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ハマナス(浜茄子:Rosa rugosa)

先日、大分県日田市立博物館で「ウシ柄のウナギ」が話題を呼んでいるというニュースを見ました。昨年10月に市内の養殖所で見つかったそうですが、白黒のまだら模様のニホンウナギで、数万匹に一匹の突然変異の個体のようです。

 

本日は「ハマナス(浜茄子:Rosa rugosa)」の花をご紹介します。

 

ハマナス(浜茄子:Rosa rugosa)

 

被子植物 双子葉類
学名:Rosa rugosa
英名:Ramanas rose、Rugosa rose、Japanese rose
科名:バラ科(Rosaceae)
属名:バラ属(Rosa )

 

『知床の岬に はまなすの咲くころ 思い出しておくれ 俺たちのことを』

 

個人的にはハマナスの花を見るたびに、加藤登紀子さんの「知床旅情」の歌を思い出します。私は44歳のため、この曲がリリースされたときは生まれていませんが、国内添乗員だった頃に北海道ツアーへ行くとバス車中でバスガイドさんがよく歌ってくれたのを覚えています。

 

ハマナス(浜茄子)と言えば、北海道の花という印象で、北海道の花にも指定されています。
日本国内では、北海道以外にも本州にも分布し、太平洋側では茨城県が、日本海側では島根県(確か大山だったような記憶も)が南限とされています。太平洋側と日本海側で大きな距離があるので調べてみると、ハマナスが砂浜・砂丘植物であることが太平洋側に自生する場所が少ない原因のようです。海外でもサハリン、千島列島に分布し、主に海岸線や砂地に自生します。

 

地下茎を延ばして群生し、草丈1~1.5mに成長する落葉低木。海岸線と内陸で草丈に差が出るようです。幹は叢生(そうせい:草木などが群がって生えること)し、茎は多方面に枝分かれして立ち上がります。
私もここまでは認識していたのですが、ある資料によると「樹皮が灰黒色から徐々に灰色となり、短い軟毛がある」とあり、驚きました。これまでハマナスを観察する際に注目していなかった部分だったので、次回は樹皮も注目してみたいと思います。枝には大小の棘があるので、観察時には十分気を付けて観察しなければいけません。

 

葉は、奇数羽状複葉で互生(ごせい:茎の周りに葉が螺旋状につくこと)します。
奇数羽状複葉とは、前回(103.エゾニュウ)にご紹介しましたが、中央の1本の軸の左右に小葉が並んでいるものを「羽状複葉」といい、奇数なのでてっぺんに一枚の小葉、2列目以降は左右に並んで小葉がつくものを言います。
小葉は長さ3cmほどの長楕円形、葉脈がハッキリとしており、葉縁には若干の鋸歯が確認できます。葉はほんの少し厚みがあり、表面は光沢が確認でき、裏面には少し細かい毛も確認できます。
全体に棘や細かい毛が多いのは、潮風による塩分付着を防止するためという解説を聞いたことがあります。

 

花期は6~8月。鮮やかなピンク色が印象的な花で、直径が10㎝ほど、花弁は5枚。
花の中央には多数の雄しべをつけ、淡い黄色色の雄しべが花弁のピンク色をより鮮やかなものにしています。群生して咲いていることが多いので、長らく咲いている印象の方も多いようですが、実は色鮮やかなハマナスの花は開花後5日前後で枯れてしまいます。

 

花後にできる真っ赤な実は、偽果(ぎか:子房ではなく、子房以外の部分に由来する果実)で、熟すと甘酸っぱい味がし、以前はバスガイドさんが「ハマナスのジャム」をよく紹介していました。ただ、昨年9月に久々に北海道へ訪れた際に「1つの実から採れる果肉が少ないため、最近ではあまり土産店で売っていない」と聞きました。また、最近では、薬用植物としての研究も進んでいるそうです。

 

ハマナスは根が染料となり、花はお茶になり、果実はローズヒップやジャムとして使われます。
ハマナスの名の由来は諸説ありますが、前述した甘酸っぱい果実が「梨」に例えられたことが由来とされています。
では、なぜ和名で「茄子」と付くのか・・・調べてみると、江戸時代の書籍に「茄子の如し、食に耐えたり、故にハマナスと呼ぶ」とあったことが由来するそうですが、茄子とは似てないという指摘(ツッコミ)もあるようです。

 

今回ハナマスのことを色々と調べていて一番驚いたのが、ハマナスは「皇后・雅子様のお印」となっていることでした。ちなみに天皇徳仁様のお印は「梓」とのことでした。
ハマナスは何度も観察した花ですが、改めて色々と調べてみると非常に興味深い花でした。

 

ハマナス(浜茄子)の実

 

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チングルマの穂(Sieversia pentapetala)

本日、日本外務省より新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて全世界が対象になっていた渡航自粛を求める危険情報を引き下げる方向で検討を進めているというニュースが流れました。海外ツアー再開に向けて半歩前進した、嬉しいいニュースでした。

 

本日は、以前「075.チングルマ(Sieversia pentapetala)」の花をご紹介しましたが、先日「大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草」に同行させていただいた際に「チングルマの穂」を観察することができましたので、ご紹介します。

 

チングルマの穂(Sieversia pentapetala)

 

被子植物 双子葉類
学名:Sieversia pentapetalaまたはGeum pentapetalum
科名:バラ科(Rosaceae)
属名:チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)

 

前回もご紹介しましたが、チングルマ(Sieversia pentapetala)は北海道や本州の中部地方以北に分布し、海外ではサハリンやカムチャッカ半島、アリューシャン列島に分布する落葉小低木の高山植物です。

 

北海道・大雪山を彩る紅葉・黄葉は、木はナナカマドが紅葉の、ダケカンバが黄葉の主役となります。ただ、森林限界を超えるエリアとなると、紅葉の主役は「草紅葉」となり、その主役はチングルマとなります。
草紅葉に関しては、大雪山・銀泉台では、アラスカなどで「アルパイン・ベアーベリー」と紹介される「ウラシマツツジ(裏縞ツツジ︓ツツジ科の落葉⼩低⽊)」も真っ赤に染まります。

 

チングルマは、花が終わるとおしべが長く伸びはじめ羽毛状になって残り、果実を付けます。果期になると花柄は7~10㎝ほどになり、タンポポの種のように風によって散布され、チングルマの果実になります。果期になると花柄は7~10㎝ほどになり、タンポポの種のように風によって散布されます。
上の写真をご覧いただくとイメージが付きやすいかと思いますが、羽毛上の果実の形が子供の風車(かざぐるま)に見えたことから稚児車(ちごくるま)から転じて付けられたと言われています。

 

すべての花がそうではありませんが、花期が終わっても、色合いなどの印象が変化していく姿を観察すると、その花の良さを改めて感じることがあります。
9月末に北海道・大雪山国立公園へ訪れ、旭岳の麓の散策を楽しみました。決して天候に恵まれたとは言えませんでしたが、チングルマの草紅葉は十分に楽しませていただきました。

 

大雪山・旭岳の麓がチングルマの草紅葉で赤く染まる
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チングルマ(Sieversia pentapetala)

今年の夏は本当に暑いですね。コロナウイルス感染症対策としてマスクと合わせて、熱中症対策も行わなければいけない。悩ましい日々が続きますが、ここはしっかり両方の対策を講じて、一日でも早く安心できる日を迎えられるように頑張りましょう。

 

本日は「チングルマ(Sieversia pentapetala)」をご紹介します。

 

チングルマ(Sieversia pentapetala)

 

被子植物 双子葉類
学名:Sieversia pentapetalaまたはGeum pentapetalum
科名:バラ科(Rosaceae)
属名:チングルマ属(Sieversia)またはダイコンソウ属(Geum)
※学名が「Geum pentapetalum」と表記される場合もあり、これはチングルマ属(Sieversia)がダイコンソウ属(Geum)の1亜種として扱われることがあるためです。

 

今回ご紹介するチングルマの花は、弊社森田(知床半島・羅臼「知床サライ」に在籍)が7月に実施した弊社ツアー「花の北海道フラワーハイキング」で撮影したものを掲載させていただきます。

 

チングルマ(Sieversia pentapetala)は、北海道や本州の中部地方以北に分布し、海外ではサハリンやカムチャッカ半島、アリューシャン列島に分布します。

 

実はこのチングルマは草ではなく「地面を這うように生える落葉する低木」なのです。
草丈は3~10㎝と低く、地を這うようにしてチングルマは群生し、高山帯の雪渓の周辺や多湿地に自生し、大群落を形成することが多いのが特徴です。

様々な資料でチングルマは「雪田植物(せつでんしょくぶつ)」と紹介されています。
多雪地帯では小さな谷や窪地に多量の雪が積もり、その後夏期の遅くまで雪渓として雪が残ります。これを雪田と呼び、このような厳しい環境下で自生する植生を雪田植物と呼んでいます。雪田では雪がない時期というのが短く、その間に成長→開花→繁殖というサイクルを終わらせなければいけません。このため特殊な植物しか生育できず、そこに生育する種類も限られていますが、場所によって雪解けの時期が異なるため雪田の付近には多様な植物が自生します。

 

葉は奇数羽状複葉(鳥の羽根のような複葉で先端に1枚、両側に対で小葉が付く形態)で小葉は3~5枚、長さは1~1.5㎝ほど。葉には光沢も確認でき、少し厚みも感じられ、葉の縁に鋸歯も確認ができます。
葉は秋になると色鮮やかな赤色となり、森林限界以上では紅葉(草紅葉)の主役となります。

 

花期は6~8月。花柄はその長さが4~5㎝、枝先に単生(1つの花をつける)し、花弁は5枚、直径が3㎝ほどの小さく白い花を咲かせます。
多数の黄色い雌しべと雄しべがあり、花が終わると羽毛状になった雄しべが残り、これがチングルマの果実になります。果期になると花柄は7~10㎝ほどになり、タンポポの種のように風によって散布されます。これが「チングルマ」の名の由来なのです。
羽毛上の果実の形が子供の風車(かざぐるま)に見えたことから稚児車(ちごくるま)から転じて付けられたと言われています。

 

チングルマは「シーズンは3つある」と言われています。
①チングルマの花
②チングルマの果実(チングルマの穂と紹介されることもあります)
③チングルマの紅葉(草紅葉)

 

私自身、チングルマはこれまで幾度も観察しましたが、やはりチングルマと言えば「北海道・大雪山系」というイメージが強く、今でも大雪山の裾合平一帯に咲き誇るチングルマの群生、花後のチングルマの果実(穂)が広がる風景、裾合平が真っ赤に染まるチングルマの紅葉の風景は今でも目に焼き付いています。
また乗鞍岳の畳平周辺や山形県の月山でのフラワーハイキングの際もチングルマの花が群生していたのも忘れられません。

今回のブログでは「チングルマの花」の写真しか掲載できませんでしたが、私が9月に「日本で最も早い紅葉を観る!大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草」に同行させていただきますので、そこでチングルマの果実(穂)、紅葉(草紅葉)が観察できたら、改めて写真を掲載させていただきます。

チングルマの群生

 

<チングルマが観察できるツアー>
※これからは「チングルマの穂」や「チングルマの紅葉」が観察・撮影できるシーズンです。

 

”サンゴ草の紅葉と共にチングルマの紅葉も探しましょう”
日本で最も早い紅葉を観る!大雪山山麓一周と能取湖のサンゴ草

 

”乗鞍・畳平からご来光と共にチングルマの紅葉の撮影を”
秋の乗鞍・上高地を撮る ※私がオススメのツアーです。

 

”東北の八幡平もチングルマの群生地で有名です”
錦秋の奥羽ゆったり大縦断
ぐるっと岩手 紅葉の八幡平~遠野~北三陸ジオさんぽ
上鶴篤史氏同行シリーズ 錦秋の東北をめぐる写真撮影の旅
秋の東北スペシャル 
紅葉のみちのくの名峰7座登頂と7つの名湯巡り