月別アーカイブ: 2017年4月

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (1)

「働く鳥」、キルギスのイヌワシGolden Eagleです。

キルギスで一度は減った鷹匠ですが、昨今はツーリズムの発展によりリバイバルし、50人ほどに増えているとのこと。キルギスの旅の途中、その”Eagle Hunting Show” を見る機会がありました。

私たちが合った鷹匠はタルガル・ベクさん39歳。タルガル・ベクさんは8歳のころから鷹を扱い始めたベテランです。この時も10歳の子供も一緒に来ており、この子も鷹匠になるべく教育を受けていました。

今回鷹狩りを見せてくれたのはイヌワシ Golden Eagle 1 0歳のメスで名前はトゥマラ。繁殖させているのではなく野生のヒナを巣からつれてくるとのこと。彼の話によると、体の大きなメスのヒナを家につれて帰り、一緒に暮らして育て、訓練します。イヌワシは飼育環境化では40年ほど生きるそうで、通常は20歳位まで鷹狩りに使い、その後は自然に戻すのだそうです。

夏のツーリストシーズンの間は一日に1~2回、観光客向けのショーをし、冬は本当の鷹狩りで狐を捕まえるのだと。
タルガル・ベクさんは、鷹狩りで捕まえる狐は1週間に1匹、銃で一度に何匹も殺す狐狩りをすることに反対をしていました。

鷹匠と道中で待ち合わせをして、車でEagle Hunting Showのできる場所へと案内されます。そして、トゥマラの登場。後部座席にいました。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (2)

猛々しく登場したイヌワシのトゥマラ。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (3)
トゥマラはこの鷹匠にしかなつかないのだそうです。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (8)
トゥマラをつれて見晴らしのいいところへ。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (6)
トゥマラが飛びます。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (5)
「ショータイム」といってウサギを連れてきたオヤジ。「え???」

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (11)

トゥマラとタルガル・ベクさん。ウサギを見ています。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (7)

ウサギ、ピンチ。本物のウサギを捕まえるショーとは知りませんでした。ウサギ、逃げて!

ツーリスト・シーズンの夏、トゥマラは本日2回目のショーであまり乗り気でなく、ウサギを仕留めることなく終わりました。私はほっとしたのですが・・・

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (9)

ウサギは捕まえなかったけど、ご褒美のお肉をもらいます。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (10)

仕上げにくちばしを研ぎます。

キルギスの鷹匠 Eagle Hunting Show Kyrgyz (4)

仲のいいイヌワシのトゥマラと鷹匠タルガル・ベクさんでした!

Photo & Text :Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Aug 2014, Kyrgyz

Special Thanks to Mr. Targal Bek & his family

 

ユキヒョウのローリー<冬> -2(パキスタン)

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (34)

ナルタル谷に移動したユキヒョウのローリー Lolly です。昨日に引き続き、朝からローリーの施設へといって見ました。(この記事のユキヒョウの写真は野性の状態のものではありません)

冬のナルタル パキスタン (2)

スキー場付近でジープを止め、ここから歩きます。地元の人に、ローリーはどうしてクンジェラーブ国立公園ではなくナルタルに来ることになったのか聞いてみました。「はっきりとはわからないけど、ナルタルには軍の施設があり、軍の高官たちが見やすいようにここにしたんじゃないの?」と。確かにローリーの柵のところには、観光客、そして軍人さんの姿も。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (11)

ローリーの施設に到着すると、ローリーは朝から歩いていました。柵のふちをくるくると歩いています。施設のスタッフが言うには、肉を食べた後はこうやって歩くんですよ・・と。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (26)

ずっと観察しているとローリーの通り道がわかり、そこで待っていると正面からやってきてくれます。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (28)

後姿も。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (21)

前足の肉球

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (22)

後ろ足の肉球

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (18)

ローリーは本当にきれいな顔をしていると、思います。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (19)

・・・尻尾!

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (48)

今日はとてもアクティブで色んな姿を見せてくれたローリー。16時に肉をもらいました。気温が低いのでお肉はカチカチでしたが骨ごと噛み砕いていました。

そして食後のお手入れ・・・暗くなるまでローリーを見ていました。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb2017, Captive condition at Naltal Valley, Pakistan

Reference : Local staff of SLF

ユキヒョウのローリー<冬> -1(パキスタン)

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (32)

パキスタンのユキヒョウ「ローリー Lolly」の話です。(この記事のユキヒョウの写真は野性の状態のものではありません)

前に一度ご紹介したユキヒョウのローリーが、2016年の冬にスストのチェックポストからナルタル谷へと移動しました。より大きな施設に移動したそうですが、クンジェラーブ国立公園の環境とは異なる場所への移動です。

初めて2月の北部パキスタンへ。フンザ付近から始まる高峰群は雪をかぶってとても美しいものでした。そしてナルタル谷へ。

冬のナルタル パキスタン (1)

ナルタルは豪雪地帯で、スキー場があることでも知られています。ギルギットから近いのですが4WDで行かなくてはなりません。

冬のナルタル パキスタン (4)

ナルタルに到着です。さっそくローリーのいるところへ行ってみました。スキー場側へ行き、そこから雪の山道を歩いて10分ほどの山の斜面に施設がありました。

ローリーがいません。番をしている人に聞いたところ、最近までナルタルのさらに奥の施設にいたけど雪が深くなり、通って肉をあげるのが大変になったので村に近いこの場所へ移したとのこと。この新居では雪のくぼみに入り込んで寝ているので今は見えないので待ちなさい、と。

雪のくぼみからローリーが顔を出しました。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (2)

ローリー、もう4歳くらいのはず。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (46)

起きて歩き始めました。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (39)

すぐに後ろを向いて逆方向に歩き始めました。追いかけて柵の周りを歩くも、雪が深いし山の斜面なので大変です。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (5)

ようやくローリーが見えるところに到着。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (6)

頭、ぷるぷる。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (7)

つめとぎ。

ユキヒョウのローリー Snow Leopard Lolly Pakistan (14)

新雪の上を歩くローリー。ユキヒョウの後姿、・・たまりません。

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb 2017, Captive condition at Naltar Valley, Pakistan

Reference : Local staff of SLF at Naltar Valley

開放されたユキヒョウ、山へ帰る(クンジュラブ国立公園、パキスタン)

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (6)

2017年2月下旬、パキスタン北部の村ミズガルで家畜を襲ったユキヒョウが捕らえられました。家畜小屋に入り込みヤギ・ヒツジを殺した上、家畜小屋から出れなくなっていたところを捕獲したとのこと。

村人は、ユキヒョウを保護しなくてはならないことは理解するが、行政への「殺された家畜の補償」をもとめた話し合いがもたれ、捕獲されてから3日目に山へ帰されることになりました。

このユキヒョウはミズガルの村近くで2頭の子どもを連れている姿が目撃されているメスのユキヒョウでした。ユキヒョウは捕獲されたミズガルではなく、クンジュラブ国立公園へ運んできて放すことになりました。

ユキヒョウがミズガルで捕獲された話はすぐにニュースになりましたが、ミズガルは中国との国境に近いため、2017年現在外国人が行けない場所。偶然にもクジュラブ国立公園のデーにあるスタッフ小屋にいたところ、このユキヒョウが連れてこられました。

このユキヒョウを放す瞬間を見ようとテレビ局、政府関係者が集まり、車列を組んで移動です。デーから少しいった場所の山の斜面で放すことになりました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (2)

檻が開けられても、ユキヒョウはすぐには出てきませんでした。出てこないので、その場にいたパキスタン人が「ローリー、ローリー」と呼びます。「ローリー」は2016年の秋までスストのチェックポストで飼われていたユキヒョウのこと。今はナルタルに行ってしまいましたが、クンジュラブ国立公園の人たちはユキヒョウを見ると「ローリー」と呼ばずにはいられないようです。

ユキヒョウが檻から顔を出して、最初にしたことは、雪を食べたこと。のどが渇ききっていたのでしょう。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (3)

ひとしきり雪を食べるとようやく前を見ました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (4)

そしてあたりを見ます。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (5)

ゆっくりと檻から出てきました。この瞬間、関係者より拍手が起こりました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (7)

自由になったミズガルのユキヒョウ

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (9)

3日間の拘束で毛並みが乱れているし、家畜の血が体についたりして汚れていました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (10)

立ち止まっては雪を食べます。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (11)

こちらのほうを見ました。弱っているのか、動きはゆっくり。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (12)

ひとしきり雪を食べると茂みの中へ入っていきました。まだこちらのほうを見ています。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (13)

岩の上に乗って休憩。ものすごいカモフラージュです。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (14)

しばらくすると、ふたたび山を登り始めました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (15)

開放されたものですが、野生のユキヒョウが歩いている姿を、初めて見ました。

ミズガルのユキヒョウ パキスタン free a Snow Leopard from a cage Pakistan (17)

そしてまた座りました。対岸の山の斜面を見ています。そこにはアイベックスの群れがいました。

その後、このユキヒョウはじっとしたままでした。私たちも、このユキヒョウが無事にミズガルの2頭の子どものもとに戻れることを願い、その場を後にしました。

翌日、スタッフが最後にユキヒョウがいた付近を見に行きましたがもうその姿はありませんでした。そして開放してから3日後、このユキヒョウが2頭の子どもと一緒にいるのがミズガルで目撃されたと、国立公園のスタッフから電話がありました。

後日談:このユキヒョウはその後再び、ミズガルの家畜を襲ったため村人により殺されました。

 

Photo & Text : Mariko SAWADA 澤田真理子

Observation : Feb 2017, Khunjerab National Park, Pakistan

Reference : Mr.Sultan Gohar -KNP(Khunjerab National Park), Mr.Falman Razah -KVO ( Khunjerab Villager Organization), Wildlife Department of Pakistan