カテゴリー別アーカイブ: ■鳥(国・地域別)

コクガン Brant Goose (志津川湾、南三陸町)

コクガン Brent goose 南三陸町 (6)

11月はじめになると、繁殖地のロシア北極海沿岸からコクガンが南三陸町の海岸にやってきます。震災前は100羽ほどだったそうですが、最近では300羽を越えるようになったとのこと。

蕪栗沼で雁のねぐら入り・朝の飛び立ちを満喫した後、南三陸町へ向かいました。南三陸町に入ると津波の被害がどんなにすさまじかったか、テレビで見た建物もあり驚かされました。

コクガンがいますよ、という情報をもとに「海のビジターセンター」へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (8)

ブイが連なる志津川湾にいました、コクガン。しかし、遠い。湾に沿った港で探してみることにしました。各地の湾は大きな防波堤が作る作業が進められていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (2)

そして見つけました!船置き場に上がっているコクガンたち!斜面に張り付いた海藻を食べていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (1)

でも私たちの存在に気が付くと海へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (3)

海に入ってからは比較的近い場所で海藻を食べたりしてのんびり過ごしてくれました。海藻豊かな志津川湾はコクガンにとって格好の越冬地です。

コクガン Brent goose 南三陸町 (4)

頭を海に突っ込んで首が届く程度の場所に海藻がある、コクガンの好む地形のようです。

コクガン Brent goose 南三陸町 (7)

海の方へ向かうコクガン。北極海沿岸で夏を過ごしたコクガンの一部が北東アジアへと飛来しますが、最初は北海道の野付半島(コクガンの好きなアマモの群生地がある)に立ち寄り、そこから各地へと渡っていくそうです。

コクガンの渡りの調査をされておられるグループの資料を拝見すると、3月に函館で発信器を付けたコクガンは4月末に野付半島・国後島へ移動、6月上旬に北上開始しオホーツク海を越え、ロシアのマガダンを経てシベリアの大地を越え、北極海のノヴォシビルスク諸島へと渡ったそうです。なんて夢のある、壮大なコクガンの渡りでしょうか!

南三陸町にあがる満月 (1)

この日は南三陸の温泉に宿泊。屋上から赤い満月が上がりました。宿のスタッフの方が天体望遠鏡も用意して宿泊者に星を見せるサービス!頑張っています。

南三陸町にあがる満月 (2)

こんな月をバックにガンが飛んでくれたら!と思いながらみなさんと月見を楽しみました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : Dec 2020, 南三陸町、宮城県

 

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼・伊豆沼)

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (3)

蕪栗沼でガンの飛び立ちを見て宿に戻り朝食。今日の午前の目標は「カリガネ」を探すこと。塒に近い場所に仙台牛のための牧草地があり、アルファルファやイタリアンライグラスが植えられています。秋に最後の刈り入れが終ると放置されマガンやカリガネがやってきます。

カリガネくん、マガンの群れにまざっていてなかなか探すのが大変です。・・見つかりました!

マガンの中に混じって、異なるオーラを出すカリガネ。アイリング、成鳥はくちばしから額にかけてのきれいな白色がピンクの嘴を引き立てます。

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (1)

カリガネはロシア北極海沿いのツンドラで繁殖し、冬に宮城県の伊豆沼や蕪栗沼などに訪れる稀な鳥で、日本で見られるガンの仲間では最小サイズ。

カリガネ Lesser White-fronted Goose (蕪栗沼) (2)

参加者全員でマガンの群れの中に混じるカリガネ探し。「この群れにはいませんね、じゃあ次」と畑を移動。周りの人から見たら異様な光景ですね。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : end of NOV, 蕪栗沼、宮城県

南島のカツオドリ(小笠原諸島)

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (16)

10月半ばに小笠原諸島・南島に上陸&観察したカツオドリ Brown Booby。2020年はコロナの影響で繁殖初期に観光客が訪れなかったことから、観光客が通る道のそばでの営巣があり、雛を近くで観察することができました。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (20)

南島といえば、扇池を望むこの風景。南島とその周辺は、石灰岩が侵食や風化を受けてできた「カルスト地形」で、この扇池はドリーネと呼ばれるすり鉢状の窪地です。通常の観光ルートだと鮫池から上陸し、歩いて東の尾根に登っていくとこの景色が広がります。このビーチは夏はアオウミガメが産卵に訪れコガメが海に帰る様子や、帰れずに死んでしまった厳しい野生の現実も観察できるビーチです。

コガメ 南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (15)

10月の半ばでしたが、さきほどまで生きていたと思われるコガメが。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (19)

東の尾根がから見た父島の景色。右側にハートロックが見えます。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (17)

船で鮫池に入っていくと、ラピエと呼ばれる鋭く尖った石灰岩の上にカツオドリです。鮫池周辺の岩場にはいくつもの営巣地が確認できます。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (12)

船着き場のすぐそばにいた雄のカツオドリ。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (9)

近くにいる雛の親鳥でしょうか、かなり近いですが飛びません。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (7)

通路のすぐそばで育っているカツオドリの雛。今年は多くの観光客がこの子の成長を見てきたことでしょう。もう1羽、通路に近いところに別の雛がいたそうですが、親鳥が放棄してしまい死んでしまったのだそうです。

南島 小笠原 カツオドリ Bonin Island Brown Booby (11)

この雛には無事に巣立ってほしいものです。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Oct 2020, 南島、小笠原諸島

Special Thanks to ブルーレース・内藤さま

小笠原航路 カツオドリの「お見送り」

カツオドリ 小笠原航路の海鳥 (9)

2航海滞在した小笠原の旅もいよいよ終わりです。いつもジーンと感動する小笠原名物、お見送りタイム。

お見送り 小笠原航路の海鳥 (12)

お見送りをする船から見たおがさわら丸。今回は2航海滞在だったので、一度「お見送り」をすることが出きました。おがさわら丸の引き波、他のお見送りの船の引き波に気をつけながらポジション取りをします。

お見送り 小笠原航路の海鳥 (1)

おがさわら丸から見た、「お見送り」。海のツアーを展開する事業者が総出で見送ってくれます。「いってらっしゃーい」の声が響きます。

お見送り 小笠原航路の海鳥 (11)

私たちがお世話になったFisheyeのビーストマスター号と久保田君のバク転。このあと次々とみなさん海へ。アシヒレを付けないで海に飛び込むのは怖いものです。

聟島列島 カツオドリ 小笠原航路の海鳥 (6)

聟島列島付近でおがさわら丸につくカツオドリが一気に増えました。今日はトビウオフィーバーのようです。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (6)

トビウオを追って海に飛び込んだカツオドリ。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (7)

何とかギリギリキャッチ。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (8)

でも横取りされそうになるカツオドリ。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (9)

負けません!

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (1)

こちらでも潜水して魚を追うカツオドリ。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (2)

無事に魚をくわえて上がってきました。

おがさわら丸 カツオドリのトビウオフィーバー (3)

でも気をぬくと魚ははねて逃げてしまいます。慌てるカツオドリ。

アカアシカツオドリ 小笠原航路の海鳥 (5)

群れにまじって、こんな子が。成鳥手前くらいのステージのアカアシカツオドリでしょうか。そしてどこで繁殖しているのでしょうか。

アカアシカツオドリ 小笠原航路の海鳥 (7)

夕陽のころ、アカアシカツオドリ成鳥も現れました。

アカアシカツオドリ 小笠原航路の海鳥 (8)

アイレベルで飛んでくれたアカアシカツオドリ。

カツオドリ 小笠原航路の海鳥 (10)

こんな光景をひたすら見続け、日没です。船の後方には20羽ほどのカツオドリがついて見送ってくれました。夕陽の中のカツオドリの「お見送り」に、甲板にいた皆様もうっとり。

夕陽 小笠原航路の海鳥 (13)

おがさわら丸からのサンセット。このあとトップデッキは星を眺めるカップルの場所となりました。我々は船室へ。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2020, おがさわら丸、小笠原航路

(動画)コアジサシの子育て(検見川浜コアジサシ繁殖地)

コアジサシの子育て

観察していた人たちも口々に「食べちゃったね・・・」。しばらく観察しているとこういうシーンが何度もありました。餌運びはお腹もすきますよね。

夏に日本で繁殖するコアジサシは、ニューギニア島の東岸、オーストラリア大陸の北岸からやってくるそうです。日本では開発により繁殖地が失われる中、多くの方々が保護のために活動されていることを知りました。

 

Video  & text : Mariko SAWADA

Observation : end of Jun 2020, 検見川浜 Kemigawahama, 千葉 Chiba, Japan

Special Thanks : Hobby’s World ロッキー松村さま

コアジサシの子育て(検見川浜コアジサシ繁殖地)

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(6)

6月下旬、検見川浜コアジサシ繁殖地へ行ってきました。コロナ自粛の解けた後の日曜日ということもあり、海岸には多くの「海を楽しむ人々」の姿がありました。その海岸の一画に大きなレンズのカメラマン、双眼鏡をのぞく「鳥を楽しむ人々」の姿が。

ロープを張って人が立ち入らないようにしてある場所がコアジサシ繁殖地です。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(4)

卵も雛もとてもカモフラ―ジュで最初は見つけるのに苦労しました。親鳥が餌を運んでくるとようやく見つけられた、という感じでしたが、しばらくすると目が慣れてきて、いたるところに卵や雛が確認できました。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(1)

雛と卵2つ。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(12)

2羽の雛と卵1つ。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(10)

少し大きくなった2羽の雛。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(2)

餌をもらう雛。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(5)

魚を運ぶ親鳥は必至でしょうが、見ている私たちは完全に幸せモード。観察している人たちから愛情たっぷりのつぶやき(独り言)が聞こえてきます。

コアジサシ繁殖地 検見川浜 Little Tern Kemigawahama breedng ground(3)

孵化して間もない雛と、先輩の雛。

これが東京湾の海岸の出来事であることに驚かされます。身近な、こんな都会の片隅でたくましく繁殖しているコアジサシを見たことは大きな感動でした。

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : end of Jun 2020, 検見川浜 Kemigawahama, 千葉 Chiba, Japan

Special Thanks : Hobby’s World ロッキー松村さま

(動画)エゾフクロウの雛

エゾフクロウの雛 Ezo-ural owl chick Hokkaido Japan (4)

「もう山へ行っていないかもしれない」と言われながら訪れたエゾフクロウの雛のいる木。

生まれた巣のある木からはもう移動しており、私は自力で探すこともできず途方に暮れていたところ、鳥を愛でるおじ様が居場所を教えてくれました。

阿寒のエゾフクロウの雛|西遊旅行

エゾフクロウは巣立ってからもしばらくは両親フクロウと一緒に過ごし、餌の捕り方や飛び方を学び9月ごろ独り立ちするそうです。

エゾフクロウの雛 Ezo-ural owl chick Hokkaido Japan (1)

脚のお手入れは、本当にかわいらしいしぐさです。

 

Video & Text : Mariko SAWADA

Photo(top panel) : Shohei MORITA(知床サライ)

Observation : Jun 2020, Kushiro, Hokkaido, Japan

エゾフクロウの雛(知床サライ便り)

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (7)

知床サライからエゾフクロウの雛の写真が届きました!

エゾフクロウは、フクロウ Ural Owl の亜種、Strix uralensis japonica で、北海道と北方領土で繁殖しているフクロウです。3~4月に2~4個の卵を産み、メスが抱卵しておよそひと月で雛が誕生します。巣から出てきたけどまだ巣のある木にいる雛たち。親鳥と3羽の雛たちです。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (5)

木の葉の隙間から・・・

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (2)

立派な脚、爪。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (3)

翼も広げて。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (6)

??。

エゾフクロウの雛 Ural Owl 釧路 北海道 知床サライ (4)

瞳孔が大きい、、、この大きな黒目が愛らしさを引き立てます!

 

Photo : Shohei MORITA (知床サライ)

Text :Mariko SAWADA

Observation : Jun 2020, Kushiro, Hokkaido, Japan

オナガミズナギドリ(小笠原諸島)

オナガミズナギドリ Wedge-tailed shearwater 小笠原諸島 聟島列島 (7)

小笠原諸島の島々で繁殖するオナガミズナギドリ Wedge-tailed Shearwater。暗色型と淡色型がありますが、小笠原で観察されるのは淡色型です。日本名の通り尾が長く、英名のWedge-tailed は「くさび型の尾」を意味しています。

オナガミズナギドリ Wedge-tailed shearwater 小笠原諸島 聟島列島 (3)

嘴はピンク色を帯びた灰色で先端は少し黒色。

オナガミズナギドリ 繁殖 南島 小笠原諸島  (6)

オナガミズナギドリは太平洋・インド洋の熱帯から亜熱帯地域に分布し、日本では小笠原諸島のみで繁殖が確認されています。聟島列島から火山島列島(硫黄島列島)まで広範囲にわたって繁殖しているそうです。

4月上旬に南島の岩の隙間で見たペアです。オナガミズナギドリは岩の隙間や土に穴を掘ったりして営巣します。4~5月に営巣をはじめ、6月には卵を産み、50日ほどで雛がかえります。そして11~12月半ばまでに雛が巣立ち、次の繁殖期まで海で過ごします。

オナガミズナギドリ Wedge-tailed shearwater 小笠原諸島 聟島列島 (2)

魚の群れを追って集まってきたオナガミズナギドリ。

オナガミズナギドリ Wedge-tailed shearwater 小笠原諸島 聟島列島 (4)

めっちゃ魚を探しています。

オナガミズナギドリ 南島 小笠原諸島  (10)

南島の扇浜では悲しい運命のオナガミズナギドリの姿が。

オナガミズナギドリ Wedge-tailed shearwater 小笠原諸島 聟島列島 (6)

4月上旬に聟島列島に行く途中や南島で観察したオナガミズナギドリですが、夏の育雛中のオナガミズナギドリにも出会いたいものです。

 

Photo & text :Mariko SAWADA

Observation : April2018, April2020 南島、聟島列島、小笠原諸島

Reference : 海鳥識別ハンドブック(文一総合出版)

とびうお桟橋のムナグロ(父島、小笠原諸島)

小笠原諸島 父島 トビウオ桟橋のムナグロ Pacific Golden Plover (5)

4月上旬の小笠原諸島、父島。ホエールウォッチングなどで船に乗る際に二見湾のとびうお桟橋でムナグロ Pacific Golden Plover を見ることができました。

とびうお桟橋は「とびうおの日時計のモニュメント」がある桟橋で、ダイビングや観光の船が係留している桟橋です。季節によっては夜に大きなマダラエイやシロワニが見られることでも知られています。

小笠原諸島 父島 トビウオ桟橋のムナグロ Pacific Golden Plover (3)

このとびうお桟橋には陸とつながっていないブロックがあり、ここでは朝に夕にムナグロたちを見ることができました。北極圏近いツンドラで夏に繁殖するムナグロは越冬のために東南アジアや遠いところでは東アフリカ、オーストラリアまで渡りを行いますが、日本ではこの小笠原諸島で越冬しています。

小笠原諸島 父島 トビウオ桟橋のムナグロ Pacific Golden Plover (2)

夏冬中間羽のムナグロ。

小笠原諸島 父島 トビウオ桟橋のムナグロ Pacific Golden Plover (6)

だいぶ夏羽に近いムナグロ。

小笠原諸島 父島 トビウオ桟橋のムナグロ Pacific Golden Plover (4)

個体によって差がありますが、冬羽と夏羽の中間期のムナグロを見れるのは、とびうお桟橋発着時の大きな楽しみでした。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : Early April, 2020, 父島、小笠原諸島