カテゴリー別アーカイブ: ◇ パキスタン Pakistan

冬の上部フンザ、カイバル村のアイベックス(パキスタン)

アイベックス 冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (5)

パキスタンと中国の国境に近いワヒ族の暮らすカイバル村。この時期はたくさんのヒマラヤアイベックスが村近くに降りてくるとのことで行ってみました。村の畑にもやってくるのだといいます。

カイバル村は人口1100人、150家族が暮らす村ですが、冬のこの季節は寒さを避けるためにカラチなど大都市へ移動している人も多く、冬の人口は300~400人ほど。きれいな水が流れていますが1日の日照時間がとても短い村です。そして野生動物の保護とコントロールされたトロフィーハンティングを、1997年にパキスタンで最初に初めた村なのだそうです。

アイベックス 冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (2)

クンジュラーブ川の対岸にある岩場へ。本当にいました。そしてクンジュラーブ国立公園よりもより近くに。ヒマラヤアイベックスの群れです。

アイベックス 冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (3)

繁殖の季節でオスがメスを追いかけています。12月~1月が繁殖シーズンで6月に子供が生まれます。

冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (14)

観察の距離はこれくらい。

冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (8)

シロガシラジョウビタキ White-winged redstartのつがいです。シロガシラジョウビタキはヒマラヤ・カラコルム・パミール・中央アジアの山で見られる野鳥。パキスタンでは夏は標高4,000~5,000mで繁殖しますが冬は村のある標高まで下りてきます。

冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (10)

白い帽子と翼のホワイトパッチが特徴のシロガシラジョウビタキのオス。およそ18センチと大型です。

冬のカイバル村 北部パキスタン Khyber village winter Northern Pakistan (13)

カイバル村のジュニパーバレーと呼ばれる谷。谷の入口に水力発電所があり、カイバル村は電気が24時間ある上部フンザでは恵まれた村です。宿泊していた村のコミュニティーゲストハウスではほかの上部フンザの村からは考えられないネットスピードの良さでした。冬は村人の多くが町に行ってしまいネットを使う人も少ないからだと思いますが・・・。

Photo& Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jan 2019, Khyber village – GB, Pakistan

Reference : Mr.Irfan – Khyber,  Mr.Sultan Gohar – Khunjerab National Park

ヒマラヤアイベックス Himalayan Ibex( クンジュラブ国立公園、パキスタン)

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (7)

12月下旬、パキスタンと中国の国境にあるクンジュラブ国立公園へ。クンジュラブ国立公園とその周辺の上部フンザの山には通年通してアイベックスが生息しますが、夏は標高が高い場所にいるので見ることは少なく、彼らが標高の低い場所におりてくる冬はカラコルムハイウェイから観察することができます。

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (16)

カラコルムハイウェイの道路から、山の斜面を移動するアイベックスの群れを見つけました。

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (8)

この地域のアイベックスは12月半ばから1月下旬にかけて低い場所に集まるといいます。オスがメスを追いかけまわしていました。

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (10)

パキスタン北部のアイベックスは英語ではHimalayan IbexとかSiberian Ibexと呼ばれる亜種(Capra sibirica)。この中でも生息地域によってさらに分類されているようです。

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (9)

立派な角のアイベックスです。案内してくれた国立公園スタッフが「あ、トロフィーだ」と。オスの角が38インチ(97センチ)越えると「トロフィーハンティング」の対象となります。ま、ここは国立公園の中なのでハンティングは認められていませんので安心ですが・・・。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Khunjerab National Park, Pakistan

Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP (Khunjerab National Park), WWF Pakistan

厳冬のクンジュラブ国立公園(パキスタン)

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (1)

12月下旬、パキスタンのクンジュラブ国立公園へ行ってきました。
到着した日は雪はなかったのですが大変冷たい風が吹き、中国との国境クンジュラブ峠4,700m付近ではマイナス30度。冷たい空気が鼻の奥に入り、「痛い」と感じるものでした。
以前には考えられなかったことですが、こんな季節にも観光客が訪れるようになり、峠にはラホールから来た新婚旅行の夫婦も。スーパームスリムなこのご夫婦はアッラーの作り出した偉大な自然の姿にとても感動されていらっしゃいました。

「厳冬のクンジュラブ国立公園」の景色と出会ったワイルドライフ
この数年、いろいろ教えてもらっているクンジュラブ国立公園のゴハール氏の案内で国立公園内のレンジャー施設に滞在させていただきました。
カラコルムの峻険な山に囲まれた小屋の滞在。すべてのものが凍る環境で食事を作りお皿を洗うこと、ブハリ(暖炉)に中国産の石炭をいれて火をつけること、水も氷る環境でのトイレ・・・何もかもが貴重な体験でした。

アイベックス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (12)

12月~1月はアイベックス Himalayan Ibex が交尾で標高の低いところへ降りてきます。そのためカラコルムハイウェイ沿いからアイベックスの群れを観察できます。メスを追うオスの姿が。

イワシャコ 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (5)

朝早い時間はカラコルムハイウェイ上をイワシャコ Chukar Partridge が横切ることが多いです。この鳥、パキスタンの国鳥です。

ユキヒョウに襲われたヤク 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (21)

クンジュラブ峠へ向かう途中、トンネル付近でカラスが飛び立ったので見に行ったらヤクがユキヒョウに襲われていました。夕方、ユキヒョウが現れないか待ってみましたが、姿を見ることはありませんでした。

ヒゲワシ 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (11)

そして上空にはヒゲワシ Bearded vulture (Lammergeier) の姿。

カサガラス 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (13)

クンジュラブ川にはカワガラス Brown Dipper が。冬に観察しやすい鳥です。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (24)

クンジュラブ峠を目指し標高を上げると川は完全に凍っていました。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (19)

途中、山肌から水が吹き出しているところが凍り、道路がツルツルに氷り危ない箇所も。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (2)

クンジュラブ川の氷の上を少し歩いてみました。これはちょっと不思議な光景。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (23)

冬のクンジュラブ峠、中国との国境です。スストの人たちの話では、国境は2018年11月30日まで開いていました。春はこれまで5月1日から外国人の通行が可能でしたが、2019年は雪の状況が許せば4月1日からという話です。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (22)

ゴハール氏がヒマラヤセッケイ Himalayan Snowcock を探そうというので国境の付近のカラコルムハイウェイから登りました。すでに4,700m付近にいたのでこの登りもしんどいものです。

冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (3)

苦労は報われずヒマラヤセッケイを探すことはできませんでしたが、雪に覆われたクンジュラブ峠の中国との国境を臨むことができました。

ユキヒョウの足跡 冬のクンジェラーブ国立公園 Winter Khunjerab National Park (20)

翌日、早朝に見つけた新しいユキヒョウの足跡。カラコルムハイウェイを横断してアイベックスの群れのいる方向へ足跡が続いていました。ゴハール氏が足跡を追いましたが見つけることはできませんでした。

Photo & Text  : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation: Khunjerab National Park, Pakistan

Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP (Khunjerab National Park)

夏のヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear(デオサイ高原、パキスタン)

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (6)

パキスタン北部にあるデオサイ高原はヒマラヤヒグマの生息地として知られています。ヒマラヤヒグマについてはこちら(2015年10月の観察記録)

ただし、デオサイ高原に行けば見れるというものではなく、レンジャーと一緒に歩いてヒマラヤヒグマの暮らすエリアに行かなくてはなりません。また、長年ハンティングの対象であったこともあり非常に臆病ですぐに逃げていきますので、ある程度距離をおいての観察となります。

夏はデオサイ高原のベストシーズンですが、観光客が多すぎてヒマラヤヒグマたちは谷のより奥にいるため観察にはずいぶんと歩かなくてはなりません。

デオサイ高原国立公園スタッフの間で「シャイターン」と呼ばれるグループの地域へ行って見ました。「シャイターン」は「サタン=悪魔」の意味ですが、このグループを「悪魔」と呼んでいるのではなく「いたずらっこ」のような意味なのだそうです。

標高4,000mほどのキャンプから少し高度をあげ無数の小川が流れる谷へ。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (1)

同行レンジャー氏が、「Bear!」と。三脚を立ててせいいっぱいのズームで見ると熊が2頭、親子です。お母さん熊がたって何かを見ています。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (2)

お母さん熊が見ていた方向にいたのは雄のヒマラヤヒグマです。親子グマはこの雄を避けて小川沿いの草の中を私たちのほうへ歩いてきました。ラッキーなことに私たちは風下におり、クマに気づかれずにヒマラヤヒグマの観察としては比較的近い位置まで来ることができました。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (3)

あ、小熊に見つかってしまいました。見られてしまいました。なんてかわいいのでしょう。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (4)

お母さん熊が立ち上がってこちらを見ています。お母さん熊にも見られてしまいました。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (5)

ふたたび小熊がこちらを見ています・・・

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (8)

ついに2頭で私たちを見ています。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (7)

もう、ばっちし目が合いました。夢のようなアングルです。この後、2頭は歩いて離れていきました。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (11)

少し離れたところに現れた親子熊。このあと、2頭は草原でいろいろ見つけながら移動していきます。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (12)

しばらくすると、親子が岩の上に乗って別の方向を見ていました。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (13)

なんと、別のメスの熊が現れその通過待ちでした。もう1頭のメスは完全にスルーでした。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (14)

その後の親子は・・・小熊がお花畑で少し寝たり、遊んだり。

ヒマラヤヒグマ Himalayan Brown Bear デオサイ高原 Deosai National Park (15)

そして丘を越えて見えない場所へと行ってしまいました。大変美しい光景でした。

デオサイ国立公園(DNP)のスタッフによると2017年の個体数調査では、ヒマラヤヒグマの個体数は80頭を越えた、とのことです。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jul 2017, Deosai National Park, Pakistan

Reference : Mr.Ghulman Raza – Deosai National Park, Mr.Zahoor Salmi

オナガマーモット Long-tailed Marmot (デオサイ高原、パキスタン)

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (12)

夏のデオサイ高原で観察したオナガマーモット Long-tailed Marmot 。デオサイ高原はパキスタンの北部、インドとの国境付近にある平均標高4,100mの高原地帯で、1993年に国立公園に指定されました。

この数年、デオサイ高原を訪れるパキスタン人国内旅行客の数は一気に増加、国立公園当局(DNP)は道でない場所に車を走らせたり、ゴミをばらまくマナーの悪い観光客に困っていました。国立公園当局も率先してゴミ拾いをしていましたが、スタッフによると、前はシーズンは最初と最後、中間くらいにしていた清掃活動を、ほぼ「毎日」しなくてはならない、それほどのゴミが出されると嘆いていました。デオサイ高原は10月半ばには閉鎖され、11月~5月は雪に覆われます。「パキスタン人観光客の多い7~8月さえ乗り切ればもとの静寂なデオサイ高原がもどってくる」と。

観光客が多いことはキャンプ地がうるさくて大変ですが、夏のデオサイ高原は花が咲き大変美しい季節を迎えます。そして、短い夏を謳歌する動物たち・・・

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (1)

デオサイ高原でキャンプすると必ず出会うのがこのマーモット。デオサイ高原のマーモットは中央アジア・パミール高原で見られるマーモットと同じ、オナガマーモット Long-tailed Marmot / Golden Marmot です。

「キィキィ」というアラームコールを発し巣穴付近から立ち上がって様子をうかがっている光景を目にします。もちろん、近づきすぎた人間にもアラームコールを発しますが、彼らはマーモットを狙うキツネや猛禽類などを常に警戒しています。

このオナガマーモット、標高3,200m-5,000mほどの高地の草原や岩のある場所に巣穴を掘ってコロニーをつくり、大家族からなる集団で暮らしています。一夫一婦で大変社会性の高い動物だそうです。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (13)

すぐに逃げられるように穴のそばに立っています。この巣穴は冬は冬眠に使われます。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (3)

道路のすぐそばにあったコロニーで少しゆっくり観察しました。するとマーモットも警戒心を解き子どもたちが出てきます。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (4)

お母さんマーモットと子どもが出てきました。マーモットの子どもは生まれてから6週間ほどを巣穴で暮らした後、外へ出てきます。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (7)

いやあ、かわいい。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (9)

甘えているのでしょうか。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (5)

もう1匹出てきました!

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (10)

オナガマーモットは一度に4匹ほどの子供を生みますが、最初の夏を乗り切れるのはその半分、さらに最初の冬眠で命を落とす子供も多いのだそうです。このコロニーには複数頭の子どもがいました。

オナガマーモット デオサイ高原 Golden Marmot Long-tailed Marmot Deosai PlateauJPG (11)

デオサイ高原は10月になると雪が降り始めます。前に10月の第一週に訪れたときはマーモットたちはまだ活動していました。11月までには冬眠に入るのでしょうか、この子達が冬を越せますように!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jul 2017, Deosai National Park, Pakistan

Special Thanks : The late Mr.Zahoor Salmi, Deosai National Park

蓮の上のレンカク Pheasant-tailed Jacana (パンジャーブ、パキスタン)

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (2)

パキスタンにもバードウォッチャーやフォトグラファーのグループがいます。そのうちの知り合いから「レンカクが蓮の上で巣を作ってる、行こう」と誘いがあり、訪問してみました。

場所はパキスタンのラホールの南西75キロにあるヘッド・バローキー Head Baloki というナーヴィー川 Navi River の流れる村。この村は川から引いた水路や池がありそこに水鳥たちが集まっていました。

ラーヴィー川はパンジャーブ地方を流れる5つの川の1つ。もともとこのパンジャーブと言う言葉もペルシャ語で ”Panj -ab 5つの水 “をさし、インダス川とその4本の支流が育む豊かな土地を指します。しかし、これらの川も1947年のインド・パキスタンの分離独立により川の水利権をめぐり紛争の原因となりました。ヒマーチャル・プラデーシュに水源を発するこのラーヴィー川も例外ではありません。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (9)

夏羽のレンカク(Pheasant-tailed Jacana) です。尾羽が長くなり、 頭とのど、翼が白く、体の羽毛は黒っぽい茶色です。そして首の後ろが黒い縁取りのある金色になります。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (10)

長い足の指とツメで、体重を分散して蓮の葉の上を歩きます。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (4)

雛をつれたレンカクです。ここに連れてきてくれた友人は「蓮の葉の上で巣をつくってる」といっていましたが、孵化したようです。そしてヒナのしっかりした足。レンカクの雛は、その水の上と言う厳しい環境から、孵化したらすぐに動けるのだそうです。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (6)

レンカクはオスが子育てをする”イクメン鳥”だそうで、これはお父さんなんですね。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (8)

お父さん、近づいてきたインドアカガシラサギに声を発しています。

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (11)

こちらは2羽のレンカクが羽を広げています。レンカクは求愛ディスプレイが見られない鳥と聞いていますが、何のディスプレイだったのでしょう・・・

レンカク Pheasant-tailed Jacana パキスタン Head Baloki (12)

早朝のパンジャーブ、蓮の池で見た美しいレンカクたちでした!

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Aug 2017, Head Baloki, Punjab, Pakistan

Reference : Zahoor Salmi(Photographer)

ユキヒョウのローリー<冬> -2(パキスタン)

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (34)

ナルタル谷に移動したユキヒョウのローリー Lolly です。昨日に引き続き、朝からローリーの施設へといって見ました。(この記事のユキヒョウの写真は野性の状態のものではありません)

冬のナルタル パキスタン (2)

スキー場付近でジープを止め、ここから歩きます。地元の人に、ローリーはどうしてクンジェラーブ国立公園ではなくナルタルに来ることになったのか聞いてみました。「はっきりとはわからないけど、ナルタルには軍の施設があり、軍の高官たちが見やすいようにここにしたんじゃないの?」と。確かにローリーの柵のところには、観光客、そして軍人さんの姿も。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (11)

ローリーの施設に到着すると、ローリーは朝から歩いていました。柵のふちをくるくると歩いています。施設のスタッフが言うには、肉を食べた後はこうやって歩くんですよ・・と。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (26)

ずっと観察しているとローリーの通り道がわかり、そこで待っていると正面からやってきてくれます。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (28)

後姿も。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (21)

前足の肉球

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (22)

後ろ足の肉球

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (18)

ローリーは本当にきれいな顔をしていると、思います。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (19)

・・・尻尾!

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (48)

今日はとてもアクティブで色んな姿を見せてくれたローリー。16時に肉をもらいました。気温が低いのでお肉はカチカチでしたが骨ごと噛み砕いていました。

そして食後のお手入れ・・・暗くなるまでローリーを見ていました。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb2017, Captive condition at Naltal Valley, Pakistan

Reference : Local staff of SLF

ユキヒョウのローリー<冬> -1(パキスタン)

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (32)

パキスタンのユキヒョウ「ローリー Lolly」の話です。(この記事のユキヒョウの写真は野性の状態のものではありません)

前に一度ご紹介したユキヒョウのローリーが、2016年の冬にスストのチェックポストからナルタル谷へと移動しました。より大きな施設に移動したそうですが、クンジェラーブ国立公園の環境とは異なる場所への移動です。

初めて2月の北部パキスタンへ。フンザ付近から始まる高峰群は雪をかぶってとても美しいものでした。そしてナルタル谷へ。

冬のナルタル パキスタン (1)

ナルタルは豪雪地帯で、スキー場があることでも知られています。ギルギットから近いのですが4WDで行かなくてはなりません。

冬のナルタル パキスタン (4)

ナルタルに到着です。さっそくローリーのいるところへ行ってみました。スキー場側へ行き、そこから雪の山道を歩いて10分ほどの山の斜面に施設がありました。

ローリーがいません。番をしている人に聞いたところ、最近までナルタルのさらに奥の施設にいたけど雪が深くなり、通って肉をあげるのが大変になったので村に近いこの場所へ移したとのこと。この新居では雪のくぼみに入り込んで寝ているので今は見えないので待ちなさい、と。

雪のくぼみからローリーが顔を出しました。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (2)

ローリー、もう4歳くらいのはず。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (46)

起きて歩き始めました。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (39)

すぐに後ろを向いて逆方向に歩き始めました。追いかけて柵の周りを歩くも、雪が深いし山の斜面なので大変です。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (5)

ようやくローリーが見えるところに到着。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (6)

頭、ぷるぷる。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (7)

つめとぎ。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (14)

新雪の上を歩くローリー。ユキヒョウの後姿、・・たまりません。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb 2017, Captive condition at Naltar Valley, Pakistan

Reference : Local staff of SLF at Naltar Valley

開放されたユキヒョウ、山へ帰る(クンジュラブ国立公園、パキスタン)

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (6)

2017年2月下旬、パキスタン北部の村ミズガルで家畜を襲ったユキヒョウが捕らえられました。家畜小屋に入り込みヤギ・ヒツジを殺した上、家畜小屋から出れなくなっていたところを捕獲したとのこと。

村人は、ユキヒョウを保護しなくてはならないことは理解するが、行政への「殺された家畜の補償」をもとめた話し合いがもたれ、捕獲されてから3日目に山へ帰されることになりました。

このユキヒョウはミズガルの村近くで2頭の子どもを連れている姿が目撃されているメスのユキヒョウでした。ユキヒョウは捕獲されたミズガルではなく、クンジュラブ国立公園へ運んできて放すことになりました。

ユキヒョウがミズガルで捕獲された話はすぐにニュースになりましたが、ミズガルは中国との国境に近いため、2017年現在外国人が行けない場所。偶然にもクジュラブ国立公園のデーにあるスタッフ小屋にいたところ、このユキヒョウが連れてこられました。

このユキヒョウを放す瞬間を見ようとテレビ局、政府関係者が集まり、車列を組んで移動です。デーから少しいった場所の山の斜面で放すことになりました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (2)

檻が開けられても、ユキヒョウはすぐには出てきませんでした。出てこないので、その場にいたパキスタン人が「ローリー、ローリー」と呼びます。「ローリー」は2016年の秋までスストのチェックポストで飼われていたユキヒョウのこと。今はナルタルに行ってしまいましたが、クンジュラブ国立公園の人たちはユキヒョウを見ると「ローリー」と呼ばずにはいられないようです。

ユキヒョウが檻から顔を出して、最初にしたことは、雪を食べたこと。のどが渇ききっていたのでしょう。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (3)

ひとしきり雪を食べるとようやく前を見ました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (4)

そしてあたりを見ます。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (5)

ゆっくりと檻から出てきました。この瞬間、関係者より拍手が起こりました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (7)

自由になったミズガルのユキヒョウ

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (9)

3日間の拘束で毛並みが乱れているし、家畜の血が体についたりして汚れていました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (10)

立ち止まっては雪を食べます。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (11)

こちらのほうを見ました。弱っているのか、動きはゆっくり。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (12)

ひとしきり雪を食べると茂みの中へ入っていきました。まだこちらのほうを見ています。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (13)

岩の上に乗って休憩。ものすごいカモフラージュです。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (14)

しばらくすると、ふたたび山を登り始めました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (15)

開放されたものですが、野生のユキヒョウが歩いている姿を、初めて見ました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (17)

そしてまた座りました。対岸の山の斜面を見ています。そこにはアイベックスの群れがいました。

その後、このユキヒョウはじっとしたままでした。私たちも、このユキヒョウが無事にミズガルの2頭の子どものもとに戻れることを願い、その場を後にしました。

翌日、スタッフが最後にユキヒョウがいた付近を見に行きましたがもうその姿はありませんでした。そして開放してから3日後、このユキヒョウが2頭の子どもと一緒にいるのがミズガルで目撃されたと、国立公園のスタッフから電話がありました。

後日談:このユキヒョウはその後再び、ミズガルの家畜を襲ったため村人により殺されました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb 2017, Khunjerab National Park, Pakistan

Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP(Khunjerab National Park), Mr.Falman Razah -KVO ( Khunjerab Villager Organization), Wildlife Department of Pakistan

 

ハマヒバリ Horned Lark(デオサイ高原、パキスタン)

デオサイ高原 パキスタン (4)

ワイルドフラワーに包まれた、7月中旬のデオサイ高原で出会ったハマヒバリたちのレポートです。デオサイ高原(デオサイ国立公園)はパキスタン北部、ヒマラヤ山脈の端っこにある平均標高4,200mの高原で、無数の小川が走り、高原湿地が広がるまさに「天空の花園」と呼ぶにふさわしい場所です。

> デオサイ高原のワイルドライフついて

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (11)

ハマヒバリ Horned Lark はユーラシア大陸北部や北米で夏に繁殖し、冬は南へと渡り越冬する野鳥ですが、パキスタンの北部では一年を通じて観察することができます。チトラールからデオサイ高原までの北部山岳地帯の標高3,300m – 5,100m付近に暮らしています

デオサイ高原 パキスタン (1)

デオサイ高原の7月半ばはワイルドフラワーの花盛り。特に湖の周辺や湿地帯は標高に応じてさまざまな花が咲き誇っていました。まさに、「天空の花園」。

デオサイ高原 パキスタン (3)

ハマヒバリの暮らすデオサイ高原の風景。山岳地帯の岩陰や地面のくぼみに巣を作って繁殖しています。

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (10)

ハマヒバリのオスです。英名Horned Lark の通り、角のような冠羽が左右にあるのがオスのハマヒバリの特徴です。地域によって顔からのどにかけてが黄色になるハマヒバリもいますが、パキスタンでは白~クリーム色なのだそうです。

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (5)

後ろから見たハマヒバリ。両サイドに飛び出た角が、たまらなくかわいらしいです。

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (6)

ハマヒバリの幼鳥です。親と同じくらいの大きさになっていました。

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (8)

草の実を食べるハマヒバリ

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (2)

幼鳥に食事を運んできて与えるハマヒバリの親鳥

Horned Lark ハマヒバリ デオサイ高原 (1)

キャンプ地付近は食事のおこぼれがあるため、一番観察しやすい場所で、パキスタン人の観光客も一緒にバードウォッチングを楽しんでいました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Jul 2016 , Deosai National Park – Pakistan

Reference : Helm Field Guide “Birds of Pakistan”, Wikipedia(EN) (JP)