニッコウキスゲ)は朝に開花し、夕方にしぼむ一日花です。
また、色々と調べていると、旧学名(Hemerocallis flava var. yezoensis)の「Hemerocallis(ワスレグサ属)」はヘメロカリスと読み、ギリシャ語の「hemera(一日)&callos(美)」が語源ということです。

 

エゾキスゲやゼンテイカ(ニッコウキスゲ)、以前ご紹介したユリ科の花々は、群生している風景と出会うと、思わず歓喜の声を挙げ、夢中になって観察してしまう魅力のある花でもあります。群生する風景も魅力的ですが、機会があれば是非1輪ずつゆっくりと観察してみてください。
それにしても、エゾキスゲの花はなぜススキノ科となったのでしょうか…。

 

エゾキスゲ(蝦夷黄菅)の群落

 

<これまでご紹介したユリ科の花々>
030.マルタゴン・ユリ(Lilium martagon)
031.ピレネー・ユリ(Lilium pyrenaicum)
054.クロユリ(Fritillaria camschatcensis)
070.カノコユリ(鹿の子百合:Lilium speciosum)
071.ニシノハマカンゾウ(西の浜萱草:Hemerocallis fulva var. aurantiaca