196 ライオン Lion

アフリカで人を最も殺している哺乳類はカバだ。カバが臆病でパニックになりやすく、しかも体重3tもありながら時速60kmで走ることができるという。3トントラックに時速60kmにてぶつかられた衝撃をはいくらライオンでも無傷ではなく、カバがライオンの食事のメニューになることはほとんどない。
しかし、今回行ったルアハ国立公園のロッジの近くのライオンの群れ(プライド)はこのところカバばかり襲っているという。ルアハに到着した日の朝にまた1頭の大きな雄のカバが犠牲となった。その死体は喉ではなく頭蓋骨の上の方が噛まれて損傷し、頭蓋骨をかみ砕いて殺すジャガーのような狩りの仕方であった。背中に飛び乗り、噛みくだく急所をそのライオンのプライドは覚えたのだろう。そのライオンの群れの構成を見て、なぜその群れがカバを襲うようになったのか想像できた。
ライオンといえばメスが狩ると思われたりしている。また2~3頭の雄とたくさんのメスの群れとも思われていることが多い。でもそれは必ずしも正しいとはいえない。ライオンの雄は体重が重くメスより足は速くない。そのためトピ、ハーティビースト、ヌー、インパラといった足の速い動物ならばメスの方が狩りに適している。しかし、バッファローなどの大きく強い動物ならば力のある雄の方が狩りにむいている。
またライオンの雄は生まれた群れを離れ、狩りをしながら生き延び、成長したら他の群れの雄を追い出して新しいプライドを作る。その群れをはなれるとき、同年代の雄は一緒に出て行くことが多い。たとえば5匹の子供が生まれ、その5匹が全て雄である確率は2の5乗分の1の確率しかなく、それが全て群れを離れるまで死なずに生きられる可能性を考えればさらに少なくなる。しかし、それでも時に5匹以上の雄のグループができ、その雄の群れが3頭のメスしかいないプライドを乗っ取ったとき、ライオンでも逆ハーレム型の群れができる。つまり、カバを襲っていた群れはまだ鬣が生えきらぬ同年代の5頭の雄と雌3頭の群れで、おそらく乗っ取ったのが最近でまだ子供はいない群れだった。
雄5頭ではインパラの大きさの獲物では十分にお腹を満たすことができないだろう。インパラはたくさんいる場所であったが、それでは足らず、バッファローが水不足で移動してしまい大きな獲物がなくなったとき、オスライオン5頭という戦力でカバを襲い、そしてカバを殺す方法を覚えたのではないだろうか?そして4夜でカバは骨と皮だけになり、ハゲワシの食べ物となった。
久しぶりに日本の出発も帰国もほとんど満席の飛行機だった。

 

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15 ライオン 母子 Lion

生後1か月に満たないライオンの赤ちゃんと母親。ライオンの母親は単独になって赤ちゃんを産み、生後一か月くらいで群れに連れて戻るという。群れに戻ったばかりのころ。母親は他の個体が赤ちゃんに近づかないように神経質になっていた。オカバンゴにて。

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