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ボンボリ・トウヒレン(Saussurea Obvallata)

週末、嫁さんと共に京都の嵐山へ紅葉を楽しんできました。

特に大本山天龍寺塔頭・宝厳院では、苔の鮮やかな緑と相まって非常に美しい庭を見学することができ、日本の秋を楽しむことができました。

 

前回は「セーター植物」という種類のトウヒレンの一種「ワタゲトウヒレン(Saussurea gossypiphora)」をご紹介しましたが、本日は「温室植物」という種類の「ボンボリ・トウヒレン(Saussurea Obvallata)」をご紹介します。

ボンボリ・トウヒレン(Saussurea Obvallata)

被子植物 双子葉類
学名:サウスレア・オヴァラータ Saussurea obvallata
和名:ボンボリ・トウヒレン
現地名:ブラマー・カマル(インド北部)
科名:キク科  属名:トウヒレン属(Saussurea)

 

温室植物と聞くと、植物園で育てられた花のように聞こえますが今回は違います。
写真でご覧いただけるように、葉(少し半透明)や苞葉を広げ花を覆い、高山地帯での低温や紫外線など過酷な環境から身(花)を守るため、自ら「温室」を作ります。今回ご紹介するボンボリ・トウヒレンは、温室植物の代表例として紹介されることの多い花の1つです。

 

ヒマラヤ全域や中国西部、チベットの高山帯の岩場やモレーン帯(氷堆石)の斜面に自生し、比較的隔離されて点在します。

花期は8~9月で高さは20㎝、大きいもので80㎝に達するものもあります。

基部の葉には柄があり、葉身は細長い楕円形で長さは20㎝ほど、周囲に鋸歯があるのも特徴です。

茎頂に密集して数個~数十個の小さな暗紫色の花を咲かせ、白い膜質の苞が小さな花を包み込んでいます。花は雌雄同体(雄と雌の両方の器官を持っている)であり、昆虫によって受粉されます。

 

インド北部では、この花を「ブラマー・カマル(Brahma Kamal)」と呼び、白い苞葉を裏返したものを蓮の花に見立てて、山の神に捧げるそうです。シーク教の儀式に用いる神聖な花となっています。

以前、チベット添乗で観察した際には現地ガイドから、この花は昔からチベット医学では植物全体が薬草として使用されており、風邪や咳の治療に効果があると聞いたことがあります。

 

高山帯でボンボリ・トウヒレンを見つけると、まずはその容姿に驚かされ、じっくり観察すると白色や淡い黄緑色の苞葉に包まれた暗紫色のトウヒレンの花(中の花を観察して初めてトウヒレンと実感します)の美しさに驚かされ、一度で二度楽しめる花でもあります。

インド・ガルワール地方や東チベットのコンボ地方へ、セーター植物や温室植物の花々を観察へ、是非出掛けてみてください。

ボンボリ・トウヒレン(Saussurea Obvallata)②
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ワタゲ・トウヒレン(Saussurea gossypiphora)

日本各地で紅葉が見頃を迎えるというニュースを目にする機会が増えてきました。
私も京都にでも出かけ、紅葉を楽しもうかと計画中です。

 

本日は、久々にアジアの花をご紹介します。
皆さん「セーター植物」という言葉はご存知でしょうか?
11月下旬ともなると「今日は寒くなりそうだからセーターを1枚追加しよう」と考えることもあるかと思います。高山植物も同じです。環境の厳しい条件(低温が続く高地など)に耐えるため、太陽エネルギーの吸収のため、全体を綿毛で覆う植物もあります。

そのような植物を「セーター植物」と言います。

今回はセーター植物の中でも代表的な「ワタゲトウヒレン(Saussurea gossypiphora)」をご紹介します。

ワタゲトウヒレン(Saussurea gossypiphora)①

被子植物 双子葉類
学名:Saussurea gossypiphora
英名:Snow ball
科名:キク科  属名:トウヒレン属(Saussurea)

 

トウヒレン属は、中国西部の山岳地帯を中心として北半球に多く分布します。
シノ・ヒマラヤ地域(中国南西部からヒマラヤにかけての山岳地帯のことを植物地理学上ではそう呼びます)では、綿毛で覆われたセーター植物や、苞葉(ほうよう:花芽を包む葉)に覆われた温室植物、地上茎がなく茎が伸びず葉を地上に広げたロゼッタ植物など、トウヒレン属の植物は厳しい環境に対応する様々な適応・順応が見られます。

 

セーター植物の代表例ともいえるワタゲトウヒレンは、インドのガルワールからブータン、チベット南部で観察することができ、地域によって多少の誤差はありますが、7月中旬~8月後半にかけて観察することができます。
もう10年以上前になりますが、私も夏のブータンで観察することができ、お客様とその姿を観て興奮したことを覚えています。

 

荒涼とした礫質の斜面に多く生え、高さは10~20㎝ほど。基部の葉は細長く、長さは10㎝前後で縁がギザギザとした鋸歯です。
一見アザミを思わせる姿形ですが、葉や茎に棘はありません(これもトウヒレン属の特徴)。チベットで観察できるもの、ブータンで観察できるもの、鋸歯の形状が少し異なります。

上の写真①がチベットで観察したもと、下の写真②がブータンで観察したものです。葉の違いが見てとれるかと思います。

観察した時の写真はフィルム写真だったので、下の写真②は2019年に弊社太田がブータンで撮影した写真を拝借しています。

綿毛の様子もはっきりわかるキレイな写真です。

 

茎の中部から上部の葉に綿毛が生え、直立して花序(かじょ)をふんわりと包みます。茎の頂部は半円上に広がり、直径5㎜程度の小さな花(花の色は少し濃い紫です)を密集して咲かせます。

 

全体を覆った綿毛は「花粉媒介を行う昆虫を誘うための装置」とも言われています。
昆虫の活動も低温によって制約を受けてしまいます。寒さをしのぐため、綿毛に覆われたセーター植物に避難するそうです。
全体を覆っているように見えますが、頂部には小さな穴が開いており、蜂などが出入りをし、花の花粉媒介を助けます。
※ある資料には、内部の温度は外気温より15度前後も温かいというものもあります。

 

シノ・ヒマラヤ地域の高地で綿毛に包まれたワタゲトウヒレンを観察すると、その真っ白な姿に目を奪われます。その真っ白な綿毛には、保温効果とともに、花粉媒介を誘導するような仕組みもあることも知っていると、また少し見方も変わるかもしれません。

ワタゲトウヒレン(Saussurea gossypiphora)②