タグ別アーカイブ: バードウォッチング

繁殖羽のヘラサギ・夏のインドで探鳥!バラトプール編

繁殖羽のヘラサギを見たかったので、バラトプールに行ってきました。とても素敵なヘラサギのディスプレイの写真を見たことがあり、いつかそんな姿が見れたらいいなと思っていました。

バラトプールは世界遺産でもあるケオラデオ国立公園 Keoladeo National Parkがあり、この国立公園は他の国立公園と違い、閉鎖期間がほぼなく夏でも入場可能です。が、ヘラサギの繁殖地は公園内ではなく、村の周りの池にありました。

訪れた7月下旬はちょうど求愛の季節でした。ペアの仲良い姿。

ヘラサギ Eurasian Sponnbill はユーラシア大陸とインドで繁殖し、アフリカやアジアへの渡りを行う鳥ですが、インドではインド西~南部では留鳥として観察されます。このバラトプルも、ケオラデオ国立公園や周辺の水場でヘラサギを一年を通じて観察することができます。

冠羽をはでに開いた繁殖羽のヘラサギ。

冠羽が・・・。

この池ではヘラサギ以外の水鳥も繁殖していました。クロトキ Black-headed Ibis は、ヘラサギと同様にインド西~南部で留鳥として観察されます。この時期、すでに雛が誕生していました。

アオサギ Grey Heron も繁殖していました。この季節のアオサギの美しいこと!

雛の姿が見えました!

チュウサギ Internediate Egret のペア、繁殖期の美しい色。

ゴイサギ Black-crowned Night Heron のペア。足が赤くキレイ。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の幼鳥。

アジアレンカク Bronze-winged jacana の雛の姿も。

人との距離がとても近い、村の池で繁殖する水鳥たち。この距離の近さは「インドならでは」です。

<観察できた鳥(07:00-09:00am)> ヘラサギ (Eurasian Spoonbill)、クロトキ (Black-headed Ibis)、ヨシゴイ (YellowBittern)、ゴイサギ (Black-crowned Night Heron)、アオサギ (Grey Heron)、ムラサキサギ (Purple Heron)、チュウサギ (Intermediate Egret)、ダイサギ (Great Egret)、コブガモ (Knob-billed Duck)、アジアコビトウ (Little Cormorant)、セイケイ (Purple Swamphen)、アジアレンカク (Bronze-winged Jacana)、シリアカヒヨドリ (Red-vented Bulbul)

 

Photo & text : Mariko SAWADA

Observation : End July 2022, Bharatpur, Rajasthan, India

★インドでのバードウォッチング/サファリ/野生動物撮影手配を承っています。西遊インディア、または西遊旅行へのご依頼をお待ちしてます。

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コクガン Brant Goose (志津川湾、南三陸町)

コクガン Brent goose 南三陸町 (6)

11月はじめになると、繁殖地のロシア北極海沿岸からコクガンが南三陸町の海岸にやってきます。震災前は100羽ほどだったそうですが、最近では300羽を越えるようになったとのこと。

蕪栗沼で雁のねぐら入り・朝の飛び立ちを満喫した後、南三陸町へ向かいました。南三陸町に入ると津波の被害がどんなにすさまじかったか、テレビで見た建物もあり驚かされました。

コクガンがいますよ、という情報をもとに「海のビジターセンター」へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (8)

ブイが連なる志津川湾にいました、コクガン。しかし、遠い。湾に沿った港で探してみることにしました。各地の湾は大きな防波堤が作る作業が進められていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (2)

そして見つけました!船置き場に上がっているコクガンたち!斜面に張り付いた海藻を食べていました。

コクガン Brent goose 南三陸町 (1)

でも私たちの存在に気が付くと海へ。

コクガン Brent goose 南三陸町 (3)

海に入ってからは比較的近い場所で海藻を食べたりしてのんびり過ごしてくれました。海藻豊かな志津川湾はコクガンにとって格好の越冬地です。

コクガン Brent goose 南三陸町 (4)

頭を海に突っ込んで首が届く程度の場所に海藻がある、コクガンの好む地形のようです。

コクガン Brent goose 南三陸町 (7)

海の方へ向かうコクガン。北極海沿岸で夏を過ごしたコクガンの一部が北東アジアへと飛来しますが、最初は北海道の野付半島(コクガンの好きなアマモの群生地がある)に立ち寄り、そこから各地へと渡っていくそうです。

コクガンの渡りの調査をされておられるグループの資料を拝見すると、3月に函館で発信器を付けたコクガンは4月末に野付半島・国後島へ移動、6月上旬に北上開始しオホーツク海を越え、ロシアのマガダンを経てシベリアの大地を越え、北極海のノヴォシビルスク諸島へと渡ったそうです。なんて夢のある、壮大なコクガンの渡りでしょうか!

南三陸町にあがる満月 (1)

この日は南三陸の温泉に宿泊。屋上から赤い満月が上がりました。宿のスタッフの方が天体望遠鏡も用意して宿泊者に星を見せるサービス!頑張っています。

南三陸町にあがる満月 (2)

こんな月をバックにガンが飛んでくれたら!と思いながらみなさんと月見を楽しみました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Special Thanks to Hobby’s World 吉成才丈さん

Observation : Dec 2020, 南三陸町、宮城県

 

ルリムネハチクイBlue-breasted Bee-eater (エリトリア)

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (7)

エリトリアの首都アスマラ郊外の水辺で出会った、ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater はアフリカのハチクイで、地域により個体差があり、エリトリア、エチオピアの500~2,000mの林に暮らす種は、他の地域のものよりも少し大きく、額の青いライン、胸の茶色がよりくっきりしているそうです。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (2)

英名のBlue-breasted (ルリムネ)はちょっとわかりにくい名前で、実は青いのは胸ではなく喉で、色も青かったり、個体によっては紫っぽかったり、黒っぽかったりするそうです。また幼鳥は喉が青くありません。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (1)

ルリムネハチクイを観察していたら、そのうち飛んで林の方へ。そこで見たのは、ひっついて枝にとまっていた10羽のルリムネハチクイたち。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (10)

これは、たまらない、光景。ずーっと見てると、右の鳥が一度飛びったって左側に移動したり、入れ替わりが行われたりもしていました。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (3)

時間は夕方5時、そろそろ暗くなり始めた頃でした。みんなで飛び立つ様子もありません。夜はこうやって集まって寝るのでしょうと、とガイドさん。きっとお気に入りの「枝」があるんでしょうね!

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (9)

ずっと停まっていてくれるので、三脚をたてて細部を見ることができました。ひたいの青色、喉元の青・紫色のバンド、完璧です!

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (8)

寝る準備をしているのでしょうが、目はパッチリ。

ルリムネハチクイ Blue-breasted Bee-eater エリトリア (6)

暗くなるまで観察させていただきました。集団で枝にとまって寝るルリムネハチクイ、感激ものです。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Dec 2015 ,Suburb of Asmara, Eritrea

Reference : Helm Field Guide “Horn of Africa”, Wikipedia(EN)

★エリトリアは560種以上の「アフリカの角」の野鳥が観察出来る国。紅海の海抜0mから標高3,000m以上の高原まで変化に飛んだバードウォッチングが楽しめる場所です。個人旅行・グループ旅行の手配についてはお気軽に、担当までお問い合わせください。

↓↓↓ ツアー情報★エリトリアを訪問するコース(これはバードウォッチングのコースではありませんが、各地でたくさんの野鳥と出会うチャンスがあります)↓↓↓

知られざるアフリカの角 エリトリア
アクスム王国の遺跡から紅海のダラク諸島、ブリ半島まで

アフリカリフトバレー、アワッサ湖の野鳥たち エチオピアでバードウォッチング

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (9)カンムリカワセミ Malachite Kingfisher

エチオピアのリフトバレー(アフリカ大地溝帯)は野鳥の宝庫。大地溝帯に沿って点在する湖では多様な野鳥たちと出会うことができる場所です。

リフトバレーの湖のひとつアワッサ湖の湖畔の野鳥観察記録です。最大水深10mほどの湖にはテラピヤやナマズなどの淡水魚が豊富でその岸辺には野鳥たちが集まります。

アワッサ湖畔のフィッシュ・マーケット付近の岸辺と森で簡単に野鳥を観察することができます。魚を乗せた船が近づくとアフリカハゲコウ Marabou Stork がポジション争いをしています。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (21)

アワッサ湖のフィッシュ・マーケット

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (20)

アフリカハゲコウ Marabou Stork が人と一緒に魚を待っています。大きなこの鳥がそばで飛び立つときには「ブンブン」と羽ばたく音がひびき豪快です。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (7)シロガオリュウキュウガモ White-faced Whisling Duck

シロガオリュウキュウガモ White-faced Whisling Duck アフリカで一般的にみられるリュウキュウガモですが、並ぶとインパクトあります。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (6) シロガオリュウキュウガモ White-faced Whisling Duck アフリカオオバン Red-knobbed Coot

シロガオリュウキュウガモ White-faced Whisling Duck のそばにはアフリカオオバン Red-knobbed Coot。アフリカオオバンは白いくちばしと額板、繁殖期に赤くなる頭の上の2つの丸い突起がとてもかわいいです。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (2) アフリカレンカク African Jacana

アフリカレンカク African Jacana

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング ツメバガン Spur-winged Goose

ツメバガン Spur-winged Goose アフリカで最大のカモ類です。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (4) Spur-winged Lapwing ツメバゲリ

ツメバゲリ Spur-winged Lapwing

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング アフリカコガモ Hottentot Teal

アフリカコガモ Hottentot Teal

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング アフリカコビトウ Long-tailed Cormorant

アフリカコビトウ Long-tailed Cormorant が翼を乾かしています。本当に、尻尾が長く大きいです。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング ミスジチドリ Tree-banded Plover

ミスジチドリ Three-banded Plover

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (1) カンムリカワセミ Malachite Kingfisher

カンムリカワセミ Malachite Kingfisher  アフリカのみで見られる小型のカワセミ。頭の羽が美しいです。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング  セネガルショウビン Woodland Kingfisher

こちらはセネガルショウビン Woodland Kingfisher やはりアフリカで見られるカワセミで、英名のWoodlandの通り、森の中で出合いました。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (18) セネガルショウビン Woodland Kingfisher

セネガルショウビン君、何やら捕食中。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング エジプトガン Egyptian Goose

エジプトガン Egyptian Gooseです。ここではペアで森の中にいるのを数組見かけました。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング ハダダトキ Hadada Ibis

森の中を徘徊するハダダトキ Hadada Ibis

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング サンショクウミワシ African Fish Eagle

足に魚を持ったサンショクウミワシ African Fish Eagle この後、巣へ魚を運んでいきました。

アワッサ湖(エチオピア)バードウォッチング (14) ハツハナインコ Black-winged Lovebird

そしてエチオピアとエリトリアの固有種、ハツハナインコ Black-winged Lovebird、Abyssinian Lovebirdとも言います。頭の赤いのがオス。愛情いっぱいの行動をすることからインコはLovebirdと呼ばれるんですね!

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2016 , Lake Awassa – Ethiopia

Reference : Helm Field Guide “Birds of Horn of Africa”, Wikipedia(EN)

★★バレ山地も訪問するエチオピア・ネイチャーツアー 2018年発表★★

雨期明けの美しい季節11月限定出発★バレとシミエン エチオピアの固有種を追う
アフリカ大地溝帯山岳部のエチオピアオオカミとゲラダヒヒ

オマーンの野鳥 ホール・ルーリのラグーンとサムフラム遺跡

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (3)

アラビア半島はオマーンのドファール地方、ホール・ルーリで出会った野鳥・ラクダたちです。

 サムフラム遺跡について

港町タカの東約7キロメートルのホール・ルーリにある遺跡。かつて乳香交易で栄えたサムフラムという都遺跡で、貯蔵庫や城壁に囲まれた町の跡、神殿跡が残されています。アラビア半島南部における乳香の重要な交易路にあり、アル・バリード遺跡、シスル(ウバール)遺跡、ワディダウカの遺跡とともに、2000年に「乳香の道」の名称で世界遺産(文化遺産)に登録されました。

遺跡は、発掘により紀元前2世紀のハドラマウト時代にさかのぼるとされ、都市は7世紀ごろに廃墟になったと考えられてます。また、「シバの女王」の宮殿があると、ガイドブックに書かれていますが考古学的根拠はないようです。

発見された碑文と発掘品により、この都市が「サムハラム」と呼ばれていたこと、ハドラマウトの王家により創建され移民が暮らしたこと、古来よりドファール地方は乳香の産地であり、ハドラマウト王国はこの価値ある乳香をコントロール下におき、ホール・ルーリはその積出港として利用されたことがわかってきました。

城壁で囲まれた都市遺跡の周囲はかつて海とつながっていたホール(Khor、ラグーン、入り江のこと)があり、港の跡も残っています。いまは、砂でせき止めらていますが、フラミンゴや水辺の野鳥が集まっています。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (1)

インド洋を臨むホール・ルーリの都市遺跡

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (2)

ラクダがビーチを闊歩。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (6)

ラグーンにはたくさんの水鳥が集まっています。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (7)

オオフラミンゴ Greater Flamingo 灰色の体の子は幼鳥です。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (11) ヘラサギ

Eurasian Spoonbill ヘラサギ ユーラシア大陸中部で繁殖し、冬は中東~アジアへと越冬に来る渡り鳥です。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (9)

Yellow Wagtail ツメナガセキレイ 世界各地の湿地で見られる野鳥ですが多様な模様をしています。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (10) ミサゴ

Osprey ミサゴ アラビア半島全域の水のある場所で見られるミサゴ。白い冠に黒いマスクのような模様がカッコイイです。魚を捕食するので「魚鷹」とも。

サムハラム遺跡とホールルーリのラグーン (4)

ホール・ルーリの訪問は夕方がお勧めです。遺跡に夕日があたり、放牧から帰ってくるラクダの姿、そして捕食にいそしむ野鳥たちの姿を見ることができました。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Nov 2015, Khor Rouri, Dofar – Oman

Reference : Helm Field Guids “Birds of Middle East”,  Wikipedia (EN)

 

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インドブッポウソウ Indian Roller

Indian Roller (1)

まるでインドの空を舞う大きな宝石のように美しいインドブッポウソウ、Indian Roller。

インドでは一般的で幅広く分布し、ほとんどの国立公園でサファリ中に観察することができる鳥です。オリッサ州、カルナータカ州、テランガーナ州の「州の鳥 State Bird」に定められる、一度見たら忘れることのできない美しい鳥です。

インドでは2亜種が確認され、西アジア~ヴィンディヤ山脈以北のインド北部に見られる C. b. benghalensisと、中~南インド・スリランカで見られるC. b. indicusです。この写真のインドブッポウソウはいずれも広義のヴィンディヤ山脈にある場所で撮影しました。

Indian Roller (5)

捕食中。草原や草地など開けた場所の木や電線にいることが多く、目につきやすい鳥です。

Indian Roller (6)

耳羽から喉にかけての白い線上の毛が特徴的です。何よりも羽の鮮やかな青。トルコ石色の羽です。

Indian Roller (3)

Indian Roller (4)

比較的簡単に観察できる鳥ですが、飛んでいる美しい羽の姿を撮影するのは少し努力が必要です。サファリ中、いたるところで出会うのですが、きれいな写真を撮ることが難しい鳥です。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA

Observation : April-May  2014-2015  Kanha, Bandhavgarh, Madhya Pradesh, India

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ウミガラス Common Guillemot (極東ロシア、 ベーリング海)

Guillemot ウミガラス (3)

ベーリング海峡からチュクチ海沿岸で観察したウミガラス Common Guillemot の観察の記録です。

英名はCommon Guilemot またはCommon Murreと呼ばれる海鳥で繁殖期の夏にコロニーをつくります。見た目が非常に似ているBrunnich Guillemot ハシブトウミガラスを一緒にいることが多く、同じ場所で営巣し、一緒に飛ぶこともあります。

Guillemot ウミガラス (6)
Guillemot

ウミガラス Common Guillemot とハシブトウミガラス Brunnich’s Guillemot が一緒に飛んでいます。

ウミガラスが少しブラウンがかった色でハシブトウミガラスが黒っぽく口元に白い模様があります。

夏の2~4ヶ月の間、海に面した断崖で子育てします。それ以外の期間は海で浮かんでいるか、飛んでいます。エビや小魚とかを捕食し、陸地のもの(虫、木の実など)は食べません。繁殖期が終わるとこの断崖も空っぽになります。

Guillemot ウミガラス (9)

ウミガラスが浮いているのは遊んでいるのでありません。ダイブして魚・エビを捕まえるため。50~60mの深さまでダイブすることができ、泳ぐときは脚は使わず手(羽)を使ってもぐります。

Guillemot ウミガラス (10)

ウミガラスが水面を助走し、飛ぼうとしているところです。ウミガラスは崖から直接飛ぶことはなく、まず、海に飛び込んで、そこから助走をつけて飛びます。

ギルモットは絶壁を好み、目の前の海が大きな採餌場場です。繁殖期には卵を1個を産みます。その形はヨウナシ型で、絶壁で落ちにくい形、転がるのをふせぐ形なのです。

Guillemot ウミガラス (11)

通常は巣にオスかメスと雛が一緒にいます。断崖のコロニーでは、親鳥が子を光と風からまもっていて、親鳥と断崖の間に雛がいることが多く見ることが難しいです。また、小さな雛は親鳥の足のあいだにもいたりします。20~30日で雛は旅立ちます。まず、海に飛び込んでしばらく飛ぶ練習をします。この間オスが子供が自分で魚を取れ、飛べる様になるまで面倒をみます。

Guillemot ウミガラス (2)

幼鳥の面倒を見る親鳥。それでも、溺れ死んだり、天敵である大型のカモメに襲われたりもします。

Guillemot ウミガラス (12)

海で死んだウミガラスの幼鳥を食べるシロカモメ Glaucous Gull。大型のカモメは天敵です。

オスが幼鳥の子育てをしている間のメスはというと、雛が巣立ったあともコロニーの巣で自分の場所を主張。この場所の確保・生存競争は激しく、コロニーを去るの日までメスは自分の巣を守ります。

Guillemot ウミガラス (8)

そして巣立った雛は4~5年後に元の場所へもどってくるといいます。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Mid of Aug 2015 , Preobrazheniya Bay, Kolyuchin Island- Russian Far east

Reference : Helm Field Guides “Birds of East Asia”, Samuel Blanc

 

エトピリカ Tufted Puffin(極東ロシア、チュクチ海)

Tufted Puffin エトピリカ (2)

極東ロシア、ベーリング海沿岸とチュクチ海沿岸で観察したエトピリカ、Tufted Puffin の観察記録です。

エトピリカ、その名前、葉加瀬太郎氏の名曲Etupirkaでご存知の方のほうが多いはず。生息地はオホーツク海からカムチャッカ半島、チュコトカ半島のベーリング海沿岸からウランゲル島にかけてとアリューシャン列島からアラスカにかけての海域。アイヌ語で ”くちばし=etu 美しい=pirka ”という意味を持つこの鳥は北海道の沿岸でも見られましたが現在では、日本での地域絶滅が危ぶまれているのだそうです。

エトピリカ も ツノメドリと同様に冬はその鮮やかさが失われ、くちばしも含めて黒色になります。夏羽と冬羽の変化の大きな鳥です。

美しいエトピリカ、ツノメドリと同様にその大きなくちばしは美しいだけでなく、たくさんの魚を一度にくわえることができるのです。くちばしの縁はギザギザで、捕まえた魚を一匹づつはさみ、さらに次の魚をつかまえていきます。

Tufted Puffin エトピリカ (6)

上手く撮れていませんが、口にたくさんの魚をくわえたエトピリカ。ベーリング海峡を航行中に通過した米ソの国境となるダイオミード諸島のロシア側、ビッグ・ダイオミード島はPuffinやAukletが営巣する断崖のある島。朝、無数の海鳥が空を舞い、シャッターを切った中に、このエトピリカが魚をくわえた写真がありました。

Tufted Puffin エトピリカ (8)

Tufted Puffin エトピリカ (5)チュクチ海のコリューチン島は海鳥の一大営巣地です。ここは上陸して「アイレベル」で観察できる、鳥好きにはたまらない場所。

目の前で、海鳥の子育て、エサを与える姿、縄張り争い、そして争いに負けて死んでいく雛たち・・・厳しい自然に生きる野鳥の姿を観察することができるのです。

それにしてもTufted Puffin エトピリカの美しいこと。

この島の固体は目がグレーでまさに「男前」という言葉が似合う美しさ。

 

Tufted Puffin エトピリカ (9)

断崖では群れをなしている姿はみかけず、ウミガラスなどとまじって魚を狙っていました。

Tufted Puffin エトピリカ (7)

Tufted Puffin エトピリカ (3)

8月ももう終わり、雛も巣立ち、間もなくすこし南の海へと移動していきます。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Mid of Aug 2015 , Kolyuchin Island、Big Diomede Island- Russian Far east

Reference : Helm Field Guides “Birds of East Asia”, Samuel Blanc