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ザトウクジラのバブルネットフィーディング in アラスカ

久しぶりにアラスカのバブルネットフィーディングのツアーへ。温暖化で海の様子がすっかり変わってしまい、クジラの採餌海域を追いかけるのが本当に難しくなってきた今日この頃。アラスカも同じで、以前バブルネットフィーディングがさかんに行われていた海域はひっそりとし釣り人もおらず、別の場所へ移動していました。

ジュノーを出航して3日目、ようやく小さなニシンを銜えて巣へと向かう海鳥を見つけ、その海域が近いことを感じました。そして4日目・5日目は「クジラ祭り」、場所をあててくれ、こちらからは接近しすぎない良い距離感でバブルネットフィーディングを観察させてくれた船長に感謝です。

アラスカの山並みを背景に複数のブローがあがりました。この数のブローを見ると、バブルネットフィーディングの期待があがります。朝9時30分ごろ、クジラが集まっているように見えました。

そしてバブルネットフィーディング!船上でシャッター音が響き渡ります。

バブルネット・フィーディング Bubble net feeding
数頭から数十頭の群れで、魚の群れを円を描くようにまわりながら泡を吐き出して一ヶ所に追い込みます。鰭を使いながら魚を取り囲み、魚群の下からは一匹のザトウクジラが大きな声を発し、パニックになった魚を上へと追い込みます。追いこみをする群れの上では別のザトウクジラが泡を出して旋回し、バブルネットを作り、魚の群れをこの中に閉じ込め、最後には全てのザトウクジラが大きな口をあけて海面へと飛び出し、一気に捕食します。

船の上から泡が上がってくるのが見えました、船の下でザトウクジラが泡をだしてバブルネットを作ってます!!この時は、本当に至近距離に上がってくるのではないかと興奮して待ちましたが、意外と遠い場所でバブルネットフィーディングがありました。魚の動きだけでなく潮の流れもあるので距離はわからないものですね。

Photography by Seiji TACHI

魚が上がってきました!

Photography by Kiyoshi AOKI

バブルネットフィーディングは本当に突然上がってきます。周りの鳥の動きも見ながらどのあたりから起こりそうかあたりをキョロキョロして待ちます。この写真は本当に上がってきたばかりの写真で海面に小さなニシンと思われる魚がいます。

Photography by Seiji TACHI

魚もザトウクジラも必死。

Photography by Seiji TACHI

Photography by Morihiko HAYAKAWA

この日の午前中、午後ともにクジラのリーダーが良いのか、なかなかうまく統制がとれてバブルネットフィーディングが行われていました。毎回うまくいくのではなく、「え、いまの失敗?」みたいなことも何度もあります。そして、それが続くと参加クジラは嫌になるのか、群れを離れて行ったりしました。この時は同じ海域に2つのバブルネットフィーディングのを行うグループがあり、このグループ間を行き来しているクジラもいました。

▽▽船長がドローンで撮影をしてくれた動画から切り出した写真です。

Drone footage by Jonathan

船のそばでバブルネットフィーディング!左下の水面の動きは子供クジラです。母クジラがバブルネットフィーディングに参加中は、子クジラは近くでテイルスラップ(尾鰭びれバンバン)したりペックスラップ(胸鰭バンバン)して遊んでいます。この子クジラの場所も、バブルネットフィーディングの場所を探すバロメーターです。

Drone footage by Jonathan

これはとても至近距離でおこったバブルネットフィーディング。ドローンでとった動画から切り出した写真です。

クジラも近いと透けて見えますが、アラスカ・インサイドパッセージの海の透明度は良くありません。

Drone footage by Jonathan

バブルネットフィーディングが終わるとしばらくわちゃわちゃしていますが、ゆっくりとみんなで泳ぎ始めます。

Drone footage by Jonathan

魚をもとめて移動してきます。ブローに虹が🌈

Drone footage by Jonathan

そして合図があるのでしょう、一斉に潜り始めます。水中でのバブルネットフィーディングの始まりです。

Drone footage by Jonathan

空撮で見る、バブルネットフィーディング、バブル(泡)と魚とザトウクジラがが浮上してきます。

Drone footage by Jonathan

半分上がってきて、右上に円を描いているバブルネットが見えます。ザトウクジラが口を開けています。

Drone footage by Jonathan

口が閉まっていく状態のザトウクジラたち。

Drone footage by Jonathan

そして再び、魚を求めて移動です。何回も何回も繰り返し、時々新しいクジラが参加に来て、時々離団していって・・・。それにしてもかなりの重労働です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Photography by Seiji TACHI, Kiyoshi AOKI, Morihiko HAYAKAWA

Drone footage by Jonathan

Observation: July 2023, Inside Passage – Alaska

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夏のアラスカ、インサイドパッセージで出会った生き物

7月の東南アラスカ・インサイドパッセージの船旅で出会った海に暮らすいきものをご紹介します。ザトウクジラの「バブルネットフィーディング」狙いのツアーで、日中はクジラを求めて航行し、夕食前に近くの島の湾に停泊するのですが、その停泊地のマダラウミスズメやラッコの数に驚きました。夏は日が長いので停泊地についてからもたっぷりと船のそばにやってくる生き物を観察することができました。

>>ザトウクジラのバブルネットフィーディング in アラスカの記事はこちら

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

繁殖羽のマダラウミスズメ Marbled Murreletです。日中は距離があり撮影が難しいのですが、停泊地では船の比較的近くを浮いていたりしていました。千島列島やカムチャッカ半島のクルーズでは観察できたことがなく、この出会いはとてもうれしいものでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet はオホーツク海~アリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなウミスズメ科の海鳥。繁殖羽は褐色がかりまさにまだら色にみえることから英名も和名も「まだら」です。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet :Photography by Morihiko HAYAKAWA

非繁殖羽の マダラウミスズメ Marbled Murrelet。小さなニシンを銜えて飛んでいる姿は大変ステキでした。

マダラウミスズメ Marbled Murrelet 御一行様。多い時は何十羽も一緒に浮かんでいました。船が近づくとペアごとにどんどん飛んで行ってしまう感じです。

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet : Photography by Morihiko HAYAKAWA

コバシウミスズメ Kittlitz’s Murrelet の中間羽ではないかと思ってる個体です。コバシウミスズメはアリューシャン列島~アラスカで繁殖する小さなくちばしのウミスズメで、レアです。

ウミガラス Common Guillemot、日本では「オロロン鳥」と呼ばれ、天売島にのみ繁殖しその数およそ100羽ですが、北太平洋・北大西洋・北極海には広く分布し、今回はペアでいる姿をよく見ました。

そしてマダラウミスズメと同じような場所にいたのが、ラッコ Sea Otter。ラッコは3つのグループに分かれ、この地域で見られるのはアラスカ・アリューシャン列島の亜種ラッコです。日本では霧多布岬に数頭いるだけですが(日本のラッコは亜種チシマラッコ)各地の「湾」にたくさんいました。

シャチ Killer Whale : Photography by Seiji TACHI

今回の7泊8日の船旅ではシャチ Killer Whale は単独のオスを一度見ただけでした。イシイルカ Dall’s Porpoise Dolphinは何度もみましたが、とても活発ですばやく泳ぐので写真がちゃんと撮れませんでした。

ザトウクジラ Humpback Whaleは、あちこちで数個体が一緒にいるのを見ましたが、バブルネットフィーディングを行う群れはどこにでもいるわけではありません。バブルネットフィーディングの観察については別のブログにて。

海岸にはハクトウワシ Bold Eagleの姿が。成鳥より若鳥の割合の方が多いようです。

2羽のハクトウワシ。魚をうばいあっていました。

アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope 、小さくて美しい海鳥です。海上を集団で移動したり、波の合間に浮いていました。北アメリカ大陸北部やユーラシア大陸北部で繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸や南アメリカ大陸等で越冬する、移動距離のとても大きな海鳥です。

集団で飛ぶ姿がとても美しい、アカエリヒレアシシギ Red-necked Phalarope。

ステファンズ・パッセージ (Stephens Passage) のブラザー島 (The Brothers) のトドのホールアウト。ホールアウト”Haulout “は年中、いつでもトドが集まって休憩したりしている場所のことです。繁殖を行う場所は “Rookeries” と言い区別されています。

ホールアウトのトドたち。大きなオスはおらず、若い個体が集まっていました。濡れているからだと乾いている体で色がだいぶ異なりますね!

ホルカム湾 (Holkham Bay) では氷塊の浮かぶ海にアラナミキンクロ Surf Scoter がたくさんいました。

アラナミキンクロ Surf Scoter : Photography by Morihiko HAYAKAWA

アラナミキンクロ Surf Scoterのオス。

近い海域の岩場です。ウミバト Pigeon Guillemot のペアが何組も!

クロミヤコドリ Black Oystercatcher、北米大陸の太平洋岸、アリューシャン列島だけで見られるミヤコドリの仲間です。

チシマシギ Rock Sandpiper、非繁殖羽の個体です。チュコトカ半島、アラスカ西部、アリューシャン列島で繁殖し、冬は北アメリカ西海岸、千島列島に渡り越冬します。

チシマシギのいた同じ岩相にいた、ゼニガタアザラシ Harbor Seal。体の色には暗色型と明色型があり、「銭形」の模様はカモフラージュになり天敵に狙われにくくなる効果があるようです。

同じ岩礁の大きめの島にはハクトウワシが巣をつくっていました。ハクトウワシは、鳥類の中で最大級の巣をつくることで知られています。

ツアーの最終日に見た生き物は、ヒグマ Brown Bear。まだサケの遡上には少し早く、小川ではなく草地をうろうろしていました。

ヒグマ以外に海岸に現れたのはミュールジカ。アラスカからカナダのブリティッシュコロンビアにかけての海岸の森に暮らすものは Sitka Deerと呼ばれる亜種ミュールジカです。今回は湾の航行中に何回か見かけました。

その他、ワタリガラス Common Raven、ヒメコバシガラス Northwestern Crow、ミミヒメウ Double-crested cormorant、ゴマフスズメ Fox Sparrowを見ました。

ザトウクジラのバブルネットフィーディングがメインのツアーだったため、最初は海鳥の観察に時間が取れませんでしたが、アラスカの海に生きる哺乳類・野鳥を満喫した小型チャーター船による素敵な船旅でした。

船のダイニングにも海鳥、Alaskan BeerのIsland Ale。でもパフィンはこの海域にはいません!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photo courtesy of Morihiko HAYAKAWA

Observation: July 2023, Inside Passage, Alaska, USA

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