夏のアラスカ、インサイドパッセージで出会った生き物

7月の東南アラスカ・インサイドパッセージの船旅で出会った海に暮らすいきものをご紹介します。ザトウクジラの「バブルネットフィーディング」狙いのツアーで、日中はクジラを求めて航行し、夕食前に近くの島の湾に停泊するのですが、その停泊地のマダラウミスズメやラッコの数に驚きました。夏は日が長いので停泊地についてからもたっぷりと船のそばにやってくる生き物を観察することができました。

>>ザトウクジラのバブルネットフィーディング in アラスカの記事はこちら

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

繁殖羽のマダラウミスズメ Marbled Murreletです。日中は距離があり撮影が難しいのですが、停泊地では船の比較的近くを浮いていたりしていました。千島列島やカムチャッカ半島のクルーズでは観察できたことがなく、この出会いはとてもうれしいものでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet はオホーツク海~アリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなウミスズメ科の海鳥。繁殖羽は褐色がかりまさにまだら色にみえることから英名も和名も「まだら」です。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

非繁殖羽の マダラウミスズメ Marbled Murrelet。小さなニシンを銜えて飛んでいる姿は大変ステキでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet 御一行様。多い時は何十羽も一緒に浮かんでいました。船が近づくとペアごとにどんどん飛んで行ってしまう感じです。

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet : Photography by Morihiko HAYAKAWA

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet の中間羽ではないかと思ってる個体です。コバシウミスズメはアリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなくちばしのウミスズメで、レアです。

ウミガラス Common Guillemot、日本では「オロロン鳥」と呼ばれ、天売島にのみ繁殖しその数およそ100羽ですが、北太平洋・北大西洋・北極海には広く分布し、今回はペアでいる姿をよく見ました。

そしてマダラウミスズメと同じような場所にいたのが、ラッコ Sea Otter。ラッコは3つのグループに分かれ、この地域で見られるのはアラスカ・アリューシャン列島の亜種ラッコです。日本では霧多布岬に数頭いるだけですが(日本のラッコは亜種チシマラッコ)各地の「湾」にたくさんいました。

シャチ Killer Whale : Photography by Seiji TACHI

今回の7泊8日の船旅ではシャチ Killer Whale は単独のオスを一度見ただけでした。イシイルカ Dall’s Porpoise Dolphinは何度もみましたが、とても活発ですばやく泳ぐので写真がちゃんと撮れませんでした。

ザトウクジラ Humpback Whaleは、あちこちで数個体が一緒にいるのを見ましたが、バブルネットフィーディングを行う群れはどこにでもいるわけではありません。バブルネットフィーディングの観察については別のブログにて。

海岸にはハクトウワシ Bold Eagleの姿が。成鳥より若鳥の割合の方が多いようです。

2羽のハクトウワシ。魚をうばいあっていました。

アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope 、小さくて美しい海鳥です。海上を集団で移動したり、波の合間に浮いていました。北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬する、移動距離のとても大きな海鳥です。

集団で飛ぶ姿がとても美しい、アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope。

ステファンズ・パッセージ (Stephens Passage) のブラザー島 (The Brothers) のトドのホールアウト。ホールアウト”Haulout “は年中、いつでもトドが集まって休憩したりしている場所のことです。繁殖を行う場所は “Rookeries” と言い区別されています。

ホールアウトのトドたち。大きなオスはおらず、若い個体が集まっていました。濡れているからだと乾いている体で色がだいぶ異なりますね!

ホルカム湾 (Holkham Bay) では氷塊の浮かぶ海にアラナミキンクロ Surf Scoter がたくさんいました。

アラナミキンクロ Surf Scoter : Photography by Morihiko HAYAKAWA

アラナミキンクロ Surf Scoterのオス。

近い海域の岩場です。ウミバト Pigeon Guillemot のペアが何組も!

クロミヤコドリ Black Oystercatcher、北米大陸の太平洋岸、アリューシャン列島だけで見られるミヤコドリの仲間です。

チシマシギ Rock Sandpiper、非繁殖羽の個体です。チュコトカ半島、アラスカ西部、アリューシャン列島で繁殖し、冬は北アメリカ西海岸、千島列島に渡り越冬します。

チシマシギのいた同じ岩相にいた、ゼニガタアザラシ Harbor Seal。体の色には暗色型と明色型があり、「銭形」の模様はカモフラージュになり天敵に狙われにくくなる効果があるようです。

同じ岩礁の大きめの島にはハクトウワシが巣をつくっていました。ハクトウワシは、鳥類の中で最大級の巣をつくることで知られています。

ツアーの最終日に見た生き物は、ヒグマ Brown Bear。まだサケの遡上には少し早く、小川ではなく草地をうろうろしていました。

ヒグマ以外に海岸に現れたのはミュールジカ。アラスカからカナダのブリティッシュコロンビアにかけての海岸の森に暮らすものは Sitka Deerと呼ばれる亜種ミュールジカです。今回は湾の航行中に何回か見かけました。

その他、ワタリガラス Common Raven、ヒメコバシガラス Northwestern Crow、ミミヒメウ Double-crested cormorant、ゴマフスズメ Fox Sparrowを見ました。

ザトウクジラのバブルネットフィーディングがメインのツアーだったため、最初は海鳥の観察に時間が取れませんでしたが、アラスカの海に生きる哺乳類・野鳥を満喫した小型チャーター船による素敵な船旅でした。

船のダイニングにも海鳥、Alaskan BeerのIsland Ale。でもパフィンはこの海域にはいません!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photo courtesy of Morihiko HAYAKAWA

Observation: July 2023, Inside Passage, Alaska, USA

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