カテゴリー別アーカイブ: ■動物を観察した地域・国

チャガシラカモメが超かわいい!渡りの季節のカルピティヤ(スリランカ)

2月に訪れた、渡り鳥の季節も終盤に入ったカルピティヤ。カルピティヤは細長い半島で本島とのとの間に大きなラグーンがあり、ラグーン内の島や砂洲では渡りのアジサシ、カモメたちが愛らしい光景を見せてくれました。

カルピティヤ外洋側、ベンガルアジサシ Lesser Crested Tern が羽繕い中。

カルピティヤのラグーン側の砂洲です、チャガシラカモメ Brown-headed Gullの群れが!!思わずボートから海に出て、歩いて砂洲へとアプローチ。

オニアジサシ (Caspian Tern)、ベンガルアジサシ (Lesser Crested Tern) いずれも冬の渡り鳥です。

そこに加わるのがチャガシラカモメ Brown-headed Gull。チャガシラカモメはタジキスタンなど中央アジア高地から内モンゴル・オルドス地方にかけて繁殖し、冬にインド亜大陸の湖沼や海岸に渡ってきます。多くの他のカモメと同様に冬は群れでいて、海岸から遠くない場所にいます。

この数 ♡ みんなで同じ方向を見て並んでいる姿 ♡(。・ω・。)ノ♡

海に浮かぶチャガシラと砂洲のチャガシラのフォルム !♡!

本当にきりがない状態です・・・!♡!

近寄りすぎると・・・飛び立っていきました、😿。

海上のオニアジサシ Caspian Tern。

ベンガルアジサシ Lesser Crested Tern。

カルピティヤとラグーンの島周りにはマングローブ林もたくさん。

潮の引いたマングローブ林にいるシロチドリ Kentish Plover。スリランカでみられるシロチの多くはスリランカで繁殖しています。

そして、せっかくなので私たちが泊まったドルフィンビーチリソートの写真です。コロナ前のツアーでは同系列のバーリーフに泊まっていましたがコロナで事情が変わり、今回は姉妹店のドルフィンビーチに。そして想像した以上に素敵な場所でした!

海岸からの夕日。

南国らしい、セッティングとトワイライトカラー。

素敵な、開放的なダイニング。

そして極上の一品、前菜に出た「ツナ」のたたき?ミキュイ?なんせ今回の滞在20日間の中で一番美味でした♪♪

 

Photo& Text  :Mariko SAWADA

Observation: Feb 2023, Kalpitiya, Sri Lanka

*西遊旅行のスリランカツアーはこちら。

*西遊旅行の現地支店 Saiyu Lanka ホームページ 西遊ランカはスリランカ全般の手配のほか、ワイルドライフに特化しています。撮影や観察の手配のお問合せ、お待ちしています。

ヒメウミガメ Olive Redley(カルピティヤ、スリランカ)

2月に訪れたスリランカ西海岸のカルピティヤ。以前、この海域ではイルカの大群を見たことがありますが、今回はあまり出会うことができず、ヒメウミガメとの遭遇が何度もありました。

ヒメウミガメは、ウミガメの中では最小(甲長50〜60cm)です。オスよりもメスの方が体が大きくなります。日本では1967年までこのLepidochelys olivaceaを「アカウミガメ」と呼び、日本で産卵していると考えていました。調査の結果、異なる種であることがわかり、この種がウミガメとしては小さいことから「ヒメウミガメ」となりました。

ボートが近づいてきても絶対に離れないオス。ベンガル湾では1~3月の繁殖期に母浜に近い沿岸に現れ、そこでオスとメスが出会い交尾をします。私たちが見たのは2月、まさに繁殖期真っただ中。1日に8頭見た日もありましたが、これはこの季節ならではの光景だったようです。メスは1~2年おきに繁殖しているようですが、オスは毎年繁殖していると考えられます。

爪でしっかり押さえつけています。爬虫類ですね~。

水中の様子。

この子はコバンザメを2匹もつけていました。ちなみにコバンザメはサメとは一切関係なくススキ目コバンザメ科の魚で世界に2種存在します。

ヒメウミガメはスリランカでは西・南東部の海岸でみられ、南東海岸のクマナ国立公園のビーチは集団産卵地になっています。

クマナ国立公園のウミガメ保護センター。スリランカの西~南部海岸にある観光客向けのカメセンターではなく、国立公園内にある施設です。

彼らの管理する海岸ではこれまでにヒメウミガメの産卵が25か所(多い子は140個産んだそうです)、そのほかタイマイ(Hawksbill)もここで産卵します。アオウミガメ(Green Sea Turtle)はここでは希だそうです。

今年はなんと非常に珍しい、オサウミガメ(Leatherback)の産卵があり、2023年の3月8日に子ガメが出てくるのを楽しみにしているそうです。これは本当に貴重。

国立公園レンジャーは、ウミガメの産卵の後、ジャッカルやイノシシ、ベンガルオオトカゲ(Bengal Monitor Lizard)が卵を食べないように、保護区域に移動させます。左隅から上陸した順番に並べてありました。一番左端は私たちが訪問した日の朝、子ガメが出てきたそうです。最初の2時間はいろんな方向に向かっていき危ないので保護し、その後、夜明け前に海へ旅立たせるとのことでした。

ヒメウミガメというとコスタリカの「アリバダ」、何万ものヒメウミガメが集団産卵を行うことで知られています。実はスリランカに近い東インド・オリッサ州のガヒルマータ・ビーチでも「アリバダ」が見られるそうです。ちなみにこの「アリバダ」という言葉、スペイン語のArribada 入港・到着という言葉から来ています。

さて、カルピティヤに話は戻ります。せっかくなので観察の様子も。

いざ、カルピティヤの海へ。ここでは紹介していませんが、砂洲には渡りのオニアジサシ( Caspian Term)、ベンガルアジサシ(Lesser Crested Tern)、チャガシラカモメ(Brown-headed Gull)、ホバリングするハシブトアジサシ (Gull-billed Tern)など海鳥も満喫です。

途中で出会った漁師さんが見せてくれた漁。右がシイラ、左がカツオです。ちなみにスリランカではカツオはTuna Fish。日本以外の世界で作られるツナ缶詰の材料の多くはカツオなんだそうです。

ボートが離発着する海岸。桟橋はなく、ビーチから船が出ます♪

ビーチの食堂でランチ。スリランカのフライドヌードル。さすがカルピティヤ、海鮮三種盛りでした!ビール飲みたかったですが、ぐっとがまんして午後のラグーンの探鳥へ。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Pbservation : Feb 2023, Kalpitiya, Sri Lanka

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ミナミセミクジラの親子と水面行動(バルデス半島)

ミナミセミクジラは生まれた海へ戻る性質があります。オスは決まった回遊パターンを持ち、メスはおよそ3年に一度、生まれた海へ戻り出産・子育てをします。バルデス半島へは6月~12月の間にミナミセミクジラがやってきて、9月下旬になるとオスは南極海へと旅立ち、メスと子供も12月半ばには旅立っていきます。

9月のヌエボ湾で観察した母子クジラの海面行動。赤ちゃんを遊ばせる母クジラの姿、あまりにも愛おしいものです。

クジラの子供が甘えてる!ミナミセミクジラの親子の時間

こちらは、母クジラが深い場所へ採餌に行っている間、海面で遊んでいるところです。ブリーチしたり、ヒレをバタバタさせたり・・・。母クジラの浮上に合わせて泳いでいきます。

ミナミセミクジラの子供の水面行動

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, Valdes Peninsla, Argentina

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ミナミセミクジラへのカモメの攻撃(バルデス半島)

バルデス半島のミナミセミクジラを観察している時、とても気になることがあります。それは「カモメによる赤ちゃんへの攻撃」。赤ちゃんクジラは呼吸のために頻繁に海面にいるのでそのターゲットとなり、赤ちゃんが浮上するとすぐに背中に降りて、まさに背中の肉を食いちぎっていくのです。母クジラが一生懸命それを阻止しようと頭を持ち上げています。

ミナミセミクジラへのカモメの攻撃

資料によると、最初にこういった行動が観察されたのは1970年代。カモメがミナミセミクジラの背中をついばんでいる様子が観察されました。当時、背中にカモメに襲われたキズを持っている母子クジラは2%だったのが、2011年の調査では99%、ほぼすべての母子クジラがキズを負っていたのです。

赤ちゃんクジラの背中をつうばむカモメ。

傷だらけの赤ちゃんの背中。

頭をあげてカモメを追い払おうとする母クジラ。

クジラの親子は呼吸だけでなく、赤ちゃんの遊びや育児で海面で過ごす時間が長く、それがターゲットになっています。野生動物間のこととはいえ、とても胸が痛い事象です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, Valdes Peninsla, Argentina

資料はdailymail.co.ukの “Seagulls are eating baby whales ALIVE: Birds attack calves when they come to the surface to breathe”を参考にしています。

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BIRDING in ANDAMAN – アンダマン島で探鳥

Andaman Serpent-Eagle アンダマンカンムリワシ

12月、渡り鳥も加わりバードウォッチングのコアシーズンを迎えたアンダマン諸島の探鳥レポートです。アンダマン諸島は「なんでここがインド?」と思ってしまう、どちらかというとマレー半島やスマトラ島が近いロケーション。かつての大英帝国インドの政治犯が収容された流刑地でもあり、独立後はもちろんインドに帰属。今は、デリー、コルカタ、南インドの諸都市と複数の航空会社で結ばれ、インド人のハネムーンや家族旅行のメッカとなっています。そしてインドのバードウォッチングのメッカでもあります。

アンダマン諸島が見えてきました。たくさんの小島がありますが、上陸が許されるのは限られた島だけで、特に外国人は訪問できる島は少ししかありません。

ポートブレア着陸前の景色。緑が豊かで期待で胸が膨らみます。今回のアンダマン島&リトルアンダマン島の滞在で固有種21種、固有亜種11種、留鳥・冬の渡り鳥55種の観察ができました。インド亜大陸の鳥好きには一気に種数が増えるうれしい場所です。

アンダマン島南部滞在の2日間で観察(写真が撮れた)野鳥たちです。

Collared Kingfisher ナンヨウショウビン Todiramphus chloris davisoni ナンヨウショウビンのアンダマン諸島&ミャンマー領ココ島の固有亜種。今回の探鳥の旅で一番最初に見た鳥です。Chidiya Tapu(南アンダマンの有名な探鳥地)へ向かう途中の海岸で観察しました。

Long-tailed Parakeet オナガダルマインコはアンダマン諸島&ニコバル諸島固有種。インド人の観光客でいっぱいのBurmanallar Beachの木にいました。あちこちでよく見かけたインコです。

こちらはアンダマンの留鳥で、Red-breasted Parakeet ダルマインコ。ネパールのタライ平原の森や北東インド、アンダマンにいるインコです。Long-tailed Parakeet(オナガダルマインコ)と一緒に海岸の木にいました。

初日に見た鳥のハイライトは、Andaman Nightjar アンダマンヨタカ(アンダマン諸島固有種)。リトルアンダマン島でも夜に観察トライしましたが、入れたのはこれが最初で最後でした。でも日中の光で見れてラッキーです✨

翌朝はフェリーで対岸に渡りShoal Bayの森へ。早朝に行ってAndaman Crake(アンダマンオオクイナ)とか狙ったのですが音はするけど見れず。その後は森の小道を歩いて探鳥。

Andaman Treepie アンダマンオナガ、アンダマン諸島の固有種です。

Andaman Woodpecker アンダマンキタタキ、アンダマン諸島固有種。リトリアンダマン島でもよく観察できた鳥です。

キツツキの仲間はもう1種観察できました。Freckle-breasted Woodpecker ムナホシアカゲラ(和名不明?)Dendrocopos analis andamanensi  でアンダマン諸島の固有亜種。”Birds of Indian Subcontinent”の本では Spot-breasted Woodpecker として載っていますが、この名前で検索すると南米のキツツキがでてきました。

なお、前の名前はSpot -beasted で「点々のある胸の」、新しい名前はFreckle-breasted で「そばかすのある胸の」、です。

Andaman Bulbul アンダマンヒヨドリ、アンダマン諸島固有種。

この森では非常にレアな冬の渡り鳥を見つけました。Arctic Warbler コムシクイです。ガイドは興奮してすぐにeBirdに登録、数年ぶりのアンダマンでの確認とのことでした。

3時間の探鳥を楽しみ、いったんポートブレアのホテルへ。

午後はSippighat地区の湿地、マングローブで探鳥。上空を飛ぶ、White-belied Sea Eagle シロハラウミワシ。アンダマン島でも、リトルアンダマン島でも毎日見る鳥でした。

マングローブ林の中にいた、Ruddy Kingfisher アカショウビン Halcyon coromanda mizorhinaアンダマン諸島の固有亜種です。このほか、Stork-billed Kingfisher コウハシショウビンもいました。

湿地に群れをなしていた、Andaman Teal アンダマンシコガモ、アンダマン諸島固有種。開発による生息地の減少とハンティングにより(禁止なのですが・・・)、個体数が激減していると聞きました。ガイドの話では、アンダマン諸島だけでなくニコバル諸島でも開発や港湾整備などで野生動物の生息地が脅かされています。”Birds of Indian Subcontinent” の本にはSunda Tealで載っています。

この湿地の草原には冬の渡り鳥が来ていました。Yellow-breasted Bunting シマアオジです。ユーラシア大陸中部~シベリアで繁殖し、冬にインド亜大陸に広く移動しますが、アンダマンへは稀な冬の渡り鳥です。フォトグラファーに囲まれてました。

Eastern Yellow Wagtail ズアオツメナガセキレイ(和名不明?)アラスカからロシアまでの北極圏のツンドラで繁殖し、冬の渡りの時期は東南アジアの草地や水辺で見られ、インドでは稀な渡り鳥です。

Pied Harrier マダラチュウヒ、アッサムで繁殖し、冬に北東インドなどへ移動しアンダマンにも来る鳥です。

この湿地では、Dusky Warbler ムジセッカ、Oriental Reed Warbler オオヨシキリ、Clamorous Reed Warbler チュウヨシキリ、Red-throated Pipit ムネアカタヒバリ、Blue-tailed Bee-eater ハリオハチクイ などの渡り鳥を、水辺では Common Sandpiper イソシギ、Pacific Golden Plover ムナグロ、Lesser Sand Plover メダイチドリ、Common Redshank アカアシシギ、Long-toed stint ヒバリシギなどの渡り鳥を観察。アンダマンでは Black-winded stilt セイタカシギが珍しいとのことでガイドが興奮していました。

翌日の午前は再びChidiya Tapuで探鳥。Greater Racket-tailed Drongo カザリオウチュウはアンダマンの留鳥です。亜種ではありませんが、スリランカ、アンダマン&ニコバルのカザリオウチュウは、冠羽がなく、尾羽の形状以外はLesser Racket-tailed Drongo(ヒメカザリオウチュウ )みたいに見えます。これまで撮影の難しい鳥だと認識していたので、ビデオも撮影できるほどの数と近さに驚きました。
アンダマン諸島にはオウチュウ3種おり、Andaman Drongo、Ashy Drongoがいますが、Ashy Drongoは観察しにくいそうです。

留鳥の Black-naped Monarch クロエリヒタキ

Scarlet Minivet ヒイロサンショウクイ♂、アンダマン諸島の留鳥です。

Crested Serpent Eagle カンムリワシ Spilornis cheela davisoni、アンダマン諸島の固有亜種のカンムリワシ。

こちらはアンダマン諸島固有種の Andaman Serpent-Eagle アンダマンカンムリワシ

訪問したBilogical Park の Andama Water Monitor(アンダマンミズオオトカゲ)のいる池で餌を横取りしていた、シロハラウミワシくん。威嚇するAndaman Water Monitor(V. s. andamanensis)も好きな人にはたまらない光景です。

ここではAndaman Shama アンダマンシキチョウの撮影をがんばりましたが、残念ながら撮れず。声とチラ見だけで終わりました。

そして午後はロス島とアンダマン刑務所、日本軍が一時占領し日本の歴史にも触れる場所を訪問し、探鳥と観光を満喫です!ロス島は「密林に埋もれる遺跡」マニアにはお勧めの場所です♪♪

ロス島・・・イギリス植民地時代の建物が樹木に覆われています、鳥がいれば最高なのですが。

ところで、北センチネル島ご存じですか?誰も上陸が許されない非接触部族が暮らす島です。ポートブレア離発着の際に見えるのです。非接触部族の人たちは、空には複数の飛行機が見え、インドのごみが大量に海岸に漂着している現状をどう思っているのでしょうか、大変興味深いです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2022, Andman Island, India

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ヒマラヤの野鳥にカンチェンジュンガ!シンガリラ国立公園(インド)

インドの首都デリーから国内線で西ベンガル州のバグドグラ空港へ。晴れるとネパール・インド・ブータンにまたがるヒマラヤも展望できるフライトです(往路は左側(A側)の席がお勧めです)。バグドグラ空港からネパール国境へと4時間ほど走ると到着するのがマネイバンジャン。ここがシンガリラ国立公園訪問のベースとなる町です。

シンガリラ国立公園(Singalila National Park)はネパールに接する国立公園で、世界第3位峰のカンチェンジュンガ 8,586m展望地としても有名で、多くのインド人トレッカーが訪れる場所でもあります。

この国立公園はレッサーパンダ (Red Panda)が見られることでも知られています。もちろん観察は容易ではなく、秋の実のなる季節に5日ほどかけて探すことになります。運がいいと、樹冠のキウィの実を食べているレッサーパンダを車道から観察できることもるようです。2022年はキウィの実がならず、レッサーパンダ受難の年となりました。ただでさえ、「エキゾチック・ペット」としての密猟が絶えないのが現状です。インド側では厳しく取り締まられていますが、国境を接するネパール側では密猟が横行していると聞きました。

シンガリラ国立公園に入ったカンチェンジュンガ展望地の道ですが、右側の森林が広がるのがインド側、左の気が伐採されているのがネパール側。この景色はちょっとショックでした。

この道は本当に「国境」を走っており、通過する山小屋は「インド側」だったり、「ネパール側」だったりします。インド人はネパール側のロッジに宿泊することができますが、外国人はインド側のロッジにしか泊まることができないそうです。

マネイバンジャンからカンチェンジュンガ展望地のトングルーへ向かう途中に何度も道路で見かけたセボシエンビシキチョウ Spotted Forktail 。

「地べた系」の鳥は写真が難しいです、ミヤマハッカン Kalij Pheasant のオスとメス。オスもメスも目の周りの皮膚が赤く、とても大きな尾羽をしています。

ノドジロシマドリ Hoary-throated Barwing

ノドジマコバシチメドリ throated-winged Siva (またはBar-throated Minla)

ノドジロチメドリ White-browed Fulvetta

ヤマガラモドキ Rufous-Fronted Tit

シロスジガビチョウ Striated Laughingthrush

ロッジや村の周りで容易に観察できる、キンバネガビチョウ Black-faced laughingthrush。

ズアカガビチョウ Chestnut-crowned laughingthrush はキンバネガビチョウの群れに1~2羽混じって採餌していました。

キバラシジュウカラ Green-backed tit

キバシサンジャク Yellow-billed blue magpie はキンバネガビチョウと同じく、ロッジや村の周りに現れます。飛んでいる姿が美しい鳥です。

キバラアカゲラ Darjeeling Woodpecker

地べた系、藪の中系の野鳥には苦労しました。しっかり観察・撮影できなかったのがヒマラヤダルマエナガ Brown Parrotbill。竹の皮をはがす音の方向をしっかりさがしましたが一瞬しか姿を見せてくれませんでした。

シンガリラ国立公園内のトレッカーロッジは本当にシンプルな作りです。電機はソーラー蓄電のささやかなものだけで、トイレは共同。

ロッジを経営しているのはネパール人です。食事に凝っているロッジのキッチン。

地元ビールHIT SUPER STRONG(8%!)とパコラのおつまみ。

満点の星空に包まれたロッジ夜。

夜明けには町の明かりと紫色に染まるカンチェンジュンガの姿。ダージリンの町から見るカンチェンジュンガとは一味違う景色とヒマラヤの鳥を楽しめます。

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2022, Singalila National Park, West Bengal – Nepal border, INDIA

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ミナミセミクジラの採餌、スキムフィーディング

2022年9月のバルデス半島・ヌエボ湾には、1,480頭のミナミセミクジラが繁殖・子育てのために集まりました。6~10月にバルデス半島にやってくるミナミセミクジラは繁殖や哺育中心の生活をしていますが、もちろん摂餌もします。南半球の夏に高緯度海域で索餌中心の生活を送るような規模ではありませんが、ここではカイアシ類をこしとる、スキムフィーディング Skim Feedingが見られます。

Skim feeding Southern Right Whale

この日の水中の撮影はボートからGo Pro入れただけなので、撮影している間はどんなのが映っているか見れません。水から上げてチェックしたとき、口を開けたミナミセミクジラが映っていて、肉眼では見れてないけど、それはそれはうれしいものでした。

岸の近くの浅い場所で表層のカイアシ類 ( Copepod ) を摂餌しているミナミセミクジラ。このフィーディング・グラウンドには20頭近くが集まっていました。

ヒゲがしっかり見えます。

Photography by Chizuko Murata

めっちゃ真正面。もうクジラか何か、わからないですね。

水深100m以上の採餌海域ではお母さまクジラが尻尾をあげて深く戻り、子クジラがそのあいだブリーチングしたり、尻尾バタバタさせて待っています。

尻尾を大きくあげて潜航するミナミセミクジラのお母さま。

母クジラの海中採餌中に、何十回もブリーチを見せてくれた子クジラ。母クジラが戻ってくると水面行動をやめ、母クジラに寄り添うように泳ぎます。

気が付くともう港に戻らないと行けない時間に。宿に戻ってからの写真整理も大変です。

 

Image : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, Valdez Peninsula, Patagonia, Argentina

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マゼランペンギン(バルデス半島、アルゼンチン)

コロナでしばらく行けなかったところのひとつ、南米パタゴニアの国立公園。2022年の9月は久しぶりにパタゴニア地方のバルデス半島を訪れることができました。

このツアーの目的はミナミセミクジラとの出会いが主なのですが、半島北部のサンロレンソのコロニーには繁殖のために上陸してきたマゼランペンギンたちがいました。彼らは9月上旬に冬の採餌海域から戻ってきて、産卵、育雛を経て来年3月下旬、再び海へと旅立ちます。

magellanic penguin Peninaula Valdes

繁殖地では、求愛モードのペア、抱卵しているペンギン、つがいの相手が見つからず鳴いて呼んでいるペンギンとさまざまです。

つがいの相手が見つからないのか、呼び続けるマゼランペンギン。

すでに抱卵中。

繁殖地のコロニーはこんな感じ。

漁から帰ってきたマゼランペンギン。この日は強風で海が大荒れ。荒波から上陸し来るペンギンは本当にたくましく、野生動物の強さを感じます。

今回の滞在中、まる2日間強風で海が荒れました。その翌日は、波が落ち着いたヌエボ湾で漁をするマゼランペンギンの姿をたくさん見ることがでいました。

このマゼランペンギンのコロニーはサン・ロレンソ というエスタンシア(牧場)の敷地内にあり、ここではパタゴニア羊が放牧されています。場所によってはもふもふの羊とマゼランペンギンが一緒にいるところが見れます。

この羊は観光客のために丸焼きになり、ペンギンツアーから帰ってきたアルゼンチンの観光客はパタゴニア羊のグリルと赤ワインと楽しむ、というなんとも豪華なツアーになっているのです。

ワインセラーも。

これまでは観察に大忙しで焼肉とワインのことは考えていませんでしたが、次回は・・・と思った次第です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, San Lorenzo, Peninsula Valdez, Patagonia, Argentina

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積丹・水中柱状節理と北海道の海のいきもの

札幌から車で1時間30分、積丹の海へ。透明度が高く「積丹ブルー」の海と呼ばれる景勝地です。ここは何と言っても海底遺跡みたいな柱状節理の根が魅力です。

柱状節理とはマグマの固結冷却に伴う体積の収縮によって生じる多角形柱状の割れ目。「火山列島」「Ring of Fire」とも呼ばれる環太平洋火山帯の一部であると実感です。

柱状節理の柱面から海面を仰ぐ。

この柱状節理のポイントは「ビヤノの隠れ根」と呼ばれるポイントです。水底は25Ⅿくらいでしょうか、グラスボトムボートからギリギリ見えない距離にあるのが惜しい感じです。

海岸線に沿ったポイントへ。天候&海峡に恵まれたダイビング。訪れた9月は生き物相があんまり・・・ということでしたが、素晴らしいガイディングで「北海道・日本海側の海のいきもの」を見せていただきました。

サラサカジカ

ニジカジカ

ヒメフタスジカジカ

アキギンポ

スナエビ。青い斑紋がきれいです。生で食べたら甘エビのような・・・。

フサトゲニチリンヒトデ。手がたくさんあって、まさに日輪。

マクロで撮ると、お花畑。

海岸部の波に削られた岩の壁はマクロ撮影の宝箱。

もう昆布は元気がありませんでしたが、サンゴと昆布、素敵です。

残念だったのは、ウニ。8月31日で禁漁になったとのことで食すことできず。リベンジ決定です。

 

Image & Text : Mariko SAWADA

Observation: Sep 2022、積丹、北海道

屋久島の海

8月下旬に訪れた、屋久島の海。あいにくの台風の影響で口永良部島など遠征はできなかったのですが、屋久島最北端の一湊湾のポイントなど、屋久島らしい海の景色と魚たちに出会うことができました。

屋久島と言えば降雨量が多いことで知られていますが、雨の後の湾内は海の表面に淡水の層ができたりします。また花崗岩の荒々しい水中地形、黒潮が近くを流れることから魚の種数も豊かで、意外と知られていない海の魅力があるのが屋久島です。

一湊湾の通称「ゼロ戦」と呼ばれるポイントで、屋久島で一番有名なポイントだと思われます。沈んでるのは「ゼロ戦」以外の小型飛行機ですが、スカシテンジクダイ、キンメモドキに加えいろんな魚の幼魚、主(ぬし)のように暮らすアザハタ、ウツボ、それをクリーニングするエビなどいろんな生き物と出会える、写真撮影もとても楽しいポイントです。

アザハタ。大高が高いのが特徴的で、真っ赤な個体、赤・白の和柄的な模様の個体がいます。訪れたときは3匹いました。

ケラマハナダイ♂相。ここはケラマハナダイがたくさんいて本当に華やかです。

この「ゼロ戦」の主(ぬし)で内部に暮らすおおきなウツボ。そしてウツボのエラをクリーニングするホワイトソックスシュリンプ。

お目めキラキラのスザクサラサエビはたくさんいます。

そばのポイント「漁礁」に現れたミナミハタタテダイの群れ。ガイドさんが集めてくれてみなさま撮影に夢中でした。

ミナミハタタテダイの舞。本当にきれいで可愛い魚です。

同じ一湊湾内のポイント「お宮前」(八筈嶽神社)のスミレナガハナダイ♂相。比較的深いところにいる魚で婚姻色のオスは大変きれいです。

この「お宮前」ポイントで見られる気になる魚が、このカゴカキダイ。自分は屋久島以外で見たことはありません。山渓ハンディ図鑑「日本の海水魚」の写真撮影地も屋久島でした。

ハナゴンベ。あまり移動しないのでがんばって背景の暗い場所で撮影。きれいな魚です。

台風の前に一港湾から出たポイントへも連れて行ってもらいました。漁礁にいたツバメウオ。非常になついている複数個体がいました。

永田地区の「灯台」というポイント。ここではギンガメアジの群れも見えましたが、5月にたくさんいたイソマグロは水温が高いこの時期はあまりチャンスがないとのことでした。私たちの周りをクマザサハナムロが乱舞。

浮上時には小さなキビナゴの群れが海面で光っていました。

この8月は台風がまったく来ず、水温が高く沖縄のサンゴの白化なども問題になっていますが、台風により海の中がかき混ぜられ、水温が下がることも大切と知りました。やってくる台風の予想を見て予定より1日早く屋久島を出ることになりました。観光業にとっては台風で失う仕事もありますが、自然の営みの中では大切な自然現象です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : AUG 2022, 屋久島