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ジム・コルベット国立公園-4 アジアゾウの家族(インド)

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インドのウッタラカン州、ジム・コルベット国立公園で出会ったアジアゾウ。この季節はたくさんのアジアゾウがディカラ・ゾーンの草原にやっていきます。ここは川が流れ草地がある、ゾウにとって最適な場所です。

アジアゾウ Asian Elephantについて
インド、ネパール、スリランカ、バングラデシュなどの南アジアと東南アジアの一部地域に生息するゾウ。アフリカゾウとは、大きさ、耳や頭の形なども異なり、オスの牙は小さく、メスは牙がない個体が多くいます。そしてインドでは、ゾウはヒンドゥ神話に「ガネーシャ」として登場し、絶大な人気をもつ神のひとりです。そのため、ゾウは大切にされているのですが、それでも「野生のゾウ」と出会える場所は多くはありません。

インドでは1992年に「プジェクト・エレファント」が始動し、長期的な保護政策を進めていますが、2005年時点でのアジアゾウの数はインド全土の保護区で21,000頭以上とされ、おもに南インド、インド東北部に多く生息しています。

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草原のゾウの群れ

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ジム・コルベット国立公園のディカラ・ゾーンはベンガルタイガーだけでなく、アジアゾウの撮影でもフォトグラファーが集まります。

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ゾウの赤ちゃんを連れた家族です。

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赤ちゃんは大人の間にはさまって移動していることが多く、観察しにくいことが多いです。

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大家族です。

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繁殖中。ジム・コルベット国立公園、最終日のサファリが終わりました。

 

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May 2016, Jim Corbett National Park, Uttarakhand, India

★ベンガルトラのツアーを随時発表しています。西遊旅行の野生動物ツアー一覧からチェック!

★トラのサファリ予約は国立公園の事前予約が必要です。観察チャンスが高く人気のある国立公園ではかなり早くから予約が埋まります。ご検討の方はお早めにご相談ください。

★インドでのサファリ/野生動物撮影手配を承っています。西遊インディア、または西遊旅行へのご依頼をお待ちしてます。

ジム・コルベット国立公園 -1 ベンガルタイガーと出会う(インド)

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インドのウッタラカンド州にあるジム・コルベット国立公園 Jim Corbett National Park は1936年に設立された「インドで最も古い」国立公園。1973年に「プロジェクトタイガー」が始動した国立公園でもあります。

首都のデリーに近いことからインド国内の観光客に人気のある公園ですが、コルベットのなかでも「コア(中核)・ゾーン」であるディカラ・ゾーンはラムナガール川が流れ草原と森が広がる最も美しいエリア。ここでは、公園内の宿泊施設(政府系なので、いわゆるサファリロッジとは違います)に泊まり、自然の中での滞在とたっぷりサファリを楽しむことができます。

5月下旬、シーズン最後のジム・コルベット国立公園を訪問。国立公園のゲートからディカラ・ゾーンまでおよそ1時間30分。その道中にも野生動物と出会います。

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前からゾウが現れました。牙に鼻を巻き付け、興奮気味。前に進めなくなり、移動していた車両はみんなバックし始めます。これでおよそ30分かかりました。

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移動途中に見つけたウオミミズク Tawny Fish Owl。インドでは珍しいフクロウで、ネパールとの国境付近の森で観察出来るフクロウです。

ようやく到着したディカラのロッジ。「政府系で簡素、何も期待するな」と言われていたので、「思っていたよりマシ?」という感想。ただし、送電線をゾウが壊してしまったので電気は夜間の発電機を回している間だけ。

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ロッジの客室棟。室内にはベッドと机、シャワーとトイレがあるだけのいたってシンプルなもの。

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ロッジはラムナガール川にを望むテラス状の場所にあり、景観は抜群。

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そしてなんといってもインドの政府系施設ですから、食事はベジタリアンのみです。レストランと言うより、「給食」っぽいですが、インド人のお客さんメインなので意外とおいしいインド料理です。尚、国立公園内のため、肉類・酒類の持ち込みは禁止です。

そして夕方のサファリに出発。

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いきなりゾウさんと遭遇。この季節はディカラゾーンに多くのアジアゾウが集まる季節。インド人フォトグラファーの中にはベンガルタイガーではなく、このアジアゾウの群れの撮影に来ていたチームもいました。

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アジアゾウの群れ

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ディカラ・ゾーンでは草原エリアと森で「エレファント・サファリ」も行われています。働いているゾウさん、野生のゾウさんをみて、どう思ってるかなぁ・・・。

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木陰で休むメスのベンガルタイガー。

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そして、グラスランドへと消えていきました。

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ディカラのグラスランドでサファリを楽しむインド人の家族。草原がアフリカっぽいです。

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ムナグロシャコ Black Francolin 発見!

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グラスランドのサファリゾーンの奥にはたくさんのアクシスジカがいました。

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夕方、ラムナガール川で夕日を眺め、ロッジへと戻りました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May 2016 , Jim Corbett National Park, Uttarakhand, India

★ベンガルトラのツアーを随時発表しています。西遊旅行の野生動物ツアー一覧からチェック!

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冬の野付半島 雨氷とエゾシカ

雨氷 野付半島 Ezo Sika Deer (4)

2月、雨氷(うひょう)現象がおこった野付半島。雨氷は0度以下でも凍らない雨が、木などの物体に付着することをきっかけに凍って形成される固く透明な氷のこと。晴れた日の雨氷は陽に輝き、それはそれは美しいものでした。

雨氷 野付半島 (1)

枝についた雨氷

雨氷 野付半島 (3)

アートの域です。

雨氷 野付半島 サンセット (1)

雨氷に覆われた木々。

雨氷 野付半島 Ezo Sika Deer (3)

オスのエゾシカくんです。

雨氷 野付半島 Ezo Sika Deer (1)

冬のエゾシカはもこもこしています。特に白いお尻がかわいい。

雨氷 野付半島 Ezo Sika Deer (2)

雨氷に覆われた野付半島のエゾシカの群れ。

エゾシカ 野付半島

日が落ちてから雪原に現れたエゾシカのオスの群れ。この日は夕焼けの美しい日で、暗くなるまで野付半島で観察しました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Feb 2016 , Notsuke Peninsula, Hokkaido, 野付半島 – 北海道

 

エチオピアオオカミが暮らすサネッティ高原 – バレマウンテン国立公園

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (11)

エチオピアオオカミが暮らすサネッティ高原 – バレマウンテン国立公園

エチオピアのバレマウンテン国立公園は大きく分けて5つのエリアにわかれています。その中の一つであるサネッティ高原はエチオピアオオカミが生息するエリア。サネッティ、というのは現地の言葉で「風が強い場所」という意味があるそうで、風が強い日が多いようです。

バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (13)

麓のゴバの町から標高を上げていきます。森林限界を越えるとMoorland と呼ばれる植生の場所へ入ります。

バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (7)

さらに高度を上げ4,000mを越えるとサネッティ高原に入ります。ここで見ることのできる樹木は、ジャイアント・ロベリアのみ。

バレマウンテン国立公園 ジャイアントロベリア

ジャイアントロベリアの群生

「アフロアルパイン植生」のこの高原にはバレマウンテンの固有種エチオピアオオタケネズミ(Giant molerat  モグラネズミの一種)を含め、数種のげっ歯類が生息しており、これを捕食するエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf が暮らしています。ネズミのいるところにオオカミはおり、車を警戒する事もなく車道近くまでネズミを探し求めてエチオピアオオカミが現れる事もあります。

サネッティ高原の豊かなアフロアルパイン植生に貢献しているのがげっ歯類たち。地面にトンネルの巣穴を掘り、はりめぐらされたトンネルネットワークと植物の根を食べては掘り返す行動が、サネッティ高原の豊かさのもと。

オオタケネズミ giant Molerat

エチオピアオオカミの好物、エチオピアオオタケネズミはエチオピアの固有種の中でも、このバレ山地のみに生息するネズミです。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

エチオピアオオタケネズミ Giant Molerat を探すエチオピアオオアミ Ethiopian Wolf

エチオピアコウチノウサギ

このウサギは和名がよくわからないのですが、エチオピアコウチノウサギ (?) 、Stark’s Hare。エチオピアの固有種であり、エチオピアオオタケネズミと同じくエチオピアオオカミの食糧源です。

これら高原のネズミ類、ウサギはエチオピアオオカミだけでなく、猛禽類の食糧でもあります。

White-backed Vulture コシジロハゲワシ バレマウンテン国立公園

コシジロハゲワシ White-backed Vulture が空から獲物を探しています。

Augur Buzzard ヨゲンノスリ バレマウンテン国立公園 サネッティ高原 (6)

高原を移動しているとあちこちでヨゲンノスリ Augur Buzzard が獲物を探している様子を見ることがありました。エチオピアオオタケネズミ、空からも陸からも狙われて、大変です。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign, Helm Field Guide “Birds of Horn of Africa”

★★バレ山地も訪問するエチオピア・ネイチャーツアー 2018年発表★★

雨期明けの美しい季節11月限定出発★バレとシミエン エチオピアの固有種を追う
アフリカ大地溝帯山岳部のエチオピアオオカミとゲラダヒヒ

マウンテンニアラ Mountain nyala 

マウンテンニアラ Mountain nyala (12)

マウンテンニアラ Mountain nyala はエチオピアの固有種でリフトバレー(アフリカ大地溝帯)南部の標高1,800~3,750mで見られる偶蹄目ウシ科の動物。
かつてはエチオピアの高地一帯に生息していましたが、農地開発により居住地を奪われ、殺され、その個体数が激減しました。
1998年にエチオピア全土で2,650頭と言われた個体数は、バレ山地での保護の結果少しづつ回復。バレマウンテン国立公園のガイドによると、バレ山地だけで4,000頭になったといいます。

>バレマウンテン国立公園について

マウンテンニアラ Mountain nyala (3)

マウンテンニアラの特徴は、体の白いストライプと斑点模様。
オスは180-320Kgになり、メスは15-200Kgほど。

子供の誕生は一年を通じてありますが、12~3月がピーク。メスと子供の小グループ、若いオスのグループ、オス1頭で行動しているのが見られます。

マウンテンニアラ Mountain nyala (6)

メスと子供の群れです。

マウンテンニアラ Mountain nyala (4)

メスを追いかけているオス。体の白い斑点がよく見えます。

マウンテンニアラ Mountain nyala (10)

オスは体の白い縞模様と斑点が顕著で、大きな角、背骨にそって黒いたてがみがあります。オス間での優劣をを決めるために戦いがあります。若いころは「独身の雄の群れ」に混じり、年を取るにつれ、単体の行動となります。

マウンテンニアラ Mountain nyala (5)

大きな角の年をとったオス、バレマウンテン国立公園北部のガイセイ草原で一匹でいるのを見かけました。

マウンテンニアラは草原でセント・ジョーンズ・ワート(St. John’s wort)、アルテミシア・アフラ (Artemisia afra) などの草を食べていますが、乾季になると草原の植物が枯れ食糧が無くなるため森林地帯へとやってきます。マウンテニアラにとって森林は不可欠の存在です。

マウンテンニアラ Mountain nyala (1)

バレマウンテン国立公園のヘッドクォーターがあるディンショーの森はジュニパーとハゲニア・アビシニカ (Hagenia Abyssinica)の木が茂り、木陰でくつろぐ、たくさんのマウンテニアラたちの姿を見ることができました。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign

★シミエン山地とバレマウンテン国立公園、アフリカ大地溝帯の湖への旅、2017年11月~2018年1月のベストシーズン限定ツアー

固有種の宝庫エチオピア・ネイチャースペシャル

エチオピアオオカミ Ethiopian Wolf  

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (10)

アフリカ最後のオオカミと言われ、その個体数はエチオピア全体で400-500頭ほどといわれる、エチオピアの固有種。そのうちの50頭ほどがシミエン山地に、250頭ほどがバレ山地に暮らしていると言われています。

エチオピアオオカミの祖先はおよそ10万年ほど前にユーラシア大陸から渡ってアフリカ大陸に入り、当時のアフロアルパイン植生に覆われていたエチオピア高原に順応し、高原のげっ歯類(ネズミ)を捕食しこの厳しい環境で生き抜いてきました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (16)

体は赤っぽい毛で覆われ、手足が長くスマート、鼻口部は細長く、尻尾の先はこげ茶色です。一瞬、犬?と思う小柄なオオカミで、オスは14~20キロ、メス11~16キロほど。

エチオピアオオカミはバレマウンテン国立公園のサネッティ高原で2~18頭の群れでテリトリーを作って暮らしています。日中に捕食を行い、特に朝と夕方に高原を歩きまわっているのを見ることができます。探し回っているのはげっ歯類(ネズミ)の動物。特にバレ山地の固有種のげっ歯類、Giant Molerat 、和名はエチオピアオオタケネズミといそうですが、これを探して高原をうろうろしています。

バレマウンテン国立公園について

サネッティ高原のげっ歯類

セネッティ高原のネズミ、名前はわかりません・・・、バレマウンテン国立公園には8種のげっ歯類の動物が生息し、いずれもエチオピアオオカミと猛禽類の大切な食料源となっています。

オオタケネズミ giant Molerat

これがエチオピアオオタケネズミ、Giant Molerat。頭を出して植物の根を食べている様子を観察することができますが、体全体が地面から出てくるのはレア。頭もできるだけ出さないように進化し、目が頭の上部にあります。よく地面を見ていると、ところどころ、エチオピアオオカミが掘って壊れたオオタケネズミの巣の入り口があります。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (14)

エチオピアオオタケネズミ Giant Moleratを探すエチオピアオオカミ Ethiopian Wolf。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (12)

観察していると、嫌だったのか走り出しました。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (18)

歩いて近づいたら、怒ってしまいました。こちらを向いて、警戒の鳴き声。ごめんなさい。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (2)

食料となるネズミ類を探している時は、道路のすぐそばでもおかまいなく行動。

エチオピアオオカミ Wthiopian Wolf (20)

サネッティ高原を縦断する民間バスが走るすぐそばにいるエチオピアオオカミ。

エチオピアオオカミはその保護が進められてはいますが、個体数は回復に向かってはいません。2015年には犬ジステンパーがオオカミの間で広がり、数が減ってしまったといいます。理由は、このサネッティ高原がいまだに放牧に利用され、人間が持ち込んだ「犬」から病気が移ったことでした。

この高原は、エチオピアオオカミ、貴重な固有種の動物たち暮らす最後の自然であるだけでなく、周辺諸国を含めて周りの低地に暮らす人・動物の貴重な水源です。サネッティ高原の保護は真剣に取り組むべき問題です。

「アフリカ最後のオオカミ」と言われるエチオピアオオカミ。高原でGiant Molerat (エチオピアオオタケネズミ)を探して歩き回る、「日常の風景」が続きますように。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Bale Mountains National Park – Ethiopia

Reference : Bale Mountains National Park “A Travelloer’s Guidebook”, Information from Mr.Armaye Wegalign

★★バレ山地も訪問するエチオピア・ネイチャーツアー 2018年発表★★

雨期明けの美しい季節11月限定出発★バレとシミエン エチオピアの固有種を追う
アフリカ大地溝帯山岳部のエチオピアオオカミとゲラダヒヒ

スリランカのレオパード(スリランカヒョウ)と出会う-3

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (3)

スリランカでのレオパード(スリランカヒョウ)のサイティングの記録です。

スリランカのレオパードはヤーラ国立公園がサイティングチャンスが高く一番人気がありますが、ウィルパットゥ国立公園 Wilpattu National Parkでも観察することができます。

ウィルパットゥ国立公園は敷地面積1316㎢を誇るスリランカ最大の国立公園です。レオパードの棲息数が多いことは知られていますが、数は把握されていません。ヤーラ国立公園に比べて森が深く、観察は簡単にはいきません。

ラッキーなことに、サファリカーで国立公園内を回っていたら、目の前のジープ道に、レオパード君がお座りしていました。しかも午前11時を過ぎた時間でした。

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (1)

前にもサファリカーがいて、私たちも動くことができなくなりました。

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (2)

さすがに2台の車にはさまれて居心地が悪くなったのか立ち上がりました。

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (3)

しなやかなボディの男の子です。

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (4)

あっという間に茂みの中に入ってしまい、ショータイム・オーバー。

短い時間でしたがウィルパットゥ国立公園のレオパード君と出会えて、幸せです。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2015, Wilpattu National Park, Sri Lanka

Reference :  Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(JP)(EN)

 

ウィルパットゥ国立公園 Wilpattu National Park(スリランカ)

スリランカ カワリサンコウチョウ (2)

ウィルパットゥ国立公園は敷地面積1316㎢を誇るスリランカ最大の国立公園。「ウィル」は「自然の水」を意味し、園内には雨水を湛 えたくぼ地や池、湖が60ヶ所近く点在します。また、レオパードの棲息数が多いことで知られていますが、正確な数は把握されていません。ナマケグマやスイギュウ、サンバーなど31種の哺乳類が棲息しています。スリランカの西海岸に接しており、海辺の野鳥も観察されます。

ウィルパットゥ国立公園のある地域は1983年から2009年まで続いたスリランカ内戦の影響を受け、長年訪れる人も少なかった国立公園。そのため周辺のホテルの設備、地元のサファリガイド・ドライバーの訓練などが必要な地域ですが、一大サファリ観光地となったヤーラ国立公園に比べ、ゆっくり、静かな森でサファリができる場所でもあります。

ウィルパットゥ国立公園でのサファリの様子です。

イノシシとアクシスジカ

イノシシ Wild Boarとアクシスジカ Spotted Deer

インドクジャク スリランカ

インドクジャクのオス Indian Peafowl 繁殖羽で優雅です。

ジャッカル ウィルパットゥ国立公園

ジャッカル Jackal そばにお腹の大きなメスが隠れており、私たちをじっと見ていました。

ホエジカ スリランカ

ホエジカ Barking Deer (Indian Muntjac) 林の中にいることが多く、写真撮りにくい鹿です。

ウイルパットゥのスリランカゾウ

スリランカゾウ Sri Lankan Elephant

ミドリハチクイ スリランカ

ミドリハチクイ Green Bee-eater 残酷な蝶の食べ方です。くちばしに挟んでは離して、振り回して・・・

チャガシラハチクイ スリランカ

チャガシラハチクイ Chestnut-headed Bee-eater

ハリオハチクイ ウィルパットゥ国立公園

ハリオハチクイ Blue-tailed Bee-eater

マミジロヒヨドリ

マミジロヒヨドリ White Eyebrows Bulbul

ソリハシオオイシチドリ ウィルパットゥ国立公園

ソリハシオオイシチドリ Great Thick-knee がゾウの糞で卵を温めていました。

スリランカヤケイ

セイロンヤケイ Sri Lanka Junglefowl のオス この鳥、スリランカの「国鳥」です!

スリランカ カワリサンコウチョウ (1)

カワリサンコウチョウ Asian Paradise Flycatcher のオス

シロハラウミワシ スリランカ

シロハラウミワシ White-bellied Sea Eagle

カササギサイチョウ ウィルパットゥ国立公園

カササギサイチョウ Malabar Pied Hornbill

オオソリハシシギ スリランカ

オオソリハシシギ Bar-tailed Godwit  冬にスリランカ北西の海岸で見られる鳥です。

エメラルドバト ウィルパットゥ国立公園

キンバト / エメラルドバト Emerald Dove のオス

アカハラシキチョウ

声が美しいアカハラシキチョウ White-rumped Shama

カンムリワシ スリランカ

カンムリワシ Crested Serpent Eagle

他にも、インドトサカゲリ Red-wattled Lapwing 、インドトキコウ Painted Stork、 アマサギ Cattle Egret、Grey Heron アオサギ、Intermediate Egret チュウサギ、サンバー鹿 Samber、トクマカクザル Toque Maccaque Monkey、たくさんのインドリクオオトカゲ Land Monitor やアカマングース Ruddy Mongooseを観察することができました。

残念ながら、国立公園入り口付近で朝晩に観察のチャンスが高いといわれたナマケグマは見ることができませんでしたが、見れました、レオパード君。

ウィルパットゥ国立公園のレオパード (3)

サファリカーの前をスリランカヒョウ Sri Lankan Leopard が横断してくれました!

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jan 2015, Wilpattu National Park, Sri Lanka

Reference : Helm Field Guides ” Birds of the Indian Subcontinent”,  Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(JP)(EN)

 

スリランカのハイイロスレンダーロリス(1) Gray Slender Loris

ロリス スリランカ (1)

スリランカには固有のスレンダーロリス、和名ハイイロスレンダーロリス Gray Slender Loris とインド亜大陸固有のアカスレンダーロリス Red Slender Lorisが生息しています。本来は島のあちこちの森に暮らしていましたが開発により棲家をうばわれその数が減ってしまいました。また体が小さくサルとはいってもふくろうなどの肉食の鳥に捕食されてしまうため、姿を見ることは容易ではありません。

夜行性で体長15~25cm。観察は容易ではありませんが、ニゴンボ郊外の森、シギリヤの森、シンハラージャの森などあちこちにいます。

ロリス スリランカ (4)

日没後、ちょうど「晩ごはん」の時間に、ロリス監査へGO。赤外線ライトを使います。

ロリス スリランカ (9)

トカゲを発見、なんて素敵な手。

ロリス スリランカ (7)

足も素敵です。夜は、昼に見えないものが見えます。

ロリス スリランカ (10)

光に反射したロリスの目、スレンダーロリス発見。

ロリス スリランカ (11)

なんとなく、スレンダーロリスの全体を確認。

ロリス スリランカ (14)

樹上を移動していきます。

ロリス スリランカ (2)

何とか撮影に成功した一枚。スレンダーロリスの観察と撮影は本当に忍耐。暗闇の中でずっと樹上を見上げて森の中を歩くのは容易ではありません。

観察に出かける人は運動靴に長袖長ズボン着用で。写真撮影にはフラッシュは使えませんので一脚か三脚に高感度撮影の調整できるカメラが必要です。観察には普通の懐中電灯ではなく赤外線ライトを使用。

これまでシギリヤの森で2回、ニゴンボ郊外の森で2回チャレンジしましたが、そのうちの1回は何も見ることがきませんでした。雨の日や風の強い日もNGです。

ニゴンボの郊外では、赤外線ライトで照らされた森を歩いていて、一番たくさんであったのは「ネコ」でした。

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Jul 2014, Suburb of Negombo & Vil Uyana Loris conservation site, Sri Lanka

Reference : Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Mr.Chaminda(Naturalist – Vil Uyana),Wikipedia(JP)(EN)

スリランカゾウの話

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (3)

植民地支配が始まる前のスリランカには、4万頭以上の野生のスリランカゾウが生息していたと言います。。それがヨーロッパ植民地時代に激減し、1970年には2000頭にまで減ってしまいました。特にイギリス領セイロン時代のハンティングはひどいもので、一人で1500頭もの象を撃ったイギリス人将校もいるほどです。ある記録によると、1829年から1855年のわずか26年の間に6000頭の象が射殺されました。1986年、スリランカゾウは絶滅危惧種に指定され、ようやく保護の対象になりました。人と象との住み分けのために電子柵が設けられたり、孤児を救い、自然に戻す試みも行なわれています。現在、象の数は5000頭ほどにまで回復しましたが、未だに密猟などによって年間約100頭が犠牲になっていると言われています。

野生象の保護施設の中で有名なのは、ピンナウェラの象の孤児院です。ここでは観光客が象たちに出会い、かわいい子象を見ることができますが、象たちは野生にもどることはありません。

ピンナウェラのゾウの孤児院の様子です。

ピンナウェラ (1)

ゾウの赤ちゃんにミルクをあげることができます。(追加料金が必要です)

ピンナウェラ (3)

ピンナウェラの象の孤児院の水浴びタイム

ピンナウェラ (2)

係員が丁寧にゾウの体を洗います。ゾウさん、至福のひととき。

ここではゾウの野生化は行われず、シギリヤのゾウサファリや寺院で働くゾウ、「働くゾウさん」になります。

スリランカでは、牙を持つ象は少なく、オスの7%にも満たないと言われています。牙のある象は神聖視され、通常の象が「エレファント」と呼ばれるのに対して、特別に「タスカー(牙あり)」と呼ばれます。スリランカで最も有な祭り「ペラヘラ祭り」で仏歯を運ぶ象はもちろんタスカーです。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (2)

(写真はウダ・ワラウェ国立公園併設の博物館展示品を撮影したものです)

一方、ウダワラウェ国立公園の施設では、保護した象に対して「できるだけ人間との接触を少なくし、野性に返す」取り組みが行なわれています。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (3)

ウダ・ワラウェのElephant Transit Home(一時的にゾウが通過する家、という意味)での授乳タイム。

ウダ・ワラウェ Elephant Transit Home (1)

事故にあったのでしょうか、痛々しい足をした子ゾウもいました。人と野性のゾウが一緒に暮らすスリランカではゾウの事故は絶えません。

やっぱり、ゾウは野性の姿が一番です。

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (2)

野性のゾウが大集合することで有名なミンネリヤ国立公園。砂を浴びるゾウさん。

ミンネリヤ国立公園 野生のゾウ (1)

野性のゾウのダイナミックな優しさ、すごいです。

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : May 2014 Uda Warawe Elephant Transit Home,  Jul 2014 Minneriya National Park, Jun2015 Pinnawala Elephant Orphanage.,

Reference :  Pictorial Pocket Guide to the Mammals of Sri Lanka, Wikipedia(EN)