カテゴリー別アーカイブ: ■動物を観察した地域・国

オオカワウソ Giatn Otter (パンタナール)


“川のオオカミ”とも呼ばれるオオカワウソに出会いました。
北パンタナールのポルトジョフレからクイアバ川をボートで進んでいると、水音とともに現れたのは4頭のオオカワウソの家族でした。

オオカワウソは体長が1.5~1.8メートルにも達し、現生のカワウソ13種の中で最大の種です。
「川のジャガー」や「川のオオカミ」とも呼ばれ、群れで連携しながら魚を追い込み、俊敏に捕らえる姿はまさに水中のハンターです。

食物連鎖の頂点に君臨する捕食者で、集団だとジャガーすら追い払うほどです。


今回、観察した家族も見事な連携を見せ、ナマズを捕まえて水面に浮かび上がりました。

獲物としてピラニアやナマズだけでなく、大きなウナギの仲間(Marbled Swamp Eal)を捕らえることもあります。(2018年9月撮影)


水かきのある手でしっかりと押さえて食べます。

オオカワウソは非常に社会性が高く、群れの中では常に鳴き声でコミュニケーションを取ります。10種類以上の音声を使い分けるとも言われ、観察中も親と子が短い鳴き声でやり取りする様子が見られました。

白い喉の模様は個体ごとに異なり、個体識別の手がかりとなります。

パンタナールでは比較的安定した個体群が維持されていますが、生息地の開発や水質汚染が脅威となっています。この地域でオオカワウソが見られること自体、環境の健全性を示す指標とされています。

今回観察した4頭の家族は人への警戒心はとても薄い印象でした。


水中とは違い、陸上で見るオオカワウソの顔はとても可愛らしいかったです。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Sep 2025, Cuiaba River, Porto Jofre, Pantanal, Mato Grosso, Brazil

パンタナール ジャガーサファリ10日間
ブラジル・パンタナールにジャガーを求めて

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ハシブトウミガラス Brünnich’s Guillemot (スピッツベルゲン島アルケフィエッレ)

スピッツベルゲン島とノールアウストランネ(北東島)の間に広がるヒンローペン海峡。その西岸にそびえる断崖アルケフィエッレ(Alkefjellet)は、スヴァールバル諸島を代表する海鳥の一大コロニーです。Alke=ハシブトウミガラス、Fiellet=山で「ハシブトウミガラスの山」を意味します。

ゾディアックに乗りこみ、断崖で営巣するハシブトウミガラスを観察します。

ハシブトウミガラスの糞で断崖が白とピンクに染まります。ピンク色は甲殻類を食べている影響でしょうか。

高さ100mもの垂直な崖には、およそ6万のハシブトウミガラスのつがいが、短い夏に命をつなぐ営みが繰り広げられます。シロカモメやミツユビカモメも少数ながらこの断崖を利用しています。

崖の周囲では、ハシブトウミガラスが絶え間なく飛び交います。この光景が見られるのは、氷が解ける夏の営巣期だけ。わずかな期間に求愛・産卵・抱卵・雛の巣立ちまでを終えなければなりません。夏の繁殖シーズンが終わるとこの断崖には一羽もいなくなり、また翌年同じ個体が同じ場所に戻ってきます。

断崖は玄武岩の一種であるドレライト(粗粒玄武岩)でできており、自然に形成された柱上の台の上が産卵場所になります。


上の写真はハシブトウミガラスの卵です。抱卵していないので放棄された卵に見えます。ハシブトウミガラスは巣を作りません。巣材は使わず、岩の上に直接卵を産みます。その卵は先端が細くなった楕円形で、転がっても海へ落ちず、くるくると回って元の位置に戻る仕組みで、崖から落下しにくくなっています。

ハシブトウミガラスは優れた潜水能力を持ち、翼を使って水中を飛ぶように泳ぎ、小魚や甲殻類を捕らえます。獲物をくちばしにくわえて断崖の巣まで運び、雛に与えます。

7月のこの時期はまだ抱卵中でしたが、雛が巣立つ時は、まだ飛ぶ力が弱いので真っ逆さまに海へ飛び降ります。そのため海から近い断崖に卵を産みます。海から遠い断崖の場合は、ヒナは歩いて海までたどり着かないといけません。海まで辿り付けないとその間にシロカモメやホッキョクグツネなどに食べられてしまうこともあります。その後、沖合で親から餌をもらいながら成長します。


ハシブトウミガラスを捕食するシロカモメ

営巣地の背後には氷河が広がり、雪解け水が無数の小さな滝となって断崖を流れ落ちています。澄んだ水と黒い玄武岩、そして空を舞う海鳥たち――この時期だけの北極の絶景です。

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Jul 2025, Alkefjellet, Spitsbergen, Svalbard, Norway

北極海に浮かぶ野生動物の聖域 スピッツベルゲン北極圏の野生動物・野鳥の観察・撮影をチャーター船で楽しむ10泊11日の究極のワイルドライフクルーズ

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スヴァールバルトナカイ Svalbard Reindeer(スピッツベルゲン島)

スピッツベルゲン島で出会った「スヴァールバルトナカイ」。

トナカイは北極圏周辺のみに分布しますが、スヴァールバルトナカイは名前の通りスヴァールバル諸島の固有亜種です。トナカイの中で最も小さな亜種で、遺伝的な隔たりが大きいので別種とする研究もあるようです。

トナカイはシカ科で唯一、古くから家畜化された動物ですが、スヴァールバルトナカイは野生個体群で、人間による放牧は行われていません。

丸みを帯びた体形で、ずんぐりとした体形と短い足が、スヴァールバルトナカイの特徴です。

通常、動物は高緯度になるほど体が大きくなる傾向(ベルクマンの法則)があるので、スヴァールバル諸島の場合は体の大きなトナカイとなりそうですが、スヴァールバルトナカイは例外で、島の限られた餌資源に適応し小型化(島嶼化)したようです。

7月は毛の生え代わり中で冬毛と夏毛が混じっています。冬には分厚い毛皮をまとい、夏は短くすっきりとした姿に変わります。


頭には立派な角がありますが、トナカイはシカ科で唯一オスもメスも角を持っています。メスが冬に子育てする際、雪を掘り起こして子供に餌を与える必要があるのようです。訪れた7月はまだ角袋です。角の表面は皮膚と産毛で覆われていています。


驚くべきは、トナカイは哺乳類で唯一「季節によって目の色が変わる」こと。夏は濃い茶色の瞳ですが、冬の極夜になると深い青色に変わります。これは光量が極端に少ない環境で、少しでも光を取り込みやすくするための適応だと考えられています。

地面に顔を近づけて苔や地衣類を食べていました。冬は雪をかき分け、凍った地面の下から掘り出します。

上の写真は今年の春に生まれたばかりの子どものスヴァールバルトナカイです。

トナカイのメスとその子ども。冬毛から夏毛に変わる換毛期のため、メスのトナカイはそこら中に毛をばらまいています。

雪解けの進んだ初夏のスピッツベルゲン島で、苔や地衣類を一心に食べる姿を見かけました。短い足でゆっくりと斜面を移動し、こちらをちらりと見ると、また草を食べ続けます。厳しい北極の冬を越えたとは思えないほど、穏やかな表情でした。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Jul 2025, Nylondon & Ankerfjella, Spitsbergen, Svalbard, Norway

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トビウサギ South African spring hare (オカバンゴデルタ・ボツワナ)

アフリカのカンガルーとも呼ばれる「トビウサギ(South African spring hare)」に、ボツワナのオカバンゴデルタで出会うことができました。
和名・英名ともに「ウサギ」「hare」とついていますが、実際にはウサギ目ではなく、ネズミの仲間である齧歯目に分類される動物です。

ウサギのように大きな耳や、後脚だけを使って跳ねる姿を見ると、「ウサギ」と呼びたくなるのも納得です。
ジャンプの際には大きな後ろ脚と長い尾でバランスをとりながら、まるでカンガルーのようにぴょんぴょんと跳ねて移動します。

前足には鋭い爪があり、これを使って穴を掘ります。サバンナの地下にトンネル状の巣穴を作り、群れで生活しています。完全な夜行性のため昼間はこの巣穴で休み、真っ暗になると外に出てきて活動を始めます。

そのため昼間のサファリでは一切姿を見かけませんが、ナイトサファリになると、一気にトビウサギたちが地上に現れ、活発に動いている様子が観察できます。

なお、ケニアやタンザニアで見られるのは別種の「ヒガシトビウサギ」です。
現生のトビウサギ科は、この南部アフリカに生息する種と、ヒガシトビウサギの2種だけで、他の種はすでに絶滅しています。


彼らは植物の根や新芽を食べる草食性で、四つん這いでエサを探しますが、食べるときには後ろ脚と尾を地面につけて体を支え、前足で器用にエサをつかんで口に運びます。

オカバンゴデルタでは、トビウサギのほかにもナイトサファリならではの出会いがありました。

赤茶色の毛が首の後ろにあるのが特徴の「アカクビノウサギ」、こちらは本当にウサギの仲間です。
個人的に大好きなガラゴ(ブッシュベイビー)も木の中で見つけましたが、すぐに幹の陰に隠れてしまい、写真には収められませんでした。

ほかにも、アフリカ最大のフクロウである「クロワシミミズク」、骨をかじる「ブチハイエナ」や、吠えあう「ライオンの兄弟」など、昼間とは違う野生動物たちの姿を観察することができました。

昼とはまるで別世界のオカバンゴデルタ。暗闇に潜む動物たちの姿は観察するほどに奥深く、夜ならではの発見に満ちていました。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Mar 2025, Okavango delta, Botswana

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アンデスイワドリ Andean Cock-of-the-rock(エクアドル)


アンデスの雲霧林で、アンデスイワドリ(Andean Cock-of-the-rock)に出会えました。鮮やかなオレンジ色の羽に、大きな扇形の冠羽が特徴です。

ペルーの国鳥にも指定されているこの鳥は、アンデスを象徴する存在。特にオスの派手な見た目と独特な求愛行動で、鳥好きの間では“憧れの種”とされています。

嘴が見えないのでどちらを向いているのかわからず、一瞬戸惑います。

少しだけかわいい嘴が見えることも。

一方でメスは、茶色とオレンジがかった地味な羽色。巣作りや抱卵に集中するため、目立たない姿で過ごします。実際、今回も橋の下のコンクリート壁に巣を作り、ひとりで抱卵するメスを見かけました。オスは一切営巣にかかわらないため、メスの孤独な子育てが印象的でした。

アンデスイワドリの観察といえば、やはり「レック(lek)」です。レックはオスが集団で求愛ディスプレイを繰り広げる場所で、集団求愛場とも言います。川近くの岩場や洞窟などメスが巣作りできる場所の近くにある森林です。決まった場所で毎年同じように行われます。

観察に適した時間帯は早朝と日暮れ前の1日2回。光の加減がディスプレイの行われる時間と関係していると言われています。

ガイドさんによると、ミンド周辺だけでも観察できるレック用のハイド(観察小屋)が5ヶ所ほど設置されており、その年の活動状況や季節に応じて案内してもらえます。

レックでは、複数のオスたちが激しいパフォーマンスを繰り広げます。
大きく羽ばたいたり、跳ねたり、独特な鳴き声を響かせながら、メスの関心を引こうと必死です。

今回の観察中、運よくメスが近づいた瞬間がありました。そのとたん、オスたちの動きは一気に激しさを増し、鳴き声もいっそう大きくなりました。私からはメスの姿は見えませんでしたが、オスたちの反応からメスの存在をはっきりと感じ取ることができました。

なお、オスは繁殖においてディスプレイと交尾のみを担当し、巣作りや抱卵など子育てには一切関与しません。彼らは一年中レックに現れ、求愛とその“練習”を続けているのです。

英名の「Andean Cock-of-the-rock」は、“アンデスの岩場の雄のニワトリ”という意味です。写真だけ見るとなんでニワトリと思いますが、レックでのメスへアピールする鳴き声を実際に聞けば、その名前にも納得です。

なお、近縁種としてギアナ高地に生息する「ギアナイワドリ」もいますが、アンデスイワドリとは生息域が重なっていません。

↑↑↑ は2019年にガイアナで出会ったイワドリ(ギアナイワドリ)です。

今回出会えたアンデスイワドリは、見た目も動きも、想像以上にインパクトのある鳥でした。鮮やかな羽の色や変わった頭の形はもちろん、あの全力のアピールや鳴き声まで含めて、「本当にこんな鳥がいるんだな」と思わせてくれる、忘れられない出会いになりました。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : May 2025, Mindo Valley, Ecuador

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オオミミギツネの家族(クワンド・ボツワナ)

ボツワナ北部、ナミビアのカプリビ回廊との国境沿いに広がるクワンド川流域にて「オオミミギツネの家族」と出会いました。
クワンド川流域は湿地や草原に富んだ野生動物の宝庫で、今回の観察地もその川近くのサバンナ地帯でした。

それは帰国当日の早朝のこと。
それまでの観察でも何度かオオミミギツネの姿は確認できたものの、いつもすぐに茂みに逃げ込んでしまい、なかなかじっくりと観察することができませんでした。
ところがこの日は様子が違い、開けた場所でのんびりと過ごすオオミミギツネの群れに出会えたのです。

しかも、その数は6頭。
通常、サファリで目にするのは2頭のオオミミギツネが多いのですが、今回は群れで、互いにリラックスした様子を見せていました。

オオミミギツネは東アフリカと南部アフリカで亜種が分かれており、今回見たのは南アフリカの亜種(Otocyon megalotis megalotis)です。この南部の亜種は、一夫一婦制でつがいとその子どもたちが家族単位で生活する習性があります。

オオミミギツネは一度の出産で4〜6匹の子を産みますが、母親には乳首が4つしかないため、4匹までしか育たないとされています。

今回の群れも、親2頭とその子ども4頭からなる家族だったのかと思います。

観察した子どもたちはすでにかなり成長しており、大人とほぼ同じサイズか若干小さい程度に見えました。

ボツワナでは、オオミミギツネの出産は10月~12月とされており、今回の3月の観察時には子どもたちは生後4~5ヶ月ほど。生後5~6ヶ月で家族集団を離れるといわれているため、もしかするとこれは子どもたちが親元で過ごす最後の数日だったのかもしれません。

朝の挨拶なのか、すれ違いざまにお互いを舐めあう子供たち。

家族のきずなを感じさせる穏やかな時間の中、のんびりとした時間を過ごす親子の姿がとても印象的でした。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Mar 2025, Kwando concession, Botswana

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海鳥の春 – 4月の天売島ワイルドライフ 2025

昨年に引き続き、春の天売島ワイルドライフのレポートです。観光客の姿がほとんどない静かな4月の天売島ですが、冬が終わり芽吹く緑、そして繁殖期を迎えた海鳥は大変活発な動きを見せ、生き物好きにはなかなか良い季節なのです。

西遊旅行の北海道2件目の宿となる「天売マフレ」開業準備のため4月12日~18日まで滞在し、その間に観察したワイルドライフの記録です。赤岩展望台からハクチョウの北帰行を見つけてくれたガイドの今堀魁人さん、天気の合間を見てケイマフリ号を朝と夕に操船してくださった寺沢孝毅さんに感謝です。小型ボートから見る海鳥の躍動はまさにスペクタクルでした。

①ウミネコ営巣地・黒崎海岸

今年さらに営巣地が拡大の様相です。4月の半ばはウミネコたちがそれぞれの営巣場所を主張しとてもにぎやか。疑似交尾?交尾?の姿も見られました。ウミネコは日本では普通種ですが、生息地が極東アジアに限られるため海外のバーダーにとっては珍しい海鳥だそうです。特に黄色い目のまわりにある赤いアイリングが際立ち、鋭い目に見えます。

繁殖地のウミネコ

冬を越したクジャクチョウ、春を感じさせる光景です

②夕方~日没後の赤岩展望台

晴れた日にはサンセット~ウトウの帰巣と2時間以上たっぷり楽しめる場所が赤岩展望台。海に沈む太陽、夕日の利尻富士を望み、そしてウトウの帰巣を待ちます。その時、聞きなれない鳥の声が。ガイドの今堀さんが「コハクチョウ」と。なんと北帰行で飛んでいるコハクチョウの声だったのです。天売島でハクチョウの北帰行を見られるとは思ってもいませんでした。
暗くなり、ウトウが戻ってきました。この時期は抱卵中で雛がかえった後のような勢いのある帰巣風景ではないですが、イタドリに覆われていない巣穴が見えるウトウ繁殖地では、戻ってきたウトウがまる見え。また雛に魚も運んでいないのですぐに巣穴に戻る必要もなく、ウトウの写真を撮りやすいのがこの季節です。
*夜8時30分をすぎると道路がウトウだらけになります、ウトウの交通事故を防ぐためにこの時間までには繁殖地を出ましょう。

今堀魁人さん撮影、夕日の赤岩展望台から見たハクチョウの北帰行

着陸してもすぐに巣穴に入らないウトウ

動かないな、と思っていたら一気に巣に入っていきました。

満月に照らされた海面を背景に、次々に戻ってくるウトウ

③朝の赤岩展望台

眼下の「天売ブルー」の海にはウミガラス、ケイマフリの姿が。ガイドの今堀さんの話ではもう間もなく、岩場で求愛するケイマフリの姿が見られるようになるそうです。

利尻富士-天売島から見る利尻富士は格別

海上のウミガラスとケイマフリ

ゴマフアザラシの姿も

④夕方のケイマフリ号

晴れて波風が穏やかな夕方にのみ実現するこのクルーズ。4月17日の夕方のクルーズで見た光景は「ここは千島列島か」と思うほどの豊かな海、海鳥の躍動。プランクトンが豊かで、そこで潜水するウトウ、上空に舞うウミネコ。列をなして飛ぶウトウの数を見て天売島の豊かな自然に感謝。

洋上を群れで飛ぶウトウ

日が落ちてもまだ海へ飛んでいきます

ウミネコも洋上に待機。ウトウ、ウミネコが舞う天売島の夕方の海

⑤朝のケイマフリ号

赤岩付近の岩場ではケイマフリの声が響きます。そしてこの日のスペシャルは利尻富士背景のケイマフリたち。一緒に撮れるチャンスを待ちましたがそんなに簡単には行かないですね。
ちょうど港に戻るとき、寺沢さんが「あの鳥はなんだ」と・・・ハクチョウの北帰行でした。利尻富士を越えサハリン方面へと飛んでいくハクチョウを見送りました。

ウミガラス  繁殖地に設置されたデコイの中から飛び出してきました

赤岩周辺の岩礁のゴマフアザラシ

シノリガモ 4月はまだ天売島にたくさんいます

愛らしいケイマフリの姿

洋上に集まるケイマフリ

利尻富士とケイマフリ

今堀魁人さん撮影、天売の海から見る利尻富士とハクチョウの北帰行、夢のような写真です!

今堀魁人さん撮影、ハクチョウの北帰行

昨年は4月15日に「群来(くき)」が天売島で起こり、今回も滞在中に「群来(くき)ったらいいね」と話していましたが、それはかないませんでした。が、4月12日と18日の2回、ハクチョウの北帰行を見れたことは、とても嬉しいものでした。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA, Photo of “Swans returning north” taken by Kaito Imahori

Observation : April 2025, Teuri Island 天売島

★ TEURI ISLAND. ☜天売島のHPを公開しています!

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ヒメホタルの乱舞

和良川のオオサンショウウオとホタル(2)

ヒメボタルの乱舞

ヒメボタルの乱舞

和良川の支流や山間部にかけて観賞できるホタルはゲンジボタル(源氏蛍)とヒメボタル(姫蛍)の2種類です。みなさん、ホタルは皆、川辺に生息していると思っていませんか?日本に生息するホタルは約50種類いますが川辺に住む蛍は3種(ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマボタル)。この3種のみが幼虫時を川で過ごし、カワニナなどを餌にし、成虫になると川辺で光って繁殖行動をします。そのほかの種は山蛍と呼ばれ、山の中でカタツムリなどを捕食して成虫になります。日本に住むホタルのほとんどが山蛍なのです。

ゲンジボタルは午後7時30分以後に光りだしますので、その前に良いポイントに行き待ちます。だんだんと光り初め、やがて山全体と光りがシンクロしたような光景が広がります。この幻想的な光景は是非ご覧いただきたいです。午後8時過ぎにピークを迎え、徐々に光りが収まっていきます。ですが、完全に光が消えるわけではなく、深夜まで光り続けます。

ゲンジボタルの乱舞

ゲンジボタルの乱舞

ゲンジボタルの乱舞

ゲンジボタルの乱舞

午後9時頃にゲンジボタルの観賞を終え、ヒメボタルの観賞に向かいます。このように、一度に2種類の蛍を見れる場所は日本中でもここだけではないのでしょうか。

1時間程でヒメボタルの観察ポイントに着きます。ヒメボタルのポイントは山の中で杉林、雑木林、竹林などですが、これらの場所にはヒルなども生息しているので対策もしなければなりません。

発光のピークをむかえるヒメボタル

発光のピークをむかえるヒメボタル

ゲンジボタルの発光は線のように2秒光って2秒休む(東日本は4秒光って4秒休む)のに対して、ヒメボタルは1秒に2回、フラッシュのように光ります。光跡はロット状になり30秒で60回も光を放ちますのでゲンジボタルとヒメボタルの光跡を見ると線と点になります。

ヒメボタルが多く生息する場所ではシンクロして山が黄色く染まる感じになりますが、岐阜のヒメボタルは深夜型といって夜22時~2時にかけて光りますので、この地域では両方の蛍が観賞できるのです。

2種類の蛍を観賞して宿に戻ると時刻はもう次の日になっていますが、貴重な体験を味わう事ができます。

ハコネサンショウウオ

ハコネサンショウウオ

アカハライモリ

アカハライモリ

日程によっては川の源流域に行って小型サンショウウオ(ハコネサンショウウオ、ヒダサンショウウオ)の幼生を探したり、渓流の魚で西日本にしか生息してないアマゴ、渓流の大食い岩魚や水生昆虫、爬虫類など、目についた生き物を紹介しています。

日本各地、世界各地から多くの方が来てくださり、再訪されるゲストも多くなってきました。今後共皆様に喜んで頂けるよう、和良川のツアー運営に携わっていきます。このフィールドで皆様にお会い出来る日を楽しみにしております。

和良川でお待ちしています!

和良川でお待ちしています!

Text & Photo : Yoshihiro ITO

★関連ツアー:水中写真家・伊藤義弘さん同行 和良川のオオサンショウウオとホタルの乱舞

プロフィール:伊藤 義弘 (いとう よしひろ)
水中写真家、ダイビングインストラクター。西表島での体験ダイビングで海に目覚め、インストラクターの資格を取得。世界各地の海と川を潜る中で、豊かな生態系を有するふるさと岐阜県の川に魅了される。誰もやっていない分野のガイドになる決意をし「伊藤潜水企画」を設立。川に住む生きものをテーマに、川の生きもの案内人として観察会等を企画運営。

和良川のオオサンショウウオとホタル(1)

世界最大の両生類・オオサンショウウオ

世界最大の両生類・オオサンショウウオ

岐阜県飛騨と美濃の中間にある山里を流れる和良川には、日本固有種で、国の特別天然記念物でもあるオオサンショウウオが多く生息しています。また、6月中旬になると、和良川の支流ではたくさんのホタルを鑑賞することができます。

観察時の注意事項として、オオサンショウウオに触れることは一切出来ません。何故ならオオサンショウウオは、日本の特別天然記念物であり絶滅危惧種Ⅱ類(VU)(環境省レッドリスト)に指定された天然記念動物として手厚く保護されている生き物だからです。そのため、皆さんは観察しか出来ませんが、水中マスク越しに写真や動画撮影をしていただけます。

石の中に隠れるオオサンショウウオ

石の中に隠れるオオサンショウウオ

オオサンショウウオは夏場は数分おきに水面に顔を出して呼吸をします。生息場所から水面まで上がり、鼻を水面に出して呼吸し、元の位置に戻るので、泳ぎが苦手のオオサンショウウオが必死に元の位置に戻る姿は、母性本能をくすぐられるような可愛さがあります。

オオサンショウウオの正面顔

オオサンショウウオの正面顔

河原をのそのそと歩く

河原をのそのそと歩く

観察をする日中、夜行性のオオサンショウウオは頭を石の中に入れて隠れています。明るい場所が嫌いなのですが、呼吸をする時は顔を水面に出しやすい場所に移動しますので、後ろ向きのオオサンショウウオでもじっと待っていれば正面顔をしっかり撮影できます。粘りと根性があれば、スーパーショツトを撮影していただけるでしょう。また、観察できると一番嬉しいのがおおあくびです。オオサンショウウオが口を全開させるこのシーンはなかなかタイミングが難しいですが、捉えることが出来れば最高です。このほかにも魚を捕食したり、脱皮をする様子など、オオサンショウウオの様々な仕草を楽しむことができます。

オオサンショウウオは時には川から上がり、堰堤の上などに上陸してくれることも年に数回あります。こんな場面に遭遇した方は超ラッキーです。この和良川の地区では広い範囲に数多くオオサンショウウオの生息が確認されていますが、2025年1月現在でも中国オオサンショウウオとの交雑個体は発見されておらず、日本固有の純血のオオサンショウウオのみが生息しています。

カワヨシノボリ

カワヨシノボリ

日本固有種のニホンイシガメ

日本固有種のニホンイシガメ

オオサンショウウオのほかにも、川辺に生息する生き物たちも紹介しています。和良川に生息する鮎は、今では「和良鮎」と呼ばれるブランド鮎に変貌しました。和良鮎の最大の魅力は、なんといっても香りです。涼しげなスイカのような香りで、その香気で夏の河原一帯を満たしてしまうほどです。良質な藻類をいっぱいに詰め込んだ腹ワタは、食べた瞬間にその香りが口の中いっぱいに広がり、ほろ苦さの中に甘さと旨味もある絶妙な風味があります。

古民家 「七福山」

古民家 「七福山」

宿泊は築170年の古民家。囲炉裏を囲みゆっくりおしゃべりしたり、お酒を酌み交わしたりと、日本の伝統を感じることができます。

食事は和食を中心に、川魚、山菜など季節の素材を活かした料理が提供されます。山家ならではの静かな空間は、行きかう旅人の癒しの場。ここを切り盛りする女将さんも話好きなので、ツアーに参加した際にはぜひ女将さんとお話を楽しんでいただきたいです。

Text & Photo : Yoshihiro ITO

★関連ツアー:水中写真家・伊藤義弘さん同行 和良川のオオサンショウウオとホタルの乱舞

プロフィール:伊藤 義弘 (いとう よしひろ)
水中写真家、ダイビングインストラクター。西表島での体験ダイビングで海に目覚め、インストラクターの資格を取得。世界各地の海と川を潜る中で、豊かな生態系を有するふるさと岐阜県の川に魅了される。誰もやっていない分野のガイドになる決意をし「伊藤潜水企画」を設立。川に住む生きものをテーマに、川の生きもの案内人として観察会等を企画運営。

モリイノシシ Giant Forest Hog (ウガンダ)

赤道直下の国ウガンダのクイーンエリザベス国立公園にて、珍しい「モリイノシシ」の家族に出会いました。

クイーンエリザベス国立公園の入り口すぐそばにいて、「ぬた場(沼田場)」で体に泥をこすり続けていました。

「ぬた打ち」という行動で身体に付いた寄生虫や汚れを落とすために、泥に身体をこすりつける行動のことをいいます。体を冷やす効果や虫除けの効果もあるそうです。
(※もだえ苦しむことを意味する「のたうち回る」の語源とも言われ、人が苦しむ動きがぬた打ちの動きとが似ていることからついた言葉のようです。)

モリイノシシはアフリカの赤道近辺で、森林と草原が混在する地域にのみ棲息する珍しいイノシシです。6~14頭程度で群れを作りますが、生息密度が低く臆病でもあるためサファリで出会う事はあまりありません。食肉を目的とした密猟のために個体数が減少していることにも出会いにくい原因の一つです。

モリイノシシは世界最大級のイノシシとしても知られ、アメリカ大陸のペッカリーやインドネシアのバビルサなどを含めても、モリイノシシが世界最大で体重は280kgにもなります。アフリカのサファリでよく見られるイボイノシシや、日本のイノシシはどちらも通常は50-150kg程度で、モリイノシシの半分程度です。

オスは成長すると、眼の脇にお皿のような大きなイボが発達します。上の写真の子はまだ若いからか膨らみは小さかったです。オス同士でこの皿のようなイボをぶつけ合うこともあります。

モリイノシシは夜行性と言われますが、今回観察ができたのは昼の2時ごろでした。人間から保護されている地域では昼行性の場合もあるようです。どちらかというとそれが本来の姿なのかもしれません。

7頭のモリイノシシの群れの中に、2頭の赤ちゃんもいました。

足の裏が可愛いです。

暇さえあれば2頭でじゃれあっています。

泥浴びをした後にもじゃれあう2頭。

家族そろってぬた場で泥浴びをするモリイノシシの家族団らんをのんびりと観察できました。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Aug 2024, Queen Elizabeth National Park, Uganda

★西遊旅行のウガンダ・ルワンダのワイルドライフの旅を発表しました!
ウガンダ・ルワンダ マウンテンゴリラ&ゴールデンモンキートレッキング

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