
パキスタン北部にあるデオサイ高原はヒマラヤヒグマの生息地として知られています。ヒマラヤヒグマについてはこちら(2015年10月の観察記録)
ただし、デオサイ高原に行けば見れるというものではなく、レンジャーと一緒に歩いてヒマラヤヒグマの暮らすエリアに行かなくてはなりません。また、長年ハンティングの対象であったこともあり非常に臆病ですぐに逃げていきますので、ある程度距離をおいての観察となります。
夏はデオサイ高原のベストシーズンですが、観光客が多すぎてヒマラヤヒグマたちは谷のより奥にいるため観察にはずいぶんと歩かなくてはなりません。
デオサイ高原国立公園スタッフの間で「シャイターン」と呼ばれるグループの地域へ行って見ました。「シャイターン」は「サタン=悪魔」の意味ですが、このグループを「悪魔」と呼んでいるのではなく「いたずらっこ」のような意味なのだそうです。
標高4,000mほどのキャンプから少し高度をあげ無数の小川が流れる谷へ。

同行レンジャー氏が、「Bear!」と。三脚を立ててせいいっぱいのズームで見ると熊が2頭、親子です。お母さん熊がたって何かを見ています。

お母さん熊が見ていた方向にいたのは雄のヒマラヤヒグマです。親子グマはこの雄を避けて小川沿いの草の中を私たちのほうへ歩いてきました。ラッキーなことに私たちは風下におり、クマに気づかれずにヒマラヤヒグマの観察としては比較的近い位置まで来ることができました。

あ、小熊に見つかってしまいました。見られてしまいました。なんてかわいいのでしょう。

お母さん熊が立ち上がってこちらを見ています。お母さん熊にも見られてしまいました。

ふたたび小熊がこちらを見ています・・・

ついに2頭で私たちを見ています。

もう、ばっちし目が合いました。夢のようなアングルです。この後、2頭は歩いて離れていきました。

少し離れたところに現れた親子熊。このあと、2頭は草原でいろいろ見つけながら移動していきます。

しばらくすると、親子が岩の上に乗って別の方向を見ていました。

なんと、別のメスの熊が現れその通過待ちでした。もう1頭のメスは完全にスルーでした。

その後の親子は・・・小熊がお花畑で少し寝たり、遊んだり。

そして丘を越えて見えない場所へと行ってしまいました。大変美しい光景でした。
デオサイ国立公園(DNP)のスタッフによると2017年の個体数調査では、ヒマラヤヒグマの個体数は80頭を越えた、とのことです。
Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子
Observation : Jul 2017, Deosai National Park, Pakistan
Reference : Mr.Ghulman Raza – Deosai National Park, Mr.Zahoor Salmi (Photographer-SAIYAH)
★★冬眠前・観光客のいないデオサイ高原へヒマラヤヒグマを求めて・6名様限定★★
動物スペシャリスト 秋山知伸氏同行 デオサイ高原にヒマラヤヒグマを求めて
クンジュラブ峠・ナルタル谷・ナティアガリの丘でも動物観察
★デオサイ高原でのキャンプ&野生動物観察の手配は西遊旅行、西遊旅行のパキスタン支店SAIYAH(サイヤ)にて承ります。ヒマラヤヒグマの観察&撮影シーズンは7月半ば~10月前半です。