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スリランカコサイチョウの子育て Sri Lanka Grey Hornbill

スリランの固有種、スリランカコサイチョウ Sri Lanka Grey Hornbill。「サイチョウ(サイのような角を持っている鳥)」なのに、その一番の特徴となる上嘴のふくらみ(CASQUEカスク)がない、45cmくらいの小型のサイチョウです。スリランカのサイチョウは、この固有種のスリランカコサイチョウとカササギサイチョウ  Malabar pied-hornbillの2種のみです。

見た目はオスもメスも同じですが、オスは薄い黄色のくちばし、メスは薄い黄色に黒いパッチのあるくちばしをしています。

スリランカコサイチョウも、他のサイチョウと同様の独特な子育てをします。

繁殖期になると巣となる木の空洞を探し、メスが中に入ると糞や泥などで穴の入り口ふさいで小さくし、オスのくちばしが入る程度の大きさにします。メスはこの隔絶された穴の中で2~3個の卵を産み、抱卵し、雛の世話をし、巣立ちの1週間くらい前までの期間を過ごすのです。この間に羽、尾羽の換羽もおこります。

オスは頻繁に巣の中にいるメスに餌を運びます。その様子を撮影した動画です。オスが赤い木の実1つを銜えてやってきてメスに与え、そのあと7つの木の実を吐き戻してメスに与えています。

Sri Lanka Grey Hornbill スリランカコサイチョウ

この巣穴では2月下旬にオスが巣穴に通っているのを観察し、4月半ばもオスが通っていました。資料によると、一般的にスリランカコサイチョウの繁殖期は2~6月で、5~6月に巣立ちが観察されるそうです。スリランカコサイチョウは国のドライゾーンにもウェットゾーンにも広く分布し、雨の量や実のなる季節・場所により繁殖期は少し異なるそうです。

雛の巣立ちの一週間ほど前にメスは穴を壊して出てきます。その時には換羽後のきれいな姿で出てくると言います。そしてオスとメスの両方で雛に餌を運び、雛の巣立ちの時を迎えます。研究者の観察記録によると、メスが巣に入ってから雛の巣立ちまで104日。メスは95日以上を暗く小さな木の穴で過ごしたのです!

この写真は2月下旬に撮影。オスが緑色のトカゲ、Green Garden Lizard (Calotes calotes) を運んできました。

メスがじたばたするトカゲを呑み込んでいきました。↑↑ トカゲの尻尾が穴に吸い込まれていく様子です。オスは木の実やトカゲ、ヤモリ、虫などをメスに運びます。

観察場所の様子。この巣のあった木は他にも3か所の樹洞があり、固有種のクリセスズメフクロウ Chestnut-backed Owletも同時期に巣をつくっていました。距離を置いて、静かに見守りましょう。

午前はとくに忙しく、巣穴にせっせと餌を運ぶオス。繁殖期以外ではペアか、家族の小集団で見かけることが多いスリランカコサイチョウ。メスと雛がでてくるのが、待ち遠しいことでしょう。

 

Image & text : Mariko SAWADA

Observation : Feb-Apr 2023. Sinharaja Forest, Sri Lanka

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ヒマラヤの野鳥にカンチェンジュンガ!シンガリラ国立公園(インド)

インドの首都デリーから国内線で西ベンガル州のバグドグラ空港へ。晴れるとネパール・インド・ブータンにまたがるヒマラヤも展望できるフライトです(往路は左側(A側)の席がお勧めです)。バグドグラ空港からネパール国境へと4時間ほど走ると到着するのがマネイバンジャン。ここがシンガリラ国立公園訪問のベースとなる町です。

シンガリラ国立公園(Singalila National Park)はネパールに接する国立公園で、世界第3位峰のカンチェンジュンガ 8,586m展望地としても有名で、多くのインド人トレッカーが訪れる場所でもあります。

この国立公園はレッサーパンダ (Red Panda)が見られることでも知られています。もちろん観察は容易ではなく、秋の実のなる季節に5日ほどかけて探すことになります。運がいいと、樹冠のキウィの実を食べているレッサーパンダを車道から観察できることもるようです。2022年はキウィの実がならず、レッサーパンダ受難の年となりました。ただでさえ、「エキゾチック・ペット」としての密猟が絶えないのが現状です。インド側では厳しく取り締まられていますが、国境を接するネパール側では密猟が横行していると聞きました。

シンガリラ国立公園に入ったカンチェンジュンガ展望地の道ですが、右側の森林が広がるのがインド側、左の気が伐採されているのがネパール側。この景色はちょっとショックでした。

この道は本当に「国境」を走っており、通過する山小屋は「インド側」だったり、「ネパール側」だったりします。インド人はネパール側のロッジに宿泊することができますが、外国人はインド側のロッジにしか泊まることができないそうです。

マネイバンジャンからカンチェンジュンガ展望地のトングルーへ向かう途中に何度も道路で見かけたセボシエンビシキチョウ Spotted Forktail 。

「地べた系」の鳥は写真が難しいです、ミヤマハッカン Kalij Pheasant のオスとメス。オスもメスも目の周りの皮膚が赤く、とても大きな尾羽をしています。

ノドジロシマドリ Hoary-throated Barwing

ノドジマコバシチメドリ throated-winged Siva (またはBar-throated Minla)

ノドジロチメドリ White-browed Fulvetta

ヤマガラモドキ Rufous-Fronted Tit

シロスジガビチョウ Striated Laughingthrush

ロッジや村の周りで容易に観察できる、キンバネガビチョウ Black-faced laughingthrush。

ズアカガビチョウ Chestnut-crowned laughingthrush はキンバネガビチョウの群れに1~2羽混じって採餌していました。

キバラシジュウカラ Green-backed tit

キバシサンジャク Yellow-billed blue magpie はキンバネガビチョウと同じく、ロッジや村の周りに現れます。飛んでいる姿が美しい鳥です。

キバラアカゲラ Darjeeling Woodpecker

地べた系、藪の中系の野鳥には苦労しました。しっかり観察・撮影できなかったのがヒマラヤダルマエナガ Brown Parrotbill。竹の皮をはがす音の方向をしっかりさがしましたが一瞬しか姿を見せてくれませんでした。

シンガリラ国立公園内のトレッカーロッジは本当にシンプルな作りです。電機はソーラー蓄電のささやかなものだけで、トイレは共同。

ロッジを経営しているのはネパール人です。食事に凝っているロッジのキッチン。

地元ビールHIT SUPER STRONG(8%!)とパコラのおつまみ。

満点の星空に包まれたロッジ夜。

夜明けには町の明かりと紫色に染まるカンチェンジュンガの姿。ダージリンの町から見るカンチェンジュンガとは一味違う景色とヒマラヤの鳥を楽しめます。

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : Dec 2022, Singalila National Park, West Bengal – Nepal border, INDIA

西遊旅行のワイルドライフツアー一覧

インド国内の旅行手配は西遊インディアが承ります!

スリランカ バードウォッチング

スリランカのバードウォッチング、特集ページ公開!

スリランカ バードウォッチング

西遊旅行のスリランカ支店、Saiyu Lankaのサイトに「バードウォッチング・イン・スリランカ 」を特集ページとして公開しました。

「バードウォッチング・イン・スリランカ Bird watching in Sri Lanka」

西遊旅行がスリランカのネイチャーツアーに着手したのが2014年。当時はヤーラ国立公園のサファリやミリッサのシロナガスクジラのホエールウォッチングが主流で、シギリヤやキャンディといった主要観光地との組み合わせからツアーを始めました。その後、どんどんワイルドライフ・デスティネーションを開拓し、スレンダーロリスの観察、トリンコマリーのホエールウォッチング、そして「バードウォッチング」もスタート。実は、スリランカ支店の支店長アヌラダさんは元海軍のバーダーで、支店訪問の際には毎度、シンハラジャへ一緒に通っています。

コロナで2年ほどブランクが空きましたが、ようやく固有種を中心に写真のストックもそろい、バードウォッチング特集を作ることができました。まだまだ勉強が足りないところが多々ありますが、スリランカの野鳥の魅力が伝わればと思っています。

西遊旅行の日本発着のスリランカ・バードウォッチングツアーだけでなく、現地発着の1~2名様の手配旅行など、ご希望にあわせて対応させていただきます。お問い合わせ、お待ちしております!

 

Image &Text : 西遊旅行 Team Widlife  – Mariko SAWADA

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