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サンカヨウ(山荷葉:Diphylleia grayi)

コロナウィルス関連の規制が緩和されて最初のゴールデンウィークでしたが、皆さんどのようにお過ごしになったのでしょうか。
私はゴールデンウィーク明けに添乗業務が入っていることもあり、久々にゴールデンウィークは日本で留守番となりました。ゴールデンウィーク前に近所のツツジが満開となり、赤やピンク、白色のツツジを散歩しながらのんびりと楽しみました。

 

本日は「サンカヨウ(山荷葉:Diphylleia grayi)」をご紹介します。
掲載した写真は、弊社東京本社の村上が北海道・羊蹄山にて撮影したものです。

 

サンカヨウ(山荷葉:Diphylleia grayi)

 

被子植物 双子葉類
学名:Diphylleia grayi
科名:メギ科(Berberidaceae)
属名:サンカヨウ属(Diphylleia)

 

サンカヨウ(山荷葉:Diphylleia grayi)は、メギ科サンカヨウ属の多年草で、本州の中部以北から北海道に分布し、海外ではサハリンにも分布します。
低山帯から亜高山帯の湿った林内や林縁に自生します。私が初めてサンカヨウ(山荷葉)を観察したのは、尾瀬でした。鳩待峠からスタートし、湿原に入る少し手前(山の鼻のより少し手前)の森林帯でした。

 

  • サンカヨウの特徴の1つが葉です。サンカヨウの葉は2枚でハスの葉のような形状をして縁に不揃いな鋸歯があります。
    2枚の葉は、大きな葉と小さな葉に分かれ(セットでついています)、大きい葉は長い葉柄を持ち葉の上に花序が載せているかのようについています。
    小さな葉には葉柄はほとんど確認できません。歯の大きさだけでなく、葉柄の有無も確認すると面白いかもしれません。
    単純な歯の大きさは、上写真の葉と文末に掲載しているした写真の葉を比べていただけると一目瞭然です。

 

サンカヨウの葉はハスの様に大きいのが特徴とよく紹介されますが、ハスは『荷葉』(かよう)と呼ばれて水辺に育つのに対し、ハスの葉に似て山(森林)で育つから『山荷葉』と呼ばれるようになったと言われています。

 

草丈は30~60cm。標高や雪解け時期によって花期には差が生じますが、花期は5~7月。
花弁は6枚、花序に直径2cmほどの小さな花を3~10個ほど咲かせます。
また萼片も6枚つくそうですが、花が開くころには萼片が落ちてしまうです(初めて知りました)。
花が咲いている期間は短く、花が開いてから一週間ほどで散ってしまいます。
花後には、濃い青紫色で楕円形の液果をつけます。

 

サンカヨウの最大の特徴は『花弁が濡れると透明になる』こと
様々な自然条件が重ならないと観察ができず、その条件がいわゆる「悪条件」でもあるため、実は花弁が透明になるサンカヨウに出会うのは大変なことなのです。

 

その条件とは「それなりに長い時間雨に濡れ続けないといけない」ということです。
開花時期に合わせて出掛ける必要もありますが、開花期間がたった1週間なので、そのタイミングで雨が降らなければ透明な花弁に出会えません。
また、サンカヨウの花は非常に衝撃に弱いという特徴もあり、雨脚が強すぎるとせっかく透明になった花弁もすぐに落ちてしまいます。透明なサンカヨウを観察しようとしてペットボトルの水をかけてしまうとしまうと花が落ちてしますので、絶対にやらないでくださいね。

 

このような悪条件も含めた自然条件が重ならないと透明なサンカヨウは観察できないのです。
今回の写真を撮影した村上が同行した登山ツアーの写真を見ましたが、どうやら数日雨が続く中での登山だったようです。ただ、そんな中でも黙々と歩かれた結果、すばらしい状態でサンカヨウを観察できたのかもしれません。

 

花弁が透明にみえる理由は『光の乱反射』によるものと言われています。
白い花を咲かせると紹介しましたが、もともと花弁が白い訳ではありません。
詳しくいうと、花弁の細胞の隙間に光が入ることで光が散乱し白くみえるのです。
サンカヨウの場合は、その細胞の隙間に水(雨)が入り込むことで光が散乱できず、通り抜けてしまうことで透明に見える仕組みなのです。
あるサイトでこの仕組みを紹介していたのですが、その例えが非常に判りやすく、秀逸だったのでここでご紹介します。
◆サランラップは透明ですが、くちゃくちゃに丸めると白っぽくみえるが、丸まったラップを水に入れると透明に見えるという現象と同じ
◆白いワイシャツを着ている人が雨にあたり水に濡れると中が透けて見えたり、すりガラスが濡れると透明になる原理と同じ

 

暗い林内に咲くサンカヨウは花弁が濡れてなくても美しく、群生しているサンカヨウに出会うだけでも幸せなことですが、やはり透明なサンカヨウを観察したいものです。雨が降って気が滅入りそうな登山やハイキングの際、その先に花弁が透明になったサンカヨウに出会えるかもしれないと期待を持ちながら頑張ってみるのも良いかもしれません。ただ、危険状況の判断は見誤らないでください。

 

<サンカヨウが観察できるツアー>
花の尾瀬のんびりフラワーハイキング
※サンカヨウが観察できる可能性のある6月出発は残席わずかです

花の羊蹄山とニセコ縦走トレッキング・樽前山&オロフレ山
※サンカヨウが観察できる可能性のある6月はあと1名で催行決定です

 

雨の影響で透明ないくつか花弁が散ってしまっています

 

カメラレンズが曇ったおかげで幻想的なサンカヨウを撮影
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カラファテ(Calafate:Berberis buxifolia)

本日も前回に引き続き、パタゴニアの花を紹介させていただきます。

「その実を食べると再びパタゴニアに戻ってくる」
パタゴニアには、そういう1つの神話が残る花が1つあります。それが本日紹介するメギ科の花「カラファテ(Calafate: Berberis buxifolia)」です。

カラファテ(Calafate: Berberis buxifolia)

被子植物 双子葉類
学名:Berberis buxifolia 英名:Calafate(カラファテ)
科名:メギ科(Berberidaceae)  属名:メギ属(Calceolaria)

 

「カラファテの実を食べたものは、必ずここに戻って来る」
この言葉は、南テウェツチェ族の神話の1つ「魔女クーネックの物語」に出てくる言葉です。「魔女クーネック」の物語は下記のようなお話です。

 

冬になると部族の人々や鳥などの動物達たちは暖かい地を求めて北へ移動を始めました(南半球のため北に行くにつれて暖かいのです)が、年老いた魔女クーネックは、北の地へ移住するには少々体が弱かったそうです。
初雪が降り始めたころ、1人残されたクーネックは小屋で一人で座り、寂しい思いをしていました。
やがて季節が変わり、人々や動物たちが戻って来ると、クーネックは「なぜ私をこんなに長く置き去りにしたの」と人々や動物たちを非難し始めました。
動物たちは「北へ渡ったのは食料が無かったからだよ」と説明と、クーネックは棘のある美しいカラファテの花に変身そうです。
やがて部族の人々や動物たちは秋になると、その紫色の甘酸っぱい実を食べ、あまりの美味しさにそこを去ろうとはしなくなったそうです。
こうしてクーネックは孤独から解放されたのでありました。
※パタゴニアを代表する観光地「ロス・グラシアレス国立国立公園」のベースタウ
ンである「カラファテ」の街の名は、このカラファテの花が多く自生しているため、名付けられたそうです。

 

小ぶりで黄色い(山吹色)の花は、11~12月頃に咲き、甘酸っぱい実は年が明けて1月頃に実を付け始めます。
この甘酸っぱい実は、現地ではジャムなどに加工されカラファテの街で販売されており、観光客へも人気の一品となっております。
私がおススメなのは「カラファテのジェラード」です。カラファテの街にいくつかジェラード店がありますので、是非のぞいてみてください。

 

パタゴニアの地へ訪れた際、是非観察してほしい花の1つ「カラファテ」。
まずは、このカラファテの花を観察するため、パタゴニアの地へ訪れてください。

カラファテの実

<カラファテ(Calafate:Berberis buxifolia)に出会えるツアー>
蒼き氷河の国 パタゴニア 10日間
世界の最果てパタゴニア 13日間
パタゴニア完全走破
パタゴニアを撮る
蒼き氷河パタゴニアと雨季のウユニ塩湖
パイネ&フィッツロイ山群展望 ゆったりパタゴニアハイキング
究極のパタゴニアトレッキング パイネWサーキットとフィッツロイ山群大展望