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マゼランペンギン(バルデス半島、アルゼンチン)

コロナでしばらく行けなかったところのひとつ、南米パタゴニアの国立公園。2022年の9月は久しぶりにパタゴニア地方のバルデス半島を訪れることができました。

このツアーの目的はミナミセミクジラとの出会いが主なのですが、半島北部のサンロレンソのコロニーには繁殖のために上陸してきたマゼランペンギンたちがいました。彼らは9月上旬に冬の採餌海域から戻ってきて、産卵、育雛を経て来年3月下旬、再び海へと旅立ちます。

magellanic penguin Peninaula Valdes

繁殖地では、求愛モードのペア、抱卵しているペンギン、つがいの相手が見つからず鳴いて呼んでいるペンギンとさまざまです。

つがいの相手が見つからないのか、呼び続けるマゼランペンギン。

すでに抱卵中。

繁殖地のコロニーはこんな感じ。

漁から帰ってきたマゼランペンギン。この日は強風で海が大荒れ。荒波から上陸し来るペンギンは本当にたくましく、野生動物の強さを感じます。

今回の滞在中、まる2日間強風で海が荒れました。その翌日は、波が落ち着いたヌエボ湾で漁をするマゼランペンギンの姿をたくさん見ることがでいました。

このマゼランペンギンのコロニーはサン・ロレンソ というエスタンシア(牧場)の敷地内にあり、ここではパタゴニア羊が放牧されています。場所によってはもふもふの羊とマゼランペンギンが一緒にいるところが見れます。

この羊は観光客のために丸焼きになり、ペンギンツアーから帰ってきたアルゼンチンの観光客はパタゴニア羊のグリルと赤ワインと楽しむ、というなんとも豪華なツアーになっているのです。

ワインセラーも。

これまでは観察に大忙しで焼肉とワインのことは考えていませんでしたが、次回は・・・と思った次第です。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Sep 2022, San Lorenzo, Peninsula Valdez, Patagonia, Argentina

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マゼランペンギン上陸 Magellanic Penguin(バルデス半島、パタゴニア)

マゼランペンギン Magellanic Penguin バルデス半島上陸 (2)

9月上旬のバルデス半島、サンロレンソの海岸は6ヶ月を海で過ごしたマゼランペンギンたちが続々と上陸し、自分たちの巣穴を目指します。

<サンロレンソのマゼランペンギンの1年>

9月上旬 オスが上陸、巣作り(巣の場所をめぐってのオスの争い)続いてメスが上陸、交尾。卵は2つ。オスとメスが交代であたため、孵化すると雛の世話のため漁にいきます。海岸から1キロ奥に巣があることも。
11月 ヒナの誕生
12月 ヒナが1キロになる。
1月 ヒナのグループが形成される
2月 成鳥の羽毛がぬけかわる
3月 ヒナの巣立ち、海へ。
3月下旬~4月上旬 ペンギンが海岸に並び海へ。コロニーには誰もいなくなります。この後、9月までマゼランペンギンは海で過ごします。

マゼランペンギン Magellanic Penguin バルデス半島上陸 (1)

9月上旬の海岸。上陸してきたマゼランペンギン。1羽だったり、2羽だったり、5羽だったりします。

マゼランペンギン Magellanic Penguin バルデス半島上陸 (5)

海岸をうろうろしていたキツネを見ていたら、砂をほって死んだマゼランペンギンを運んでいきました。6ヶ月を海で過ごし、ようやく戻ってきた巣を目前で息絶えたペンギン。

マゼランペンギン Magellanic Penguin バルデス半島上陸 (3)

巣に向かって歩くマゼランペンギン。毎年同じペアが同じ巣で繁殖します。海岸沿いの「一等地」に巣のあるペア、驚くほど遠い草地に巣のあるペア。サンロレンソはパタゴニアヒツジの放牧地でもあることから、ヒツジの群れの間を歩くマゼランペンギンの姿も見られます。

マゼランペンギン Magellanic Penguin バルデス半島上陸 (4)

早くに到着して巣を守るペンギン。この後、最盛期の12月~1月には20万羽の大変にぎやかなコロニーになります。

Movie, Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Sep 2017 , Valdes Peninsula, Chubut – Argentina

Reference : Hector Horacio Casin、Magellanic Penguin – Patagonian Ambassador(Marcelo Bertellotti)

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パタゴニア・バルデス半島自然紀行
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バルデス半島のワイルドライフ Península Valdés (パタゴニア)

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バルデス半島について Península Valdés

バルデス半島はアルゼンチンのチュブト州にある半島で、大西洋に面し、カルロス・アメギノ地峡で南アメリカ大陸本土とつながっています。「パタゴニア」の一部で、特色ある動物相で知られ面積は約3625km²、かなりの部分がユネスコの世界遺産に登録されている自然保護区です。保護区内は個人の所有地ではありますがハンティングや漁は禁止され(海岸から3海里)、エスタンシア(大牧場)の住人を除き保護区内で人が住んでいるのは人口300人のプエルトピラミデスのみです。

半島と大陸をつなぐ地峡の北にはサンマティアス湾が、南にはヌエボ湾がそれぞれあり、この二つが半島の主要な湾。サンマティアス湾は船を出すことが禁止されている完全な保護区域で、ヌエボ湾には大きなプエルトマドリンの港もあり、ホエールウオッチング、漁などの商業活動が行われています。

陸の動物と海の動物の両方を観察できるバルデス半島

季節によって観察される動物たちが異なるバルデス半島。3月下旬、9月下旬にバルデス半島で出合った動物・野鳥たちを紹介いたします。一年中見られる特有の動物として、半島の北にはグアナコが多く、南にはマラ、レアが多く生息しています。

オタリア   Southern sea lion, Patagonian Sea Lionとも呼ばれ、バルデス半島に35000頭生息すると言います。雄の頭が大きく、たてがみがあるので「Lionライオン」の名がついています。1頭の雄が10頭ほどの雌でハレムをつくり、バルデス半島では1~5月にプンタノルテの海岸に大きなコロニーを形成します。

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3月、コロニーを形成するオタリア。たてがみがある大きな体のオスとメスたち。

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海の中のオタリア、好奇心旺盛で近寄ってきてカメラ触ったりひれをかんだりします。

ミナミゾウアザラシ Southern Elephant Seal  バルデス半島に28,000頭 繁殖期の夏~秋にかけては1頭の雄が40頭もの雌を集めハレムをつくります。9月上旬にプンタデルガダやカレタバルデスの入り口の海岸に上陸し、出産シーズンを迎えます。この時期にはオス同士の争いを見たり、命の誕生を見ることができる季節です。

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上がオス、下がメス

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大きな鼻のオス。オスが見られるのは9~10月。

マゼランペンギン Magellanic Penguin   9月上旬にサンロレンソの海岸などバルデス半島の海岸に上陸し、巣作り・繁殖し4月半ばには海にもどってしまう、マゼランペンギン。9月には卵をあたため、11月には雛の誕生、3月には海へ旅立つペンギンたちを見ることができます。巣への執着が強く、毎年同じ場所へ戻ってきます。

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3月下旬、海岸に並んで海に出る準備、マゼランペンギン。

グアナコ Guanaco  なんともかわいらしい動物で、北方のものはリャマの祖先で、アルゼンチンには世界のグアナコの95%が生息しています。バルデス半島での狩猟は禁止されており、この動物を襲う半島にはいないため、たくさん生息しています。ただし、エスタンシア(大牧場)の人たちは、せっかく羊のために用意した水をグアナコが飲みに来るので嫌っているとか・・・。

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マーラ Patagonian cavy アルゼンチンの固有種でテンジクネズミ科の最大種。夫婦は一生一緒にいるそうで、ペアで行動する様子が観察できました。

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レア Lesser Rhea パタゴニア地方で見られる鳥で、一夫多妻制。1羽の雄に10羽ほどのメスが同じ巣で卵を産み、それを雄が孵化させるそうです。

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カンムリシギダチョウ  Elegant Crested-Tinamou  アルゼンチン・パタゴニアの草原や開けた場所に暮らす鳥でその名の通りエレガントな冠羽、首から顔にかけての白いラインが特徴。あちこちで見かけることのできる、バルデス半島の代表的な鳥の一種。

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シャチ Orca  バルデス半島では25頭のシャチが判別・名前をつけて観察されており、それが4~5つのグループに分かれて行動しています。800Kmにわたる海岸を縄張りに回遊していますが、そのうちの17頭が3~4月にプンタノルテ付近にやってきます。シャチは1種類ですが、いくつかのタイプにわかれており、ここのシャチは動物を食べる肉食。3~4月にはオタリアの赤ちゃんを狙って海岸にやってくる様子が観察され、10月にはミナミゾウアザラシの赤ちゃんを狙う行動も観察されます。

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プンタノルテの海岸で観察される「オルカ・アタック」。ビーチにいるオタリアの赤ちゃんを、シャチが狙います!

ミナミセミクジラ Southern Right Whale  6~10月ごろバルデス半島の海におよそ1000頭のミナミセミクジラがやってきて、繁殖します。ボートによってくることが多く、ホエールウォッチングでもさまざまな行動を見せてくれるクジラです!

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セーリング Sailing と呼ばれるミナミセミクジラ特有の水面行動。尻尾を比較的長い間出しています。

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ボートに興味たっぷりのミナミセミクジラです!

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Mar, Apr, Sep, Oct 2016 , Valdes Peninsula, Chubut – Argentina

Reference : Hector Horacio Casin,  Wikipedia(EN) 他

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パタゴニア・バルデス半島自然紀行
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