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プカ・マカ(Puka maqa – Puka maqashka/Gentianella weberbaueri)

6月に入り、近所のアジサイも見頃を迎え、雨の降る嫌な季節でもアジサイの花を観ると少し心が癒されます。

 

先月、ペルーのブランカ山群へ添乗させていただき、ペルー固有種の花をいくつも観察してきました。
本日はその中から3年越しの念願だった紅色のリンドウ「プカ・マカ」をご紹介します。

 

ペルー固有種「プカ・マカ」(リンドウ科)

 

被子植物 双子葉類
学名:Gentianella weberbaueri
現地名:プカ・マカ(Puka maqa – Puka maqashka)
科名:リンドウ科(Gentianaceae)
属名:リンドウ属(Gentiana)

 

上の写真を見て「この色がリンドウ??」と思われた方、「クリンソウでは?」と思われた方もいるのではないでしょうか。実のところ、私がその1人でした。

 

今から約3年前、南米の花を色々と調べている時、この花の写真を見つけました。
その際、私も「クリンソウの一種かな?」と思い、調べていくうちにアンデス山脈の一部をなすのペルー・ブランカ山群に自生するペルー固有種、現地で「プカ・マカ」と呼ばれる花であることが判り、一気に心を奪われました。

 

プカ・マカ(Puka maqa – Puka maqashka)は、リンドウ科リンドウ属に属するペルー固有種で、5,000~6,000m級の氷雪峰が聳えるブランカ山群の標高4,300m~4,900mの高所の礫地に自生し、ペルーの先住民族ケチュア族の言葉で 「puca 」は 「赤 」を意味します。

 

草丈は小さな株で30cmほど、高いもので50cm近い株も確認できました。
今回観察できたエリアでは見つかりませんでしたが、資料によっては3フィート(約90cm)のい高さになると記載されています。

 

葉は地面にイソギンチャクのように長さ10cmほどの細長く、ほんの少し厚みのある葉を広げ、その中央に赤褐色のどっしりとした印象、まるで大黒柱のような花茎を真っすぐに伸ばします。
花茎に付ける葉は地面に広がる葉に比べて短く、柄を付けず数段に分かれて放射状に葉を広げます。

 

花期は5月初旬。
花茎から2~3cmほどの花柄を伸ばし、長さ2~3cmほどの紅色の花を付けます。
1つの株が満開に花をつけた状態の個体は観察できませんでしたが、満開になると花の数は10や20ではおさまらず、30近くの花を付けそうな印象でした。
花弁は5枚のように見えましたが、高所で息も絶え絶えの中でじっくりと観察しているとトランペット状の合弁花であり、先端で5つの花弁のように分かれているのが判りました。下の写真をご覧いただくとその形状が判るかと思います。

 

紅色の花弁の中央からどっしりとした黄色の花柱と小豆のような色の柱頭の雌しべが伸び、その脇からゴマのように真っ黒な葯をつけた雌しべが4~5本伸びており、細かく観察すると様々な色合いが組み合わさった花であることが判り、その色合いが何とも言えない魅力を感じさせる花でした。

 

現地ではプカ・マカの花を宗教的な彫像の装飾に使われるそうです。
また、農村部では虫歯予防のためにこれを噛むこともあったり、茹でたエキスを赤い着色料として使用しているという資料などもありました。そういえば、現地のガイドさんがたちが「ブランカ山群は薬草の宝庫」と解説してくれていました。

 

今回は小雨が降る中、標高4,730m地点でプカ・マカを観察しました。
お客様それぞれが観察を楽しむ中、「ここにも咲いているよ~」「こっちの株は見事な咲き具合だよ~」など、雨にも負けず、高山病にも負けず、それぞれが情報を共有しながら、ペルーの固有種「プカ・マカ」の観察を楽しみました。

 

その他、オキ・マカ(リンドウ科)やアウリンシャ(ユリズイセン科)、プルシュ(トケイソウ科)などのペルー固有種や私が大好きなスリッパ型のゴマノハグサ科の花など、様々な花の観察を楽しむことができました。
それらの花々の紹介は・・・次回に続く。

ペルー固有種の花「プカ・マカ」(リンドウ科)
花茎を伸ばす前のプカ・マカ(リンドウ科)
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【新企画】花咲くブランカ山群へ アンデスの固有種 紅色のプカ・マカをもとめて

2024年も各地へ添乗させていただき、様々な花を観察させていただきました。

 

2024年に観察した花の中で一番の思い出は・・・、実際には比べることは難しいですが、やはり『グレーシャー・リリー』でした。
この花を観察したいというほぼ個人的な想いからツアーを造成させてもらい、実際に現場(カナディアンロッキー)に立ち、その花を目にした時は「希望が叶った」という嬉しさを感じ、少しこみあげてくるものがありました。
加えて、一番の衝撃は同じカナディアンロッキーで観察した『マウンテン・レディース・スリッパー』でした。どの資料にも「個体数が減少」とあった小ぶりで真っ白なアツモリソウを観察できた時の衝撃は忘れられません。

 

「2025年も素晴らしい花や未だ観ぬ花を観察したい!」
そんな思いを胸に下記のツアーを発表させていただきました。

 

花咲くブランカ山群へ アンデスの固有種 紅色のプカ・マカをもとめて
05月07日(水) ~ 05月16日(金) 10日間(高山植物の花咲く季節)

アンデス固有の紅色のリンドウ「プカ・マカ」

ある資料を見ている際に「紅いリンドウ科の花!?」と衝撃を受けたのが、3年前のことでした。
その花がペルー・ブランカ山群に咲いているという情報を得て、現地手配会社やフラワーガイドさんと連絡を重ね、ようやくツアーを発表することができました。

 

山麓の村・ワラスで6連泊しながら、現地の英語ガイド、さらには現地のフラワーガイド(日本語)と共にブランカ山群の絶景ポイント、高山植物の観察ポイントへ専用車にて巡るツアーです。
発表した直後から少しずつお問い合わせも増えており、気付けばまもなく催行決定という状況です。
ご興味を抱かれた方は、是非西遊旅行大阪支社へご一報ください。

「オキ・マカ」と呼ばれるリンドウ科の花
ウルタ渓谷よりブランカ山群の山々を展望

 

また、グレーシャー・リリーを観察するカナディアンロッキーのフラワーハイキングのコースも発表しておりますので、併せてご検討ください。

 

花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて
06月23日(月) ~ 07月01日(火) 9日間(催行決定:高山植物の花咲く季節)

グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)