初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【後編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月14日(火) 4日目 曇りのち晴れ

曇りなのか、霧なのか微妙な天気だが時間通りシャチをメインに観察する船に乗船しました。出航すると案内役のスタッフのアナウンスで「ミンククジラを探しに行きます」という事でその海域に移動します。確かにミンククジラは出るのですが相変わらず「背びれがちょっぴり」見えるだけですぐ隠れてしまう。シャチのようにゆっくりと堪能させてくれないのがとても歯がゆい。その後は船3艘でシャチを探しますが見つかりません・・・。

ハシボソミズナギドリの大群も見つからず、まばらにウトウとフルマカモメが飛んでいるだけで久々の「知床海上砂漠」を味わう羽目に。とはいえ生き物相手だから仕方がないことです。時間になったので船が帰港しようと走り出すと、どこからともなくフルマカモメの大群が、船が巻き上げる波に乗るようについてきました!大慌てで2階にいる参加者を呼びに行きしっかりと撮影をしてもらうことができました!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまった!

フルマカモメ
フルマカモメ

午後はすっきりと晴れたので知床峠にギンザンマシコを狙いに行きました。最近あまり出てないような噂を聞いていたので「出るだけでもラッキーかな」と思って、余裕をぶっこいて絶景の中でみなさんとおしゃべりしながらお弁当を食べていると、ドライバーさんが私を呼ぶ?「戸塚さん、これマシコ?」と指さす先に・・・ハイマツの茂みに真赤なオスが、それも超近い!すぐにみんなを呼ぶが、撮れる場所は1ヶ所のみ。ワタワタしてるうちに上に移動。これまた近いが胸から上しか見えない。そうこうするうち離れた場所へ移動して、ハイマツのてっぺんでしばらくとまってくれたが、ハイマツの下に落下したのちそれっきり消えてしまった・・・残念。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

15時30分に切り上げ、帰り際に羅臼ビジターセンター寄ってから宿へ。昨日同様、夕食まで休憩をしました。夕食後はシマフクロウ・リベンジ撮影会。昨日同様に19時50分ごろ1羽が出現。20時50分ごろ1羽が来たのち、知らぬ間にもう1羽が来ていてペアでの撮影もできた。そしてこれまた昨日同様23時まで出現なしで終了となりました。

シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

6月15日(水) 5日目

6時50分いきなり電話で起こされると、今日乗るシャチクルーズ船の会社だった。「今日は沖合の波が高いので欠航となりました」と言われ、唖然とする。快晴の超いい天気なのに・・・まぁ仕方ない。朝食時にみなさんに事情を説明して、ギンザンマシコ・リベンジ撮影会に切り替えました。昨日見た場所を重点的に探しますが見当たりません。ぶらぶらしながら探していると少し離れたところにカメラマンの群れが?しばしそこに集まるカメラマンの皆さんと同じ方向を見ていると・・・赤いオスが出た!すぐに参加者を呼びに行き、そこで待機。その後は結局、私が見た位置よりも近くには出なかったが4、5回出てくれたので、撮影結果は微妙だが、その赤い姿はしっかりと確認ができたでしょう。

一旦みなさんから離れるので説明をして、私だけ電話の電波が繋がるピンポイントへ移動しました。待っているのは午後のクマ・クルーズの船長からの連絡です。15分も待ったころ船長から電話がかかり「出るよ」の言葉に大急ぎで下山してお弁当を買い、車内で食べながら指定された港へ向かいました。

小舟でのクルーズなのでクマが出れば結構近くまで寄ることができので、初めに出た若いクマはかなり近くで撮影ができました。その後も次々とクマたちに出会うことができ、岬の先端では1頭の子連れのクマと2頭の子連れのクマも撮ることができました。それにしてもみなさんには岬の先端なんて滅多に来ることなんてできないので、これも超ラッキーなんだよと説明をする。

ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ

岬まで来てしまったため、ちょっと時間も押してしまったので帰りは速度を上げて港に向かいます。なのでクマがいても寄ることはないかなと思っていましたが、途中で船長が「2頭いる」と若い2頭の兄弟と思われるクマを見つけ、撮影をさせてくれました。この日出会えたクマは合計9頭と、私的には過去最高の遭遇率でした。ちょっぴり時間をオーバーしてしまったが、船長の計らいで有意義なクルーズになりました。

ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ

今日の宿は斜里なので、移動にちょっと時間がかかるためどこにも寄らず帰るつもりが、出発してすぐに仔キツネを見つけてしまったので・・・撮影会開始。これがまた愛嬌のある個体で外に出て撮影しても逃げないし、一人遊びやポージングまでしてくれるので撮影時間が長くなるのは致し方なく、仔キツネが番屋の床下に消えるまでみなさんしっかりと楽しんでいただきました。

キタキツネ
キタキツネ

ドライバーさんから内陸の根北峠と知床峠どちらで行きますか?と聞かれたので天気もいいし、夕景がきれいな知床峠経由でお願いした。クマにもちょっぴり期待しましたが遭遇もなく、ほぼ時間通り無事宿に到着しました。

6月16日(木) 6日目 小雨のち晴れ

とうとう最終日、雨が降っていましたが、出発と同時に小雨になり止みました。小清水原生花園で小鳥を狙う前に、道路の反対側の湯沸湖湖畔に放牧してある馬たちがいるので、そちらを撮影してもらうことにしました。野生動物ではないのですぐ撮影を切り上げるかなと思ったのですが、結構みなさん必死に撮影しているので堪能するまで楽しんでもらいました。小鳥たちは気温が低いせいかあまり出てきません。しかし気温が上がりだすと、あちこちから虫の鳴き声のようなマキノセンニュウのさえずりが聞こえだします。センニュウ類はシマセンニュウ以外は「声はすれども姿は見えず」でストレスが溜まります。(笑)今年は寒いせいか花の咲きも遅くイマイチでしだが、それでもクロユリは見ることができました。

クロユリ
クロユリ

10時を過ぎたので、このツアーの最終ポイントへ移動します。ここでは湖畔の道を散策しながら生き物を探します。カワセミ、コチドリ、キバシリを確認撮影できたのは良かった。キツツキ類にも期待しましたが、時間的に厳しい(早朝が一番出る確率が高い)せいもあり、期待したクマゲラ・コアカゲラは見られずに残念でした。雨も上がり晴れてくると暑いくらいです。空港で荷物のパッキングもいいのですが、晴れているし広い駐車場でのんびりとパッキングしてもらうことにしました。荷物を積み込み、予定時間ぴったりに空港へピックアップをして無事終了となりました。そして私だけ中標津空港へ送ってもらうことになっていたので、車で走り出すと雨が降りはじめました!悪い天気ながらそれなりに今回の参加者の皆さんは当たりを引いていることを実感することになりました。
参加されたみなさま、5泊6日という長い時間本当にお疲れさまでした!

オオジュリン
オオジュリン
ノゴマ
ノゴマ
ノビタキ
ノビタキ
アマツバメ
アマツバメ

撮れた鳥
ウミウ・ヒメウ・チシマウガラス・アオサギ・フルマカモメ・ハシボソミズナギドリ・タンチョウ・カッコウ・アマツバメ・コチドリ・オオジシギ・オオセグロカモメ・ウミガラス・ケイマフリ・ウトウ・エトピリカ・ツノメドリ・オジロワシ・シマフクロウ・キバシリ・アカゲラ・ハシブトガラ・シジュウカラ・シマセンニュウ・コヨシキリ・コムクドリ・ノゴマ・ノビタキ・ハクセキレイ・カワラヒワ・ベニマシコ・ギンザンマシコ・アオジ・オオジュリン・コムクドリ

見れた鳥
ヒドリガモ・マガモ・スズガモ・ツツドリ・ウミネコ・トウゾクカモメ・トビ・カワセミ・クマゲラ(食痕)・モズ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヤマガラ・ヒバリ・ツバメ・イワツバメ・ヒヨドリ・シロハラゴジュウカラ・ムクドリ・スズメ・キセキレイ・ウソ・ホオアカ・カワアイサ・キジバト・ツツドリ

声を聞けた鳥
コマドリ・アカハラ・トラツグミ・ホトトギス・ウグイス・エゾムシクイ・センダイムシクイ・マキノセンニュウ・エゾセンニュウ・オオヨシキリ・キビタキ

他の生き物
ヒグマ(撮)・ラッコ(撮)・ミンククジラ(撮)・エゾシカ(撮)・エゾタヌキ・キタキツネ(撮)・シマリス・ネズミ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員