ブエノスアイレス

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アルゼンチン

ブエノスアイレス

 

春光乍洩

監督:ウォン・カーウァイ
出演:レスリー・チャン、トニー・レオンほか
日本公開:1997年

2017.5.17

旅先で見る夢のような・・・香港映画界の鬼才が捉えた幻想的なアルゼンチン

舞台は南米・アルゼンチン。旅の途中で知り合ったゲイのカップル・ウィンとファイは、関係をやり直すためにイグアス滝へ向かいます。しかし、道に迷って言い争いになり、再び仲違いしてしまいます。その喧嘩からしばらく経ったある日、ブエノスアイレスでタンゴ・バーでドアマンをしていたファイの部屋に、怪我をしたウィンが現れて・・・・・・

金城武が出演して日本でも大ヒットを記録した『恋する惑星』の監督であるウォン・カーワイは、台本を用意しない、その場でスタッフとキャストに撮影内容を告げて即座に撮影する、即興劇を好む撮影スタイルで知られています。物語は断片的で、時に脈絡がないと言われることもあります。しかし、独特の色使いやボイスオーバーが醸し出す詩的なイメージや、思いもよらないイメージとイメージの化学反応によって、世界中の観客を虜にしてきました。

旅先では時々不可解な夢を見ることがあります(おそらく私だけではないはずです)。無意識下にあった記憶が掘り起こされて、忘れかけていた人や物が現れてドキリとすることがあります。そのように、登場人物たちの無意識下の動きが意外なカット同士をつなぎあわせているような、不思議な雰囲気が映画全体に漂っています。

しっかりとしたストーリー、計算されつくされたカメラワークや照明、場面にピッタリな音楽・・・・・・そういった要素ももちろん映画の醍醐味ですが、ウォン・カーワイ監督は整合性よりも感情を、調和よりも不調和を観察し、心で掴んだものを美しいイメージに変身させる監督です。劇中に複数回登場する大迫力の観光名所・イグアスの滝は、監督のそうしたスタイルにもってこいのロケ地です。

スタッフやサウンドトラックもその変身を支えています。特に有名なのはダイナミックかつ繊細なカメラアングルで知られるクリストファー・ドイル。サウンドトラックはアルゼンチン・タンゴ界のレジェンド、バンドネオン奏者のアストル・ピアソラ、ブラジルの超大物ミュージシャンであるカエターノ・ヴェローゾなど非常に贅沢です。

今までとは違った心持ちで旅をしてみたい方、耽美的なアルゼンチンのイメージを目にしてみたい方にオススメの一作です。

ゆったり巡るイグアスの滝とペルー周遊

大瀑布イグアスの遊覧飛行 ペルーではワイナピチュ登頂と豪華列車乗車も。

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イグアスの滝

アフリカのビクトリアの滝、北アメリカのナイアガラの滝と並んで世界三大瀑布のひとつに数えられる。落ち口から流れ出た水が途中で岩などにぶつかって段を作りながら落下する「段瀑」と呼ばれる種類の滝です。全体の幅は約4キロメートルにも及び、雨量により現れる滝の数が約150から300の間を増減し、刻々と姿を変えます。