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アウリンシャ(Bomarea albimontana)

先日、ベネズエラ・ギアナ高地『 固有種の花咲く原始境へ 太古の台地アウヤン・テプイをゆく』へ同行させていただき、2018年に同じギアナ高地のチマンタ山塊のテプイの山上で観察したウトリクラリア・フンボルティ(Utiricularia humboldtii)に再び出会うことができ、さらに多種多様なランの花の観察を楽しむことができました。

 

前回に引き続き、ペルーのブランカ山群に咲くペルー固有種「アウリンシャ」をご紹介します。

 

ペルー固有種『アウリンシャ』(Bomarea albimontana)

 

被子植物 単子葉類
学名:Bomarea albimontana
現地名:アウリンシャ(Aurinsha)/シュユ・シュユ(Shullu-shullu)
科名:ユリズイセン科 又は アルストロメリア科(Alstroemeriaceae)
属名:ボマレア属(Bomarea)

 

アウリンシャ(Bomarea albimontana)は、ユリズイセン科ボマレア属に属するペルー固有種の1つで、標高3,900~4,800mの高地に自生し、5,000~6,000m級の氷雪峰が聳えるブランカ山群のワスカラン国立公園などでいくつか自生地が確認されています。

 

ペルーの先住民族ケチュア族の言葉で 「アウリンシャ」(Aurinsha)は、花の特性から「つる植物」を意味し、現地フラワーガイドさんが、鈴なりに咲くアウリンシャが風になびく際に鳴らす音がもう1つの現地名「シュユ・シュユ」(Shullu-shullu)の名の由来であると教えてくれました。

 

アウリンシャという現地名のとおり「つる植物」で、たくさんの花を咲かせるため重さで倒れないようにケニュアルという高地の木や他の植物などに絡みついて成長します。

 

葉は細長く少し柔らかい印象、葉裏が表面より白みがかっていた印象です。また花を中心に放射線状に葉を広げていたのが非常に印象的でした。資料によっては「羽根複葉」と記しているものもあります。

 

花は淡いピンク色(オレンジ色にも見えます)が印象的ですが、実際は淡いピンクの萼片が紫色の斑点のある黄色の花弁(6枚という資料もあります)を覆っているベル型の花を咲かせます。
2~3cmほどの小さな花を20個近く密集して咲かせるため、散策をしながら観察しているとすぐに目に飛び込んできます。ただ、つる性の植物だからなのか(?)花があっちの方向に向いていたり、重みの影響で下を向いていることが多いのが難点です。

 

ある資料には「地元の人々にとっては自然の象徴のひとつ」というものもあり、冷涼で湿度のある環境を好む花であるとのことでした。

 

似た花(同じユリズイセン科ボマレア属)で現地で『ミリ・ミリ』と呼ばれる花もブランカ山群のワスカラン国立公園に咲きます。
その花のお話しは・・・またいつの日か。

 

アウリンシャの実(ユリズイセン科)
手で手繰り寄せて花をアウリンシャの花を観察
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【新企画】花咲くブランカ山群へ アンデスの固有種 紅色のプカ・マカをもとめて

2024年も各地へ添乗させていただき、様々な花を観察させていただきました。

 

2024年に観察した花の中で一番の思い出は・・・、実際には比べることは難しいですが、やはり『グレーシャー・リリー』でした。
この花を観察したいというほぼ個人的な想いからツアーを造成させてもらい、実際に現場(カナディアンロッキー)に立ち、その花を目にした時は「希望が叶った」という嬉しさを感じ、少しこみあげてくるものがありました。
加えて、一番の衝撃は同じカナディアンロッキーで観察した『マウンテン・レディース・スリッパー』でした。どの資料にも「個体数が減少」とあった小ぶりで真っ白なアツモリソウを観察できた時の衝撃は忘れられません。

 

「2025年も素晴らしい花や未だ観ぬ花を観察したい!」
そんな思いを胸に下記のツアーを発表させていただきました。

 

花咲くブランカ山群へ アンデスの固有種 紅色のプカ・マカをもとめて
05月07日(水) ~ 05月16日(金) 10日間(高山植物の花咲く季節)

アンデス固有の紅色のリンドウ「プカ・マカ」

ある資料を見ている際に「紅いリンドウ科の花!?」と衝撃を受けたのが、3年前のことでした。
その花がペルー・ブランカ山群に咲いているという情報を得て、現地手配会社やフラワーガイドさんと連絡を重ね、ようやくツアーを発表することができました。

 

山麓の村・ワラスで6連泊しながら、現地の英語ガイド、さらには現地のフラワーガイド(日本語)と共にブランカ山群の絶景ポイント、高山植物の観察ポイントへ専用車にて巡るツアーです。
発表した直後から少しずつお問い合わせも増えており、気付けばまもなく催行決定という状況です。
ご興味を抱かれた方は、是非西遊旅行大阪支社へご一報ください。

「オキ・マカ」と呼ばれるリンドウ科の花
ウルタ渓谷よりブランカ山群の山々を展望

 

また、グレーシャー・リリーを観察するカナディアンロッキーのフラワーハイキングのコースも発表しておりますので、併せてご検討ください。

 

花咲くカナディアンロッキー・ハイキング 黄色いグレーシャー・リリーをもとめて
06月23日(月) ~ 07月01日(火) 9日間(催行決定:高山植物の花咲く季節)

グレーシャー・リリー(Erythonium grandiflorum)