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女性の休日
監督:パメラ・ホーガン
出演:ヴィグディス・フィンボガドッティル、グズルン・エルレンズドッティル、アウグスタ・ソルケルスドッティル 他
日本公開:2025年
「きっかけ」は振り返ってわかるもの―アイスランドの歴史を変えた1日
1975年10月24日、北欧アイスランドが「ジェンダー平等先進国」となる大きなきっかけとなった「女性の休日」。この1日の出来事で国は機能不全となり、女性がいないと社会がまわらないことを証明した。
その後、アイスランドは1980年に世界初の民主的選挙による女性大統領が誕生し、16年連続でジェンダーギャップ指数1位(2025年現在、世界経済フォーラム発表。日本は118位)を維持している。
アイスランドが「ジェンダー平等先進国」となる大きなきっかけとなった、知られざる運命の1日を振り返るドキュメンタリー。
アイスランド映画というと、大自然や動物などが題材の作品が多いです。このようなアイスランド社会に関するドキュメンタリーというのは初めてめぐり逢いました。
監督はアメリカ人の女性で、アイスランド旅行中に偶然ガイドブックで「女性の休日」の情報を目にして、当時90%の女性が同時に行動したという事実にインスピレーションを受けたそうです。
本作を観て僕は「きっかけ」というものの大事さを感じました。
ある出来事が起こる時、その出来事自体から時が流れ始めるのではなく、きっかけから流れ始めているではと思います。「家に帰るまでが旅」とよく言われますが、スタート地点のことを言うならば、きっかけからすでに旅は始まっています。でも、きっかけの面白いところというのは、後々振り返ってみないと何がきっかけだったのかわからないことが多いということです。
たとえばインタビューの中で印象的だったエピソードは、「裁縫しない裁縫クラブ」というものが存在していたことです。裁縫は口実で、集まってあれこれと話し合うことがメインだったといいます。その多様な話題は大半が「男性と対等に扱われないこと」ということに紐づいていて、そこに時間の渦のようなものが起きた。それが1970年代、ネットもSNSも無い時代に、女性たちを一致団結して「休み」という形をとったストライキを起こすきっかけの一つになったのでしょう。
当事者たちが、まるで昨日の出来事かのように「歴史を変えた1日」のきっかけを生き生きとした言葉で振り返る『女性の休日』は、10月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次上映。その他詳細は公式HPでご確認ください。