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琉球ハーピング(1)

西遊旅行の新しいワイルドライフ企画として始まったハーピング。初の「琉球ハーピング」ツアーの様子を、添乗員・案内人を務めた姫野航(Wataru HIMENO)よりレポートです!

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9月下旬、沖縄北部のやんばるの森でハーピングを行ってまいりました。 ハーピングとは、両生類・爬虫類学を意味する「 Herpetology 」 から派生してできた言葉で、両生類や爬虫類を観察に行くことを意味します。日本では、まだまだあまりなじみのない言葉ですが、日本にも沢山の固有種がいて、じっくり観察するととてもかわいい生き物が沢山いることに気づかされます。

今回は、中でもメインで観察を行ったクロイワトカゲモドキ (学名 Goniurosaurus kuroiwae 英名: Japanese cave gecko )のご紹介です。

1,クロイワトカゲモドキ琉球ハーピング

クロイワトカゲモドキ (学名 Goniurosaurus kuroiwae 英名: Japanese cave gecko )

クロイワトカゲモドキは、ヤモリの仲間なのですが、指の裏に鱗は無く壁に張り付くことができないうえに、瞼を持っているため瞬きができるなど、原始的なヤモリの特徴を持っています。沖縄本島北部の個体は赤い目にバンド模様が特徴的ですが、住む地域や島によって様々な種や亜種の色や模様が存在しています。

2,クロイワトカゲモドキ琉球ハーピング

近縁種の中国やベトナム北部に生息するハイナントカゲモドキ(学名:Goniurosaurus lichtenfeldi hainanensis)やペットとして人気の通称レオパ:ヒョウモントカゲモドキ(学名:Eublepharis macularius)とは違い、国内希少種に指定されていて触る事さえ禁止されています。

3,クロイワトカゲモドキ

小さな岩の上で小さな昆虫類などの獲物を待ち伏せする姿は真剣そのものです。 この個体は、野外では珍しい完全尾の個体でした。

4,クロイワトカゲモドキ(再生尾)

こちらの個体は、自切をして少し経った頃でしょうか。一度尾を自切するともう骨は生えてこないため、姿や形は全く違う尻尾が生えてきます。また、トカゲモドキの仲間は、尾に栄養をため込むことができます。その為、尾を切り離すことは栄養を貯めておいたものを捨てることにもなり、再生にかなりの体力を要します。天敵から身を守るために切り離したことが原因で栄養不足になり、餓死してしまう固体もいるようです。

5,リュウジンオオムカデ1

クロイワトカゲモドキが自切する理由として、大きな割合を占めるのがムカデの仲間です。その中でも最大級のリュウジンオオムカデ(学名:Scolopendra alcyona)に遭遇しました。正式に新種として認められて間もない種で、以前はヤンバルオオムカデと呼ばれていました。

6,リュウジンオオムカデ2

この個体は、優に 30cm を超えており、静かな夜のジャングルにリュウジンオオムカデの足音が響いていました。

7,クロイワトカゲモドキ

一見すると目立ちそうな、クロイワトカゲモドキですが沖縄北部の山の中では完全に同化していてなかなか見つけられません

8,クロイワトカゲモドキ

流木の上で、エサを待ち伏せしています。

9,クロイワトカゲモドキ

丸々と太ったこの個体。再生尾がとても丸々していて特徴的です。この個体は、他の個体から 1 時間ほど移動した地点で観察しました。クロイワトカゲモドキは移動能力も低く、限られた環境でしか生息していないため、遺伝子の細分化が進みやすく、それくらいの移動でも模様が全く違うことに驚かされます。

今回は幸運にも、たくさんの個体を観察できました。夜のジャングルの散策は、昼間には隠れている生き物たちも活発になります。とても面白いのですが、ホンハブやマイマイの仲間など沢山の有毒生物にも遭遇しますので正しい知識の下で観察を行うのが大切です。
来年の春には、他の地域にトカゲモドキを見に行くツアーも企画中です!

Photo & text : 姫野航 Wataru HIMENO
Observation : End of SEP, Okinawa Island “Forest of Yanbaru”