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生物多様性の宝庫・マダガスカル Vol.01

生物多様性の宝庫、マダガスカル。見られる全動植物種の約90%が世界でマダガスカルにしか生息しない固有種であるため、観察場所を変えるたびにライファーと出合います。日中の観察で出会った生き物の一部をご紹介します。

 

ワオキツネザル:Ring-tailed lemur、Lemur catta

メスがグループのリーダーで、今回訪れた10月の繁殖期には子供を背中に乗せたメスが群れの先頭を歩く姿が見られました。ワオキツネザルを含む、キツネザルの仲間は体温調節が得意ではなく、早朝などは日が出ると日光浴する姿も観察できるそうです。

子供を背中に乗せたメスのワオキツネザル (Ring-tailed lemur、Lemur catta)

ベローシファカ:Verreaux’s sifaka、Propithecus verreauxi

地面を歩くときなどは、横向きにジャンプしながら移動します。サボテンの多く存在する場所にも生息する為、人間ではとても触れないトゲの枝にもしっかりとつかまって生活する姿が印象的でした。

横向きにジャンプしながら移動するベローシファカ (Verreaux’s sifaka、Propithecus verreauxi)

ベローシファカ (Verreaux’s sifaka、Propithecus verreauxi)

カメレオンの仲間

世界に生息する60%のカメレオンは、マダガスカルに生息しています。世界で一番重たいカメレオンである、パーソンカメレオン(Parson’s chamaeleon, Calumma parsonii)や、ゾウのように大きな耳が特徴なゾウカメレオン(Elephant Ear Chameleon, Calumma brevicorne)、地域によってさまざまな色合いを持つパンサーカメレオン(など多種多様なカメレオンたちを観察することができました。

パンサーカメレオン(Panther chameleon, Furcifer pardalis )

ゾウカメレオン(Elephant Ear Chameleon, Calumma brevicorne)

マダガスカルアデガエル :Madagascan mantella, Mantella madagascariensis 

中南米などに生息するヤドクガエルなどと同様に体に毒があることを警告する為に、非常にきれいな体色をしています。

マダガスカルアデガエル (Madagascan mantella, Mantella madagascariensis )

マダガスカルヤツガシラ :Madagascar hoopoe, Upupa marginata 

ヤツガシラの多くは、渡り鳥として有名ですが本種は渡りをしないマダガスカル固有種です。日本などで観察できるものに比べて、オレンジ色が非常に濃く色合いがとても綺麗です。

マダガスカルヤツガシラ (Madagascar hoopoe, Upupa marginata )

ルリガシラハシリジブッポウソウ:Pitta-like Ground Roller, Atelornis pittoides

英名が、Pitta-like Ground Roller(ヤイロチョウのようなジブッポウソウの意味)で、その名の通り地面の上をピョンピョンと跳ねる姿はまるでヤイロチョウのようです。きらきらと輝く青色が非常に美しく多くのマダガスカルの野鳥図鑑の表紙を飾っている鳥です。

ルリガシラハシリジブッポウソウ (Pitta-like Ground Roller, Atelornis pittoides )

ヒルヤモリの仲間

ヤモリは、夜行性の種類が多い中で昼に活動する種はヒルヤモリと呼ばれます。昼の生活でも擬態をする為、緑色をしている種類が非常に多いのが特徴的です。ヨツメヒルヤモリ (Four Spot Day Gecko, Phelsuma quadriocellata )、グランディスヒルヤモリ (Madagascar Giant Day Gecko, Phelsuma madagascariensis  )など多くの種類を観察することができました。

ヨツメヒルヤモリ (Four Spot Day Gecko, Phelsuma quadriocellata )

キリンクビナガオトシブミ :Giraffe Weevil, Trachelophorus giraffa 

キリンのように長い首を持つオトシブミの仲間です。卵を産んだ後、幼虫のえさとなる葉で卵を包み込み、木から切り離して地面に落としてしまう姿の観察にも成功しました!

キリンクビナガオトシブミ (Giraffe Weevil, Trachelophorus giraffa )

マダガスカルの動物というとキツネザルの仲間が有名ですが、日中に見られるさまざまな生き物を紹介させていただきました。次回は、夜のマダガスカルの生き物です!

 

Photo & text : Wataru HIMENO

Observation : Oct 2023, Madagascar

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マウンテンゴリラ Mountain gorilla(ブウィンディ原生国立公園・ウガンダ)


ウガンダ共和国の南西部に位置するブウィンディ国立公園で出会ったマウンテンゴリラです。

ゴリラは2種4亜種に分類されます。ヒガシゴリラの亜種(ヒガシローランドゴリラ、マウンテンゴリラ)とニシゴリラの亜種(ニシローランドゴリラ、クロスリバーゴリラ)。

今回出会ったマウンテンゴリラはアフリカ中部のウガンダ、ルワンダ、コンゴ民主共和国の3ヶ国の国境に広がるアルバータイン地溝帯のみに棲息し、近年の保護活動の成果から現在1000頭を超える数にまで増えてきています。日本の動物園のゴリラは全てニシローランドゴリラなので、マウンテンゴリラに会うためには現地に行くしかありません。

葉っぱや樹皮などを食べるマウンテンゴリラは「餌付け」が難しいので、観光客が観察できるゴリラのグループは人に慣れさせる「人付け(habituation)」という人への馴化作業が必要になります。研究者やトラッカーが初めは200mくらい離れたところから観察を始めて、だんだん距離を縮めていきます。もし近づきすぎてゴリラが威嚇してきたりした場合はもう少し距離を置いて様子を見るというのを繰り返し、完全に人に馴化するのには2~3年かかるとのことです。


マウンテンゴリラのトラッキングは片道1時間~3時間ほどかかります。
今回は1時間半ほどで出会えましたが、特に最後のゴリラに接近するあたりでは、ジャングルの中の急な斜面を草や枝をマチェットで折りながら下っていきます。


急な斜面を滑って転びそうになりながら下っていくと、ついにゴリラを追うトラッカーたちと合流。そのすぐそばでふさふさとした黒い固まりがあると思ったら、子供のゴリラでした。


そのすぐそばの2匹のメスたちは器用に指を使って毛づくろいをしていて、その姿はまるで人間のようでした。

今回出会ったマウンテンゴリラのグループは「ムクングジ(Mucunguzi Group)」というグループで、ムクングジとは雄のリーダーであるシルバーバックの名前でもあり、「救世主 Savior」を意味します。

ムクングジが別のグループのリーダーである「ビギンギ」からメス数頭を奪って(救い出し)、自分のグループを作り、現在は15頭のメンバーで1頭のシルバーバックに、7頭の大人の雌、2頭の若い雌、5頭の子供や幼児がいます。


その後、しばらくすると近くにいた雄のシルバーバックの「ムクングジ」(↑の写真左上)を発見。メスや子供たちと横になって休んでいます。


生後1年ほどの赤ちゃんゴリラが、お昼寝をするお父さんやお母さんに遊んでほしそうにちょっかいを出しています。

横になったメスの足がシルバーバックの体に乗っかっています。


観察しているとゴリラが2mほどの距離まで近づいてきました。
さらに最後にはシルバーバックも起き上がり、のそのそとこちらに向かって歩いてきました。


オスは通常8歳くらいで大人になりブラックバックと呼ばれますが、13歳を超えると背中から腰にかけて毛が灰色(シルバー)になりシルバーバックと呼ばれ、さらに18歳頃になると後頭部が盛り上がってきます。


寝起きでまだ眠いのか、大あくび。


あっという間に観察の制限時間である1時間が終わってしまいました。
野生のゴリラの寿命は野生下で35年~40年ほど、この子供が大きくなる前にはもう一度会いに来たいと強く思わされました。

 

Photo & text : Wataru Yamoto

Observation : Feb 2024, Bwindi Impenetrable National Park, Uganda

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ウガンダ・ルワンダ マウンテンゴリラ&ゴールデンモンキートレッキング

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天売島(北海道)の夜の生き物 

2023年の夏を天売島で過ごした姫野のレポートです ♪

天売島は北緯44度に位置するため、春から夏にかけての日照時間が長く空が完全に暗くなるのは21時ごろです。朝も3時ごろには明るくなり始めるため、夜行性の生き物たちは短い夜を世話しなく生きています。

夜行性の生き物と言えばフクロウの仲間。2023年度は、トラフズク (Long-eared Owl) の繁殖が確認できました。

トラフズク (Long-eared Owl)

春先には、3羽のヒナを確認しましたが、7月の前半からは2羽しか確認できなくなってしまいました。自然の厳しさを実感です。

日本のキーウイ(Kiwi) こと ヤマシギ (Eurasian Woodcock) も天売島には生息しています。ニュージーランドに生息するキーウイ同様、夜行性で地表近くに生息するミミズなどを捕食しますが、ヤマシギは空を飛べますので生息範囲が広いのが特徴です。また、嘴に多数の穴が開いていて、神経が通っているため、地面に差し込んだ嘴で獲物の動きなども感知できるそうです。

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

ヤマシギ (Eurasian Woodcock)

また、暖かい日の夜は天売島に生息する唯一のヘビ、マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper) も活発になります。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

夜行性のヘビとして紹介されることも多いですが、天売島では春先などの肌寒い季節にはお昼の時間帯により活発に活動している印象を受けました。爬虫類でありながら、卵ではなく子供を直接産む卵胎生であるため、春先の一日の温度差の激しい天売島で効率的に繁殖し、この島で生息する唯一のヘビになったのではないかと思います。

マムシは、日本では最も有名な毒蛇で、「マムシ=危険」というイメージが根強く車などでも轢かないように運転する意識も、他の生き物に比べて低いためか、シーズン中には幾度となく車にひかれて亡くなったであろう個体を見かけました。

マムシ (Japanese Mamushi Viper, Japanese pit viper)

天売島に生息する唯一の両生類、ニホンアマガエル (Japanese tree frog) も夜になると活動を始めます。

ニホンアマガエル (Japanese tree frog)

周囲12kmほどの小さな島であるため、安定した淡水の水場が少なく、常に水が必要な両生類の生息できる環境は非常に限られていますが、廃船にたまった雨水やわずかな湧き水の水たまりなど、海岸からほど近い場所にも関わらず数多くの個体が繁殖しています。

また夜の観察後には、きれいな星空が広がっていることも。晴れさえすれば、ほぼ確実に流れ星も確認できます。

夜の前浜港

天売にいらっしゃった際は、最後に夜空も見上げてみてください。

Image & Text: Wataru HIMENO
Observations at Teuri Island in Summer 2023

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アカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise(ワイゲオ島、インドネシア)

ゴクラクチョウ(極楽鳥)とも呼ばれるフウチョウの仲間はインドネシア東部、パプアニューギニア、オーストラリア東部に45種が生息しています。その中でも最も色鮮やかとされるのが、このアカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise のオスです。

アカミノフウチョウ Wilson’s bird-of-paradise はインドネシアの固有種で、南西パプア州のワイゲオ島とバタンタ島の丘陵地と低地の熱帯雨林にのみ生息しています。このうち、ワイゲオ島でアカミノフウチョウを観察する機会がありました。ワイゲオ島は世界でもトップクラスのダイビング・デスティネーション、”ラジャアンパット諸島”の島です。

ハイドから撮影したアカミノフウチョウの動画です。鳴き声が美しく、口の中は薄黄緑色!

自分の「ディスプレイ・コート」の葉っぱをお掃除する様子は愛らしい限りです。

訪れた保護林では付近に4か所のアカミノフウチョウが現れるディスプレイ・コートがあるとのことでした。が、熱帯雨林の道を歩くのは大変なので一番近いハイドを訪問しました。夜明け~朝9時くらいがコアタイムです。ハイドの座席に座り、出現を待ちます。木陰でオスが鳴きはじめました。

アカミノフウチョウは体長が16cmほどで、飾り尾羽を含めて21cmほどの大きさです。オスは赤と黒の羽色で、首は黄色の羽毛、青紫の足と銀紫の尾羽。頭は鮮やかな水色の皮膚に黒い羽毛が模様を作っています。胸はビロードのような光沢をもつ緑色です。

アカミノフウチョウと近縁種のキンミノフウチョウのオスは縄張りを持ち、熱帯林の一画に「ディスプレイ・コート」を作ります(このコートは別のオスが使うこともあり、長期間メンテナンスされるそうです)。コートの中央に垂直の枝があり、この枝にとまってディスプレイを行い、メスにアピールします。研究者のレポートによると、このディスプレイをメスの視点から見ると、オスは鮮やかな緑の円盤に見え、口の中の薄黄緑と相まって驚異的な色表現が行われているのだそうです。

こちらがアカミノフウチョウのメスです。他のフウチョウの仲間と同様にオスと比べると断然地味。頭は同じように青い皮膚がむき出しになっています。

アカミノフウチョウは1羽のオスが複数のメスと交尾をし、メスは一羽で子育てをします。なので、DNAをもらうだけの相手選びは慎重に行われるようです。こう見えて、オスはひたすら選ばれるためにがんばらばくてはなりません。

ハイドでの観察は、ディスプレイ・コートのまわりでオスが鳴きはじめ、そして次にコートのお掃除。落ちている葉っぱをくちばしで取り除きます。そしてメスが現れます・・・。

オスの華麗なディスプレイを「メスの視点」で見るのは至難の業ですが、森にアカミノフウチョウのオスが姿を現し、声を聞いただけでもここまでやってきた苦労が報われる出会いでした。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Nov 2023, Waigeo Island, Raja Ampat, Southwest Papua, Indonesia

※ワイゲオ島を含むラジャアンパット諸島とドベイラ半島は2022年12月に「西パプア州」から分立して「南西パプア州」となりました。

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スカーレットアイビス / ショウジョウトキ Scarlet ibis (トリニダード・トバゴ)

トリニダード島の西岸にあるカロニ湿原にて観察したスカーレットアイビス(和名:ショウジョウトキ)の群れです。

カロニ湿原のスカーレットアイビスはベネズエラとの間を行き来していると考えられています。毎朝、餌をも求めてカロニ湿地を飛び立ったスカーレットアイビスはあちこちの湿地で採餌し、夕方になると群れをなしてカロニ湿原に戻ってきます。


夕方の帰巣の様子は圧巻の光景です。


巣のある木に順番に帰ってくると、赤い実がなる木のように見えます。

カロニ湿原はおよそ103.6平方キロメートルの湿地帯です(大きさは資料により異なっています)。
マングローブ林、沼地、干潟を含むこの湿地は海水と淡水の両方の生物多様性に富んだ湿地です。ラムサール条約にも登録されています。

観察に適した時期は11~3月いっぱい。年中観察はできますが、4月の半ばごろから9月半ばは繁殖のため見える個体数が少なくなります。

マングローブ林の中にはカニもいました!
スカーレットアイビスの赤色は、餌となるこういった甲殻類に由来します。

雛は黒~灰色でまったく赤くありません。上の写真は若鳥で灰色、茶色、白色が混ざりますが、摂取する赤色のもととなる甲殻類により、成長に伴い赤色をまします。通常、巣立ちの頃に赤色が現れ、2年でほぼ真っ赤になります。

1962年トリニダード&トバゴが独立したとき、スカーレットアイビスは「国鳥」に選ばれました。

スカーレットアイビスの生息するエリアまで、マングローブ林の間をボートで進んでいくのも楽しみの一つです。
道中に様々な動物が見られます。特に鳥類は100種以上も生息します。

小さく丸まったヒメアリクイPygmy anteater。世界最小のアリクイです。
木の一部のように同化しているので見つけるのが難しいです。

水辺には、スカーレットアイビスと共にベニイロフラミンゴ American Flamingoも見られます。

夜行性のために目が大きいヒロハシサギ Boat-billed Heron。求愛行動の際はクチバシを鳴らすこともあります。

オニクイナ、こちらもスカーレットアイビスと同じく甲殻類、魚、昆虫などを採食します。

この美しい帰巣風景がいつまでも続くことを願っています。

 

Photo & text : Mariko Sawada & Wataru Yamoto

Observation : Apr 2018 & Mar 2019 , Caroni Swamp , Trinidad and Tobago

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南米に最も近いカリブの自然 トリニダード&トバゴ

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ミナミコアリクイのメイティング(交尾) Southern tamandua mating (北パンタナール、ブラジル)

北パンタナールのポウソアレグレ・ロッジ付近で、珍しいミナミコアリクイのメイティング(交尾)の様子を観察できました。

ナイトサファリにて最初は1匹のミナミコアリクイのメスを見つけました。

すぐに近くにもう1匹のミナミコアリクイがいることがわかりました。

オスがメスに追いつきます。

色の濃い方がオス、薄い方がメスです。
ミナミコアリクイの雌雄にサイズの違いはなく見分けるのが難しいのですが、今回は交尾しているため簡単に見分けがつきました。

繁殖期でペアでいるか、子育て中で子どもといる以外、ミナミコアリクイは通常単独で行動します。

交尾の時期は秋と言われていますが、観察できたのは冬の時期(8月)でした。
妊娠期間は130日から150日ほどで、通常1匹、まれに双子が生まれます。

↓はミナミコアリクイの交尾中の動画です。


今回、別の日に「ミナミコアリクイの子どものおんぶ」も見られました。
下の写真は交尾と似ていますが、こちらは母親が子供を背中にのせる様子です。

他のアリクイの仲間と同じく、生後1年ほどは母親が背中にのせて移動します。
ガイドさんによると、背負うにはサイズが大きすぎるので、親離れできない2歳近い子供ではないかとの話でした。

今回、さらにもう一匹、ポウサダ・ピウヴァルの近くで木に登る可愛らしいミナミコアリクイもみられました。
地上性のオオアリクイに対して、樹上性のミナミコアリクイ。
食べるものはシロアリ・アリと被るのですが、生息環境で棲み分けをしています。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Aug 2023, Pouso Alegre Lodge & Pousada Piuval, Pantanal, Brazil

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オオミミギツネ Bat-eared fox(ボツワナ)


ボツワナ東端のマシャトゥ動物保護区で、オオミミギツネ Bat-eared foxとの素敵な出会いがありました。

アフリカのサファリでは「ビッグファイブ Big 5」が有名ですが、なかなか出会うのが難しい動物「シャイファイブ Shy 5」もいます。オオミミギツネとミーアキャット、ツチブタ、ヤマアラシ、アードウルフの5種で、出会えたらとてもラッキーな動物たちです。


最初はトラッカーが見つけたくれたのですが、「あそこにいるよ」と平坦な草原を指さしてくれましたが、周りの岩と同化して中々見つけることができませんでした。


オオミミギツネは草原やサバンナ、特に草丈の低い地域に生息しています。黒い靴下を履いているような足が素敵です。


大きな耳が特徴で、英語ではBat-eared Fox「コウモリの耳のキツネ」を意味します。大きな耳でシロアリなどの地中にいる虫の動きを探知して捕まえます。

イヌ科の中では珍しく昆虫を主食とし、シュウカクシロアリ(シロアリの一種)が食事の80~90%を占めることもあると言われています。虫を食べるため臼歯が多く、小さな歯が46~50本も生えていてます。イヌ科の中では歯の本数が最多で、原始的なイヌ科の証拠とされています。


気温が低い時間帯しか活動しないので、ケニア・タンザニアなどの東アフリカでは夜か明け方でしか観察が難しいといわれます。しかし、アフリカ南部の冬は気温が低いので日中も活動している姿を見ることができます。


こちらにも慣れてきたのか、リラックスして2匹で毛づくろいをし合う愛らしい姿も見られました。

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Mar 2023, Mashatu Game Reserve, Botswana

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アカアシドゥクラングール Red-shanked Douc Langur(ベトナム)

「霊長類の女王」「世界一美しいサル」と呼ばれるアカアシドゥクラングール Red-shanked Douc Langurです。

ベトナム中部の都市ダナン、その北東のソンチャ半島に位置するソンチャ自然保護区の狭いエリアに、ベトナム全体の40~50%のアカアシドゥクラングールが生息しています。

英名 Red-shanked Douc Langur(赤いスネをしたドゥクラングール)で、ドゥクは古代のベトナム語で猿を意味します。

またベトナム語でVoọc ngũ sắc「5色のラングール」と呼ばれ、顔のオレンジ、髪の黒、ヒゲの白、エリや脛の赤茶色、体の灰色の5色です。


尾の付け根にある白い三角形がとても印象的です。


リーフイーター(葉喰猿)の仲間で、木の葉、特に新芽を好んで採食していました。
牛などの反芻動物と同じように胃が四つに分かれていて、消化酵素をもつ微生物を前胃に共生させて、その力を借りてセルロースを分解しています。
水分も葉から吸収するので、水を飲むために地上に降りることはないと言われます。

 

このアカアシを含め、ドゥクラングール属は3種のみで、クロアシドゥクラングール Black-shanked Douc Langur 、ハイアシドゥクラングール Gray-shanked Douc Langur がいます。いずれも脛(スネ)の色で種を識別できます。
3種全てベトナム中部から南部に生息し、一部が隣接するカンボジア、ラオスにも生息しています。


ベトナム南部のカッティエン国立公園ではクロアシドゥクラングール Black-shanked Douc Langur も見ることができました。


同じくカッティエン国立公園ではピグミースローロリス Pygmy slow lorisも。

他にもキホオテナガザル、ハティンラングール、キタブタオザル、アカゲザル、カニクイザルと霊長類尽くしのベトナムの旅になりました。

 

Photo & text : Wataru Yamoto

Observation : March 2023, Son Tra Nature Reserve & Cat Tien National Park, Vietnam

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スリランカコサイチョウの子育て Sri Lanka Grey Hornbill

スリランの固有種、スリランカコサイチョウ Sri Lanka Grey Hornbill。「サイチョウ(サイのような角を持っている鳥)」なのに、その一番の特徴となる上嘴のふくらみ(CASQUEカスク)がない、45cmくらいの小型のサイチョウです。スリランカのサイチョウは、この固有種のスリランカコサイチョウとカササギサイチョウ  Malabar pied-hornbillの2種のみです。

見た目はオスもメスも同じですが、オスは薄い黄色のくちばし、メスは薄い黄色に黒いパッチのあるくちばしをしています。

スリランカコサイチョウも、他のサイチョウと同様の独特な子育てをします。

繁殖期になると巣となる木の空洞を探し、メスが中に入ると糞や泥などで穴の入り口ふさいで小さくし、オスのくちばしが入る程度の大きさにします。メスはこの隔絶された穴の中で2~3個の卵を産み、抱卵し、雛の世話をし、巣立ちの1週間くらい前までの期間を過ごすのです。この間に羽、尾羽の換羽もおこります。

オスは頻繁に巣の中にいるメスに餌を運びます。その様子を撮影した動画です。オスが赤い木の実1つを銜えてやってきてメスに与え、そのあと7つの木の実を吐き戻してメスに与えています。

Sri Lanka Grey Hornbill スリランカコサイチョウ

この巣穴では2月下旬にオスが巣穴に通っているのを観察し、4月半ばもオスが通っていました。資料によると、一般的にスリランカコサイチョウの繁殖期は2~6月で、5~6月に巣立ちが観察されるそうです。スリランカコサイチョウは国のドライゾーンにもウェットゾーンにも広く分布し、雨の量や実のなる季節・場所により繁殖期は少し異なるそうです。

雛の巣立ちの一週間ほど前にメスは穴を壊して出てきます。その時には換羽後のきれいな姿で出てくると言います。そしてオスとメスの両方で雛に餌を運び、雛の巣立ちの時を迎えます。研究者の観察記録によると、メスが巣に入ってから雛の巣立ちまで104日。メスは95日以上を暗く小さな木の穴で過ごしたのです!

この写真は2月下旬に撮影。オスが緑色のトカゲ、Green Garden Lizard (Calotes calotes) を運んできました。

メスがじたばたするトカゲを呑み込んでいきました。↑↑ トカゲの尻尾が穴に吸い込まれていく様子です。オスは木の実やトカゲ、ヤモリ、虫などをメスに運びます。

観察場所の様子。この巣のあった木は他にも3か所の樹洞があり、固有種のクリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owletも同時期に巣をつくっていました。距離を置いて、静かに見守りましょう。

午前はとくに忙しく、巣穴にせっせと餌を運ぶオス。繁殖期以外ではペアか、家族の小集団で見かけることが多いスリランカコサイチョウ。メスと雛がでてくるのが、待ち遠しいことでしょう。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb-Apr 2023. Sinharaja Forest, Sri Lanka

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ミズオオトカゲ Water Monitor(スリランカ)

コモドオオトカゲにつぐ大きさのトカゲが、このミズオオトカゲ Water Monitor。大きな個体は2~2.5mにも成長します。

スリランカ、インドのアンダマンとニコバル諸島、バングラディシュ、東南アジア諸国、インドネシアの島に生息するミズオオトカゲ  Varanus salvator。スリランカのミズオオトカゲは Varanus salvator salvator、スリランカの固有亜種です。

Water Monitor ミズオオトカゲ

シンハラジャの森で雨の中、カッコよく歩いている大きなミズオオトカゲを撮影しました!

こちらはマングローブ林を泳ぐオオミズトカゲ。

その英名 Water Monitorの通り、水辺にいて、水によく入り、泳ぎや潜水を得意とします。スリランカではマングローブ林や湿地、川、湖、町の水路でも見られます。

昼行性でテリトリーを持ち、泳ぐ姿や水辺で日向ぼっこしている様子をみかけます。

子供個体は黄~茶色で黄色の斑点があります。

こちらはインドのアンダマン島のオオミズトカゲ  Varanus salvator andamanensis。アンダマン&ニコバル諸島の固有亜種です。シロハラウミワシが持っている肉に惹きつけられてました。

オオミズトカゲは昆虫、魚、カニ、カメの卵、水鳥、小型哺乳類、そして死肉を食べます。

木の枝でくつろぐ、アンダマン島のオオミズトカゲ  Varanus salvator andamanensis。体は黒っぽく、斑紋がほとんどない個体もいます。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : March 2023 Sinharaja forest, Bentota (Sri Lanka), Dec 2022 Andaman Island (India )

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