カテゴリー別アーカイブ: ◇日本 Japan

天売島の人気者、ケイマフリの魅力

2023年の夏を天売島で過ごした姫野からのレポートです ♪

天売島で不動の人気を誇る海鳥と言えば、ケイマフリです。もともと、アイヌの言葉で足の赤いを意味するケマフレという単語から、和名もケイマフリとなりました。その名の通り、足が赤いだけでなく、口の中も同じ赤色であるため、岩場で足を見せながら口を開けて求愛する姿を観察した方はその美しさに必ずというほど魅了されます!

天売島に生息する他のウミスズメ科の鳥に比べ飛び立ちも上手なため、水面から飛び立つ時は、水面を走るようにしながら助走をつけます。(そのほかの2種ウトウ、ウミガラスは、水面で羽ばたきながら半分泳ぐようにして助走をします)

その際に見られる、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの赤い足の輝きは非常に美しく、これを見るためだけに天売島へいらっしゃる方も。

繁殖期後期の6月後半ごろからは餌をヒナに咥えて持ち帰る姿も観察できます。

イカナゴやギンポの仲間など、多様な餌を運ぶ姿も大変魅力的です。

ケイマフリの魅力に魅せられた天売島在住の写真家・寺沢孝毅さんはケイマフリという名前の日本酒を作られたり、ご自身の船にもケイマフリを描くほどです。

皆さんもぜひ、ケイマフリに会いに天売島にお越しください。

 

Image & text: Wataru HIMENO

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

 

天売島(北海道)の夜の生き物 

2023年の夏を天売島で過ごした姫野のレポートです ♪

天売島は北緯44度に位置するため、春から夏にかけての日照時間が長く空が完全に暗くなるのは21時ごろです。朝も3時ごろには明るくなり始めるため、夜行性の生き物たちは短い夜を世話しなく生きています。

夜行性の生き物と言えばフクロウの仲間。2023年度は、トラフズク (Long-eared Owl) の繁殖が確認できました。

トラフズク (Long-eared Owl)

春先には、3羽のヒナを確認しましたが、7月の前半からは2羽しか確認できなくなってしまいました。自然の厳しさを実感です。

日本のキーウイ(Kiwi) こと ヤマシギ (Eurasian Woodcock) も天売島には生息しています。ニュージーランドに生息するキーウイ同様、夜行性で地表近くに生息するミミズなどを捕食しますが、ヤマシギは空を飛べますので生息範囲が広いのが特徴です。また、嘴に多数の穴が開いていて、神経が通っているため、地面に差し込んだ嘴で獲物の動きなども感知できるそうです。

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

また、暖かい日の夜は天売島に生息する唯一のヘビ、マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper) も活発になります。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

夜行性のヘビとして紹介されることも多いですが、天売島では春先などの肌寒い季節にはお昼の時間帯により活発に活動している印象を受けました。爬虫類でありながら、卵ではなく子供を直接産む卵胎生であるため、春先の一日の温度差の激しい天売島で効率的に繁殖し、この島で生息する唯一のヘビになったのではないかと思います。

マムシは、日本では最も有名な毒蛇で、「マムシ=危険」というイメージが根強く車などでも轢かないように運転する意識も、他の生き物に比べて低いためか、シーズン中には幾度となく車にひかれて亡くなったであろう個体を見かけました。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

天売島に生息する唯一の両生類、ニホンアマガエル (Japanese tree frog) も夜になると活動を始めます。

ニホンアマガエル (Japanese tree frog)

周囲12kmほどの小さな島であるため、安定した淡水の水場が少なく、常に水が必要な両生類の生息できる環境は非常に限られていますが、廃船にたまった雨水やわずかな湧き水の水たまりなど、海岸からほど近い場所にも関わらず数多くの個体が繁殖しています。

また夜の観察後には、きれいな星空が広がっていることも。晴れさえすれば、ほぼ確実に流れ星も確認できます。

夜の前浜港

天売にいらっしゃった際は、最後に夜空も見上げてみてください。

Image & Text: Wataru HIMENO
Observations at Teuri Island in Summer 2023

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

 

天売島2023・ウミガラス観察近況

オロロン鳥ことウミガラス Common guillemot の日本で唯一の繁殖地となっている天売島では、今年もウミガラスが餌を巣に持ち帰る姿が確認されました。餌を持ち帰るということは、ヒナが順調に生まれているということです、非常にうれしいですね!初めて確認をしたのは7月8日になりますので、ウミガラスの繁殖時期は例年通りのようです。

また、今年は繁殖地になっている洞窟では、デコイと本物のウミガラスを合わせて非常に窮屈になっており、まるで東京の満員電車のようです。

その為か、今年は7月に入ってから繁殖地の洞窟とは別に赤岩本体にも止まっている個体が頻繁に確認されています。

赤岩では、ヒメウ Pelagic cormorant も繁殖しており、隣の窪みに沢山集まっていました。この場所は陸上からは確認できない場所にあるため観察ができるのは、海鳥観察用の船の上からだけになります。

ウミガラスが集団で飛んでいる姿や、50羽ほどで海に浮いている姿も確認できていますのでウミガラスの観察は良好です。

群れで飛ぶウミガラス

群れで浮かぶウミガラス

一時は13羽まで減ってしまったウミガラスですが、個体数は順調に増えています。ただ、今年も繁殖場所は1か所のみと、繁殖場所の増加は確認されておりません。1か所だけだと天敵が現れるなど何かあった際に個体数が激減してしまうことも懸念されますので、次は繁殖場所が増えていってくれることを祈ります。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido

★西遊旅行のバードウォッチングツアーはこちら!

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

天売島で人気のウミスズメ科の鳥3種類(ケイマフリ、ウミガラス、ウトウ)共通の特徴

天売島を訪れるバーダーの間で人気があるウミスズメ科の鳥たち3種類、ケイマフリ(Spectacled guillemot)、ウミガラス(Common guillemot)、ウトウ(Rhinoceros Auklet)の共通の特徴をご紹介します!

 

①魚は咥えたまま運びます

天売島では、80万羽生息するウトウが一斉に夕方帰巣する様子を観察するナイトツアーがシーズン中(4月ごろ~7月いっぱいくらいまで)が毎夕行われています。観察のメインとなるのはヒナに与えるために大きな魚を咥えてくる様子です。これは、ウミスズメ科に共通する特徴で、水の中で泳ぎながら獲物を飲み込むことのできる彼らは一度飲み込んだ獲物を吐き出してヒナに与えることが出来ません。そのため、大きな餌を咥えたまま飛び、巣まで持って帰ってきます。

魚を銜えて飛ぶウミガラス。

中でもウトウはヒナに餌を与えるタイミングが夕方の一斉に帰巣をする1日1回のみのため、銜えてくる魚の数がとても多いのです!

 

②羽が短く、飛び立つには助走が必要です

ウミスズメ科の鳥たちは海での潜水の際、水中でも羽ばたくようにして泳ぎます。その為、水中で抵抗にならないよう同じ大きさの他の鳥たちに比べて羽が短く、小さくなっています。

ケイマフリの羽。

ウトウの羽の大きさと、天敵・ウミネコの羽の大きさを比べると一目瞭然です。

このため翔能力も高くなく、空中では羽ばたく回数が同じ大きさの鳥に比べて非常に多いのが特徴です。また、海に浮いている状態から大空へ飛び立つ為には勢いをつけるため助走が必要です。

中でも助走の際に赤い足の輝くケイマフリの姿は、非常に美しいです。目の前で、ケイマフリの飛び立ちを観察できるのは海鳥観察用の小型ボート「ケイマフリ号」の早朝クルーズだけです。天売島にいらっしゃった際はぜひこの美しさを体感してください!

「ケイマフリ号」から海鳥を至近距離で撮影。「ケイマフリ号」は海鳥撮影に最適のボートです。

”天売ブルー”の海に浮かぶケイマフリ号。

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Islaand, Hokkaido

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

白いシャチ(北海道・知床)

2023年5月、根室海峡に「白いシャチ」が2年ぶりに姿を現しました ♪♪

西遊旅行の羅臼支店「知床サライ」から届いた「白いシャチ」の動画です。

White orca / killer whale at Shiretoko, Hokkaiado 白いシャチ

白と黒のコントラストある配色がシャチの特徴ですが、このシャチは全身が白いため、アイパッチやサドルパッチもよく見ないとわかりません。

2019年に根室海峡で2頭がそれぞれ別々に初観測されて以降、2021年には2頭の白いシャチが揃って泳いでいることでも話題になりました。そして2年ぶりに今年(2023年)、羅臼港沖に1頭の白いシャチが姿を見せてくれました。

ニュースサイトによると「成熟したオス」「体長は目測で7メートル近く」「年齢は少なくとも50歳近く」「日本で最初に確認された白いシャチと同じ個体である可能性が高い」とのことです。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20230513/7000057514.html
https://www.youtube.com/watch?v=Z2ht8nJkrqk

遺伝子の異常でメラニンを作れないアルビノ(Albinism)なのか、変異による白変種(Leucism)なのかはわかっていないそうです。アルビノの特徴の赤い目が見られず、体色もグレーがかっているので、白変種のように見えます。

13頭のシャチの群れ。白という色は自然界では目立ちやすい色なので、生存競争のうえでは不利と言われていますが、この個体はしっかりと成長できています。

珍しい「白いシャチ」の出現でどの船も大賑わい。

ブロウ(潮吹き)。

背びれの先端が左に折れて曲がっています。
見る角度によってはこの部分に影ができて黒い模様のように見えることもあります。

体の左側面の背びれの下に擦り傷。

雪をまとった海別岳(うなべつだけ)をバッグに白いシャチが悠々と泳いでいます。また来年も知床に帰ってきてくれるのを楽しみにしています。

 

Photo & Video : Shohei MORITA( 知床サライ) Text : Wataru YAMOTO

Observation  : May 2023, 知床-根室海峡、北海道

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

海鳥の聖域・天売島で繁殖する海鳥たち(北海道)

2023年の初夏を天売島で過ごした姫野より、まさに「海鳥の聖域」と呼ぶにふさわしい天売島で繁殖する海鳥たちを紹介いたします。

ウミガラス(オロロン鳥)英名:Common murre, Common guillemot

足が体の後方にあるためペンギンのような見た目が特徴的です。日本国内では天売島の赤岩近くにある崖の洞窟1か所のみで繁殖します。繁殖場所の洞窟を観察できるのは海上からのみになりますが、赤岩展望台などから海上に浮かぶ姿も確認できることもあります。2002年には13羽まで数を減らしましたが、今では100羽を超え、数は増加傾向です♪♪

ウミガラス

ウミガラス

 

ケイマフリ 英名:Spectacled guillemot

赤い足と赤い口の中がとってもキュートなケイマフリは、天売島南西~北側にかけて広がる崖の隙間で繁殖します。水面を走るように助走をつけて飛び立つ瞬間は、天売ブルーと呼ばれる海の色とケイマフリの真っ赤な足が最も美しく輝く瞬間の一つです。早朝の海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号では、すぐ目の前で観察できます。

赤い足で海面を蹴って助走するケイマフリ

赤岩展望台より

 

ウトウ 英名:Rhinoceros auklet

英名のrhinocerosは、サイを意味しその名の通り天売島にやってくる4月~7月の繁殖期の時期にのみサイの角のような突起物が現れます。天売島では、現在80万~100万羽ほど繁殖をしているといわれており、夕方日暮れと共に一斉に帰巣する姿は圧巻です。鳥の仲間では珍しく、陸上に穴を掘って巣を作るため、帰巣の際には比較的近くで観察できるのも魅力の一つです。

夕日の中、帰巣するウトウ

雛に魚を運ぶウトウ

 

ウミスズメ 英名:Ancient murrelet

天売島では、毎年5月下旬から6月上旬にかけて海鳥観察用小型ボートのケイマフリ号から姿が確認されています。多いときは10羽ほどの群れを形成し、動物プランクトンなどを捕食しています。潜水頻度も高く体も小さいため、波のうねりが高い日の観察は非常に難しいです。日本国内での繁殖は天売島のみと言われています。

ウミスズメ

ウミスズメ

 

ヒメウ 英名:Pelagic Cormorant

普段は外洋に生活するウの仲間で、天売島にやってくる繁殖期は全身の羽が非常にきれいな光沢を纏い、嘴の根元は赤く染まります。非常に細かい巣材を唾液や泥を使って固めながら、崖のちょっとしたでっぱりや窪みに巣を作ることが出来るため、哺乳類などの天敵は巣に近づくことが出来ません。

ヒメウの巣 モフモフの雛の姿も

巣材を運ぶヒメウ

 

ウミウ 英名:Japanese cormorant

日本全土に広く分布するウの仲間。繁殖期には、頭の周りが白くなります。ウの仲間は視界の悪くなる水中深くに潜って狩りを行うため、暗視時に見やすい青色の瞳をしています。水中で泳ぎやすいように体表の油分が少なく、泳いだ後は体を乾かすために岩場で羽を広げる姿が観察できます。

ウミウ

ウミウ

 

ウミネコ 英名:Black-tailed gull

黄色い足と黒い帯の入った尻尾が特徴のカモメの仲間。天売島では近年、急激に数を増やしており推定巣数は2年前(2021年)の約2倍にあたる5000個(2023年)ほどと推定されています。ウミネコの一大繁殖地になっている黒崎海岸は、フンで黒い岩が真っ白になったため「白崎海岸」と呼ばれるほどです。

ウミネコ

ウミネコ

 

オオセグロカモメ 英名:Slaty-backed gull

ピンク色の足と真っ白な尻尾が特徴の大型のカモメ。天売島では生物ピラミットの頂点に君臨する生き物で、体長38cmほどのウトウの成鳥をも丸飲みします。その他、ウミネコの雛、マムシ、ウニなども大好物で町中にウニの殻が落ちていたらこのオオセグロカモメが食べた残骸であることが多いです。

ウニを食べるオオセグロカモメ

このオオセグロカモメ、ウトウを丸飲みした直後で、口から翼があふれ、胸がウトウで膨れています!!

 

Photo & report  : Wataru HIMENO

Observation : May-Jul 2023, Teuri Island, Hokkaido, Japan

★西遊旅行のバードウォッチングツア一覧はこちら!

★西遊旅行のワイルドライフツアー一覧はこちら

Youtubeでもワイルドライフの動画を配信しています。再生リストもご覧ください。

★ Please visit our English Blog site “Wildlife of Japan”  (。・ω・。)ノ♡

積丹・水中柱状節理と北海道の海のいきもの

札幌から車で1時間30分、積丹の海へ。透明度が高く「積丹ブルー」の海と呼ばれる景勝地です。ここは何と言っても海底遺跡みたいな柱状節理の根が魅力です。

柱状節理とはマグマの固結冷却に伴う体積の収縮によって生じる多角形柱状の割れ目。「火山列島」「Ring of Fire」とも呼ばれる環太平洋火山帯の一部であると実感です。

柱状節理の柱面から海面を仰ぐ。

この柱状節理のポイントは「ビヤノの隠れ根」と呼ばれるポイントです。水底は25Ⅿくらいでしょうか、グラスボトムボートからギリギリ見えない距離にあるのが惜しい感じです。

海岸線に沿ったポイントへ。天候&海峡に恵まれたダイビング。訪れた9月は生き物相があんまり・・・ということでしたが、素晴らしいガイディングで「北海道・日本海側の海のいきもの」を見せていただきました。

サラサカジカ

ニジカジカ

ヒメフタスジカジカ

アキギンポ

スナエビ。青い斑紋がきれいです。生で食べたら甘エビのような・・・。

フサトゲニチリンヒトデ。手がたくさんあって、まさに日輪。

マクロで撮ると、お花畑。

海岸部の波に削られた岩の壁はマクロ撮影の宝箱。

もう昆布は元気がありませんでしたが、サンゴと昆布、素敵です。

残念だったのは、ウニ。8月31日で禁漁になったとのことで食すことできず。リベンジ決定です。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Observation: Sep 2022、積丹、北海道

屋久島の海

8月下旬に訪れた、屋久島の海。あいにくの台風の影響で口永良部島など遠征はできなかったのですが、屋久島最北端の一湊湾のポイントなど、屋久島らしい海の景色と魚たちに出会うことができました。

屋久島と言えば降雨量が多いことで知られていますが、雨の後の湾内は海の表面に淡水の層ができたりします。また花崗岩の荒々しい水中地形、黒潮が近くを流れることから魚の種数も豊かで、意外と知られていない海の魅力があるのが屋久島です。

一湊湾の通称「ゼロ戦」と呼ばれるポイントで、屋久島で一番有名なポイントだと思われます。沈んでるのは「ゼロ戦」以外の小型飛行機ですが、スカシテンジクダイ、キンメモドキに加えいろんな魚の幼魚、主(ぬし)のように暮らすアザハタ、ウツボ、それをクリーニングするエビなどいろんな生き物と出会える、写真撮影もとても楽しいポイントです。

アザハタ。大高が高いのが特徴的で、真っ赤な個体、赤・白の和柄的な模様の個体がいます。訪れたときは3匹いました。

ケラマハナダイ♂相。ここはケラマハナダイがたくさんいて本当に華やかです。

この「ゼロ戦」の主(ぬし)で内部に暮らすおおきなウツボ。そしてウツボのエラをクリーニングするホワイトソックスシュリンプ。

お目めキラキラのスザクサラサエビはたくさんいます。

そばのポイント「漁礁」に現れたミナミハタタテダイの群れ。ガイドさんが集めてくれてみなさま撮影に夢中でした。

ミナミハタタテダイの舞。本当にきれいで可愛い魚です。

同じ一湊湾内のポイント「お宮前」(八筈嶽神社)のスミレナガハナダイ♂相。比較的深いところにいる魚で婚姻色のオスは大変きれいです。

この「お宮前」ポイントで見られる気になる魚が、このカゴカキダイ。自分は屋久島以外で見たことはありません。山渓ハンディ図鑑「日本の海水魚」の写真撮影地も屋久島でした。

ハナゴンベ。あまり移動しないのでがんばって背景の暗い場所で撮影。きれいな魚です。

台風の前に一港湾から出たポイントへも連れて行ってもらいました。漁礁にいたツバメウオ。非常になついている複数個体がいました。

永田地区の「灯台」というポイント。ここではギンガメアジの群れも見えましたが、5月にたくさんいたイソマグロは水温が高いこの時期はあまりチャンスがないとのことでした。私たちの周りをクマザサハナムロが乱舞。

浮上時には小さなキビナゴの群れが海面で光っていました。

この8月は台風がまったく来ず、水温が高く沖縄のサンゴの白化なども問題になっていますが、台風により海の中がかき混ぜられ、水温が下がることも大切と知りました。やってくる台風の予想を見て予定より1日早く屋久島を出ることになりました。観光業にとっては台風で失う仕事もありますが、自然の営みの中では大切な自然現象です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : AUG 2022, 屋久島

ネコザメ – 伊豆大島ダイビング

7月上旬の伊豆大島の海へ。ネコザメ、トラウツボ、ハンマーヘッドシャーク・・・1泊2日という短期滞在でしたが、東京・竹芝桟橋から高速船で1時間30分は近い!朝、到着してから3本、翌日早朝ハンマー含め3本潜り最終の高速船で戻れば6本潜れます。伊豆大島すごい。

伊豆大島の海・海底ジオパーク(1) 伊豆大島の海・海底ジオパーク(2)

日中の暑さが心配でしたが、水温は19~22度とドライスーツで十分な温度でした。さて、講習しながら観察したお魚たち+αの写真です。今回は何よりもネコザメ遭遇がうれしいものでした。

ネコザメはおとなしいサメで藻場によくいます。伊豆でよく観察され、英名はJapanese Bullhead Shark。目の上の隆起が猫の耳に似ていること、目や頭の形が猫に似ていることから和名の「ネコザメ」の名前が付いたと言われています。

トラウツボ。外人のお客さんが日本で見たいウツボです。和名は模様がトラみたいだからトラウツボですが、英名は「 Dragon moray」、ドラゴンです。

「主(ぬし)」と呼ばれる大きな大きなアオウミガメ。人と一緒に写ってないと大きさがわかりませんが、これまで自分が見たアオウミガメの中で一番大きいと思います。ガイド氏によると、大きすぎるのかお年なのか、あまり動かないそうです。

ガラスハゼ。ムチカラマツ(サンゴの仲間)について生きているハゼの一種。

トウシマギンポ。頭出てる系、しかも1センチくらいです。

ケイカイのハンマー。今回、数はあまり遭遇できませんでしたが、浅いところを泳いでいる(水深12mにいる自分の上を通過していく)のは驚きです。

ダイビングポイントそばのトイレにあったツバメの巣。翌日には巣立ちしてました

お世話になった民宿、八幡荘。この通りのネコの多いこと。このノスタルジックな景色とネコに癒される滞在でした。

今回、一番たくさん見たお魚はイサキ。夕食にも登場。

伊豆大島と言えば、べっこう丼。最終ダイビングのあとは大島名物「べっこう丼」。刺身を”漬け”にして、すし飯の上に乗せたもの。ダイビング後のビールも最高です。
そして夕方のフェリーで東京・竹芝桟橋へ。

Image : Mariko SWADA

Observation :JUL 2022, 伊豆大島ダイビング

Special Thanks : Beach Line

西遊旅行のワイルドライフツアー一覧 個人旅行・手配旅行も可能です、ご相談ください。

奄美大島ダイビング

★Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

5月の奄美大島ダイビングのレポートです。アマミホシゾラフグを狙って15ダイブのうち、10ダイブをアマミホシゾラフグのサークルづくり観察に投入しましたが、残りの5ダイブも充実の生き物観察でした。>>「アマミホシゾラフグのサークルづくり」はこちら

Broadclub cuttlefish コブシメの卵 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (5)

この時期はコブシメの産卵の季節。本来、コブシメも観察予定だったのですが、今年は数が少なく集団で産卵する様子は見れませんでした。ユビエダハマサンゴの奥にあったコブシメの卵です。中に赤ちゃんが見えてます、まだ小さいですね。

コブシメの体色変化 color change of Broadclub cuttlefish

コブシメの体色変化は本当に面白いです。私が近づいたら機嫌が悪くなり、少し移動してから擬態はじめました、笑。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (8)

外洋の砂地にある根にいたカシワハナダイのオス。スカシテンジクダイの群れを背景に泳ぐ姿はとてもきれいでした。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (7)

外洋ポイントのキンメモドキの群れ。

ゾウゲイロウミウシ Hypselodoris bullockii 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

ゾウゲイロウミウシを赤いカイメンに乗せて撮影。和柄みたいになりました。

Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

このポイントの嬉しいのは水深15mと浅いところにピグミーシーホース Hippocampus bargibantiがいることです。このピグミーシーホースは、黄色や赤色のウミウチワというソフトコーラルについています。擬態して同じ色になり、さらにポリプまで擬態。初めて小笠原で見たときはどこにいるのかわかりませんでしたが、回数を重ねて少しわかるようになってきました。

大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (2)

そして大仏サンゴ。大きなコモンシコロサンゴ群です。

Purple queen ハナゴイ 大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (1)

サンゴの上にはハナゴイが群れていました。

Purple queen ハナゴイ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (12)

尻尾が黄色くなった婚姻色のハナゴイのオス。私が近づくと黄色かった尻尾が卵色になりました。興ざめしたようです。

ハナゴイ乱舞 Purple queen wild dance(Videography by Chizuko MURATA)

ハナゴイが雨のように降る光景も見れて、大変きれいでした。

Bubble Coral Shrimp 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (13)

バブルコーラルシュリンプ。卵を抱えていました。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (6)

そしてハイライトのアマミホシゾラフグのサークルの観察です。水底は細かい砂で巻き上げないようにかなり注意しなくてはなりません。着底してしばらくするとモクモクと濁ってきたりします。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (16)

天気が悪く透明度の悪い日なんてこんな感じです。深いし透明度のこともあり、しっかり観察したい人は複数回のチャンスがあったほうがいいのです。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (4)

仕上げ段階のアマミホシゾラフグ。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (3)

完成したサークル。このサークルを上から見ることなくこれだけ緻密に完成させるアマミホシゾラフグ、ただものではありません。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (14)

あとはメスを待つだけ、アマミホシゾラフグのオス。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (15)

翌日、卵(真ん中の灰色のもの)が産み付けられたサークル。このあと、オスは卵のお世話だけをしてサークルのメンテナンスは行いません。

奄美大島に6連泊したのですが、毎日の食事はとても楽しみでした。毎日が食べ歩きの日々。シマダコ、コブシメ、キハダマグロ、タイの仲間、夜光貝・・・。

奄美のおすすめレストラン 纏(まとい)奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (18)

毎日雨が降った梅雨の奄美大島でしたが、海と食を堪能したダイビング企画でした、ご参加のみなさま、お世話になったダイブシピーシーズ諏訪様ご夫妻、ありがとうございました!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photographs and video provided by Chizuko MURATA

Observation: May 2022, Amami-Oshima

Special Thanks : Dive Spiecies Amami, Mr.Suwa Homare