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配給:ハーク
欲望の翼 デジタルリマスター版
監督:ウォン・カーウァイ
出演:レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウほか
日本公開:2018年
たかが1分、されど1分・・・人生の流れを変える濃密なひと時
1960年、香港。ヨディはサッカー場で売り子をしていたスーに声をかけ、ふたりは恋に落ちる。

しかしヨディは、自分が実の母親を知らないことに複雑な思いを抱えていた。スーと別れたヨディは、ナイトクラブでダンサーとして働くミミと一夜を共にする。部屋を出たミミはヨディの親友サブと出くわし、サブは彼女に一目ぼれする。夜間巡回中の警官タイドはスーに思いを寄せるが、スーはヨディのことを忘れられずにいた。そんなある日、ヨディは義母のレベッカから、実母がフィリピンにいることを知らされる・・・

ウォン・カーウァイ監督の作品は、『ブエノスアイレス』『花様年華』を既に紹介しましたが、どれもこのコラムのテーマである「旅」と相性が良い物語です。映画は時間芸術と言われることがありますが、ウォン・カーウァイ監督の表現は特に時間に重きを置いており、そのため内容に関わらず「旅」の雰囲気が出るのでしょう。

「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」と、冒頭ヨディはスーに言い、時計が画面に大きく映し出されます。
あっという間の1分。地獄のように長い1分。時間の伸び縮みは、映画の中だけでなく私たちの日常にも存在します。原題の『阿飛正傳』は「チンピラの伝記」というような意味ですが、1960年4月16日の1分は、主人公のチンピラ・ヨディの体内で刻まれる時計の動力となります。

「脚のない鳥がいるらしい。脚のない鳥は飛び続け、疲れたら風の中で眠り、そして生涯で唯一度地上に降りる。それが最後の時」。アメリカの劇作家テネシー・ウィリアムズの著作からの引用もまた、時間の流れが強く意識されています。
動力を失った時計は止まり、時は刻まれなくなりますが、時計自身は動力の源泉や時を刻みはじめた瞬間を、最後の最後まで覚えているのでしょう。そうした無常さを讃えるようなタンゴのメロディーも、本作をぜひ劇場で体験していただきたいポイントのひとつです。

95分の間、映画という翼を得ることができる『欲望の翼』。2月3日(土)よりBunkamura ル・シネマにてロードショーほか全国順次公開。その他詳細は公式ホームページをご覧ください。








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