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インドサイ Indian rhinoceros(カジランガ国立公園)

インドのアッサム州にあるカジランガ国立公園で、鎧(ヨロイ)のような分厚い皮膚が特徴のインドサイに出会えました。その見た目から「ヨロイサイ」とも呼ばれます。 陸上の哺乳類では世界で最も皮膚が分厚く硬いといわれ、その厚さは最大4cmにも及びます。

英語では「大きな一角のサイ(Greater One-Horned Rhinoceros)」や「インドのサイ(Indian Rhinoceros)」と呼ばれます。2本の角を持つアフリカのシロサイやクロサイとは異なり、角が1本だけなのがインドサイの特徴です。同じアジアのジャワサイも角は1本で、こちらは「小さい一角のサイ(Lesser One-Horned Rhinoceros)」と呼ばれています。


(↑写真は角の長い個体です)
角は一生伸び続け、オスなどの長い個体では60cm以上になることもあります。 1900年代初頭には絶滅の危機に瀕していたインドサイですが、現在は回復傾向にあります。2022年の調査では個体数は4,014頭とされ、そのうち全体の約65%(2,613頭)が、ここカジランガ国立公園に密集して生息しています。

今回は2日間だけのサファリでしたが、延べ100頭近くのインドサイに出会えました。上の写真の時は湖の対岸で距離はありましたが、数えてみると一度に37頭ものサイを一望できました。

サファリ中には親子のインドサイも見られました。インドサイは繫殖期のカップルと子育て中の母子を除いて、基本的に単独で暮らします。


親子で仲良く草を食べます。


ゴツゴツしたインドサイも、子供はやはり可愛いですね。

3頭が一度に集まるシーンもありましたが、特に争いは起きず仲良く草を食べていました。オスは縄張り意識が強く戦うこともあるそうですが、メス同士は比較的穏やかな関係を保っているようです。

カジランガ国立公園では、早朝に「エレファント・サファリ(ゾウに乗ってのサファリ)」も楽しめます。


ジープサファリとは違い道路以外も進めること、そしてサイに近づいても警戒されにくいのがゾウ・サファリの魅力です。

早朝のサファリだったため、まだ眠そうに横になっているインドサイに遭遇しました。眠っているところを起こしてしまい、可哀想なことをしました。

シロサイやクロサイには泳ぐイメージがあまりありませんが、インド有数の大河・ブラマプトラ川流域で暮らすインドサイは泳ぎが非常に得意です。 よく「カバは泳げず、水底を蹴って進む」と言われますが、観察しているとインドサイはしっかりと体を浮かせて泳いでいました。


↑の写真で濡れているところを見ると、目耳鼻に水が入らないように泳いできた事がわかります。

背中にアマサギを乗せている個体もいました。サイが歩くときに草むらから飛び出す虫を、背中の上から狙っているのです。

カジランガのガイドさんによると、インドサイも特定の場所で排泄する「ため糞」の習性があるそうです。

インド政府による保護活動が進み、個体数も年々増えているとのこと。 ブラマプトラ川のほとりで力強く、そしてのんびりと暮らすインドサイを見ることができ、大満足のサファリとなりました。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Nov 2025, Kaziranga National Park, Assam, India

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“スノーモンキー”として知られる地獄谷野猿公苑のニホンザル

長野県の上林温泉からほど近い地獄谷野猿公苑は、日本固有のニホンザルを間近に観察・撮影できる場所として世界的に“スノーモンキーパーク”として知れ渡り、今では訪れる観光客の8割以上は外国人。

第二次大戦後、この地域では林業が盛んに行われ、ニホンザルたちが生息する地獄谷周辺の山々も大きな影響を受けました。山林の伐採により生息地を失ったニホンザルは人間の暮らす集落へと降りてはりんご農場を荒らす様になったのです。この事がきっかけで、ニホンザルたちが駆除されてしまう事を懸念した地獄谷野猿公苑の初代苑長・原荘悟氏は、食べ物が十分にあれば彼らも畑を荒らす事はないだろうと考え、人里から離れた山の奥で彼らへ餌付けを始めたのです。警戒心の強いニホンザルの群れを慣れさせるまでに3年の歳月を要したそうですが、原氏の努力は着実に成果を上げ、1964年の地獄谷野猿公苑の開苑を迎える事になりました。

雪深い冬の間は山の中で食べ物を見つける事が困難なため、たくさんの野生のニホンザルがこの地獄谷野猿公苑に集まります。当初、人里に彼らを近づけない様にするために餌付けを始めたため、この地獄谷野猿公苑に行くには登山道を30分ほど登っていかなければなりません。冬の登山道は非常に滑りやすく、簡易アイゼンは必須アイテムです。

地獄谷野猿公苑へのトレイル

地獄谷野猿公苑を有名にしている最も大きな要素は“温泉に入るニホンザル”です。人間を除く霊長類の仲間の中で、ニホンザルは最も北に生息する種。雪深い寒冷地に生息する霊長類自体が世界的に非常に珍しいのですが、ニホンザルの生息域は長野よりもさらに北の青森県にまで及びます。ここ地獄谷には温泉が湧き出ることもあり、公苑内にはサルたち専用の石造りの浴槽が設置されています。冬の寒い日に多くのニホンザルが温泉につかり、まるで人間と同じような気持ちよさそうな表情を浮かべる事は大変興味深いものです。

ニホンザルの浸かる石造りの温泉

温泉に入るニホンザル

気持ちよさそうな表情を浮かべて温泉につかるニホンザル

気持ちよさそうな表情のニホンザル

4月下旬から6月にニホンザルは出産期を迎えますが、ちょうど初めての冬を迎える小さな子供のサルもたくさん観察することができます。好奇心旺盛で活発に動き回る子供のサルたちはとても愛らしく、ずっと見ていても飽きることがありません。また、子供を寒さから守るためしっかりと抱きかかえている母ザルの姿もとても印象的でした。

愛情いっぱいの親子のニホンザル

親子のニホンザル

好奇心旺盛なニホンザルの子供

ニホンザルの子供

苑内の見どころはこの温泉だけではありません。山の斜面や苑内を流れる横湯川沿いでも数多くのニホンザルが観察でき、毛づくろいをしたり、雪の中の餌を探したり、時には餌を巡って喧嘩が始まったりと彼らの様々な姿を観察することができます。人間に慣れているため非常に近くで観察や撮影ができる点も大きな特徴で、苑内のルールでは“1m”以内に近づく事が禁止されています。

ニホンザルが見せる様々な姿

ニホンザル

ニホンザル

ニホンザル

世界からの注目を集めた最初のきっかけは1970年、アメリカの「LIFE」誌に掲載された事。その後、1998年の長野オリンピックの際に世界中から集まったメディアによってこの地獄谷野猿公苑の存在が多くの国々に伝え、広まったのでした。今では家族連れやカップルなどの観光客から本格的な写真家まで様々な人々がこの地を訪れ、さらにその魅力を世界に発信しています。

 

Photo & Text : Kengo Yonetani

Observation : Feb 2025, Jigokudani-Onsen, Nagano, Japan

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オオカワウソ Giatn Otter (パンタナール)


“川のオオカミ”とも呼ばれるオオカワウソに出会いました。
北パンタナールのポルトジョフレからクイアバ川をボートで進んでいると、水音とともに現れたのは4頭のオオカワウソの家族でした。

オオカワウソは体長が1.5~1.8メートルにも達し、現生のカワウソ13種の中で最大の種です。
「川のジャガー」や「川のオオカミ」とも呼ばれ、群れで連携しながら魚を追い込み、俊敏に捕らえる姿はまさに水中のハンターです。

食物連鎖の頂点に君臨する捕食者で、集団だとジャガーすら追い払うほどです。


今回、観察した家族も見事な連携を見せ、ナマズを捕まえて水面に浮かび上がりました。

獲物としてピラニアやナマズだけでなく、大きなウナギの仲間(Marbled Swamp Eal)を捕らえることもあります。(2018年9月撮影)


水かきのある手でしっかりと押さえて食べます。

オオカワウソは非常に社会性が高く、群れの中では常に鳴き声でコミュニケーションを取ります。10種類以上の音声を使い分けるとも言われ、観察中も親と子が短い鳴き声でやり取りする様子が見られました。

白い喉の模様は個体ごとに異なり、個体識別の手がかりとなります。

パンタナールでは比較的安定した個体群が維持されていますが、生息地の開発や水質汚染が脅威となっています。この地域でオオカワウソが見られること自体、環境の健全性を示す指標とされています。

今回観察した4頭の家族は人への警戒心はとても薄い印象でした。


水中とは違い、陸上で見るオオカワウソの顔はとても可愛らしいかったです。

 

Photo & Text : Wataru YAMOTO

Observation : Sep 2025, Cuiaba River, Porto Jofre, Pantanal, Mato Grosso, Brazil

パンタナール ジャガーサファリ10日間
ブラジル・パンタナールにジャガーを求めて

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和良川のオオサンショウウオとホタル(1)

世界最大の両生類・オオサンショウウオ

世界最大の両生類・オオサンショウウオ

岐阜県飛騨と美濃の中間にある山里を流れる和良川には、日本固有種で、国の特別天然記念物でもあるオオサンショウウオが多く生息しています。また、6月中旬になると、和良川の支流ではたくさんのホタルを鑑賞することができます。

観察時の注意事項として、オオサンショウウオに触れることは一切出来ません。何故ならオオサンショウウオは、日本の特別天然記念物であり絶滅危惧種Ⅱ類(VU)(環境省レッドリスト)に指定された天然記念動物として手厚く保護されている生き物だからです。そのため、皆さんは観察しか出来ませんが、水中マスク越しに写真や動画撮影をしていただけます。

石の中に隠れるオオサンショウウオ

石の中に隠れるオオサンショウウオ

オオサンショウウオは夏場は数分おきに水面に顔を出して呼吸をします。生息場所から水面まで上がり、鼻を水面に出して呼吸し、元の位置に戻るので、泳ぎが苦手のオオサンショウウオが必死に元の位置に戻る姿は、母性本能をくすぐられるような可愛さがあります。

オオサンショウウオの正面顔

オオサンショウウオの正面顔

河原をのそのそと歩く

河原をのそのそと歩く

観察をする日中、夜行性のオオサンショウウオは頭を石の中に入れて隠れています。明るい場所が嫌いなのですが、呼吸をする時は顔を水面に出しやすい場所に移動しますので、後ろ向きのオオサンショウウオでもじっと待っていれば正面顔をしっかり撮影できます。粘りと根性があれば、スーパーショツトを撮影していただけるでしょう。また、観察できると一番嬉しいのがおおあくびです。オオサンショウウオが口を全開させるこのシーンはなかなかタイミングが難しいですが、捉えることが出来れば最高です。このほかにも魚を捕食したり、脱皮をする様子など、オオサンショウウオの様々な仕草を楽しむことができます。

オオサンショウウオは時には川から上がり、堰堤の上などに上陸してくれることも年に数回あります。こんな場面に遭遇した方は超ラッキーです。この和良川の地区では広い範囲に数多くオオサンショウウオの生息が確認されていますが、2025年1月現在でも中国オオサンショウウオとの交雑個体は発見されておらず、日本固有の純血のオオサンショウウオのみが生息しています。

カワヨシノボリ

カワヨシノボリ

日本固有種のニホンイシガメ

日本固有種のニホンイシガメ

オオサンショウウオのほかにも、川辺に生息する生き物たちも紹介しています。和良川に生息する鮎は、今では「和良鮎」と呼ばれるブランド鮎に変貌しました。和良鮎の最大の魅力は、なんといっても香りです。涼しげなスイカのような香りで、その香気で夏の河原一帯を満たしてしまうほどです。良質な藻類をいっぱいに詰め込んだ腹ワタは、食べた瞬間にその香りが口の中いっぱいに広がり、ほろ苦さの中に甘さと旨味もある絶妙な風味があります。

古民家 「七福山」

古民家 「七福山」

宿泊は築170年の古民家。囲炉裏を囲みゆっくりおしゃべりしたり、お酒を酌み交わしたりと、日本の伝統を感じることができます。

食事は和食を中心に、川魚、山菜など季節の素材を活かした料理が提供されます。山家ならではの静かな空間は、行きかう旅人の癒しの場。ここを切り盛りする女将さんも話好きなので、ツアーに参加した際にはぜひ女将さんとお話を楽しんでいただきたいです。

Text & Photo : Yoshihiro ITO

★関連ツアー:水中写真家・伊藤義弘さん同行 和良川のオオサンショウウオとホタルの乱舞

プロフィール:伊藤 義弘 (いとう よしひろ)
水中写真家、ダイビングインストラクター。西表島での体験ダイビングで海に目覚め、インストラクターの資格を取得。世界各地の海と川を潜る中で、豊かな生態系を有するふるさと岐阜県の川に魅了される。誰もやっていない分野のガイドになる決意をし「伊藤潜水企画」を設立。川に住む生きものをテーマに、川の生きもの案内人として観察会等を企画運営。

ミナミセミクジラの白い赤ちゃん(バルデス半島)

2024年9月のバルデス半島・ヌエボ湾では、5頭の白いミナミセミクジラの赤ちゃんが産まれました。

5日間のクルーズ中、白い個体に3日間出会えました。

写真を見返してみると模様が似ているという点と、出会った場所も近いという点から、同じ個体だったのかもしれません。とてもフレンドリーで可愛らしい子でした。


ボートの間近に寄ってきたり


ボートの真下をくぐったり


アルゼンチンのパタゴニア北部にあるバルデス半島は、ミナミセミクジラの世界最大の繁殖地で、毎年1,500頭以上のミナミセミクジラが繁殖のためにバルデス半島に訪れます。

ミナミセミクジラの研究によると、新生児のうち3~5%程が白い赤ちゃんだと推定されていますが、大きくなるにつれて灰色に変化していきます。英語でグレイモルフ(Grey morphs)やブリンドル(Brindle)と呼ばれます。日本語では灰色型でしょうか。白い個体はオスのみに表れ、メスの場合は、部分的に灰色になる個体(Partial grey morph)しか見つかってないようです。

同じセミクジラ属のタイセイヨウセミクジラとセミクジラでは灰色型は記録されていないとのことで、ミナミセミクジラ固有の現象のようです。

母クジラが深い海(今回の水深は110m程のエリア)に潜り、採餌をしている間に一人で過ごす子供たち。子供だけのタイミングで、ブリーチングやペッグスラップなど活発な行動を起こすことが多いです。


子供ながら迫力のブリーチング


テイルスラップの練習のようなことも


お腹を上にして泳いでみたり


白いので、胸びれの中の指まではっきリと見えます。
ミナミセミクジラの指は人間と同じ5本とのことですが、そこまではわかりません。


白い個体は、海の上からも見つけやすいため、マゼランカモメに狙われやすい気がしました。背中の傷が目立ちます。

 

今回出会った白い個体以外にも、パンダ柄のような白と黒が入り混じった個体も見られました。こちらはホワイトブレイズ(White blaze:白いぶち)と呼ばれ、また別の遺伝子が影響したミナミセミクジラのようです。


パンダ柄のブリーチング


こちらの個体も赤ちゃん(右)で、お母さんクジラ(左)と一緒に泳ぎます。


お母さんクジラの胸びれに抱きかかえられるようにして甘えています。


また別の日の夕暮れに出会った白い個体。
模様が少し違うので、また別の個体だったかもしれません。

 

Image & text : Wataru YAMOTO

Observation : Sep 2024, Valdes Peninsla, Argentina

参考文献
Cellular and ultrastructural characterization of the grey-morph phenotype in southern right whales (Eubalaena australis)

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Youtube : ミナミセミクジラのスキムフィーディング

Youtube : オタリアと遊ぶミナミセミクジラ

Youtube : ミナミセミクジラの海・ヌエボ湾

西遊旅行のワイルドライフツアー一覧

夏のアラスカ、インサイドパッセージで出会った生き物

7月の東南アラスカ・インサイドパッセージの船旅で出会った海に暮らすいきものをご紹介します。ザトウクジラの「バブルネットフィーディング」狙いのツアーで、日中はクジラを求めて航行し、夕食前に近くの島の湾に停泊するのですが、その停泊地のマダラウミスズメやラッコの数に驚きました。夏は日が長いので停泊地についてからもたっぷりと船のそばにやってくる生き物を観察することができました。

>>ザトウクジラのバブルネットフィーディング in アラスカの記事はこちら

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

繁殖羽のマダラウミスズメ Marbled Murreletです。日中は距離があり撮影が難しいのですが、停泊地では船の比較的近くを浮いていたりしていました。千島列島やカムチャッカ半島のクルーズでは観察できたことがなく、この出会いはとてもうれしいものでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet はオホーツク海~アリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなウミスズメ科の海鳥。繁殖羽は褐色がかりまさにまだら色にみえることから英名も和名も「まだら」です。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

非繁殖羽の マダラウミスズメ Marbled Murrelet。小さなニシンを銜えて飛んでいる姿は大変ステキでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet 御一行様。多い時は何十羽も一緒に浮かんでいました。船が近づくとペアごとにどんどん飛んで行ってしまう感じです。

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet : Photography by Morihiko HAYAKAWA

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet の中間羽ではないかと思ってる個体です。コバシウミスズメはアリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなくちばしのウミスズメで、レアです。

ウミガラス Common Guillemot、日本では「オロロン鳥」と呼ばれ、天売島にのみ繁殖しその数およそ100羽ですが、北太平洋・北大西洋・北極海には広く分布し、今回はペアでいる姿をよく見ました。

そしてマダラウミスズメと同じような場所にいたのが、ラッコ Sea Otter。ラッコは3つのグループに分かれ、この地域で見られるのはアラスカ・アリューシャン列島の亜種ラッコです。日本では霧多布岬に数頭いるだけですが(日本のラッコは亜種チシマラッコ)各地の「湾」にたくさんいました。

シャチ Killer Whale : Photography by Seiji TACHI

今回の7泊8日の船旅ではシャチ Killer Whale は単独のオスを一度見ただけでした。イシイルカ Dall’s Porpoise Dolphinは何度もみましたが、とても活発ですばやく泳ぐので写真がちゃんと撮れませんでした。

ザトウクジラ Humpback Whaleは、あちこちで数個体が一緒にいるのを見ましたが、バブルネットフィーディングを行う群れはどこにでもいるわけではありません。バブルネットフィーディングの観察については別のブログにて。

海岸にはハクトウワシ Bold Eagleの姿が。成鳥より若鳥の割合の方が多いようです。

2羽のハクトウワシ。魚をうばいあっていました。

アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope 、小さくて美しい海鳥です。海上を集団で移動したり、波の合間に浮いていました。北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬する、移動距離のとても大きな海鳥です。

集団で飛ぶ姿がとても美しい、アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope。

ステファンズ・パッセージ (Stephens Passage) のブラザー島 (The Brothers) のトドのホールアウト。ホールアウト”Haulout “は年中、いつでもトドが集まって休憩したりしている場所のことです。繁殖を行う場所は “Rookeries” と言い区別されています。

ホールアウトのトドたち。大きなオスはおらず、若い個体が集まっていました。濡れているからだと乾いている体で色がだいぶ異なりますね!

ホルカム湾 (Holkham Bay) では氷塊の浮かぶ海にアラナミキンクロ Surf Scoter がたくさんいました。

アラナミキンクロ Surf Scoter : Photography by Morihiko HAYAKAWA

アラナミキンクロ Surf Scoterのオス。

近い海域の岩場です。ウミバト Pigeon Guillemot のペアが何組も!

クロミヤコドリ Black Oystercatcher、北米大陸の太平洋岸、アリューシャン列島だけで見られるミヤコドリの仲間です。

チシマシギ Rock Sandpiper、非繁殖羽の個体です。チュコトカ半島、アラスカ西部、アリューシャン列島で繁殖し、冬は北アメリカ西海岸、千島列島に渡り越冬します。

チシマシギのいた同じ岩相にいた、ゼニガタアザラシ Harbor Seal。体の色には暗色型と明色型があり、「銭形」の模様はカモフラージュになり天敵に狙われにくくなる効果があるようです。

同じ岩礁の大きめの島にはハクトウワシが巣をつくっていました。ハクトウワシは、鳥類の中で最大級の巣をつくることで知られています。

ツアーの最終日に見た生き物は、ヒグマ Brown Bear。まだサケの遡上には少し早く、小川ではなく草地をうろうろしていました。

ヒグマ以外に海岸に現れたのはミュールジカ。アラスカからカナダのブリティッシュコロンビアにかけての海岸の森に暮らすものは Sitka Deerと呼ばれる亜種ミュールジカです。今回は湾の航行中に何回か見かけました。

その他、ワタリガラス Common Raven、ヒメコバシガラス Northwestern Crow、ミミヒメウ Double-crested cormorant、ゴマフスズメ Fox Sparrowを見ました。

ザトウクジラのバブルネットフィーディングがメインのツアーだったため、最初は海鳥の観察に時間が取れませんでしたが、アラスカの海に生きる哺乳類・野鳥を満喫した小型チャーター船による素敵な船旅でした。

船のダイニングにも海鳥、Alaskan BeerのIsland Ale。でもパフィンはこの海域にはいません!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photo courtesy of Morihiko HAYAKAWA

Observation: July 2023, Inside Passage, Alaska, USA

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白いシャチ(北海道・知床)

2023年5月、根室海峡に「白いシャチ」が2年ぶりに姿を現しました ♪♪

西遊旅行の羅臼支店「知床サライ」から届いた「白いシャチ」の動画です。

White orca / killer whale at Shiretoko, Hokkaiado 白いシャチ

白と黒のコントラストある配色がシャチの特徴ですが、このシャチは全身が白いため、アイパッチやサドルパッチもよく見ないとわかりません。

2019年に根室海峡で2頭がそれぞれ別々に初観測されて以降、2021年には2頭の白いシャチが揃って泳いでいることでも話題になりました。そして2年ぶりに今年(2023年)、羅臼港沖に1頭の白いシャチが姿を見せてくれました。

ニュースサイトによると「成熟したオス」「体長は目測で7メートル近く」「年齢は少なくとも50歳近く」「日本で最初に確認された白いシャチと同じ個体である可能性が高い」とのことです。
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20230513/7000057514.html
https://www.youtube.com/watch?v=Z2ht8nJkrqk

遺伝子の異常でメラニンを作れないアルビノ(Albinism)なのか、変異による白変種(Leucism)なのかはわかっていないそうです。アルビノの特徴の赤い目が見られず、体色もグレーがかっているので、白変種のように見えます。

13頭のシャチの群れ。白という色は自然界では目立ちやすい色なので、生存競争のうえでは不利と言われていますが、この個体はしっかりと成長できています。

珍しい「白いシャチ」の出現でどの船も大賑わい。

ブロウ(潮吹き)。

背びれの先端が左に折れて曲がっています。
見る角度によってはこの部分に影ができて黒い模様のように見えることもあります。

体の左側面の背びれの下に擦り傷。

雪をまとった海別岳(うなべつだけ)をバッグに白いシャチが悠々と泳いでいます。また来年も知床に帰ってきてくれるのを楽しみにしています。

 

Photo & Video : Shohei MORITA( 知床サライ) Text : Wataru YAMOTO

Observation  : May 2023, 知床-根室海峡、北海道

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ハシナガイルカ Spinner Dolphin (トリンコマリー、スリランカ)

スリランカの東海岸、トリンコマリーのハシナガイルカ Spinner Dolphinです。トリンコマリーやニラヴェリ海岸の漁師たちにとって、ハシナガイルカは「カツオ」「マグロ」がやってきた「しるし」。

トリンコマリーの海のハシナガイルカの動画です。

Spinner dolphin Trincomalee ハシナガイルカ

トリンコマリー~ニラヴェリの海は、岸から20Kmほど沖に出ると透明度が上がります。ハシナガイルカはトリンコマリー湾の栄養がでてくる入り口付近(ハーバーマウス)で捕食していることが多いのですが、ここは透明度が良くなく、漁船も多いため海に入れません。イルカが沖に移動するのを待つか、沖にいる群れを探すのが水中で観察するチャンスです。

映像や写真で表現できないのですが、300頭くらいの群れかな?と思って静かに海に入ると、1000頭?!?!くらいのイルカが通過していくことがありました。3頭~30頭ほどの小グループが延々と通過していき、時折こちらの様子を見に来てくれました。船の近くで動かずに浮いているだけの、夢のような時間です。

動画の最後に、ゴミの布切れを尾鰭につけて泳ぎ、それが外れるとすぐに取りに行って大事そうに胸鰭につけておよぐイルカが映っています。「遊ぶ」行動をするイルカの愛らしい光景。ゴミは本当に困ったものですが。

そして英名Spinner Dolphinたるゆえん、回転ジャンプ。子供のいるグループでは頻繁にジャンプを目撃します。しかも短時間に何回も、何回も。船首で遊ぶのも大好きです。船のエンジンを切って浮かんでいると、まるで「船動かして」と催促を受けているように感じることもあります。水の中での遭遇はとてもシャイで注意しなくてはいけませんが、船と遊ぶのは大好きで本当に愛らしい姿を見せてくれます。

2023年シーズンのトリンコマリー、ハシナガイルカの他、ハンドウイルカ Bottlenose dolphin、コビレゴンドウ Short-finned pilot whale、ハナゴンドウ Risso’s dolphin が時々姿を現しました。大型鯨類はニタリクジラ Bryde’s whale、観察例は少ないですがシロナガスクジラ Blue Whale。あとはマッコウクジラ Sperm Whale がいつやってくるのか・・・。

世界的な気候変動で海の中も大きく変わってるようです・・・。

 

Image & text  : Mariko SAWADA

Observation :  April 2023, Trincomalee, Sri Lanka

*西遊旅行のスリランカツアーはこちら。

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ミナミセミクジラの親子と水面行動(バルデス半島)

ミナミセミクジラは生まれた海へ戻る性質があります。オスは決まった回遊パターンを持ち、メスはおよそ3年に一度、生まれた海へ戻り出産・子育てをします。バルデス半島へは6月~12月の間にミナミセミクジラがやってきて、9月下旬になるとオスは南極海へと旅立ち、メスと子供も12月半ばには旅立っていきます。

9月のヌエボ湾で観察した母子クジラの海面行動。赤ちゃんを遊ばせる母クジラの姿、あまりにも愛おしいものです。

クジラの子供が甘えてる!ミナミセミクジラの親子の時間

こちらは、母クジラが深い場所へ採餌に行っている間、海面で遊んでいるところです。ブリーチしたり、ヒレをバタバタさせたり・・・。母クジラの浮上に合わせて泳いでいきます。

ミナミセミクジラの子供の水面行動

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, Valdes Peninsla, Argentina

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ミナミセミクジラへのカモメの攻撃(バルデス半島)

バルデス半島のミナミセミクジラを観察している時、とても気になることがあります。それは「カモメによる赤ちゃんへの攻撃」。赤ちゃんクジラは呼吸のために頻繁に海面にいるのでそのターゲットとなり、赤ちゃんが浮上するとすぐに背中に降りて、まさに背中の肉を食いちぎっていくのです。母クジラが一生懸命それを阻止しようと頭を持ち上げています。

ミナミセミクジラへのカモメの攻撃

資料によると、最初にこういった行動が観察されたのは1970年代。カモメがミナミセミクジラの背中をついばんでいる様子が観察されました。当時、背中にカモメに襲われたキズを持っている母子クジラは2%だったのが、2011年の調査では99%、ほぼすべての母子クジラがキズを負っていたのです。

赤ちゃんクジラの背中をつうばむカモメ。

傷だらけの赤ちゃんの背中。

頭をあげてカモメを追い払おうとする母クジラ。

クジラの親子は呼吸だけでなく、赤ちゃんの遊びや育児で海面で過ごす時間が長く、それがターゲットになっています。野生動物間のこととはいえ、とても胸が痛い事象です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, Valdes Peninsla, Argentina

資料はdailymail.co.ukの “Seagulls are eating baby whales ALIVE: Birds attack calves when they come to the surface to breathe”を参考にしています。

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