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レブンアツモリソウ(礼文敦盛草:Cypripedium marcanthum var. rebunense)

2024年も早いもので1ヶ月が過ぎ、2月となりました。
年が明けてからも弊社では夏~秋のツアー造成に社員一同で励んでおりますので、乞うご期待。

 

本日は「花の浮島」と紹介される北海島・礼文島に咲く「レブンアツモリソウ」(礼文敦盛草)をご紹介します。

 

レブンアツモリソウ(礼文敦盛草)

 

被子植物 単子葉類
学名:Cypripedium marcanthum var. rebunense
和名:レブンアツモリソウ(礼文敦盛草)
科名:ラン科(Orchidaceae)
属名:アツモリソウ属(Cypripedium)

 

みなさん、「アツモリソウ」と言えば何色をイメージされるでしょうか。
北海道・礼文島にてレブンアツモリソウを観察された方、一度は観察してみたいと思いながら写真をご覧になった方、大半の方が「アツモリソウと言えば、白色(またはクリーム色)」と言われます。
私も「アツモリソウ」というものを最初に観察したのが礼文島に咲くレブンアツモリソウだったので、そのイメージを長らく抱いていました。

 

実は、日本国内には数種のアツモリソウ属(Cypripedium)の花が自生します。
紅色(紫色)の色合いが印象的で私もロシアのサハリン南部で観察した「ホテイアツモリソウ」(布袋敦盛草)、茶色の萼片と黄色い袋状の唇弁の色合いの「カラフトアツモリソウ」(樺太敦盛草)、さらには私も観察したことはありませんがウツボカズラのような形状の「キバナノアツモリソウ」(黄花敦盛草)があります。

 

今回ご紹介する「レブンアツモリソウ」(礼文敦盛草)は、盗掘によって個体数が激減し(北海道のバスガイドさんから夜中に小舟で入島して盗掘した人がいたと聞いた記憶も)、1994年に「特定国内希少野生動植物種」(種の保存法)に指定されており、礼文島の固有変種で礼文でしか見ることができない貴重な花です。
現在では、礼文島北部の北鉄府地区にある「レブンアツモリソウ群生地」(保護区)でしか観察できません。
ここまで説明すると、お分かりかと思いますが、白いアツモリソウの方が珍しいのです。

 

草丈は15~30cmの多年草で、茎には縮毛が確認できます。
葉は先が尖った長楕円形をしており、長さは10cm前後です。単子葉類らしく真っすぐと伸びた葉脈がクッキリとしている点も特徴です。

 

花期は早春の5月下旬~6月中旬。茎頂に袋状の花を1つ咲かせます。
花の形状はユニークで、上萼片が帽子の庇(ひさし)のように突き出ており、側萼片が左右に垂れ下がっているのが特徴的です。
何より、アツモリソウ最大の特徴であるのが袋状の「唇弁」です。長さが3.5~5cmの袋状をしており、ぷっくりとして非常に可愛らしい形状です。

レブンアツモリソウ(礼文敦盛草)

 

レブンアツモリソウのことを色々と調べていると、「騙しによる受粉」という言葉がありました。
レブンアツモリソウは蜜を分泌せず、他のラン科の花と同じように花粉も大量に作る訳ではありません。
レブンアツモリソウの送粉者はニセハイイロマルハナバチ、巣を作り始めたばかりの越冬女王蜂がその役目を担うそうですが、蜜や花粉が得られる花だと思って花に潜り込むと、まるで食虫植物ウツボカズラの捕虫嚢に捕まってしまったかのように、袋状の唇弁に足を滑らせて落ち込んでしまいます。
袋状の唇弁から脱出できる経路は限られ、脱出する際には体中に花粉塊が粘着しており、ニセハイイロマルハナバチが再び別のレブンアツモリソウに騙されて落ち込んでしまい、同じように脱出するときに雌しべの柱頭に花粉塊が付着し、受粉が成立するそうです。
次回、レブンアツモリソウを観察する際、近くにハチが飛んでいたら・・・「騙されないで」と声を掛けるのか、迷いどころです。

 

みなさん、カナディアンロッキーにもアツモリソウが咲くのはご存じですか?
カラフトアツモリソウと同系種で、現地では「Yellow’s Lady’s Slipper」(女性のスリッパ)と呼ばれます。


形状はレブンアツモリソウと同じように袋状の唇弁をもち、黄色の袋状の唇弁の内部に赤い小さな斑点があるのが印象的です。
私は長年カナディアンロッキーに咲く黄色いアツモリソウ「グレーシャー・リリー」を観察したいと思い続けており、ようやく2024年に「花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて」というツアーを造成することができました。

 

礼文島でレブンアツモリソウを観察された方、まだ観察されていない方も、黄色いアツモリソウ「グレーシャー・リリー」をもとめて、カナディアンロッキーへご一緒しませんか?

 

<レブンアツモリソウが観察できるツアー>
花の利尻島・礼文島とサロベツ原生花園
※レブンアツモリソウの観察できる5月出発は催行決定しています!

花の利尻島・礼文島から世界遺産 知床半島へ
※レブンアツモリソウの観察できる6月出発は、まもなく催行です

 

<黄色いアツモリソウ「Yellow’s Lady’s Slipper」が観察できるツアー>
花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて
※黄色いカタクリ、黄色いアツモリソウが観察できるシーズン限定
※催行間近!! 大阪支社・高橋が同行予定です。

 

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念願だったステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)

先日は、この一年でより一層強い想いが芽生えた花として『トロリウス・リラキヌス』(Trollius lilacinus)をご紹介しましたが、本日は2023年に長年の念願が叶い出会うことができた花の1つである『ステゴレピス・ガイアネンシス』(Stegolepis guianensis)の花をご紹介します。

 

ステゴレピス・ガイアネンシスの花(Stegolepis guianensis)

被子植物 単子葉類
学名:ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)
科名:ラパテア科(Rapateaceae)
属名:ステゴレピス属(Stegolepis )

 

『ステゴレピス・ガイアネンシス』という名を聞くと「恐竜の名前なの?」と思われる方も・・・いるとか、いないとか。ただ、『ガイアネンシス』と聞くと、察しが付く方もいるかもしれませんが、ギアナ高地の固有種の1つです。

 

実は、今回ご紹介する花『ステゴレピス・ガイアネンシス』(Stegolepis guianensis)は一度過去にご紹介した花の1つです。
まだご覧になっていない方は、まずはそちらの紹介ブログから先にご覧ください。

051.ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)

 

前回のブログ(2020.04.25更新)では、2018年11月に実施したチマンタ山塊の山上で植生の観察を楽しむツアーで観察した際の写真を掲載しましたが、苞葉に包まれた状態の個体(写真)しか紹介できませんでした。
その際にも開花したステゴレピス・ガイアネンシスを観察したのですが、個体に近づくことができずカメラレンズをズームにしてようやく確認できる程度、肉眼で観察したとは言い難い状況での観察でした。

 

2018年11月以降、ベネズエラでの情勢悪化に伴い、長らくギアナ高地のツアーを実施できておらず、さらには『悪夢のコロナウィルスによる空白の3年』もありました。
そんな中、弊社では5年ぶりとなる2013年10月に『秘境ギアナ高地をゆく』を実施させていただき、私も添乗員として同行させていただきました。
5年ぶりのギアナ高地に心躍らせる中、5年ぶりのギアナ高地の自然に触れる喜びとともに、私が密かに抱いていた想い(目的)が「ステゴレピス・ガイアネンシスの花を観察する」ことでした。

 

エンジェルフォール遊覧飛行を終え、グラン・サバナで各地を流れる滝の数々を見学し、チバトンというエリアの宿泊施設に到着した日のことです。
道中で車の調子が悪くなったため、チバトンの宿泊施設で車の修理・チェックをすすめるスタッフの脇で別のスタッフと作戦会議をしている時でした。
そのスタッフの背中越しに黄色(山吹色)の花が目に留まりました。作戦会議の途中でしたが、話を遮り、黄色い花に近づいてみると、私の身長(174cmです)ほどの草丈の花茎の頂部に直径2cmほどの小さな花を咲かせるステゴレピス・ガイアネンシスを発見ました。

 

実は、作戦会議をしていたスタッフというのは、2018年11月にチマンタ山塊へ同行してくれたスタッフで「散々観察したやん!」と言っていましたが、「あの時は肉眼では観察できなかったから、念願の花やねんって」と伝えると(もちろん関西弁ではなく英語で)、彼も私の思いを汲んでくれ、作戦会議は後にして夢中になって撮影を楽しませてもらいました。

 

ステゴレピス・ガイアネンシスは、花茎の頂部に頭状に集まった花序をつけて2枚の発達した苞葉(ほうよう:蕾を包むように葉が変形した部分)に包まれているのですが、頂部に可憐で小さな花を咲かせます。この日は1輪だけ可憐に咲く個体がいくつかあり、どれも素晴らしい色合いで、3枚の萼と3枚の花弁を有していることがハッキリ確認できる花でした。

 

2023年、5年ぶりにギアナ高地のツアーを再開できたこと、添乗員として同行させてもらったことが私にとって一番の出来事でした。
ギアナ高地のツアーは2024年も発表を予定しておりますので、ギアナ高地に興味がある方も、ギアナ高地の植生に興味がある方も楽しみにしておいてください。

 

2024年はどのような年になるのでしょうか。実は現在『カナディアンロッキーのフラワーハイキング』のツアーを造成中です。発表までまもなくです。
2024年も新たな植生、新たな花に出会えることを願うばかりです。

 

ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)
ステゴレピス・ガイアネンシス(Stegolepis guianensis)②
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ヤクシマノギラン(屋久島芒蘭:Metanarthecium luteoviride Maxim. var. nutans Masam)

海外ツアーの再開に向けて準備を進める中、国内ツアーの造成にも励んでいます。
私も春の花の観察を楽しむツアーをいくつか造成し、発表させていただきました。最後にツアーもご紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 

本日はヤクシマノギラン(屋久島芒蘭:Metanarthecium luteoviride Maxim. var. nutans Masam)をご紹介します。

 

ヤクシマノギラン(屋久島芒蘭:Metanarthecium luteoviride Maxim. var. nutans Masam)

 

被子植物 単子葉類
学名:Metanarthecium luteoviride Maxim. var. nutans Masam
科名:キンコウカ科(Nartheciaceae)
属名:ノギラン属(Metanarthecium)

 

ヤクシマノギラン(屋久島芒蘭)は、北海道から九州にかけて分布するノギラン(芒蘭)の屋久島固有変種で、鹿児島県絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
標高1,400mから森林限界を越えた登山道の脇や日当たりの良い岩場の割れ目などに自生します。私も黒味岳直下の岩場に張り付くように咲くヤクシマノギランを見つけましたが、手の届かない上の方に咲いていたので、目一杯カメラをズームし撮影しました。

 

以前はユリ科に含められていましたが、近年のAPG植物分類体系ではヤマノイモ目に置かれ、あまり聞き慣れないキンコウカ科(日本にはキンコウカ、ノギラン、ソクシンランなど)に分類されています。

 

草丈は10cmほど。屋久島以外に自生するノギランは草丈30cmほどに成長しますが、屋久島は日照時間が短く、雨風も強い厳しい環境であるため矮小化しています。
根出葉は倒披針形で10cm前後、少し光沢が見られ、手の届かない場所に咲いていたため確認はできませんでしたが、葉にさほど厚みはないように感じます。

 

花期は6~8月。花柄は長く総状花序となり、花茎の先端に淡い黄緑色で長さ6~8mm程度の花を咲かせます。
ある資料にノギランと同一とする考えもある中、花柄が短くて花序が穂状でなく総状になることでヤクシマノギランと分けるとありました。

 

今回は花のピークを過ぎてしまっていましたが、いつの日かキレイに咲くヤクシマノギランを観察してみたいものです。その際は手の届く場所に咲いていることを願います。

 

<冬から春 オススメのツアー>
※12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン
※活火山・桜島の徹底探求と大隅半島・薩摩半島から名峰・開聞岳を望む

 

※2月21日出発は満席! 2月14日出発は催行間近!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

干潮時には象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」
静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る

 

<春の花の観察ツアー>
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる

※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

 

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ミヤマクロユリ (深山黒百合:Fritillaria camschatcensis var. keisukei)

昨年5月、私がぬか床づくりを始めた頃に「クロユリ(Fritillaria camschatcensis)」として「エゾクロユリ(蝦夷黒百合)」ご紹介しましたが、本日は「ミヤマクロユリ (深山黒百合:Fritillaria camschatcensis var. keisukei)」をご紹介します。因みに、今もぬか床づくりは継続しています。

 

ミヤマクロユリ (深山黒百合)の両性花

 

被子植物 単子葉類
学名:Fritillaria camschatcensis var. keisukei
別名:skunk lily(スカンクユリ)、outhouse lily(外便所ユリ) など
科名:ユリ科(Liliaceae)
属名:バイモ属(Fritillaria)

 

本日ご紹介する「ミヤマクロユリ(深山黒百合)」は、7月に木曽駒ケ岳の千畳敷カール、乗鞍・畳平にて観察したものです。

 

ミヤマクロユリ(深山黒百合)は、中部地方以北(白山が分布の西限)の高山帯~亜高山帯に自生する多年草。
クロユリは、広義ではエゾクロユリ(蝦夷黒百合)とミヤマクロユリ(深山黒百合)の両方を指し、狭義ではエゾクロユリ(蝦夷黒百合)のみを指します。
また、エゾクロユリとミヤマクロユリでは染色体数に違いがあり、ミヤマクロユリの染色体数は2対24本(2倍体)、エゾクロユリは3対36本(3 倍体)とのことです。
私個人的には、北海道などの低地に生える クロユリ は「エゾクロユリ(蝦夷黒百合)」、本州の高山に生えるクロユリはミヤマクロユリ(深山黒百合)という認識です。

 

草丈は10~30㎝で直立し、葉は披針形~長楕円状披針形をしており、茎の中央あたりから3~5枚の葉が輪生上に2~3段につきます。

 

花期は6~8月。茎の頂に柄を伸ばし、下向きに1~2輪ほど花を咲かせます。
長さ2~3cmの花被片を6枚付け、色は黒というより、暗紫褐色で、黄色の網目模様(黄色の細かい斑点と表現する資料もあり)が内外にあるのが特徴です。
個人的な印象として、黄色の網目模様があることで花の色が茶色に近い色合いに感じることもあります。

 

雄しべは6個あり花被片の半分ほどの長さで先端部(葯)が黄色く、花柱は黄緑色で基部から3裂し先は外側に曲がる形状をしています。

 

クロユリは、両性花と雄性花が同じ株に付き、雌花がない「雄性両全性同株」です。茎頂に2個以上の花をつける場合、両性花と雄性花を1つずつ、もしくはどちらか一方を複数咲かせる場合など、組み合わせは様々です。
両性花と雄性花の見分け方は一目瞭然で、花の中央に黄緑色で3裂した花柱が確認できれば両性花、なければ雄性花です。ちなみに、上の写真が両性花、下の写真が雄性花です。

 

クロユリには独特の悪臭があり、花粉を運ぶのは大部分が「ケブカクロバエ」と呼ばれるハエ。この悪臭がこのハエを呼び寄せるといわれています。
花が終わると徐々に上を向くように変化し、実が膨らみ羽をもった種子をたくさんつけますが、発芽率は良くなく、繁殖の大半は栄養繁殖と呼ばれる地下の鱗茎が分裂して数を増やしています。

 

<エゾクロユリとミヤマクロユリの見分け方>
1.草丈
エゾクロユリが10~50cm/ミヤマクロユリは10~30cm。
2.花の色
エゾクロユリは黒褐色に近い/ミヤマクロユリは茶色に近い暗紫褐色
3.網目模様
エゾクロユリはあまり目立たず/ミヤマクロユリは非常に目立つ
4.茎頂の花の数
エゾクロユリが3~5個/ミヤマクロユリは1~2個

 

ミヤマクロユリを見つけると「クロユリ?イメージと違う」という声が挙がり、実際7月のツアーの際にもそのような声が挙がりました。おそらく、クロユリ=エゾクロユリのイメージなのかもしれません。
次回、クロユリを観察する機会がありましたら、エゾクロユリとミヤマクロユリの違い、両性花と雄性花の違いをじっくりと観察してみてください。

 

ミヤマクロユリ (深山黒百合)の雄性花
エゾクロユリ(蝦夷黒百合)の両性花

 

<おすすめ!! 紅葉シーズンに自然を楽しむツアー>
※10月18日出発:まもなく催行!
「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
“岐阜の宝もの”小坂の滝、天生県立自然公園、五色ヶ原の森と名勝・上高地を専門ガイドと歩く5日間。

 

※10月18日出発:まもなく催行!
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
専門ガイドと共に寺社仏閣を巡り、由緒を知り、御朱印をいただく旅。また、自然美溢れる鬼無里でもガイドウォークを楽しむ5日間。

 

※10月5日出発:催行決定!
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
傑出した山岳景観を誇る中央アルプスから中部山岳国立公園を巡る4日間。撮影目的でなくても、自然、風景を満喫できます。

 

※10月9日出発とも、まもなく催行!
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川連峰を撮る
美しい紅葉や山岳風景の撮影をご堪能いただく日程。尾瀬は2泊3日でゆっくりと巡り、秋色に染まる尾瀬を堪能いただけます。

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トキソウ(朱鷺草:Pogonia japonica)

コロナウイルス感染症拡大が心配な日々が続く中、弊社も冬のツアー造成に励みながら、秋シーズンのツアー実施に向けての最終調整を進めております。
皆様、9~11月の紅葉シーズンの旅行はお決まりでしょうか。
最後に紅葉シーズンにオススメのツアーを紹介しておりますので、是非ご覧ください。

 

本日は「トキソウ(朱鷺草:Pogonia japonica)」をご紹介します。
6月の尾瀬で、可憐に咲くトキソウ(朱鷺草)の観察・撮影を楽しむことができました。

 

トキソウ(朱鷺草:Pogonia japonica)

 

被子植物 単子葉類
学名:Pogonia japonica
科名:ラン科(Orchidaceae)
属名:トキソウ属(Pogonia)

 

トキソウ(朱鷺草)は、北海道から九州(資料によっては、四国、九州では稀にみられるとあります)に、海外では千島列島や朝鮮半島などに分布します。
日当たりの良い湿地(酸性の湿地)などに自生するラン科の多年草です。日本では乱獲されてしまった時期もあり、準絶滅危惧(環境省)に指定されています。

 

草丈は10~30cmで直立し、茎の中ほどに長さ5~10cmで広針形の葉を1枚、茎を抱くように付きます。

 

花期は5~7月。茎頂に淡いピンク色~紅紫色の花を1つ咲かせます。
トキソウ(朱鷺草)は、この花の色が「トキ色」(朱鷺の翼の色)に似ていることが名の由来です。個人的には「尾瀬でトキソウを観察したい」という想いもあったことが影響してか、トキソウは淡いピンク色という印象です。ある資料(ブログ)では「標高が高くなるにつれて淡い色合いになる印象」と記されているものがあり、とても興味深い視点でした。

 

トキソウも非常に複雑な形状をしています。
花弁のように三方に広がっている長楕円状披針形の部分は「萼片」。
上向きの1枚が「背萼片」、横向きの2枚が「側萼片」です。
花の中央に帽子のひさし(兜状に重なると表現する資料も)のように前へ突き出して伸びる2枚が「花弁(側花弁)」です。

 

非常に印象的な形状が、下向きに伸びる長さ1.5cmほどの「唇弁」。
写真では1枚の唇弁のように見えますが、実は3裂しています。
写真では判りませんが、帽子のひさし(兜)の内側で非常に細い「唇弁の側裂片」が伸びており、下に伸びているのは「唇弁の中裂片」です。
この唇弁(中裂片)の内側は、まるでイソギンチャクのような肉質の突起物が密生してついているのが印象的です。
また、側花弁や唇弁の外側などに花全体の色合いより少し濃いピンク色の縞状の斑が付いており、この縞状の斑がより花の印象を美しいものにしています。

 

今回は、尾瀬の木道沿いで観察したため、木道から手が届きそうで届かない場所に咲いており、花の細部を観察することはできませんでしたが、木道からはみ出ず、腹這いで必死になって撮影することができました。
次回、トキソウ(朱鷺草)を観察する機会に恵まれた際には、上記の花の形状など細部にわたって観察をしてみたいと思います。

 

<おすすめ!! 紅葉シーズンに自然を楽しむツアー>
※10月18日出発:まもなく催行!

「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
“岐阜の宝もの”小坂の滝、天生県立自然公園、五色ヶ原の森と名勝・上高地を専門ガイドと歩く5日間。

 

※10月18日出発:まもなく催行!
北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
専門ガイドと共に寺社仏閣を巡り、由緒を知り、御朱印をいただく旅。また、自然美溢れる鬼無里でもガイドウォークを楽しむ5日間。

 

※9月19日出発:催行決定!/9月22日出発:満席!
日本で最も早い紅葉を観る!大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草
黒岳、旭岳、十勝岳、三国峠など大雪山山系の原生林と紅葉の名所を巡る5日間。
エゾオヤマリンドウに出会えるかもしれません。

 

※10月5日出発:催行決定!/10月10日出発:まもなく催行!
秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る
傑出した山岳景観を誇る中央アルプスから中部山岳国立公園を巡る4日間。撮影目的でなくても、自然、風景を満喫できます。

 

※9月29日出発、10月9日出発とも、まもなく催行!
秋色に染まる尾瀬・奥日光・谷川連峰を撮る
美しい紅葉や山岳風景の撮影をご堪能いただく日程。尾瀬は2泊3日でゆっくりと巡り、秋色に染まる尾瀬を堪能いただけます。

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コケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens)

いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開幕しました。連日猛暑日が続く中、日本選手団、世界中から来日された選手団の方々には、猛暑に負けず、それ以上に熱い戦いをみせて欲しいと思います。

 

本日も尾瀬で観察したコケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens )をご紹介します。

 

コケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens)

 

被子植物 単子葉類
学名:Oreorchis patens
別名:ササエビネ(笹海老根)
科名:ラン科(Orchidaceae)
属名:コケイラン属(Oreorchis)

 

コケイラン(小蕙蘭)は、北海道から九州に広く分布し、海外では千島列島、カムチャッカ半島、サハリン、朝鮮半島、中国大陸にも分布します。
山地やブナ帯などの林内のやや湿った場所に自生します。

 

草丈は20~30cmで直立し、黄緑色の花柄に比べて色鮮やかな緑色をしており、花の大きさや草丈のわりに茎が少し太い印象です。
葉は通常2枚つけ、長さ20~30cmで線状披針形をしていますが、他の植物に埋もれて咲いていることが多いため、なかなか確認することができません。

 

花期は5~6月。直立した茎から短く黄緑色の花柄を伸ばし、黄褐色の小さな花を多数(10~40個という資料もあります)つけ、茎の下部から上部へ向けて順に花を咲かせます。

 

コケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens)②

 

少し粗い写真で申し訳ありませんが、花の部分をアップにした上の写真をご覧いただくと花の形状が確認いただけるかと思います。

 

よく見ると花の中心から5枚の花弁上のものが伸びているのが判ります。
左右に伸びる下部の披針形の2枚が『側萼片』、中央から真上に伸びる披針形の1枚が『背萼片』となります。その間に挟まれるように斜め上に伸びて赤紫色の細い条が入っているのが『側花弁』となります。
コケイランの花で最も印象的な部分は、花の中央から真下に伸びる真っ白で赤紫色の斑点が付いている倒卵形の『唇弁』です。
少し太めの唇弁が1枚と見えなくもないですが、実は基部で3裂しており、中央の唇弁『中裂片』が大きく目立っているのです。よく見ると、唇弁の基部から白く細い『側裂片』が2枚伸びているのが確認できます。
個体によっては、唇弁に赤紫色の斑点が全くつかないものもあるそうです。
唇弁の上部にやや太めで長く伸びて先端が黄色くなっているものが確認できますが、これは『蕊柱(ずいちゅう)』と呼ばれる部分で雄しべと雌しべが融合(合着)したもので、花粉がたまっているために先端が黄色くなっています。

萼片と側花弁は披針形で長さが10mm弱、一番目立つ唇弁の中裂片は5mmほどと1つ1つの花は非常に小さなものですが、非常に複雑な構造をしている花です。
上の写真で判っていただけましたでしょうか。

 

今回は尾瀬で観察しましたが上記にも記載したとおり、他の植物に埋もれて咲いており、また唇弁は非常に印象的な色合いをしていますが、全体像としては周りと同化してしまうような色合いをしているため、危うく見逃してしまうほどでした。
林間でフラワーハイキングを楽しむ際には、コケイランの花を見逃さないようにご注意ください。

 

コケイラン(小蕙蘭:Oreorchis patens)③

 

<おすすめ!! 花の観察を楽しむツアー>
8月23日出発が催行決定!!
屋久島の植生観察、高山植物の観察に重点をおいた季節限定企画!!
屋久島・照葉樹林の森と花の黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物や照葉樹林の植生観察と1泊2日プラン「黒味岳フラワートレッキング」へご案内。屋久島の垂直分布を深く知ることのできる季節限定企画。
※私(大阪支社 高橋)が同行させていただきます。

 

<おすすめ!! 自然探勝を楽しむツアー>
支笏湖カヌーとネイチャーウォーク 北海道自然満喫の旅
支笏湖カヌー体験、美瑛の丘やニセコ山麓で専門ガイドと共にネイチャーウォークを楽しむ5日間。

 

「清流の国」岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング
“岐阜の宝もの”小坂の滝、天生県立自然公園、五色ヶ原の森と名勝・上高地を専門ガイドと歩く5日間。

 

北信濃の小菅神社・戸隠神社五社参拝と鬼無里フットパスを巡る
専門ガイドと共に寺社仏閣を巡り、由緒を知り、御朱印をいただく旅。また、自然美溢れる鬼無里でもガイドウォークを楽しむ5日間。

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ノビネチドリ(延根千鳥:Neolindleya camtschatica)

先日「花咲く千畳敷カール・乗鞍・上高地を歩く」に同行させていただき、各所で高山植物の観察を楽しませていただきました。
各所では高山植物だけでなく、千畳敷カールでは氷河地形と合わせて宝剣岳も見学でき、乗鞍畳平では雷鳥も観察することができました。また、上高地では2泊3日で大正池から河童橋、明神池、徳沢を巡るという贅沢な時間を過ごすことができ、充実した5日間でした。

 

本日は、尾瀬で観察した「ノビネチドリ(延根千鳥:Neolindleya camtschatica)」をご紹介します。

 

ノビネチドリ(延根千鳥:Neolindleya camtschatica)

 

被子植物 単子葉類
学名:Neolindleya camtschatica
科名:ラン科(Orchidaceae)
属名:ノビネチドリ属(Neolindleya)

 

ノビネチドリ(延根千鳥)は、北海道、中部以北の本州、さらには四国に分布し、海外では朝鮮半島やサハリン、カムチャッカ半島などにも分布します。
北海道では海岸地帯などでも自生するようですが、低山帯~亜高山帯の草地や明るい林などに自生するラン科ノビネチドリ属の多年草です。
ノビネチドリという名の由来は、根茎の形が掌状(手形)であるテガタチドリに対して、ノビネチドリの根は掌状にならず、根は横に伸びるため「延根」となったそうです。

 

<見分け方のポイント①:葉の縁の形状>
草丈は30~60cmで直立し、茎が若干太い印象です。
葉の長さ7~15cmでやや細長い楕円形、6~10枚の葉を茎に互生し、葉の先が尖り、葉の縁が波打つようになっているのが特徴で、葉柄はなく葉が茎を抱くように付いているのも特徴です。ノビネチドリと似ているテガタチドリやハクサンチドリの葉の縁は波打っていないため、見分ける際のポイントとなります。

 

ノビネチドリ(延根千鳥)の花を拡大しました

草丈が大きく、茎も太く、花を密集して咲かせるため、比較的大型なラン科の花のように見えますが、1cm以下の花を多数付けるので、そう感じるのかもしれません。
1つ1つの小さな花を観察すると、チドリ系のランらしい特徴が確認することができます。
花の中心から2枚の萼が横に広がっており(この部分は”側萼片”)、さらに中央から1枚の萼片が真上に伸び(この部分は”背萼片”)、さらに背萼片のすぐ下には側花弁と言われる部分も確認ができます。

 

<見分け方のポイント②:唇弁の形状>
チドリ系のランの花を印象的にするのが花の中央から下に伸びる”唇弁”の部分です。唇弁の中央部分に白い筋が真っすぐに入っており、先端が3裂しています。
テガタチドリ、ハクサンチドリ、ノビネチドリは非常に似ていると言われていますが、この唇弁の3裂した部分が見分けるポイントです。

 

◇ノビネチドリ
唇弁の中央に白色の縦筋が入り、3裂した部分の中央だけがやや短い
◇テガタチドリ
唇弁中央は縦筋などは確認できず、3裂した部分の先端が丸く、長さも同じ
ハクサンチドリ
唇弁に濃紅紫色の斑紋ができ、3裂した唇弁の中央部分の先端が尖る

 

私が撮影した花の写真にはテガタチドリはなかったですが、ハクサンチドリは以前ご紹介しておりますので、比較してみてください。
ラン科の花は、トレッキング中などに見つけると、気持ちが一気に高揚する不思議な魅力を持つ花です。単純に観察観察するのも楽しい花ですが、上記のような違いを確認しながら観察するのも楽しいものです。
是非、機会があれば花の細かい部分も観察してみてください。

 

ノビネチドリ(延根千鳥:Neolindleya camtschatica)②

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ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)

先日「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」に同行させていただいました。十数年ぶりに訪れた尾瀬、さらに群馬県の中之条町の自然名所を巡り、5日間で50種ほどの花々の観察を楽しむことができました。

 

本日は、尾瀬で観察したシンボル的な花の1つ「ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)」をご紹介します。

 

ニッコウキスゲ(ゼンテイカ:Hemerocallis dumortieri var. esculenta)

被子植物 単子葉類
学名:Hemerocallis dumortieri var. esculenta
正式名称:ゼンテイカ(禅庭花)
科名:ツルボラン科(Asphodelaceae)
属名:ワスレグサ属(Hemerocallis)

 

(※)ニッコウキスゲはユリ科(Liliaceae)に分類されていましたが、APG分類でススキノ科(anthorrhoeaceae)に分類され、さらにAPG分類の第4版(2016年~)よりススキノキ科はツルボラン科(Asphodelaceae)に名称を変更しました。
花図鑑など資料によって科名が異なるのは、APG分類で名称変更がここ数年で何度か行われてきたためのようです。

 

広く「ニッコウキスゲ」として知られるキスゲ亜科の多年草。
本州の中部以北では山地、亜高山、高原地域などに自生し、東北地方や北海道では海岸線でも観察することができます。
ニッコウキスゲの群落は、霧降高原(栃木県日光)、尾瀬(群馬県など)、霧ヶ峰(長野県)などが有名ですが、花の色が黄色、葉がカサスゲ(笠萓)似ているため、群落が有名な日光の地名を取り「ニッコウキスゲ」と呼ばれた始めたことがきっかけで全国に広まったとされていますが、栃木県日光の固有種という訳でなく、上記のとおり本州以北~北海道まで日本各地に分布します。
因みに、ゼンテイカ(禅庭花)という名の由来は、明確な資料はありませんでした。

 

草丈は60~80㎝で直立し、長さ60~70㎝、幅2㎝ほどの葉を付けます。
地域によって花期は異なりますが、花期は6~8月。
茎頂に短い花柄を伸ばし、3~10個ほどの蕾をつけ、黄色(山吹色)でラッパ型の花を咲かせます。また、朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花です。

 

これまでユリの仲間の花のご紹介で幾度かご紹介しましたが「花弁は6枚」ではありません。
6枚の花被片は6.5~8cm、3 枚の内花被(花弁)と3 枚の外花被(萼片)に分かれ、交互に並んでいます。内花被(花弁)は外花被(萼片)に比べてやや幅が広い点で見分けることができます。
花弁(内花被)と萼片(外花被)、それぞれから計6本の雄しべが伸び、雌しべが1 本です。

 

ゼンテイカは、各地で別々に同定されている点や分類に関する論争などで和名、学名などが様々で混乱してしまいます。
■エゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)は、花柄が短く、花被片がに厚みがあり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)と区別するという資料もあります。
上記の学名「H. dumortieri」はエゾカンゾウを分けないことを前提とした学名で、ヒメカンゾウの変種と位置づけです。
■学名を「H. middendorffii」とした場合、エゾカンゾウが基準変種となり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)はその変種になるそうです。
■別の資料では、エゾゼンテイカ(エゾカンゾウ)、低地型で夜に花が閉じないムサシノキスゲは分けないともあります。
■山形県飛島や男鹿半島、佐渡の海岸線に自生し、大型で花序に15~30個ほどの花をつけるトビシマカンゾウ(var.exaltata)もあり、ゼンテイカ(ニッコウキスゲ)の島嶼型とされています。
■今回訪れた群馬県中之条町の野反湖では、ゼンテイカを地元名「ノゾリキスゲ」と呼んでいました。

 

色々と考えすぎるとややこしいので、一般的に「ニッコウキスゲ」と知られる山吹色の色合いの花の正式名称は「ゼンテイカ(禅庭花)」という点を覚えていただければと思います。

 

尾瀬トレッキングのゴール地点・大清水湿原にニッコウキスゲが群生

 

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シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

我が家の周辺や通勤路などで様々な色合い、品種のアジサイが目に留まるようになりました。ぼんぼりのように咲くアジサイを見ると、通勤中でも思わず足を止めてしまい「会社を休み、弁当でも食べながらアジサイ観察を楽しもうかな~」という気持ちが芽生えてしまいます。

 

前回はエンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)をご紹介しましたが、本日は「シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)」をご紹介します。

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草:Trillium tschonoskii)

 

被子植物 単子葉類
学名:Trillium tschonoskii
別名:ミヤマエンレイソウ(深山延齢草)
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:エンレイソウ属(Trillium)

 

シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、その名のとおり「白い花を咲かせる延齢草」です。
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地から山地帯の林床に自生する多年草です。海外では、東アジアやサハリンに分布します。

 

草丈は20~40㎝となり、エンレイソウ(延齢草)とほぼ同じで、太めの茎で直立します。葉は茎頂で3枚輪生し、菱状卵形で長さが5~15㎝、先が尖り、基部が広いくさび型の形状をしています。

 

ここまでは前回紹介したエンレイソウと似ていますが、花の形状、色合いに若干の違いあります。
エンレイソウは、花弁(内花被片)はなく、花弁のように見えるのは全て萼(外花被片)ですが、シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は異なります。

 

花期は4~5月。シロバナエンレイソウ(白花延齢草)は、3枚の白い部分は花弁(内花被片)、緑色の部分が萼(外花被片)です。外花被片(萼)はエンレイソウ(延齢草)より長く、2~2.5㎝、内花被片・外花被片とも先が尖った形状です。
雄しべは6本で、葯は花糸とほぼ同じ長さ、クリーム色で先は尖った形状です。花柱は花の中央に球形の子房の上で基部から短く3裂しており、上の写真をご覧いただくと、葯や3裂した花柱などが確認できます。

 

花は葉の中央から花柄を伸ばし、花柄の頂に花を1つ咲かせますが、エンレイソウ(延齢草)に比べて花柄が短い印象です。

 

先月、長野県飯綱町の「むれ水芭蕉園」で水芭蕉やリュウキンカの群落を歓声を挙げながら観察していると、木道脇に数輪のシロバナエンレイソウを見つけ、観察を楽しみました。同ツアーで褐紫色のエンレイソウを幾度か観察したあとだったため、淡い白色のシロバナエンレイソウを見つけた際にはさらなる歓声が挙がり、お客様と共に順番に観察・撮影を楽しむことができました。

 

花被片が褐紫色のエンレイソウ(延齢草)
白い内花被片が印象的なシロバナエンレイソウ(白花延齢草)

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ニッコウキスゲの咲く7月コースも、間もなく催行です!
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エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)

先日、福島民報のWEBニュースにて、水辺の妖精”ミズバショウ”が見頃を迎え、5月29日に尾瀬の山開きがされたというニュースが発表されていました。一部残雪が残る中、ミズバショウの見頃は1週間ほど続くそうです。
また、福島県の尾瀬桧枝岐温泉観光協会によると、夏に咲くニッコウキスゲの見頃は7月20日前後になるということでした。
弊社ツアー「花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く」は、ニッコウキスゲの花咲く季節に合わせて7月17日出発に設定しており、尾瀬桧枝岐温泉観光協会の発表にぴったりの日付です。是非ご検討ください。

 

本日は「エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)」をご紹介します。

 

エンレイソウ(延齢草:Trillium smallii)

 

被子植物 単子葉類
学名:Trillium smallii
科名:シュロソウ科(Melanthiaceae)
属名:エンレイソウ属(Trillium)

 

エンレイソウ(延齢草)は、シュロソウ科エンレイソウ属の多年草で、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地や林床などの湿った場所に自生します。海外では、サハリン(樺太)、南千島などに分布します。

 

草丈は20~50㎝、やや太めの茎で直立します。葉は茎頂に3枚輪生し、形状は菱状卵形で10~15㎝のやや大きめ、葉の先端が尖り、基部が広めな形状をしています。

花被片が褐紫色のエンレイソウ(延齢草)

花期は4~5月。輪生する3枚の葉の中央から花柄を伸ばし、花柄の頂に花を1つ咲かせます。
エンレイソウ(延齢草)は、花弁(内花被片)はなく、花弁のように見えるのは全て萼(外花被片)です。
萼は1.5~2㎝ほどの長さの長楕円形で緑色または褐紫色。雄しべは6本で、葯は花糸より短く褐色、上の写真をご覧いただくと褐色の葯がよく判ります。また、花柱は花の中央に球形の子房の上で基部から短く3裂しており、上の写真で褐色の花柱がはっきりと判ります。
果実は「球形で黒色」という認識でしたが、エンレイソウの果実は通常は緑とのことです。黒色の果実をつける品種はクロミノエンレイソウと呼ばれるそうです。

 

エンレイソウは大きな葉に小さな花を1輪だけ咲かせるため、特に外花被片(緑)が緑の花だと見落としてしまいがちですが、5月に信州でキレイに咲くエンレイソウを見つけた際には歓声が挙がりました。
次回、飯綱町・むれ水芭蕉園で見つけたシロバナエンレイソウをご紹介します。

 

花被片が緑色のエンレイソウ(延齢草)

 

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