カテゴリー別アーカイブ: ■鳥(国・地域別)

グアテマラ・ワイルドライフスペシャル Guatemala Wildlife Special

グアテマラ・ワイルドライフスペシャルのコースで観察した野鳥を中心とする生き物たちのご紹介です。

14日間かけて中部の高原地域、西部の乾燥地域、北東部の熱帯地域、東部のユカタン半島を訪れ計248種の鳥を含む様々な生き物を観察しました。グアテマラのワイルドライフ観察の特徴は、どこもフィーダーや餌場があるわけではなく歩いて探して観察したことでした。自然の中での観察は容易ではありませんが、生き物の生息密度が非常に高いグアテマラだからこその観察方法だと思いした。

観察のハイライトとなったのは、グアテマラコアカヒゲハチドリ(Wine throated hummingbird, Selasphorus ellioti です。グアテマラを中心にメキシコ、ホンジュラスなどで生息が確認されている鳥で、グアテマラで一番小さな鳥です。

グアテマラコアカヒゲハチドリ(Wine throated hummingbird, Selasphorus ellioti )

我々が訪れた繁殖期直前の2月は、森の中にある少し開けた10m四方ほどのエリアで5羽ほどのオスが、それぞれの縄張りでメスや他のオスたちにしきりにディスプレイをします。声は、周りから聞こえてくるのですが、動きが素早く観察&撮影は簡単ではありません。身を潜めてじっと待機しやっとの思いで目の前でディスプレイをしてくれた時の喜びと感動は鮮明に覚えています。

グアテマラコアカヒゲハチドリ(Wine throated hummingbird, Selasphorus ellioti )

グアテマラの通貨がケツアールということからも分かる通り世界一美しい鳥とも名高いケツアール(Resplendent Quetzal、Pharomachrus mocinnoはグアテマラの国鳥です。

ケツアール(Resplendent Quetzal、Pharomachrus mocinno)

グアテマラのケツアールは、日本で有名なコスタリカのケツアールとは生息域が分断されており、尾の長さや体つき、鳴き声なども違うため、近い将来別種になるのではないかと言われているそうです。今回は、運よく1本の木に3羽のオスが同時に現れるという大興奮の観察となりました。また、どこへ行っても観光客が少なく我々のグループのみでゆっくり観察できたのも幸運でした。

他にも、中米らしい美しい生き物たちを数多く観察できました。大人気のキモモマイコドリ(Red-capped Manakin, Pipra mentalis です。宿泊したロッジの庭で観察できました。

キモモマイコドリ(Red-capped Manakin, Pipra mentalis )

青い帽子をかぶったようなエリアカフウキンチョウ(Golden rumped euphonia, Chlorophonia cyanocephala)。ケツアールを観察した木で営巣をしていました。

エリアカフウキンチョウ (Golden rumped euphonia, Chlorophonia cyanocephala)

大きな声で縄張りをアピールするシマアリモズ(Barred Antshrike, Thamnophilus doliatus

シマアリモズ(Barred Antshrike, Thamnophilus doliatus)

ホオジロカマドドリ(Plain xenops,Xenops minutus。見ずらいですが、嘴が上向きに反り上がっています。

ホオジロカマドドリ(Plain xenops,Xenops minutus)

頭の赤い模様がチャーミングポイントのベニイタダキアメリカムシクイ(Slate-throated whitestart, Myioborus miniatus

ベニイタダキアメリカムシクイ(Slate-throated whitestart, Myioborus miniatus )

体の中身はツル、外見や生態はクイナに似ていると言われる不思議なツルモドキ(Limpkin, Aramus guarauna も水辺で観察できました。

ツルモドキ(Limpkin, Aramus guarauna )

頭の模様が美しいレッソンハチクイモドキ(Lesson’s motmot,Momotus lessonii。個人的には最も美しいハチクイモドキの仲間と思っています。

レッソンハチクイモドキ(Lesson’s motmot,Momotus lessonii)

葉っぱの奥でしたが珍しいメキシコアリツグミ(Mayan Antthrush,Formicarius moniligerも地元のガイドさんが見つけてくださり大興奮でした。

メキシコアリツグミ(Mayan Antthrush,Formicarius moniliger)

草原をひらひらと非常に美しく飛ぶズグロエンビタイランチョウ(Fork-tailed Flycatcher, Tyrannus savana

ズグロエンビタイランチョウ(Fork-tailed Flycatcher, Tyrannus savana)

森の中で2mほどの距離まで近づいても全く逃げなかったハイバラエメラルドハチドリ(Rufous-tailed Hummingbird, Amazilia tzacatl)

ハイバラエメラルドハチドリ(Rufous-tailed Hummingbird, Amazilia tzacatl)

有名なユカタン半島の固有種ヒョウモンシチメンチョウ(Ocellated turkey, Meleagris ocellata)はティカル遺跡周辺の見晴らしのいい草原で観察できました。

ヒョウモンシチメンチョウ(Ocellated turkey, Meleagris ocellata)

仲のいいメキシコインコ(Yucatan Amazon, Amazona xantholora)のペア。訪れたこの時期は、多くの生き物が繁殖期を迎え仲むつましい姿を観察できました。

メキシコインコ(Yucatan Amazon, Amazona xantholora)

お酒を飲んだように顔が赤いことから酒面と呼ばれ、和名はサカツラハグロドリ(Masked Tityra, Tityra semifasciataです。

サカツラハグロドリ(Masked Tityra, Tityra semifasciata)

世界一美しいサギともいわれるアカハラサギ(Agami heron, Agamia agami)は、常に木陰にいるためボートで観察しました。

アカハラサギ(Agami heron, Agamia agami)

野鳥以外のワイルドライフもご紹介! 凛々しいハイイロギツネ(Grey fox, Urocyon cinereoargenteusは何処となく突如と現れるため、ジャングルの中にあるロッジでの食事の際なども常にカメラが手放せませんでした。

ハイイロギツネ(Grey fox, Urocyon cinereoargenteus)

チュウベイクモザル(Central American Spider Monkey, Ateles geoffroyi)も我々人間を気にすることなく自然な姿を観察することができました。はっきりした顔立ちが印象的なクモザルの仲間です。

チュウベイクモザル(Central American Spider Monkey, Ateles geoffroyi)

グリーンイグアナ(Green iguana, Iguana iguanaは中米諸国では、オレンジ色の個体の割合が多いことで有名です。個体ごとに色合いが違うため非常に美しく、早朝はみんなで木に登り日光浴をしていました。

グリーンイグアナ(Green iguana, Iguana iguana)

世界に2種類しか生息しないドクトカゲの一種、メキシコドクトカゲ (Beaded lizard,Heloderma horridum)です。英名通りビーズのような肌と、決して走らず常にゆっくりと歩く姿が印象的でした。

メキシコドクトカゲ (Beaded lizard,Heloderma horridum)

グアテマラには、コンゴウインコ(Scarlet Macaw, Ara macao)の繁殖地の最北端となっているラスグヤカマスという場所があります。今回訪れたこの時期は、営巣の準備に励む夫婦の姿を観察できました。コンゴウインコの寿命は70年ほどともいわれます。一度つがいになったペアは、50年ほど連れ添うそうです。

コンゴウインコ(Scarlet Macaw, Ara macao)のペア

コンゴウインコが繁殖する木の洞

コンゴウインコのような大きな体を支える繁殖場所は、大きな木の洞が必要になります。繁殖地の北限が南下してしまわないように、大きな木が存在できる大自然がいつまでも続いていくことを願います。

コンゴウインコ(Scarlet Macaw, Ara macao)

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : Feb 2024 Guatemala

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天売島の人気者、ケイマフリの魅力

2023年の夏を天売島で過ごした姫野からのレポートです ♪

天売島で不動の人気を誇る海鳥と言えば、ケイマフリです。もともと、アイヌの言葉で足の赤いを意味するケマフレという単語から、和名もケイマフリとなりました。その名の通り、足が赤いだけでなく、口の中も同じ赤色であるため、岩場で足を見せながら口を開けて求愛する姿を観察した方はその美しさに必ずというほど魅了されます!

天売島に生息する他のウミスズメ科の鳥に比べ飛び立ちも上手なため、水面から飛び立つ時は、水面を走るようにしながら助走をつけます。(そのほかの2種ウトウ、ウミガラスは、水面で羽ばたきながら半分泳ぐようにして助走をします)

その際に見られる、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの赤い足の輝きは非常に美しく、これを見るためだけに天売島へいらっしゃる方も。

繁殖期後期の6月後半ごろからは餌をヒナに咥えて持ち帰る姿も観察できます。

イカナゴやギンポの仲間など、多様な餌を運ぶ姿も大変魅力的です。

ケイマフリの魅力に魅せられた天売島在住の写真家・寺沢孝毅さんはケイマフリという名前の日本酒を作られたり、ご自身の船にもケイマフリを描くほどです。

皆さんもぜひ、ケイマフリに会いに天売島にお越しください。

 

Image & text: Wataru HIMENO

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天売島(北海道)の夜の生き物 

2023年の夏を天売島で過ごした姫野のレポートです ♪

天売島は北緯44度に位置するため、春から夏にかけての日照時間が長く空が完全に暗くなるのは21時ごろです。朝も3時ごろには明るくなり始めるため、夜行性の生き物たちは短い夜を世話しなく生きています。

夜行性の生き物と言えばフクロウの仲間。2023年度は、トラフズク (Long-eared Owl) の繁殖が確認できました。

トラフズク (Long-eared Owl)

春先には、3羽のヒナを確認しましたが、7月の前半からは2羽しか確認できなくなってしまいました。自然の厳しさを実感です。

日本のキーウイ(Kiwi) こと ヤマシギ (Eurasian Woodcock) も天売島には生息しています。ニュージーランドに生息するキーウイ同様、夜行性で地表近くに生息するミミズなどを捕食しますが、ヤマシギは空を飛べますので生息範囲が広いのが特徴です。また、嘴に多数の穴が開いていて、神経が通っているため、地面に差し込んだ嘴で獲物の動きなども感知できるそうです。

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

また、暖かい日の夜は天売島に生息する唯一のヘビ、マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper) も活発になります。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

夜行性のヘビとして紹介されることも多いですが、天売島では春先などの肌寒い季節にはお昼の時間帯により活発に活動している印象を受けました。爬虫類でありながら、卵ではなく子供を直接産む卵胎生であるため、春先の一日の温度差の激しい天売島で効率的に繁殖し、この島で生息する唯一のヘビになったのではないかと思います。

マムシは、日本では最も有名な毒蛇で、「マムシ=危険」というイメージが根強く車などでも轢かないように運転する意識も、他の生き物に比べて低いためか、シーズン中には幾度となく車にひかれて亡くなったであろう個体を見かけました。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

天売島に生息する唯一の両生類、ニホンアマガエル (Japanese tree frog) も夜になると活動を始めます。

ニホンアマガエル (Japanese tree frog)

周囲12kmほどの小さな島であるため、安定した淡水の水場が少なく、常に水が必要な両生類の生息できる環境は非常に限られていますが、廃船にたまった雨水やわずかな湧き水の水たまりなど、海岸からほど近い場所にも関わらず数多くの個体が繁殖しています。

また夜の観察後には、きれいな星空が広がっていることも。晴れさえすれば、ほぼ確実に流れ星も確認できます。

夜の前浜港

天売にいらっしゃった際は、最後に夜空も見上げてみてください。

Image & Text: Wataru HIMENO
Observations at Teuri Island in Summer 2023

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アカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise(ワイゲオ島、インドネシア)

ゴクラクチョウ(極楽鳥)とも呼ばれるフウチョウの仲間はインドネシア東部、パプアニューギニア、オーストラリア東部に45種が生息しています。その中でも最も色鮮やかとされるのが、このアカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise のオスです。

アカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise はインドネシアの固有種で、南西パプア州のワイゲオ島とバタンタ島の丘陵地と低地の熱帯雨林にのみ生息しています。このうち、ワイゲオ島でアカミノフウチョウを観察する機会がありました。ワイゲオ島は世界でもトップクラスのダイビング・デスティネーション、”ラジャアンパット諸島”の島です。

ハイドから撮影したアカミノフウチョウの動画です。鳴き声が美しく、口の中は薄黄緑色!

自分の「ディスプレイ・コート」の葉っぱをお掃除する様子は愛らしい限りです。

訪れた保護林では付近に4か所のアカミノフウチョウが現れるディスプレイ・コートがあるとのことでした。が、熱帯雨林の道を歩くのは大変なので一番近いハイドを訪問しました。夜明け~朝9時くらいがコアタイムです。ハイドの座席に座り、出現を待ちます。木陰でオスが鳴きはじめました。

アカミノフウチョウは体長が16cmほどで、飾り尾羽を含めて21cmほどの大きさです。オスは赤と黒の羽色で、首は黄色の羽毛、青紫の足と銀紫の尾羽。頭は鮮やかな水色の皮膚に黒い羽毛が模様を作っています。胸はビロードのような光沢をもつ緑色です。

アカミノフウチョウと近縁種のキンミノフウチョウのオスは縄張りを持ち、熱帯林の一画に「ディスプレイ・コート」を作ります(このコートは別のオスが使うこともあり、長期間メンテナンスされるそうです)。コートの中央に垂直の枝があり、この枝にとまってディスプレイを行い、メスにアピールします。研究者のレポートによると、このディスプレイをメスの視点から見ると、オスは鮮やかな緑の円盤に見え、口の中の薄黄緑と相まって驚異的な色表現が行われているのだそうです。

こちらがアカミノフウチョウのメスです。他のフウチョウの仲間と同様にオスと比べると断然地味。頭は同じように青い皮膚がむき出しになっています。

アカミノフウチョウは1羽のオスが複数のメスと交尾をし、メスは一羽で子育てをします。なので、DNAをもらうだけの相手選びは慎重に行われるようです。こう見えて、オスはひたすら選ばれるためにがんばらばくてはなりません。

ハイドでの観察は、ディスプレイ・コートのまわりでオスが鳴きはじめ、そして次にコートのお掃除。落ちている葉っぱをくちばしで取り除きます。そしてメスが現れます・・・。

オスの華麗なディスプレイを「メスの視点」で見るのは至難の業ですが、森にアカミノフウチョウのオスが姿を現し、声を聞いただけでもここまでやってきた苦労が報われる出会いでした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Nov 2023, Waigeo Island, Raja Ampat, Southwest Papua, Indonesia

※ワイゲオ島を含むラジャアンパット諸島とドベイラ半島は2022年12月に「西パプア州」から分立して「南西パプア州」となりました。

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スカーレットアイビス / ショウジョウトキ Scarlet ibis (トリニダード・トバゴ)

トリニダード島の西岸にあるカロニ湿原にて観察したスカーレットアイビス(和名:ショウジョウトキ)の群れです。

カロニ湿原のスカーレットアイビスはベネズエラとの間を行き来していると考えられています。毎朝、餌をも求めてカロニ湿地を飛び立ったスカーレットアイビスはあちこちの湿地で採餌し、夕方になると群れをなしてカロニ湿原に戻ってきます。


夕方の帰巣の様子は圧巻の光景です。


巣のある木に順番に帰ってくると、赤い実がなる木のように見えます。

カロニ湿原はおよそ103.6平方キロメートルの湿地帯です(大きさは資料により異なっています)。
マングローブ林、沼地、干潟を含むこの湿地は海水と淡水の両方の生物多様性に富んだ湿地です。ラムサール条約にも登録されています。

観察に適した時期は11~3月いっぱい。年中観察はできますが、4月の半ばごろから9月半ばは繁殖のため見える個体数が少なくなります。

マングローブ林の中にはカニもいました!
スカーレットアイビスの赤色は、餌となるこういった甲殻類に由来します。

雛は黒~灰色でまったく赤くありません。上の写真は若鳥で灰色、茶色、白色が混ざりますが、摂取する赤色のもととなる甲殻類により、成長に伴い赤色をまします。通常、巣立ちの頃に赤色が現れ、2年でほぼ真っ赤になります。

1962年トリニダード&トバゴが独立したとき、スカーレットアイビスは「国鳥」に選ばれました。

スカーレットアイビスの生息するエリアまで、マングローブ林の間をボートで進んでいくのも楽しみの一つです。
道中に様々な動物が見られます。特に鳥類は100種以上も生息します。

小さく丸まったヒメアリクイPygmy anteater。世界最小のアリクイです。
木の一部のように同化しているので見つけるのが難しいです。

水辺には、スカーレットアイビスと共にベニイロフラミンゴ American Flamingoも見られます。

夜行性のために目が大きいヒロハシサギ Boat-billed Heron。求愛行動の際はクチバシを鳴らすこともあります。

オニクイナ、こちらもスカーレットアイビスと同じく甲殻類、魚、昆虫などを採食します。

この美しい帰巣風景がいつまでも続くことを願っています。

 

Photo & text : Mariko Sawada & Wataru Yamoto

Observation : Apr 2018 & Mar 2019 , Caroni Swamp , Trinidad and Tobago

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南米に最も近いカリブの自然 トリニダード&トバゴ

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天売島2023・ウミガラス観察近況

オロロン鳥ことウミガラス Common guillemot の日本で唯一の繁殖地となっている天売島では、今年もウミガラスが餌を巣に持ち帰る姿が確認されました。餌を持ち帰るということは、ヒナが順調に生まれているということです、非常にうれしいですね!初めて確認をしたのは7月8日になりますので、ウミガラスの繁殖時期は例年通りのようです。

また、今年は繁殖地になっている洞窟では、デコイと本物のウミガラスを合わせて非常に窮屈になっており、まるで東京の満員電車のようです。

その為か、今年は7月に入ってから繁殖地の洞窟とは別に赤岩本体にも止まっている個体が頻繁に確認されています。

赤岩では、ヒメウ Pelagic cormorant も繁殖しており、隣の窪みに沢山集まっていました。この場所は陸上からは確認できない場所にあるため観察ができるのは、海鳥観察用の船の上からだけになります。

ウミガラスが集団で飛んでいる姿や、50羽ほどで海に浮いている姿も確認できていますのでウミガラスの観察は良好です。

群れで飛ぶウミガラス

群れで浮かぶウミガラス

一時は13羽まで減ってしまったウミガラスですが、個体数は順調に増えています。ただ、今年も繁殖場所は1か所のみと、繁殖場所の増加は確認されておりません。1か所だけだと天敵が現れるなど何かあった際に個体数が激減してしまうことも懸念されますので、次は繁殖場所が増えていってくれることを祈ります。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido

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天売島で人気のウミスズメ科の鳥3種類(ケイマフリ、ウミガラス、ウトウ)共通の特徴

天売島を訪れるバーダーの間で人気があるウミスズメ科の鳥たち3種類、ケイマフリ(Spectacled guillemot)、ウミガラス(Common guillemot)、ウトウ(Rhinoceros Auklet)の共通の特徴をご紹介します!

 

①魚は咥えたまま運びます

天売島では、80万羽生息するウトウが一斉に夕方帰巣する様子を観察するナイトツアーがシーズン中(4月ごろ~7月いっぱいくらいまで)が毎夕行われています。観察のメインとなるのはヒナに与えるために大きな魚を咥えてくる様子です。これは、ウミスズメ科に共通する特徴で、水の中で泳ぎながら獲物を飲み込むことのできる彼らは一度飲み込んだ獲物を吐き出してヒナに与えることが出来ません。そのため、大きな餌を咥えたまま飛び、巣まで持って帰ってきます。

魚を銜えて飛ぶウミガラス。

中でもウトウはヒナに餌を与えるタイミングが夕方の一斉に帰巣をする1日1回のみのため、銜えてくる魚の数がとても多いのです!

 

②羽が短く、飛び立つには助走が必要です

ウミスズメ科の鳥たちは海での潜水の際、水中でも羽ばたくようにして泳ぎます。その為、水中で抵抗にならないよう同じ大きさの他の鳥たちに比べて羽が短く、小さくなっています。

ケイマフリの羽。

ウトウの羽の大きさと、天敵・ウミネコの羽の大きさを比べると一目瞭然です。

このため翔能力も高くなく、空中では羽ばたく回数が同じ大きさの鳥に比べて非常に多いのが特徴です。また、海に浮いている状態から大空へ飛び立つ為には勢いをつけるため助走が必要です。

中でも助走の際に赤い足の輝くケイマフリの姿は、非常に美しいです。目の前で、ケイマフリの飛び立ちを観察できるのは海鳥観察用の小型ボート「ケイマフリ号」の早朝クルーズだけです。天売島にいらっしゃった際はぜひこの美しさを体感してください!

「ケイマフリ号」から海鳥を至近距離で撮影。「ケイマフリ号」は海鳥撮影に最適のボートです。

”天売ブルー”の海に浮かぶケイマフリ号。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Islaand, Hokkaido

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海鳥の聖域・天売島で繁殖する海鳥たち(北海道)

2023年の初夏を天売島で過ごした姫野より、まさに「海鳥の聖域」と呼ぶにふさわしい天売島で繁殖する海鳥たちを紹介いたします。

ウミガラス(オロロン鳥)英名:Common murre, Common guillemot

足が体の後方にあるためペンギンのような見た目が特徴的です。日本国内では天売島の赤岩近くにある崖の洞窟1か所のみで繁殖します。繁殖場所の洞窟を観察できるのは海上からのみになりますが、赤岩展望台などから海上に浮かぶ姿も確認できることもあります。2002年には13羽まで数を減らしましたが、今では100羽を超え、数は増加傾向です♪♪

ウミガラス

ウミガラス

 

ケイマフリ 英名:Spectacled guillemot

赤い足と赤い口の中がとってもキュートなケイマフリは、天売島南西~北側にかけて広がる崖の隙間で繁殖します。水面を走るように助走をつけて飛び立つ瞬間は、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの真っ赤な足が最も美しく輝く瞬間の一つです。早朝の海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号では、すぐ目の前で観察できます。

赤い足で海面を蹴って助走するケイマフリ

赤岩展望台より

 

ウトウ 英名:Rhinoceros auklet

英名のrhinocerosは、サイを意味しその名の通り天売島にやってくる4月~7月の繁殖期の時期にのみサイの角のような突起物が現れます。天売島では、現在80万~100万羽ほど繁殖をしているといわれており、夕方日暮れと共に一斉に帰巣する姿は圧巻です。鳥の仲間では珍しく、陸上に穴を掘って巣を作るため、帰巣の際には比較的近くで観察できるのも魅力の一つです。

夕日の中、帰巣するウトウ

雛に魚を運ぶウトウ

 

ウミスズメ 英名:Ancient murrelet

天売島では、毎年5月下旬から6月上旬にかけて海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号から姿が確認されています。多いときは10羽ほどの群れを形成し、動物プランクトンなどを捕食しています。潜水頻度も高く体も小さいため、波のうねりが高い日の観察は非常に難しいです。日本国内での繁殖は天売島のみと言われています。

ウミスズメ

ウミスズメ

 

ヒメウ 英名:Pelagic Cormorant

普段は外洋に生活するウの仲間で、天売島にやってくる繁殖期は全身の羽が非常にきれいな光沢を纏い、嘴の根元は赤く染まります。非常に細かい巣材を唾液や泥を使って固めながら、崖のちょっとしたでっぱりや窪みに巣を作ることが出来るため、哺乳類などの天敵は巣に近づくことが出来ません。

ヒメウの巣 モフモフの雛の姿も

巣材を運ぶヒメウ

 

ウミウ 英名:Japanese cormorant

日本全土に広く分布するウの仲間。繁殖期には、頭の周りが白くなります。ウの仲間は視界の悪くなる水中深くに潜って狩りを行うため、暗視時に見やすい青色の瞳をしています。水中で泳ぎやすいように体表の油分が少なく、泳いだ後は体を乾かすために岩場で羽を広げる姿が観察できます。

ウミウ

ウミウ

 

ウミネコ 英名:Black-tailed gull

黄色い足と黒い帯の入った尻尾が特徴のカモメの仲間。天売島では近年、急激に数を増やしており推定巣数は2年前(2021年)の約2倍にあたる5000個(2023年)ほどと推定されています。ウミネコの一大繁殖地になっている黒崎海岸は、フンで黒い岩が真っ白になったため「白崎海岸」と呼ばれるほどです。

ウミネコ

ウミネコ

 

オオセグロカモメ 英名:Slaty-backed gull

ピンク色の足と真っ白な尻尾が特徴の大型のカモメ。天売島では生物ピラミットの頂点に君臨する生き物で、体長38cmほどのウトウの成鳥をも丸飲みします。その他、ウミネコの雛、マムシ、ウニなども大好物で町中にウニの殻が落ちていたらこのオオセグロカモメが食べた残骸であることが多いです。

ウニを食べるオオセグロカモメ

このオオセグロカモメ、ウトウを丸飲みした直後で、口から翼があふれ、胸がウトウで膨れています!!

 

Photo & report  : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido, Japan

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スリランカコサイチョウの子育て Sri Lanka Grey Hornbill

スリランの固有種、スリランカコサイチョウ Sri Lanka Grey Hornbill。「サイチョウ(サイのような角を持っている鳥)」なのに、その一番の特徴となる上嘴のふくらみ(CASQUEカスク)がない、45cmくらいの小型のサイチョウです。スリランカのサイチョウは、この固有種のスリランカコサイチョウとカササギサイチョウ  Malabar pied-hornbillの2種のみです。

見た目はオスもメスも同じですが、オスは薄い黄色のくちばし、メスは薄い黄色に黒いパッチのあるくちばしをしています。

スリランカコサイチョウも、他のサイチョウと同様の独特な子育てをします。

繁殖期になると巣となる木の空洞を探し、メスが中に入ると糞や泥などで穴の入り口ふさいで小さくし、オスのくちばしが入る程度の大きさにします。メスはこの隔絶された穴の中で2~3個の卵を産み、抱卵し、雛の世話をし、巣立ちの1週間くらい前までの期間を過ごすのです。この間に羽、尾羽の換羽もおこります。

オスは頻繁に巣の中にいるメスに餌を運びます。その様子を撮影した動画です。オスが赤い木の実1つを銜えてやってきてメスに与え、そのあと7つの木の実を吐き戻してメスに与えています。

Sri Lanka Grey Hornbill スリランカコサイチョウ

この巣穴では2月下旬にオスが巣穴に通っているのを観察し、4月半ばもオスが通っていました。資料によると、一般的にスリランカコサイチョウの繁殖期は2~6月で、5~6月に巣立ちが観察されるそうです。スリランカコサイチョウは国のドライゾーンにもウェットゾーンにも広く分布し、雨の量や実のなる季節・場所により繁殖期は少し異なるそうです。

雛の巣立ちの一週間ほど前にメスは穴を壊して出てきます。その時には換羽後のきれいな姿で出てくると言います。そしてオスとメスの両方で雛に餌を運び、雛の巣立ちの時を迎えます。研究者の観察記録によると、メスが巣に入ってから雛の巣立ちまで104日。メスは95日以上を暗く小さな木の穴で過ごしたのです!

この写真は2月下旬に撮影。オスが緑色のトカゲ、Green Garden Lizard (Calotes calotes) を運んできました。

メスがじたばたするトカゲを呑み込んでいきました。↑↑ トカゲの尻尾が穴に吸い込まれていく様子です。オスは木の実やトカゲ、ヤモリ、虫などをメスに運びます。

観察場所の様子。この巣のあった木は他にも3か所の樹洞があり、固有種のクリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owletも同時期に巣をつくっていました。距離を置いて、静かに見守りましょう。

午前はとくに忙しく、巣穴にせっせと餌を運ぶオス。繁殖期以外ではペアか、家族の小集団で見かけることが多いスリランカコサイチョウ。メスと雛がでてくるのが、待ち遠しいことでしょう。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb-Apr 2023. Sinharaja Forest, Sri Lanka

「バードウォッチング in Sri Lanka」 特集ページはこちら。

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スリランカのマメジカ、トリンコマリーの森で出会ったいきもの(スリランカ東海岸)

スリランカの東海岸、トリンコマリーで出会った生き物を紹介します。ホテルの周りでも、タイヨウチョウの仲間やズグロコウライウグイス、ヤツガシラ、アオショウビンなどの野鳥に簡単に出会える東海岸。私のお気に入りの場所は、トリンコマリーに近いビーチのホテルで一番とも言える、Jungle Beach Hotelの敷地でのワイルドライフの観察です。

Jungle Beach Hotelは、もともと自然の海岸の森をできるだけ残したまま作られたホテルでした。責任者が変わるたびに森が減ったりしてある程度の変化がありましたが、それでもこんなに野生動物に出会いやすいホテルは珍しいでしょう。

一番うれしい出会いは、マメジカの仲間、Sri Lanka Spotted Chevrotain またはWhite spotted Chevrotain ( moschiola meminna ) です。以前はインドマメジカ(Moschioka indiaca )としてまとめられてましたが、そこからスリランカで2種が分離しました。

スリランカには乾燥地帯 Dry Zone にすむこのSri Lanka Spotted Chevrotain( Moschiola meminna )と湿潤地帯 Wet Zone にすむ Yellow-striped Chevrotain (Moschiola kathygre ) がいます。

体長55~60cmのスリランカのマメジカ。住処の森にホテルができて以来の住人です、あまり怖がらせることなく至近距離で観察できました。その愛らしい姿に感動です(^ε^)-☆!!

これは・・・あまり良く撮れてませんが、シモフリオオリス Sri Lanka Giant Squirrel です。レストランの近くの樹上に巣がありました。

これは一般種、 インドシマヤシリス Indian palm squirrel または three-striped palm squirrel (Funambulus palmarum) です。

敷地内の藪にいた、スリランカ固有種 セイロンジチメドリ Brown-capped Babbler (Pellorneum fuscocapillus ) 。体長16cmほどの鳥で、地面で採餌したりしています。スリランカの固有種ですが、3亜種にわかれており、この写真の子は低地乾燥地帯のP. f. babaultiと思われます。

2月に来た時には親鳥が巣材集めをしている光景をみましたが、今回は藪の中に雛を見ることができました!このホテルの敷地には僅かですが野猫もいるので生き延びてくれることを祈ります。

こちらはズグロインドチメドリ Dark-fronted Babbler。

歌声がとても美しい、アカハラシキチョウ Whire-rumped Shama。繫殖期でカップルを見かけました。

敷地内の水辺にいた、ヌマワニ  Mugger Crocodile 。

今回とてもうれしかったのが、タカサゴクロサギ Black Bittern。インドにもスリランカにもいますが、なかなか見て写真を撮ることができる機会のない野鳥です。

ホテルのそばのラグーンにはシロハラウミワシ White-bellied Sea Eagle の姿が。

シロハラウミワシは体長66~71Cm、乾燥地帯の海岸部では一般的な野鳥です。ホエールウォッチングの最中にも、漁村でもよく見かける鳥です。

夕方、海岸では「ロマンチックディナー」の準備が始まっていました。ちなみにウクライナ戦が始まって以来、このホテルのお客さまの大半がロシア人。訪れた2023年4月現在も90%がロシア人という状態でした。

とても居心地のいい、森の中のプールサイドのバー。ソムリエもいます、野鳥観察の後をすごす、お勧めの場所です。

 

Photo & text : Mariko Sawada

Observation : April 2023, Trincomalee, East Coast of Sri Lanka

Reference : Birds of Sri Lanka, Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka

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