165

ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

本日は、春に観察できる「ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)」をご紹介します。

 

ミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

 

被子植物 双子葉類
学名:Menyanthes trifoliata
英名:Bog-bean, Buckbean
生薬名:スイサイヨウ(睡菜葉)
科名:ミツガシワ科(Menyanthaceae)
属名:ミツガシワ属(Menyanthes)

 

ミツガシワ(三槲)は、日本では北海道、本州、九州に分布し、日本を含めた北半球の寒冷地に分布します。山地の湿地帯や沼地など浅い水中に自生する水生植物です。

 

草丈は30cmほどの花茎をまっすぐに伸ばし、葉と花茎とは別々に立ち上がります。花茎より若干太めの地下茎を横に伸ばして、その自生エリアを広げます。

葉は長柄があり、3つの小葉からなります(1回3出複葉)。
小葉は菱形状(楕円形)をしており、長さは5~8cmほどです。葉をよく観察してみると、縁に波状の浅い鋸歯が確認できます。光沢、毛などは確認できません。
3つの小葉からなる点が、ミツガシワの名の由来であり、3枚の葉が「カシワ」の葉に似ていることから「三槲」と書くと言われています。別の説は、家紋に取り入れられている三柏の文様に似ていることから「三柏」と書くという説もあるようです。

 

花期は5~8月。ミツガシワは湿地植物カテゴリーでは最も開花が早い植物の1つと紹介されています。
資料によっては、スプリング・エフェメラルに含まれたり、含まれなかったりしますが、ある資料には「一般にスプリング・エフェメラルとして知られる植物よりは草体の寿命が長いが、盛夏にはほぼ草体が枯れる。広義のスプリング・エフェメラルとも言える。」とあります。

 

花はまっすぐ伸ばした花茎の上部に直径1~1.5cmほどの小さく真っ白な花を総状花序に多数付けます。
真っ白で小さな花の花冠は漏斗形で深く5裂し、色合いが非常に印象的ですが、最も特徴的なのが1つ1つの裂片の内側(こちら側)に確認できる密生した縮れた毛です。
こう書くと妙な姿と思われがちですが、縮れた毛も真っ白であるため、可愛らしく印象的な花の姿をしています。
花冠の中央には雌しべの花柱が1つ長く伸び、雌しべより短い雄しべが5~6本伸びています。

 

ミツガシワは、多くの資料で氷河期残存植物の代表的な存在(最後の氷河期は約1万年前に終了)として紹介されています。
その反面、近年では「ニホンジカの食害」が問題になっています。ミツガシワはニホンジカの大好物、特に根っこが好物のようなので、湿地に入り込んで根を掘り起こして食べてしまうそうです。ミツガシワそのものも被害を受け、湿地へのダメージも深刻であると、尾瀬に訪れた際に伺いました。
人間にとっては、ミツガシワの葉や葉柄を煎じて複葉すると胃もたれや腹痛に効く苦味健胃薬として用いられ、葉を食べるとよく眠れるので、睡菜(すいさい)と呼ばれていたそうです。

 

今回掲載したミツガシワの写真は、尾瀬で観察したものです。
ミツガシワが群生する風景を楽しみに長野県・親海湿原を訪れましたが、2020年シーズンは観察できませんでした。
現地の観光局の方より群生したら非常にキレイと伺っているので、2021年シーズンこそは是非観察したいものです。

 

尾瀬で観察したミツガシワ(三槲:Menyanthes trifoliata)

 

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間
※親海湿原でミツガシワの群生が観察できるかも!

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

6月26日出発 まもなく催行!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング

 

先日、ツアーを発表!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/GJNA31/
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

164

フキ(蕗:Petasites japonicus)

先日、我が家に母が遊びに来た際に夕食で蕗の煮て(関西、特に京都では”フキの炊いたん”と呼ばれています)卵で絡めた、小さい頃によく食べていた料理を作ってくれ、懐かしい気持ちとなりました。

 

本日は、その料理のレシピではなく、「フキ(蕗:Petasites japonicus)」をご紹介します。

 

フキ(蕗:Petasites japonicus)…雌か雄、どちらでしょうか。

 

被子植物 双子葉類
学名:Petasites japonicus
英名:Giant Butterbur、Japanese Butterbur、Fuki
科名:キク科(Asteraceae)
属名:フキ属(Petasites)

 

上の写真は、昨年5月に長野県・鬼無里の奥裾花自然園を訪れた際に観察したものです。

 

フキ(蕗)は、キク科フキ属、日本原産の多年草で日本全体に分布し、海外では北海道より北の樺太や朝鮮半島、中国にも分布します。
丘陵地や山野の土手など、少し湿った場所で自生し、川岸や林の際などにも自生します。

 

草丈は、花期・花後によって異なります。茎は地上には伸ばさず、地下茎を地中で横に長く這って伸ばして増殖させます。

 

①地面に這うような草丈
花期は3~5月(早春)。この頃は葉は地表に姿を現さず花茎(花穂)が伸び始め、これが春の風物詩の1つ「フキノトウ(蕗の薹)」と呼ばれる段階です。
フキ(フキノトウ)は雌雄異花で、苞葉に包まれ、筒状花が密集して頭状花を成しています。花径は5~10mmほどで花弁のようなものはなく、それぞれの筒の中から毛状の突起が出ているような形状です。

 

花の色は白~黄白色と紹介されています。これは雌雄異株に関連しています。
鬼無里の奥裾花自然園のガイドさんが「雄株と雌株を見分ける際、白色=雌、黄色=雄」と解説してくれ、基本の花は白色ですが、雄株は花粉をつけるため若干黄色味が入った色合いに見えるとのことでした。
その際、ガイドさんは花を包む葉が広がった頃、「雄株は花(総苞)が隙間なく並びキレイな球体、雌株は葉の間に隙間がある」という別の見分け方も教えてくれました。
上の写真を再度ご覧いただくと、筒状花の先端が白く、花の間に隙間があるのが確認できるため、これは「雌株」ということです。

 

②花後は50㎝前後に草丈を伸ばします(雌株)
雌株は雄しべがないため花粉を出しません。昆虫を招く蜜を出すそうです。
雄株は花が終わると枯れてしまいますが、受粉が終わると雌株は花茎を草丈50㎝前後まで伸ばし、タンポポのように白い綿毛をつけた種(果実)を風にのせて飛ばします。

 

③花後に葉柄が伸びはじめる
花後、花茎とは別に地下茎から地表に葉を出し、葉柄が高さ30~80cmほどになります。
葉は円形に1ヶ所深い切れ込みのあるハート形(腎臓型と紹介する資料も)で、幅が20~30㎝と大きく、光沢はありませんが白色の綿毛が密生しています。
色々と調べていると、葉の中央が少し窪んでいるので皿状になっており、それは葉の切れ込み部分から茎を伝って根に水を送るためにそういった形状になっているとのことでした。

 

フキ(蕗)は日本原産の野菜(山菜)として古くは8世紀ごろから栽培が始められていたそうです。
独特の香りや苦味のあるフキ(蕗)は、山菜の一種としてフキノトウは天ぷらやフキ味噌として、葉柄は煮物や佃煮(きゃらぶき)などとして、現在でも食されており、私も大好物の1つです。

 

山菜として有名なフキ(蕗)ですが、薬用植物としても知られ、フキは気管支粘膜の炎症を鎮める作用があり、蕗の薹には食欲増進効果がある苦味質や精油成分が含まれているため消化を助ける働きなどがあるそうです。

 

私を含め、「蕗は美味しいもの」と思っている方も多いかと思います。
初春のころ、丘陵地や山野の土手を歩いてフキを見つけたら、花の形状をゆっくり観察してもらい、雌雄を見比べてみてください。

 

<春~夏の花の観察ツアー>
まもなく催行!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間

※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月1日出発 満席! 5月5日出発 まもなく催行!
このツアーで、フキの花を観察しました。

花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

5月23日出発 まもなく催行!(シャクナゲの花咲く季節)
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

 

6月26日出発 まもなく催行!(尾瀬の花の最盛期)
花の尾瀬フラワートレッキングとチャツボミゴケの群生地を歩く
https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/GJGU12/
※高山植物の最盛期を迎える尾瀬で楽しむフラワートレッキング

 

先日、ツアーを発表!
花咲く北アルプスへ 白馬・乗鞍・上高地を歩く
https://www.saiyu.co.jp/itinerary/new/GJNA31/
※2つの高山植物の宝庫と奥上高地の徳沢にも訪れる自然観察の旅

158

アキチョウジ(秋丁字:sodon longitubus)

本日は「屋久島・黒味岳の魅力をご紹介」の予定でした、先に11月初旬に観察した花「アキチョウジ(秋丁字:sodon longitubus)」をご紹介します。

 

アキチョウジ(秋丁字:sodon longitubus)

 

被子植物 双子葉類
学名:Sodon longitubus
別名:キリツボ
科名:シソ科(Lamiaceae)
属名:ヤマハッカ属(Isodon)

 

アキチョウジ(秋丁字)は、11月初旬に同行させていただいた「原生林・芦生の森と京都の奥座敷・鞍馬と貴船」で京都大学・芦生研究林(芦生の森)へ訪れた際に観察したのですが、最初に見た際は形状からタツナミソウ(シソ科タツナミソウ属)の仲間か、屋久島で観察したヤクシマママコナ(ハマウツボ科ママコナ属)の仲間と思っていました。
現地ガイドさんより「アキチョウジ(秋丁字)」という名を教えていただき、初めて聞く名前の花だったので、後々調べてみると非常に興味深い花でした。

 

アキチョウジ(秋丁字)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草で、本州では岐阜県以西、さらには四国、九州に分布し、主に山地の半日陰の自生する日本固有の花です。
草丈は比較的大きく70~100cmで直立し、茎には非常に短い細毛が確認できます。
葉は長さ10cmほどの狭卵形で対生し、少し長めの葉柄があり、先端が尖り、縁には浅い鋸歯も確認できる形状です。また、葉の裏面には若干の細毛も確認できます。

 

花期は9~10月。茎先や上部の葉腋から集散花序(しゅうさん:主軸の先端に花がつき、少し下から横枝が出てその先に花がつく花序)で花を付け、花柄の先に青紫色の花を多数咲かせます。
花の付き方がユニークで、上の写真でもご覧いただけるとおり、同じ方向に偏った花穂を作ります。
花の長さは2cm弱、筒状の部分が長いのが特徴です。先端部は上唇部と下唇部に分かれ、上唇は浅く4裂、下唇は先をキュッと摘まんだような形状(舟形、ボート形と表記する資料もあり)をして前に突き出た印象です。
花冠の中の雄しべと雌しべを包んだ焼売(しゅうまい)のようなイメージの形状です。
和名の「秋丁字」は、秋に「丁」の字のような形の花を咲かせることが由来のようです。

 

非常に興味深かった点は、アキチョウジは「霜柱をつくる植物」として紹介されていた点です。
いつも花のことを色々と調べる際の参考資料『山渓ハンディ図鑑2 山に咲く花』(山と渓谷社)にて紹介されていましたので、ご紹介します。

 

<霜柱をつくる植物>
初冬のころ、枯れ始めた茎の根元から霜柱のような氷柱が立つ植物があり、その代表的なものが「シモバシラ(Keiskea japonica)」です。
シモバシラ(シソ科シモバシラ属)以外にも、氷の花を咲かせるものがいくつかあり、シソ科のものが多いようですが、キク科にも氷の花ができるものがあるようです。

 

<氷の花が咲くメカニズム>(原文のママ)
冬になって外気が氷点下になり、地上部が枯れても、地中はまだ暖かく、根は生きている。そこで、水を吸い上げる力の強いものはまだまだ水を吸い上げる。茎の中の導管を上がってきた水は、茎の途中などから染み出し、これが外気に触れて凍り始める。そして、茎がどんどん破れ広がるとともに、氷の花も次第に大きくなる。最後は導管も破れてしまい、また地中も凍って水を上げることができなくなり、氷の花(霜柱)は見られなくなってしまう。

 

山渓ハンディ図鑑で紹介されていた霜柱をつくる植物には、シモバシラ(シソ科シモバシラ属)、アキチョウジ(シソ科ヤマハッカ属)以外にもアズマヤマアザミ(キク科アザミ属)、カシワバハグマ(キク科コウヤボウキ属)、カメバヒキオコシ(シソ科シモバシラ属)、シロヨメナ(キク科シオン属)が紹介されていました。
別の資料では、何度も氷結を繰り返すと茎が裂けてボロボロになり、小さいものしかできなくなるとあり、大きめの氷の花(霜柱)を観察できる期間はわずかのようです。

是非一度、氷の花の観察も楽しんでみたいものです。

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン

 

2月21日出発は満席! 2月14日出発は催行間近!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

2月21日出発 催行間近!
冬の八甲田山の樹氷・奥入瀬渓流の氷瀑・男鹿の夕景を撮る
※東北の冬景色の撮影と秘湯の湯を楽しむ旅
※撮影をされない方も、東北の冬風景と名湯を楽しめます

 

静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る
※干潮時には象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」

 

<春の花の観察ツアー>
4月3日出発 催行間近!
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

5月1日出発 催行間近!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

4月29日出発 催行間近!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

5月23日出発 催行間近!
花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

157

イッスンキンカ(一寸金花:Solidago minutissima)

本日は「イッスンキンカ(一寸金花:Solidago minutissima)」をご紹介します。

 

イッスンキンカ(一寸金花:Solidago minutissima)

 

被子植物 双子葉類
学名:Solidago minutissima
別名:屋久島一寸金花
科名:キク科(Asteraceae)
属名:アキノキリンソウ属(Solidago)

 

イッスンキンカ(一寸金花)は、屋久島のみに自生するアキノキリンソウ(秋の麒麟草:Solidago virgaurea subsp. asiatica)の近縁種です。
森林限界を越える標高1,600m以上、岩場で少し湿った場所で自生します。私も花之江河を越え、黒味岳山頂を目指して森林限界を越えたあたり、さらには黒味岳山頂でも観察することができました。

 

草丈は3~5cmと低く、和名の「一寸(=3.03cm)」はこの草丈の小ささが由来とされています。茎には短毛が確認でき、茎の上部で分枝します。
アキノキリンソウ(秋の麒麟草)は草丈が30~100cmとなりますが、近縁種という割に草丈には大きな差があります。そのため、イッスンキンカはアキノキリンソウの極小型種と紹介されています。これまでも何度かご紹介してきた屋久島の植生の矮小化を表す例ですが、それにしても10~30倍という大きさの違いがあるのは驚きです。
葉は長楕円状披針形で長さは1~2cmほどと小さく、ほんの少し光沢が確認できるものもあります。

 

花期は8~9月。茎の先端に直径1cm弱の鮮やかな黄色い頭花を1~5輪を咲かせる頭状花序です。1つ1つの頭花をご覧いただくと、中央部に筒状花(つつじょうか:花弁が筒状になったもののこと)が密集しており、花弁のように広がっている舌状花(ぜつじょうか:基部の構造は筒状花と同じで、花弁の先端が片方に大きく伸びて広がっているもの)が確認できます。
上写真の下部に花が開く前の状態のものが確認できますが、筒状花が密集している構造が判りやすいかと思います。

 

■頭状花序(とうじょうかじょ)
タンポポをはじめとするキク科の花序は多数の花が集まってまるで1個の花のように見える花序。頭状花序を構成する一つ一つの花のことを「小花」、一つの花のように見える花序のことを「頭花」とも呼びます。
キク科の小花には、花弁が筒状に融合した筒状花(管状花)と舌状に広がった舌状花の2種類があります。

 

ここ1ヶ月、8月の屋久島・黒味岳フラワートレッキングで観察した高山植物、花をご紹介してきました。屋久島の花の矮小化も非常に興味深いものですが、植生全体も非常に興味深いものです。季節を変えて黒味岳へ訪れると違った高山植物、花に出会えます。
是非一度、屋久島・黒味岳を訪れてみてください。
次回、少し花のご紹介から外れ、屋久島・黒味岳の魅力をご紹介します。

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン

 

2月14日出発は催行間近!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

※間もなく催行!!
冬の八甲田山の樹氷・奥入瀬渓流の氷瀑・男鹿の夕景を撮る
※東北の冬景色の撮影と秘湯の湯を楽しむ旅
※撮影をされない方も、東北の冬風景と名湯を楽しめます

 

静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る
※干潮時には象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」

 

<春の花の観察ツアー>
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

※5月1日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

※4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

156

ツクシゼリ(筑紫芹:Angelica longeradiata)

ここ1ヶ月、春の花の観察ツアーの造成に励んでいたため、花の写真をたくさん見る機会がありました。そのため、春の花がとても恋しくなってきました。少々気が早いかもしれませんが、早く暖かくなってくれないかと思う日々が続いています。

 

本日は「ツクシゼリ(筑紫芹:Angelica longeradiata)」をご紹介します。

 

ツクシゼリ(筑紫芹:Angelica longeradiata)

 

被子植物 双子葉類
学名:Angelica longeradiata
科名:セリ科(Apiaceae)
属名:シシウド属(Angelica)

 

ツクシゼリ(筑紫芹)は、本州の岡山以南から九州にかけて分布し、屋久島が南限と言われています。山地の岩礫地に自生する多年草です。私も8月に屋久島・黒味岳の山頂の岩場にて観察しました。

 

草丈は5~40cmと記載される資料があり、本州や九州本土では高さが20~40cmと背丈は高くなりますが、屋久島の植生は矮小化しているものが多く、背丈が本州や九州本土のものに比べてコンパクトになることが多いため、草丈の表記に差が生じる要因なのかもしれません。

 

葉は、草丈の下部に付け、2~3回3出羽状複葉、小葉は細裂します。葉は少し厚みがあり、若干の光沢も確認できます。葉柄は鞘状にふくらみが確認できるとのことでしたが・・・この点は次回の観察の際の宿題としたいと思います。

 

■羽状複葉:小葉が葉軸の左右に鳥の羽のように並んだもの
■2~3回三出羽状複葉:羽状複葉が集まって大きな羽状複葉を構成している場合、複葉の回数に合わせて 2回羽状複葉 、3回羽状複葉となる

 

花期は8~9月。複散形花序で小さな白い花を多数密集して咲きます。
花弁は5枚、ハート型のように見えますが、花弁の先端部だけが手前に反り返っているような不思議な形状です(先端だけ摘まんで手前にキュッと引っ張ったような)。また、花弁の中央部が淡いピンク色が帯びている個体も多く確認できました。
果実は楕円形で4~5mmほど。シシウド属は羽根の付いた種子が風で飛散される特徴がありますが、ツクシセリの両翼は少し狭いとされています。

 

■複散形花序:花序軸の頂端に,ほぼ同じ長さの花柄をもつ多数の花が放射状についている花序

 

屋久島では、ツクシゼリの屋久島固有変種であるヤクシマツクシゼリ(屋久島筑紫芹)があり、標準和名をヒナボウフウ(雛防風)といいます。ただ、屋久島の高地に生えるツクシゼリの矮小化したものとして、同一とする考え方もあるようです。
屋久杉や苔類が大きく取り上げられる屋久島ですが、花・高山植物も本当に興味深いものが多い島です。

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン

 

2月21日出発は満席! 2月14日出発は催行間近!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

※間もなく催行!!
冬の八甲田山の樹氷・奥入瀬渓流の氷瀑・男鹿の夕景を撮る
※東北の冬景色の撮影と秘湯の湯を楽しむ旅
※撮影をされない方も、東北の冬風景と名湯を楽しめます

 

静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る
※干潮時には象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」

 

<春の花の観察ツアー>
花咲く秘島・甑島へ 島の山野草をもとめて 4日間
※甑島の絶景と島を彩る山野草の観察を楽しむ旅

 

※5月1日出発 まもなく催行!
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる 5日間
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

※4月29日出発 まもなく催行!
花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

155

ヤクシマホツツジ(屋久島穂躑躅:Tripetaleia paniculata f. paniculata)

先日、春の花の観察ツアーを3つの発表させていただき、さらに1つ追加で発表させていただきました。おかげさまでそれぞれのツアーをご検討いただけている方から問合せ、さらにはお申し込みもいただき、嬉しい限りです。
まだご覧いただいていない方は、このブログの最後に掲載しておりますので、是非ご覧ください。

 

本日は「ヤクシマホツツジ(屋久島穂躑躅:Tripetaleia paniculata f. paniculata)」をご紹介します。

 

ヤクシマホツツジ(屋久島穂躑躅:Tripetaleia paniculata f. paniculata)

 

被子植物 双子葉類
学名:Tripetaleia paniculata f. paniculata
科名:ツツジ科(Ericaceae)
属名:ホツツジ属(Elliottia)

 

ヤクシマホツツジ(屋久島穂躑躅)は屋久島と名の付く花ですが、屋久島の固有種ではなく、四国、九州にも分布し、屋久島が南限となります。様々な資料を確認しましたが、ヤクシマと名の付く由来などを記載する資料はありませんでした。
比較的標高が高く、日当たりの良い岩場などに自生し、屋久島では標高1,500mを越えるエリアに自生します。私も黒味岳山頂の岩場でのんびりと景観を楽しんでいた際、足を踏み出すには躊躇するような場所に咲いているのを観察することができました。

 

ヤクシマホツツジ(屋久島穂躑躅)は、高さ1~2mになるツツジ科の落葉低木。根元に近い下部から分枝し、上部で生い茂ります。
葉は赤褐色の枝先に輪生状(互生と記載する資料もあり)に4~5枚に付け、4~5cmほどの大きさの葉には光沢は確認できません。

 

花期は7~8月。花は葉の付いた枝先から赤褐色の枝が伸び、総状花序で5~10個の花を付けます。
3枚の花弁に見える花冠は深く3裂し、1cmほどの裂片が外に向けて反り返っている(丸まっている)のが印象的です。写真では少し判りづらいですが、裂片の先端が淡いピンク色であるのが、より花を可憐に見せる印象です。

 

さらに特徴的なのが中央から突き出す雌しべの花柱です。長さは反り返った裂片と同じく1cmほど、写真では全体が白色の花柱ですが、個体によっては根元の部分が淡いピンク色のものもありました。花柱の根元にはクリーム色の子房も確認できます。雄しべは子房の脇から花糸から数本伸びているのが確認できます。

 

ヤクシマの名を付けないホツツジ(穂躑躅)がありますが裂片の先端は尖っておらず、裂片の先端が若干尖っている印象のヤクシマホツツジと区別する資料も多いですが、2つを区別しない見解、図鑑などもあるようです。

 

今回は屋久島の黒味岳の山頂から一歩踏み出すには恐怖を感じる場所に咲いていたので、細かな部分を観察できませんでしたが、次に観察する機会があれば、反り返った裂片の先端部も確認してみたいと思います。

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン

 

2月21日出発は満席! 2月14日出発は催行間近!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

※間もなく催行!!
冬の八甲田山の樹氷・奥入瀬渓流の氷瀑・男鹿の夕景を撮る
※東北の冬景色の撮影と秘湯の湯を楽しむ旅
※撮影をされない方も、東北の冬風景と名湯を楽しめます

 

静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る
※干潮時には象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」

 

<春の花の観察ツアー>
花咲く信州 水芭蕉やカタクリの群生地をめぐる
※春の花咲く信州へ 花の名所を訪れる4日間

 

花咲く北飛騨の森から上高地へ 2つのフラワーハイキング
※北飛騨の森・池ヶ原湿原と名勝・上高地を専門ガイドと歩く

 

花咲く屋久島へ 白谷雲水峡と黒味岳フラワートレッキング
※亜熱帯植物から高山植物まで 屋久島の植生の垂直分布を体感

153

ヤクシマシオガマ(屋久島塩竃:Pedicularis ochiaiana)

本日は「ヤクシマシオガマ(屋久島塩竃:Pedicularis ochiaiana)」をご紹介します。

 

ヤクシマシオガマ(屋久島塩竃:Pedicularis ochiaiana)

 

被子植物 双子葉類
学名:Pedicularis ochiaiana
科名:ハマウツボ科 (Orobanchaceae)
属名:シオガマギク属(Pedicularis)

 

以前はゴマノハグサ科に分類され、多くの資料でもゴマノハグサ科で紹介されていますが、新しいAPG植物分類体系ではシオガマギク属やコゴメグサ属、ママナコ属などがハマウツボ科に移行されています(多くは半寄生、一部全寄生、ただし二属Lindenbergia・Rehmanniaは独立栄養)。

 

ヤクシマシオガマ(屋久島塩竃)は、屋久島の固有種の1つで環境省絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定される高山植物です。
屋久島の高所(標高1,200m以上)に分布し、日当たりが良く少し湿り気のある草地、ヤクザサやシャクナゲの茂みなどに自生します。私も黒味岳の山頂直下で観察することができました。

 

草丈は20~30cmで濃紅色の茎が直立、もしくは茎頂に花をたくさんつけた個体は少し斜上しているものもあります。
葉は長さ5~10cmほどで羽状に全裂したものが対生し、表面には毛が散生しているのも確認ができます。茎の上部になるにつれて葉が小さくなります。ある資料に「シダのような葉をつける」とありますが、葉を確認するとそういう印象を受ける形状です。上写真で、少しぼやけていますが、シダのような葉が確認していただけます。

 

花期は8~9月。茎の先端部に3~5cmの花穂をたて、2~3cmほどで淡いピンク色の花を5~10個ほど咲かせます。
花冠はシオガマギク属の花らしく、上唇部と下唇部に分かれます。
上唇部は、兜型で真ん中あたりで急にこちらを向いて曲がっているという印象です。また下側にクリーム色に近い色合いの軟毛が密集しているのが印象的です。
下唇部は、写真を確認すると扇子を広げたような形状の花弁1枚のように見えますが、実際は1枚の花弁が中ほどで3裂しています。裂片部分が外側に反り返って(巻き込んで)いるため、そのように感じたのかもしれません。

 

下の写真は、一輪だけ落ちてしまっていたものを岩場にのせて観察したものですが、上唇部の軟毛や下唇部が3裂している様子が判りやすいかと思います。

 

屋久島の高山植物の花々は矮小化(小型化)したものが多いと紹介しましたが、このヤクシマシオガマ(屋久島塩竃)は本州などで観察できるシオガマギク属の仲間と大きさに大差はなく、そのため屋久島・黒味岳直下でも非常によく目立ち、非常に楽しく観察することができました。

現在、屋久島の植生観察ツアーを絶賛造成中!まもなく発表できますので、お楽しみに!!

 

一輪だけ落ちてしまっていたものを岩場にのせて観察

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン

 

2月21日出発が催行決定!!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

干潮時に対岸の象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」
静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークの4つのジオサイトから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る

152

ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切:Hypericum kiusianum var. yakusimense)

本日も屋久島の高山植物の1つ「ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切:Hypericum kiusianum var. yakusimense)」をご紹介します。

 

ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切:Hypericum kiusianum var. yakusimense)

 

被子植物 双子葉類
学名:Hypericum kiusianum var. yakusimense
科名:オトギリソウ科(Guttiferae)
属名:オトギリソウ属(Hypericum)

 

ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切)は、屋久島の標高1,200m以上の高地、高層湿原などに自生する屋久島の固有変種で、鹿児島県指定の絶滅危惧種に指定されています。私も8月に屋久島の黒味岳を目指す道中にある花之江河(標高1,630m)で観察することができました。
資料によっては九州や四国にも自生するとありましたが、ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切)は、基本種のナガサキオトギリ(長崎弟切:四国と九州の山地に自生)が矮小化した種とされています。

 

詳細をご紹介する前に、葉や花弁に見られる「明点」「黒点」について、先にご紹介します。
◇黒点:黒く見える点。他の植物にも見られます。
◇明点:葉を透かすと光が透けて見える点。色素が抜けている部分。

 

草丈は茎が倒伏していることもあり3~10cmと低く、葉は狭長楕円形で長さは0.5cmほどで光沢などは見られません。
0.5cmと小さな葉には明点と黒点が確認できます。上写真の右上にある葉で明点は確認できます。また、黒点は判りずらいですが、よく見ると縁に黒点が確認できます。

 

花期は6~9月(私も8月末に観察)。茎の先端部に鮮やかな黄色い花を1~3個ほど咲かせます。花弁は倒披針形で5枚で、大きさは直径で1cmほどと小さく非常に可愛らしい印象の花です。花弁にも葉と同様に明線と黒点が確認できます。
ただ、葉の明点と黒点、花弁の明線と黒点・・・花が小さすぎて確認するにはルーペが必要です。
花の中央から花弁とほぼ同じ長さ、同色の雄しべが多数伸びており、先端の葯も花弁や雄しべと同色でした。さらに中央には0.1~0.2cmほどの大きさの子房が確認でき、先端が少し赤みを帯びた柱頭も数本確認できます。

 

オトギリソウ科の花は昔から薬草として使われており、葉や茎葉止血薬として使われ、生薬として知られる小連翹(しょうれんぎょう)は花や実がついたままの茎葉は刈り取って日干し乾燥させたものを言います。

 

和名につく「弟切草」。恐ろしい和名ですが、これには言い伝え(諸説あり)が残されています。
平安時代の頃、オトギリソウを原料とした秘伝の薬(鷹の傷の妙薬という説もあります)があったそうですが、その秘伝の薬の秘密を弟が恋人に漏らしたため、兄が激怒して弟を切り殺したという伝説が和名の由来とされています。因みに、弟を切り殺した際に飛び散った血がオトギリソウに見られる黒点と言われています。
そんなオトギリソウに付けれた花言葉は「怨念」「迷信」です。

 

オトギリソウの和名の由来は恐ろしいものですが、実際に花を観察すると、そのような言い伝えは俄に信じがたい非常に可憐で美しく咲く花です。
上の写真は可能な限り大きくトリミングした写真ですが、下の写真(上と同じ花の写真)をご覧いただくと、周囲にミズゴケ(オオミズゴケ)が自生しているのが判るかと思いますが、大きさはさほど変わらず・・・どれだけ小さな花だったのか想像いただけると思います。
夏に屋久島で登山を楽しまれる際、足元に注意しながらヤクシマコオトギリの花を探してみてください。

 

ヤクシマコオトギリ(屋久島小弟切)と周りのミズゴケ、大きさを比較してみてください

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン
※活火山・桜島の徹底探求と大隅半島・薩摩半島から名峰・開聞岳を望む

 

2月21日出発が催行決定!!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

干潮時には対岸に浮かぶ象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」
静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークの4つのジオサイトから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る

 

★春の花の観察ツアーも現在造成中です!お楽しみ!!

151

ヤクシマダイモンジソウ(屋久島大文字草:Saxifraga fortunei var. obtusocuneata f. minima)

前回に引き続き、本日も屋久島の花の1つ「ヤクシマダイモンジソウ(屋久島大文字草:Saxifraga fortunei var. obtusocuneata f. minima)」をご紹介します。

 

ヤクシマダイモンジソウ(屋久島大文字草:Saxifraga fortunei var. obtusocuneata f. minima)

 

被子植物 双子葉類
学名:Saxifraga fortunei var. obtusocuneata f. minima
科名:ユキノシタ科(Saxifragaceae)
属名:ユキノシタ属(Saxifraga)

 

ヤクシマダイモンジソウ(屋久島大文字草)は、ユキノシタ科の多年草で標高1,000m以上の標高帯で、湿った岩上に自生する屋久島の固有変種です。
同じユキノシタ科のダイモンジソウの仲間の1つであるウチワダイモンジソウ(団扇大文字草)が矮小化した品種とされています。

 

草丈は3~10cmで、ダイモンジソウに比べて草丈は低く、直立します。
葉は小さく0.5~1.5cmで縁が浅く4~5裂しており、葉全体に軟毛が確認でき、少し光沢も確認できます。

 

屋久島には「ヤクシマダイモンジソウ(屋久島大文字草)」ともう1種、屋久島の固有種「ヒメウチワダイモンジソウ(姫団扇大文字草)」があり、花の見た目はほとんど一緒で見分けが難しいようです。
私はヒメウチワダイモンジソウを観察したことがなく、見比べたことはありませんが、葉の違いが見分けるポイントとのことです。

 

※葉の軟毛の有無
→軟毛が確認できる種は「ヤクシマダイモンジソウ」
※葉の基部
→ハート型が「ヤクシマダイモンジソウ」、くさび型なら「ヒメウチワダイモンジソウ」

 

花期は8~10月。私は8月末に黒味岳山頂直下で観察することができました。
茎頂に細長く白い花弁(淡いピンク色にも感じる個体もありました)を5枚付けた花を1つ咲かせます。ユキノシタの仲間の特徴ですが、1つの花の中で花弁の長さに違いがあるのが面白いです。
上の2枚は短く2~3mmほど、横に広がる2枚の花弁は少し長く5mmほど、真下に伸びる1枚が最も長いですが、それでも1cm未満の短さです。
この5枚の長さの違いがまるで「大」の字ような広がりを見せることが「大文字草」の名の由来です。

 

花の中央からは、一番短い2枚の花弁とほぼ同じ長さの雄しべが数本伸び、中央に黄色い子房も確認できます。この黄色い子房と白色(または淡いピンク)の花弁との色合いのコントラストがヤクシマダイモンジソウをより印象深いものにすると感じます。

 

先日もお伝えしましたが、屋久島の花は矮小化したものが多いため、このヤクシマダイモンジソウも危うく見落としてしまいそうになります。
黒味岳など山頂を目指す中、いち早く山頂へ向かいたい気持ちも判りますが、逸る気持ちを抑えてヤクシマダイモンジソウをはじめとする高山植物をゆっくりと探してみてください。黒味岳には登頂と高山植物の観察という2つの楽しみがある点が魅力です。
※現在、春の屋久島で植生観察ツアーを造成中です。お楽しみに!!

 

<冬から春 オススメのツアー>
12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン
※活火山・桜島の徹底探求と大隅半島・薩摩半島から名峰・開聞岳を望む

 

2月21日出発が催行決定!!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

干潮時には対岸に浮かぶ象島まで砂州が出現する「堂ヶ島トンボロ現象」
静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークの4つのジオサイトから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る

 

現在、屋久島で春の花の観察ツアーを含め、いくつか春の花ツアーを造成中です。発表次第、ホームページやこちらのブログでお知らせします。

150

ヤクシマママコナ(屋久島飯子菜:Melampyrum laxum var. yakusimense)

本日は「ヤクシマママコナ(屋久島飯子菜:Melampyrum laxum var. yakusimense)」をご紹介します。

 

ヤクシマママコナ(屋久島飯子菜:Melampyrum laxum var. yakusimense)

 

被子植物 双子葉類
学名:Melampyrum laxum var. yakusimense
科名:ハマウツボ科(Orobanchaceae)
属名:ママコナ属(Melampyrum)

 

ヤクシマママコナ(屋久島飯子菜)は、ハマウツボ科の一年草で屋久島の固有変種です。黒味岳や宮之浦岳を目指す登山道上の小花之江河より上部に自生し、鹿児島県絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
以前はゴマノハグサ科に属していましたが、新しいAPG植物分類体系でハマウツボ科に変更されました。

 

草丈は15~20cmで直立し、葉は狭卵形~長楕円状披針形で、長さ1.5~3cm、幅0.5~1cmで先端が少し尖っている印象で光沢や鋸歯などは見られません。

 

花期は8~9月。花茎の上部の葉腋に1つずつ、薄いピンク色の小さな花を咲かせます。
花冠は0.5~0.8cm(1cm弱と表記する資料もあり)と小さく、草丈も含めて他のママナコの仲間の中でも小型です。
花冠は上唇部と下唇部に分かれます。
上唇(薄いピンク色)は兜型で縁の部分に軟毛が確認できます。
下唇(白色)は横に広がるように垂れ下がり、先端は非常に浅く3裂しています。
また、下唇には米粒のような白い膨らみが確認でき、花が見頃を迎える頃には、白い膨らみが濃い赤色に変わっていきます。
和名「飯子菜(ママナコ)」は、この膨らみが米粒に似た形状であることが由来とされています。
苞は卵形~長楕円形で葉と同様に鋸歯は確認できません。

 

<屋久島は小さな花・高山植物が多い ~矮小化>
周囲約130kmで円錐形をしている屋久島は、島の中央に聳える宮之浦岳 (1,936m)をはじめ、標高1,000mを超える山が40数峰連なり、洋上のアルプスと呼ばれています。
海岸線などの低地では年間平均気温が20℃前後で一年中ハイビスカスなどが昨亜熱帯の植生が見られ、山地・高地では、年間平均気温が北海道・札幌と同じくらいで冬になると2~3mの積雪も確認できる冷温帯帯から亜寒帯に属する植生を観察することができます。
屋久島は、直径わずか30kmほどの島に沖縄から北海道までの植生が垂直分布し、まさに日本列島の縮図のような島になっているのが屋久島の最大の特長と言えます。また、屋久島の高地では厳しい環境で植生が育つため、通常より数分の1にも矮小化した植物が多いのも、他では見られない珍しい現象です。

 

今回ご紹介した「ヤクシマママコナ(屋久島飯子菜)」も、単独で咲いていたら見落としてしまうような小さな花でしたが、今回は小花之江河の前後、黒味岳の山頂を目指すルート上で数多く群生していたため、見落とすことなくゆっくりと観察を楽しむことができました。

 

花冠が非常に小さいヤクシマママコナ(屋久島飯子菜)

 

<冬から春 オススメのツアー>
※12月コースは催行間近!
桜島の溶岩ウォークと鹿児島の2つの半島を巡る旅
※薩摩半島の指宿では、12月~1月は名の花の咲くシーズン
※活火山・桜島の徹底探求と大隅半島・薩摩半島から名峰・開聞岳を望む

 

※2月21日出発が催行決定!!
冬の奇跡 美瑛の雪原とオホーツクの流氷世界
※流氷の上を歩く流氷ウォーク®と美瑛の丘で絶景スノーシュー体験

 

※堂ヶ島トンボロが出現する時期シーズン限定!
静岡の美景めぐり 河津七滝・堂ヶ島・寸又峡へ
※伊豆半島ジオパークの4つのジオサイトから奥大井の秘境「寸又峡」を巡る