カテゴリー別アーカイブ: ■動物を観察した地域・国

屋久島の海

8月下旬に訪れた、屋久島の海。あいにくの台風の影響で口永良部島など遠征はできなかったのですが、屋久島最北端の一湊湾のポイントなど、屋久島らしい海の景色と魚たちに出会うことができました。

屋久島と言えば降雨量が多いことで知られていますが、雨の後の湾内は海の表面に淡水の層ができたりします。また花崗岩の荒々しい水中地形、黒潮が近くを流れることから魚の種数も豊かで、意外と知られていない海の魅力があるのが屋久島です。

一湊湾の通称「ゼロ戦」と呼ばれるポイントで、屋久島で一番有名なポイントだと思われます。沈んでるのは「ゼロ戦」以外の小型飛行機ですが、スカシテンジクダイ、キンメモドキに加えいろんな魚の幼魚、主(ぬし)のように暮らすアザハタ、ウツボ、それをクリーニングするエビなどいろんな生き物と出会える、写真撮影もとても楽しいポイントです。

アザハタ。大高が高いのが特徴的で、真っ赤な個体、赤・白の和柄的な模様の個体がいます。訪れたときは3匹いました。

ケラマハナダイ♂相。ここはケラマハナダイがたくさんいて本当に華やかです。

この「ゼロ戦」の主(ぬし)で内部に暮らすおおきなウツボ。そしてウツボのエラをクリーニングするホワイトソックスシュリンプ。

お目めキラキラのスザクサラサエビはたくさんいます。

そばのポイント「漁礁」に現れたミナミハタタテダイの群れ。ガイドさんが集めてくれてみなさま撮影に夢中でした。

ミナミハタタテダイの舞。本当にきれいで可愛い魚です。

同じ一湊湾内のポイント「お宮前」(八筈嶽神社)のスミレナガハナダイ♂相。比較的深いところにいる魚で婚姻色のオスは大変きれいです。

この「お宮前」ポイントで見られる気になる魚が、このカゴカキダイ。自分は屋久島以外で見たことはありません。山渓ハンディ図鑑「日本の海水魚」の写真撮影地も屋久島でした。

ハナゴンベ。あまり移動しないのでがんばって背景の暗い場所で撮影。きれいな魚です。

台風の前に一港湾から出たポイントへも連れて行ってもらいました。漁礁にいたツバメウオ。非常になついている複数個体がいました。

永田地区の「灯台」というポイント。ここではギンガメアジの群れも見えましたが、5月にたくさんいたイソマグロは水温が高いこの時期はあまりチャンスがないとのことでした。私たちの周りをクマザサハナムロが乱舞。

浮上時には小さなキビナゴの群れが海面で光っていました。

この8月は台風がまったく来ず、水温が高く沖縄のサンゴの白化なども問題になっていますが、台風により海の中がかき混ぜられ、水温が下がることも大切と知りました。やってくる台風の予想を見て予定より1日早く屋久島を出ることになりました。観光業にとっては台風で失う仕事もありますが、自然の営みの中では大切な自然現象です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : AUG 2022, 屋久島

デオサイ高原キャンプで出会った、ヒマラヤヒグマ(パキスタン)

夏のデオサイ高原、キャンプ&ウォーキングで出会ったワイルドライフと景色。2022年の夏のデオサイ高原は例年になく乾燥していました。いつもは水があふれ高山植物の花が咲き乱れるデオサイは、乾燥し水がないため秋と同じような色をしている植物がたくさん見られました。理由は冬の降雪の少なさです。

パキスタンではスワート渓谷、シンド・バロチスタン州の洪水報道の一方、降雨の少なさで生態系が狂う場所もあるという、異常気象の恐ろしさを実感です。

晴れた日のデオサイ高原は本当に美しく、透き通った水の流れる川、湿原、山が迎えてくれます。

オナガマーモット Long-tailed Marmot

オナガマーモット Long-tailed Marmot(またはGolden Marmot)です。クンジュラブ峠付近で見られるのと同じ種ですが、その毛皮の色はだいぶ落ち着いた色です(クンジュラブ峠のものはまさにGolden Marmotと呼ぶにふさわしい、濃い色の毛皮を纏っています)。

キガシラセキレイ Citrine Wagtail

キガシラセキレイ Citrine Wagtailの雄。川沿いの藪で繁殖しており、朝・夕に雛に虫を運ぶ姿が観察されます。

ハマヒバリ Horned Lark

こちらはハマヒバリ Horned Larkの雄。こちらも雛に餌を運ぶのに大忙しでした。滞在していた7月半ばはちょうど雛の巣立ちの季節のようで、まだあまり飛べない雛が車道付近にいるのをドキドキして見ていました。

ムネアカイワヒバリ Robin Accentor

ムネアカイワヒバリ Robin Accentor です。キャンプ地の周りにはいませんでしたが、シャトゥン地区の家畜の放牧エリアで見かけました。パキスタンではデオサイ高原から北にかけての限られた地域でのみ見られる鳥です。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bearを求めて毎日歩きました。今夏の例外的な乾燥のため、いつもいるはずの場所にヒグマがいませんでした。夕方まで探しても見られない日がありました。

国立公園のスタッフと歩き、探し、「どうしていつもの場所にいないのか」と頭を抱えました。

最初に思いついた原因は「観光客の増加」。しかしそれは今年だけのことではありません。次が、遊牧で暮らす人々がデオサイ高原のヒグマエリアに家畜を持ち込んだこと。これはさすがに影響があるはずです。しかし、ヒグマのコアゾーンにもいない・・・大きな理由はやはり、積雪の少なさによる「乾燥」に起因すると考えられます。ヒグマの好物の草が、いつもの場所に育たず、餌をもとめて移動してしまった・・・というのが国立公園スタッフの意見でした。

残念ながら、ヒマラヤヒグマはその生態についてほとんど研究されていません。正直なところ、発表されている個体数も正確なものではないでしょう。

今回の滞在中、ヒマラヤヒグマを求めて4か所のヒグマエリアを歩きました。途中、デオサイ高原のあちこちから見える世界第9位の高峰、ナンガパルバット Nanga Parbat (8,126m)の南東からの山容です。

ヒグマがねぐらに使っていたくぼみです。大きなくぼみと小さなくぼみ。親子ヒグマのもののようです。

糞も大きな糞(母グマ)と小さい糞(子熊)が大量にありました。ただ、国立公園スタッフによると、一番新しいものが3~4日くらい前でその後の新しいものはないと。この親子ヒグマもこの場所を去ってしまったようです。

コアゾーンと呼ばれるエリアで、スキャン。ようやくヒマラヤヒグマを見つけました。

とっても若いヒマラヤヒグマです!

私たちのにおいがしたのでしょう、立ち上がって、私たちを探し始めました。

もう、私たちの存在に気が付いてしまいました。この後は、遠ざかる一方です。草原を走って見えなくなってしまいました。まだかなり若い個体なので近くに母グマがいたのか、それとも別れたばかりなのか。無事に育ってくれることを祈ります。

別の大きなヒマラヤヒグマがいました、夢中で食べています。

食べるのに夢中でなかなか顔を上げてくれません。食べている間に少しづつ距離を詰めていきました。風向きは反対、チャンスです。

ヒマラヤヒグマ撮影中。

こちらのことは気づくことなく草を食むヒマラヤヒグマ。高山植物の花に囲まれ、キガシラセキレイがヒグマの周りで虫を捕食する、自然な光景を見ることができました。

キャンプ地に戻ると、大きなマスが(注:ちゃんと国立公園の許可証をとってスタッフが捕まえたものです)。デオサイ高原には、もともといたマスとイギリス人が植民地時代に釣りのために放流した外来のマスがいます。このマスがどちらなのかはわからないのですが、もともといるマスはIndus Snow Troutと呼ばれる珍しい種だそうです。

マスを見たら、喉が渇きます。パキスタンのビール、マリービールで乾杯です(注:標高4,000mありますのでマネしないでください)。この缶はMurree BreweryのMILLENNIUMというビールで、個人的に一番おいしいと思っているビールです。イギリス植民地時代の遺産で一番感謝しているものです。

デオサイ高原の星空・・・明かりのないデオサイ高原の空の撮影はおすすめ。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear

そしてキャンプ地に現れたヒマラヤヒグマ・・・キャンプ地のゴミを目当てにしている個体がおり、しょっちゅうやってくるそうです。カメラトラップにしっかり映っていました。

今年は乾燥していたため、ヒグマの観察には苦労し、高山植物の少ないシーズンとなってしまいましたが、この異常気象が生態を狂わさないことを祈るばかりです。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Observation : JUL 2022, Deosai National park, Gilgit-Baltistan

西遊旅行パキスタン支店 INDUS CARAVAN のパキスタンの野生動物特集

西遊旅行のパキスタンツアー一覧

 

ネコザメ – 伊豆大島ダイビング

7月上旬の伊豆大島の海へ。ネコザメ、トラウツボ、ハンマーヘッドシャーク・・・1泊2日という短期滞在でしたが、東京・竹芝桟橋から高速船で1時間30分は近い!朝、到着してから3本、翌日早朝ハンマー含め3本潜り最終の高速船で戻れば6本潜れます。伊豆大島すごい。

伊豆大島の海・海底ジオパーク(1) 伊豆大島の海・海底ジオパーク(2)

日中の暑さが心配でしたが、水温は19~22度とドライスーツで十分な温度でした。さて、講習しながら観察したお魚たち+αの写真です。今回は何よりもネコザメ遭遇がうれしいものでした。

ネコザメはおとなしいサメで藻場によくいます。伊豆でよく観察され、英名はJapanese Bullhead Shark。目の上の隆起が猫の耳に似ていること、目や頭の形が猫に似ていることから和名の「ネコザメ」の名前が付いたと言われています。

トラウツボ。外人のお客さんが日本で見たいウツボです。和名は模様がトラみたいだからトラウツボですが、英名は「 Dragon moray」、ドラゴンです。

「主(ぬし)」と呼ばれる大きな大きなアオウミガメ。人と一緒に写ってないと大きさがわかりませんが、これまで自分が見たアオウミガメの中で一番大きいと思います。ガイド氏によると、大きすぎるのかお年なのか、あまり動かないそうです。

ガラスハゼ。ムチカラマツ(サンゴの仲間)について生きているハゼの一種。

トウシマギンポ。頭出てる系、しかも1センチくらいです。

ケイカイのハンマー。今回、数はあまり遭遇できませんでしたが、浅いところを泳いでいる(水深12mにいる自分の上を通過していく)のは驚きです。

ダイビングポイントそばのトイレにあったツバメの巣。翌日には巣立ちしてました

お世話になった民宿、八幡荘。この通りのネコの多いこと。このノスタルジックな景色とネコに癒される滞在でした。

今回、一番たくさん見たお魚はイサキ。夕食にも登場。

伊豆大島と言えば、べっこう丼。最終ダイビングのあとは大島名物「べっこう丼」。刺身を”漬け”にして、すし飯の上に乗せたもの。ダイビング後のビールも最高です。
そして夕方のフェリーで東京・竹芝桟橋へ。

Image : Mariko SWADA

Observation :JUL 2022, 伊豆大島ダイビング

Special Thanks : Beach Line

西遊旅行のワイルドライフツアー一覧 個人旅行・手配旅行も可能です、ご相談ください。

スリランカ バードウォッチング

スリランカのバードウォッチング、特集ページ公開!

スリランカ バードウォッチング

西遊旅行のスリランカ支店、Saiyu Lankaのサイトに「バードウォッチング・イン・スリランカ 」を特集ページとして公開しました。

「バードウォッチング・イン・スリランカ Bird watching in Sri Lanka」

西遊旅行がスリランカのネイチャーツアーに着手したのが2014年。当時はヤーラ国立公園のサファリやミリッサのシロナガスクジラのホエールウォッチングが主流で、シギリヤやキャンディといった主要観光地との組み合わせからツアーを始めました。その後、どんどんワイルドライフ・デスティネーションを開拓し、スレンダーロリスの観察、トリンコマリーのホエールウォッチング、そして「バードウォッチング」もスタート。実は、スリランカ支店の支店長アヌラダさんは元海軍のバーダーで、支店訪問の際には毎度、シンハラジャへ一緒に通っています。

コロナで2年ほどブランクが空きましたが、ようやく固有種を中心に写真のストックもそろい、バードウォッチング特集を作ることができました。まだまだ勉強が足りないところが多々ありますが、スリランカの野鳥の魅力が伝わればと思っています。

西遊旅行の日本発着のスリランカ・バードウォッチングツアーだけでなく、現地発着の1~2名様の手配旅行など、ご希望にあわせて対応させていただきます。お問い合わせ、お待ちしております!

 

Image &Text : 西遊旅行 Team Widlife  – Mariko SAWADA

※西遊旅行のバードウォッチングツアー一覧はこちら

インドショウノガンの求愛ディスプレイ Breeding Dispray of Lesser Florican

インドショウノガン Lesser Florican ( Sypheotides indicus ) は、インド亜大陸固有種の野鳥で、かつてはインドの北西~南部、パキスタンの南部に分布していましたが、生息地の消滅と狩猟により数が減り、ICUNのレッドリストでCN(絶滅寸前)に指定されている鳥です。

モンスーンの時期にお気に入りの草原へやってきて、オスが跳躍の求愛ディスプレイをします。ラジャスタン州アジメール周辺の草原や農地に現れることが知られており、鳥ガイドのサンジャイさんと探しに行ってきました。

動画:インドショウノガンの求愛ディスプレイ The Leaping Breeding Display of Lesser Florican

毎年現れるポイントが変わるため、シーズンの最初はその特定が大変です。今年は草原よりも農地に現れているという情報をもとに早朝からでかけました。インドショウノガンは草原・牧草地・農地を好み、モンスーンの季節にここで繁殖します。

探し始めて間もなく、いました、インドショウノガンです。写真の鳥がいる農地はレンズ豆(lentils、ダル豆)の畑で、後ろの背丈の高い草が生えている農地はトウモロコシ畑。この季節、レンズ豆畑を歩いてくれていると見つけられますが、トウモロコシ畑に入ると見えません。ちなみに訪問した時から2週間もするとレンズ豆も育つため、探すのは困難になりますが、そのころには巣があるのであまり動かないため、「跳躍ディスプレイ」を一度見つければ観察できるのだそうです。

インドショウノガン Lesser Florican 繁殖羽の雄。頭部から腹部まで黒くなり、後頭部にはリボンのような飾り羽が。インドショウノガンはオスが46cm、メスが51cmとメスの方が大きく、メスは跳躍もしないし地味なので、見つけるのは困難とのことでした。

インドショウノガン 求愛ディスプレイ Lesser Florican’s breeding disprays

インドショウノガンのオスは、この農地を歩いて歩いて、そして少し立ち止まり、ジャンプします。観察していると傾向がわかってきます。そしてこのわかりやすさのため、狩猟されやすく、その数が減ってしまいました。インドでは1972年に狩猟を禁止する法律が施行され、その後の狩猟はありませんが、生息地を失ない「絶滅寸前」種となってしまいました。2000年に3,500羽生息するとされていましたが、2018年の調査情報で4州に264羽が確認されたのみ、というショッキングな事実がわかりました。隣国のパキスタンでは狩猟は禁止されていないため、ほぼ絶滅したと考えられています。

インドショウノガン、求愛の跳躍ディスプレイ。

人との距離が近いのが、インドらしい。一般のインドの村人がインドショウノガンを脅かすことはありませんが、村人は一生懸命畑をメンテナンスしており、化学肥料や農薬の影響が心配です。

インドショウノガン 求愛ディスプレイ Lesser Florican’s breeding disprays

インドショウノガン 求愛ディスプレイ Lesser Florican’s breeding disprays

ちなみに、距離はそこそこ遠く、撮影に関しては本当に良い望遠レンズがあったほうがいいです。車中からの撮影となります。

インドオオノガン Indian Great Bustard は2018年に150羽まで減り、国を挙げての保護の取り組みが始まりました。インドショウノガン Lesser Florican、そしてベンガルショウノガン Bengal Florican の保護も早急な対応が必要です。

インドではサファリや野生動物写真を好む人が増え、より多くの人が野生動物保護に注意を払うようなってきました。ベンガルトラの数が回復してきたように、インドがその他の野生動物・野鳥の保護を推進してくれることを期待します。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : July 2022, Ajmer, Rajasthan, India

★インドでのバードウォッチング/サファリ/野生動物撮影手配を承っています。西遊インディア、または西遊旅行へのご依頼をお待ちしてます。

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繁殖羽のヘラサギ・夏のインドで探鳥!バラトプール編

繁殖羽のヘラサギを見たかったので、バラトプールに行ってきました。とても素敵なヘラサギのディスプレイの写真を見たことがあり、いつかそんな姿が見れたらいいなと思っていました。

バラトプールは世界遺産でもあるケオラデオ国立公園 Keoladeo National Parkがあり、この国立公園は他の国立公園と違い、閉鎖期間がほぼなく夏でも入場可能です。が、ヘラサギの繁殖地は公園内ではなく、村の周りの池にありました。

訪れた7月下旬はちょうど求愛の季節でした。ペアの仲良い姿。

ヘラサギ Eurasian Sponnbill はユーラシア大陸とインドで繁殖し、アフリカやアジアへの渡りを行う鳥ですが、インドではインド西~南部では留鳥として観察されます。このバラトプルも、ケオラデオ国立公園や周辺の水場でヘラサギを一年を通じて観察することができます。

冠羽をはでに開いた繁殖羽のヘラサギ。

冠羽が・・・。

この池ではヘラサギ以外の水鳥も繁殖していました。クロトキ Black-headed Ibis は、ヘラサギと同様にインド西~南部で留鳥として観察されます。この時期、すでに雛が誕生していました。

アオサギ Grey Heron も繁殖していました。この季節のアオサギの美しいこと!

雛の姿が見えました!

チュウサギ Internediate Egret のペア、繁殖期の美しい色。

ゴイサギ Black-crowned Night Heron のペア。足が赤くキレイ。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の幼鳥。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の雛の姿も。

人との距離がとても近い、村の池で繁殖する水鳥たち。この距離の近さは「インドならでは」です。

<観察できた鳥(07:00-09:00am)> ヘラサギ (Eurasian Spoonbill)、クロトキ (Black-headed Ibis)、ヨシゴイ (YellowBittern)、ゴイサギ (Black-crowned Night Heron)、アオサギ (Grey Heron)、ムラサキサギ (Purple Heron)、チュウサギ (Intermediate Egret)、ダイサギ (Great Egret)、コブガモ (Knob-billed Duck)、アジアコビトウ (Little Cormorant)、セイケイ (Purple Swamphen)、アジアレンカク (Bronze-winged Jacana)、シリアカヒヨドリ (Red-vented Bulbul)

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : End July 2022, Bharatpur, Rajasthan, India

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夏のインドで探鳥!スルタンプール編

久しぶりにインドの探鳥です!しかも夏。インドの探鳥は冬がメインですが、夏に繁殖期を迎える野鳥も多く、バードフォトグラファーにとってはなかなかの被写体もいます。まずはデリー国際空港からわずか1時間のスルタンプールへ。「スルタンプール国立公園」自体は5月半ばから9月半ばまで水源を減らすために休園中ですが、周囲の湿地・農耕地には様々な野鳥が見られ、休日となるとインド人野鳥フォトグラファーが集まります。

場所はデリーとグルガオンの間、住宅地、マンションと隣り合わせの湿地。インドトキコウ Painted Stork、ダイサギ  Great Egret、チュウサギ Intermediate Egret  の集団が。まさにインドの野鳥の姿、たくましい。

そこにインド人のバーダーさんたちの姿が。行ってみると昨日、シロエリハサミアジサシ Indian Skimmer が観察されたとの情報で集まっていた人々でした。シロエリハサミアジサシはチャンバル国立公園のチャンバル川で観察できるアジサシとして知られていますが、この都会に隣接する場所にやってきました。

いました、しかもシロエリハサミアジサシ Indian Skimmer は、カワアジサシ River Tern とレアなハジロクロハラアジサシ  White-winged Tern と一緒にいました。

シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)

カワアジサシ(River tern)、シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)

インドでもFacebookやコミュニティサイトであっというまに目撃情報が出回ります。

ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)

これは写真撮影が難しいハイバラカッコウ Grey-billed Cuckoo。鳴くのが7~8月だけでそれ以外の季節はほぼ見ることができない鳥です。

ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)

ハイバラカッコウは「電線」系でなかなか木にとまっているのを撮影するのが難しい鳥です。

そして夏のスルタンプールといえばこの子、コブガモ Knob-billed Duck。繁殖羽の雄を見れる、唯一の機会です。冬は見れたとしても「コブ」がありません。夏の繁殖中の雄スペシャル。

雄だけのグループ!しかも立派なコブをお持ちです♪ 一昔前のインドでは、当たり前の光景だったそうですが、開発が進みコブガモが繁殖できる場所も限られてきました。鳥ガイド氏によると、コブガモは水辺ではなく木の穴や廃屋で繁殖しているのが観察されているそうです。

コブが小さいですが、美し羽色を見せてくれた子。

オオヅル Saus Crane

インドの夏はオオズル Sarus Craneの繁殖です。この鳥も、コブガモと同様、繁殖地が脅かされています。ダンスは見れませんでしたが求愛の鳴き声が響いていました。

そのほか、スルタンプールらしい、夏に出会った野鳥たちです ↓↓

ベニスズメ Red Avadavat

ムナグロシャコ Black Francolin

 

建築材にとまっている、アオショウビン White throated Kingfisher とインダススズメ Sind sparrow 。

インドコキンメフクロウ(Spotted Owlet)

スルタンプールの野鳥は、人間が作ったものを最大に利用して暮らしています。ハイイロハッカ(Bank Myna) の巣。

高架の下はハイイロハッカのアパートになっていました。ハイイロハッカは冬に繁殖するのでそのころにはさらに賑わいます。

ハイイロハッカ Bank Myna のペア。

農道のアカアシトキ Red-naped Ibis とインドトサカゲリ Red-wattled Lapwing。人の暮らす場所にこれだけの野鳥が一緒に暮らしている、スルタンプールです。

<今回の訪問(7月下旬)の午前中の間に観察できた野鳥>

ムナグロシャコ(Black Francolin)、シマシャコ(Grey Francolin)、コブガモ(Knob-billed Duck)、カルガモ(Indian Spot-billed Duck)、カイツブリ(Little Grebe)、インドトキコウ(Painted Stork)、シロスキハシコウ(Asian Openbill)、シロエリコウ(Wolly-necked Stork)、オオフラミンゴ(Greater Flamingo)、アカアシトキ(Red-naped Ibis)、クロトキ(Black-headed Ibis)、リュウキュウヨシゴイ(Cinnamon Bittern)、ムラサキサギ(Purple Heron)、アマサギ(Cattle Egret)、ダイサギ(Great Egret)、チュウサギ(Intermediate Egret)、コサギ(Little Egret)、アジアコビトウ(Little Cormorant)、トビ(Black Kite)、エジプトハゲワシ(Egyptian Vulture)、シロハラクイナ(White-breasted Waterhen)、オオバン(Common Coot)、オオヅル(Sarus Crane)、インドイシチドリ(Indian Thick-knee)、レンカク(Pheasant-tailed Jacana)、カタグロツバメゲリ(River Lapwing)、インドトサカゲリ(Red-wattled Lapwing)、コチドリ(Little Ringed Plover)、エリマキシギ(Ruff)、アカアシシギ(Common Redshank)、タカブシギ(Wood Sandpiper)、オジロトウネン(Temminck’s Stint)、カワアジサシ(River tern)、ハジロクロハラアジサシ(White-winged Tern)、シロエリハサミアジサシ(Indian Skimmer)、カワラバト(Rock Pigeon)、シラコバト(Eurasian Collared Dove)、ベニバト(Red Collared Dove)、ワライバト(Laughing Dove)、ワカケホンセイインコ(Rose-ringed Parakeet)、ハイバラカッコウ(Grey-bellied Cuckoo)、オオバンケン(Greater Coucal)、インドコキンメフクロウ(Spotted Owlet)、インドブッポウソウ(Indian Roller)、ニシブッポウソウ(Eurasian Roller)、コウハシショウビン(Stork-billed Kingfisher)、アオショウビン(White-throated Kingfisher)、ミドリハチクイ(Green Bee-eater)、ルリホオハチクイ(Blue-cheeked Bee-eater)、ムネアカゴシキドリ(Coppersmith Barbet)、ミナミオオモズ(Iberian Grey Shrike (Southern Grey Shrike))、オウチュウ(Black Drongo)、イエガラス(House Crow)、コチャバネヤブヒバリ(Indian Bushlark)、シリアカヒヨドリ(Red-vented Bulbul)、シロハラハウチワドリ(Ashy Prinia)、アジアマミハウチワドリ(Plain Prinia)、オナガサイホウチョウ(Common Tailorbird)、ハイイロハッカ(Bank Myna)、インドハッカ(Common Myna)、ホオジロムクドリ(Asian Pied Starling)、バライロムクドリ(Rosy Starling)、シキチョウ(oriental Magpie Robin)、クロノビタキ(Pied Bushchat)、インダススズメ(Sind Sparrow)、キムネコウヨウジャク(Baya Weaver)、ギンバシ(Indan Silverbill)、ベニスズメ(Red Avadavat)、マミジロタヒバリ(Paddyfield Pipit)

インドの探鳥、夏もおすすめです!

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation: End of July 2022, Sultanpur area, Haryana, India

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セイロンガマグチヨタカ (6) Sri Lanka Frogmouth (シンハラジャ、スリランカ)

3月のスリランカ、シンハラジャの森での観察です。

セイロンガマグチヨタカの親子、ママ鳥が体を揺らしています!セイロンガマグチヨタカはスリランカの固有種ではありませんが、見られるのは南インドの西ガーツ山脈とスリランカだけ。お客様からのリクエストの多い鳥ですが、道なき藪の斜面を歩くことも。でも、こんな光景を見たらすべての苦労がぶっ飛びますね!

Sri Lanka frogmouth セイロンガマグチヨタカ

Videography & text : Mariko SAWADA

Observation : Mar 2022, Sinharaja Forest, Sri Lanka

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奄美大島ダイビング

★Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

5月の奄美大島ダイビングのレポートです。アマミホシゾラフグを狙って15ダイブのうち、10ダイブをアマミホシゾラフグのサークルづくり観察に投入しましたが、残りの5ダイブも充実の生き物観察でした。>>「アマミホシゾラフグのサークルづくり」はこちら

Broadclub cuttlefish コブシメの卵 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (5)

この時期はコブシメの産卵の季節。本来、コブシメも観察予定だったのですが、今年は数が少なく集団で産卵する様子は見れませんでした。ユビエダハマサンゴの奥にあったコブシメの卵です。中に赤ちゃんが見えてます、まだ小さいですね。

コブシメの体色変化 color change of Broadclub cuttlefish

コブシメの体色変化は本当に面白いです。私が近づいたら機嫌が悪くなり、少し移動してから擬態はじめました、笑。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (8)

外洋の砂地にある根にいたカシワハナダイのオス。スカシテンジクダイの群れを背景に泳ぐ姿はとてもきれいでした。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (7)

外洋ポイントのキンメモドキの群れ。

ゾウゲイロウミウシ Hypselodoris bullockii 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

ゾウゲイロウミウシを赤いカイメンに乗せて撮影。和柄みたいになりました。

Japanese pygmy seahorse 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (10)

Photography by Chizuko MURATA

このポイントの嬉しいのは水深15mと浅いところにピグミーシーホース Hippocampus bargibantiがいることです。このピグミーシーホースは、黄色や赤色のウミウチワというソフトコーラルについています。擬態して同じ色になり、さらにポリプまで擬態。初めて小笠原で見たときはどこにいるのかわかりませんでしたが、回数を重ねて少しわかるようになってきました。

大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (2)

そして大仏サンゴ。大きなコモンシコロサンゴ群です。

Purple queen ハナゴイ 大仏サンゴ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (1)

サンゴの上にはハナゴイが群れていました。

Purple queen ハナゴイ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (12)

尻尾が黄色くなった婚姻色のハナゴイのオス。私が近づくと黄色かった尻尾が卵色になりました。興ざめしたようです。

ハナゴイ乱舞 Purple queen wild dance(Videography by Chizuko MURATA)

ハナゴイが雨のように降る光景も見れて、大変きれいでした。

Bubble Coral Shrimp 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (13)

バブルコーラルシュリンプ。卵を抱えていました。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (6)

そしてハイライトのアマミホシゾラフグのサークルの観察です。水底は細かい砂で巻き上げないようにかなり注意しなくてはなりません。着底してしばらくするとモクモクと濁ってきたりします。

奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (16)

天気が悪く透明度の悪い日なんてこんな感じです。深いし透明度のこともあり、しっかり観察したい人は複数回のチャンスがあったほうがいいのです。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (4)

仕上げ段階のアマミホシゾラフグ。

アマミノホシゾラフグ mystery cercle Amami 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (3)

完成したサークル。このサークルを上から見ることなくこれだけ緻密に完成させるアマミホシゾラフグ、ただものではありません。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (14)

あとはメスを待つだけ、アマミホシゾラフグのオス。

アマミノホシゾラフグ 奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (15)

翌日、卵(真ん中の灰色のもの)が産み付けられたサークル。このあと、オスは卵のお世話だけをしてサークルのメンテナンスは行いません。

奄美大島に6連泊したのですが、毎日の食事はとても楽しみでした。毎日が食べ歩きの日々。シマダコ、コブシメ、キハダマグロ、タイの仲間、夜光貝・・・。

奄美のおすすめレストラン 纏(まとい)奄美大島ダイビング Amami Oshima Scuba Diving (18)

毎日雨が降った梅雨の奄美大島でしたが、海と食を堪能したダイビング企画でした、ご参加のみなさま、お世話になったダイブシピーシーズ諏訪様ご夫妻、ありがとうございました!

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Photographs and video provided by Chizuko MURATA

Observation: May 2022, Amami-Oshima

Special Thanks : Dive Spiecies Amami, Mr.Suwa Homare

ユキヒョウ、狩りの後の姿(パキスタン)

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (1)

ユキヒョウの鳴き声を聞きその姿を探していたガイドが戻ってきて、「おめでとう」と。彼が双眼鏡を向けた方向に見たものは、仕留めたばかりのアイベックス(しかも頭ガチ割れ)と片目を傷めたユキヒョウの姿。息を飲む瞬間でした。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (7)

アイベックスの頭が割れている様子や切り立った崖の下にいたことから、かなりの高さからアイベックスとユキヒョウが落ちたことが想像されます。そこからこの岩のくぼみまでアイベックスを運んできたユキヒョウ。引きずった跡が残っていました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (8)

片目が腫れていて、動きが非常に不自由な様子でした。ユキヒョウもこの狩りで大きなけがを負ったようです。ガイドが、このユキヒョウは死んでしまうのではないか、と心配し始めました。骨が折れている可能性があり、もう次の狩りができないのでは、と。

厳しい肉食獣の野生の姿を目の当たりにした瞬間でした。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (6)

それでも寝ている姿は猫らしい表情を見せてくれたりもしました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (5)

狩りで疲れている+お腹いっぱい=爆睡です。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (2)

私たちのことはお構いなく、寝ています。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (13)

スコープでも観察。この春にHobby’s Worldさんに相談して購入したばかりのKOWAのスコープにiphoneをつけて撮影しました。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (11)

肉球が・・・。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (10)

猫ですー。

ユキヒョウ Snow Leopard Pakistan Indus Caravan saiyu Travel (9)

ドキッとする、ユキヒョウの灰色グレーの目。

この後、ユキヒョウは一度起き上がると穴の奥のほうへと行ってしまいました。歩くこともままならない傷ついたユキヒョウの姿に動揺しました。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation :Apr 2022, KVO area, Gilgit-Baltistan, Pakistan