渡り鳥の楽園・秋の飛島【後編】

Report by 簗川堅治 / 2021年10月22日~24日

 

ツアー2日目
集合前の時間帯に、おばこ前でシラガホオジロ情報が入ってきました。早速、みんな集合し、難なくシラガホオジロ♂を見ることができました。

朝食後は天気が芳しくなく、結局、出発したのは10時過ぎになりました。集合時、昨日見たハイイロオウチュウを確認。今までとは行動が違い、フライング・キャッチを繰り返しながら、どんどん南へ移動していました。そのうち、またこちらへ戻ってきました。昨日同様、じっくり見ることができました。

校庭ではミヤマホオジロやツグミなど、ヘリポートでは多数のカシラダカやヨーロッパビンズイなどを見ました。

今度は最近よく出ているシロハラホオジロのポイントへ。出てはくるのですが、一瞬だったり、草の陰だったりで、よく見ることはできませんでした。また明日のお楽しみです。
3の畑へ移動です。あまり鳥影はありません。その時、ムジセッカの声がしましたので、粘ります。こちらも草の陰で見づらかったものの、なんとか見ることができました。
宿への帰り際、路上で一生懸命採餌するマヒワに遭遇。疲れ果てているのでしょう、我々には見向きもせずに採餌に夢中で足元までやってきました。無事、越冬地まで渡ってほしいと長いつつ、宿へ帰りました。

 

ツアー3日目
最終日。おばこ前周辺でシベリアジュリン情報があったので探します。しかし、確認できませんでした。校庭へ向かいながら、今日も滞在中のハイイロオウチュウを見てから、ヤマヒバリ情報があった中村集落でそれを探します。残念ながら、これも確認できず。校庭の手前で、やたらと小さいカラスが目の前に現れました。コクマルガラスです。幼鳥のようです。昨日の夕方のマヒワのように、我々を気にすることもなく、採餌に夢中です。この個体も疲れ果てている様子でした。

校庭到着です。でも、目ぼしい鳥はいません。ヘリポートや昨日じっくり見られなかったシロハラホオジロを見に行こうと思っていたところ、突然の雨!大木の下で30分ほど雨宿りをしました。この雨宿りで時間がなくなってしまい、結局、シロハラホオジロの場所へは行けませんでした。

最後にもう一度、ヤマヒバリの現場に差し掛かったと同時くらいにヤマヒバリは飛んでいったようでした。なんてこった。諸事情により、ここで解散とし、粘った方々は無事、ヤマヒバリを見ることができたようです。

例年より鳥は少なめでしたが、秋の飛島を楽しむことができたかと思います。大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の楽園・秋の飛島【前編】

Report by 簗川堅治 / 2021年10月22日~24日

 

定期船とびしまは検査のため、代船のきららの初運航日でのスタートとなった22日、無事、出航しました。

まずは、昨日確認され、今朝もいたハイイロオウチュウを狙いました。本来は南の鳥で、中国南部などに生息しています。飛島では2017年の秋以来、2度目の記録のド珍鳥です。しかし、なかなか出てきません。約一時間待ちましたが、現れないので引き上げることとしました。抜けてしまったか?

するとちょうど、すぐ近くでコノドジロムシクイがいることがわかり、草地や樹上で採餌する珍鳥・コノドジロムシクイをじっくり見ることができました。

今度は階段を上がり、「3の畑」へ行きました。今年は島中の柿の実が夏に落ちてしまい、ほとんどなっていません。柿の実がなっていれば色々な鳥が訪れ楽しめるのですが、それも叶いません。わずかに残された柿の実にメジロがきていました。他、畑ではミヤマホオジロ、カシラダカ、ジョウビタキなどを見ることができました。北へ進み、鳥海荘の畑の脇の畑でもわずかに残った柿の実にシロハラやツグミが来ていました。

今度は山グラウンドでニシオジロビタキ情報が出てきましたので向かいます。トイレ休憩を兼ねて、山グラウンドでニシオジロビタキを探すことしばし。独特の「ディッ…ディッ…」という声とともに、ニシオジロビタキの登場です。♀型のようです。地上30cm程度を鳴きながら移動し、餌を探していました。

ヘリポに移動しましたが、芳しくありませんでしたので、校庭に向おうとしたところに、開始時に見られなかったハイイロオウチュウが出ていると情報が入りました。校庭をパスして、急ぎ、現場に向かいました。歩くこと約15分。いました!ド珍鳥・ハイイロオウチュウです。電線に止まっては飛び立つのを繰り返しています。フライング・キャッチをして飛んでいる虫を捕っているようです。全身灰色で目の周りが白く、愛嬌のある顔をしています。長い尾の先端が二股に分かれ、外側に反っているところはオウチュウ類の特徴です。ハイイロオウチュウのお陰で、いい一日の終わりにすることができました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

秋の烏帽子岳と五島福江で
アカハラダカとハチクマの渡りを観る

Report by 吉成才丈 / 2021年9月16日~20日

バーダーにとって、タカの渡り観察は秋の一大イベントですが、九州西部の渡りは特別ですよね。朝鮮半島を南下してくるアカハラダカに続いてハチクマの渡りピークがくるのですが、今回のツアーはその両方を楽しむ目的で、期日を中間的な時期に設定して出かけてきました。

初日は福岡空港に集合し、専用車で烏帽子岳に向かいました。烏帽子岳で渡りの個体をカウントしていた地元の方に聞いたところ、朝方はアカハラダカが1,000羽ほど渡ったらしいのですが、烏帽子岳に渡ってくる方向の対馬の天候が悪く、我々が到着後のアカハラダカの確認はありませんでした。結局この日は、ハチクマやサシバ、チョウゲンボウ、エゾビタキ、コサメビタキなどを観察しただけで終了しました。

烏帽子岳の観察スポット

2日目は迷走台風がかなり接近するということで、福江島に向かう夕方の高速船も欠航。安全確保のため、泣く泣くホテル待機となりました。

3日目の朝には雨も上がり、高速船ではなくフェリーで福江島に渡りました。長崎港の近くではミサゴやハヤブサ、クロハラアジサシなどが出現し、昨日のうっ憤を晴らすように鳥見を楽しみました。少し沖に出てトビウオが飛び出すと、その直後にはカツオドリも出現。しばらくはトビウオを狙って船についてくれたので、バッチリ全員で楽しめました。

カツオドリ

福江島到着後、午後の早い時間に大瀬崎に到着。ハチクマがパラパラと出現しましたが、夕方になると近くを旋回したりで大興奮。ハチクマ観察のウォーミングアップにちょうどよかったですね。

4日目は薄暗いうちに大瀬崎に到着。先に朝食を済ませようと思いましたが、サンショウクイやハチクマ、ハリオアマツバメなどが続々と出現。ハチクマは海上などの低い位置から浮上して接近、ハリオアマツバメは羽音が聞こえるほど近くを飛翔、サンショウクイは枯れ枝にとまるなど、右に左に、朝食を忘れて盛り上がりました。

大瀬山周辺の朝焼け風景
海上を浮上してくるハチクマ
ハチクマ
サンショウクイ

早朝の賑わいが収まったと思ったら、烏帽子岳で見逃したアカハラダカの大きな群れが出現しました。その数なんと1,300羽。打ち上げ花火が上がったように、上空の大きな丸い塊の中を、アカハラダカがうじゃうじゃと旋回していました。この前日には烏帽子岳でも4,000羽以上が飛翔したようですが、関東なら1羽でただけで大騒ぎするアカハラダカですからね。皆さんも、はるばる遠くから訪れた甲斐があったと感じてくれたはずです。

アカハラダカの大群
アカハラダカ

午後はタカも高く飛び出したので、大瀬崎は切り上げて島内を巡りました。耕作地や河川、池では、台風通過で運ばれたクロハラアジサシやハジロクロハラアジサシを各地で確認しました。一昨日の情報だと100羽近くのヌマアジサシ類がまとめていたようで。この日は電線にとまる様子も見ることができました。他に海岸では、セイタカシギやオオソリハシシギ、ソリハシシギ、トウネン、オオメダイチドリ、メダイチドリ、シロチドリなど、耕作地ではツメナガセキレイやセッカなどを確認しました。

クロハラアジサシ

最終日の5日目も、薄暗いうちに大瀬崎に到着して観察を開始。昨日同様に近くを飛翔するハチクマを堪能しつつ、ハヤブサやブッポウソウ、コムクドリ、イカル、サンショウクイなども観察。この日も朝食のお弁当を食べる間がないほど、早い時間から盛り上がりましたね。

ハチクマの群れ
間近に出現したハチクマ幼鳥
ブッポウソウ

この日は飛行機の便に合わせて11時過ぎまで観察し、福江島での鳥見は終了となりました。今回は台風の影響も受けましたが、終わってみれば、たくさんのハチクマやアカハラダカに出会うことができました。撮影をされた方は、きっと素晴らしいカットがたくさんあったはずです。

秋のタカ渡り観察は台風に遭遇することもありますが、そんなリスクを忘れるほどの魅力があります。タカの識別ができない初心者の方も遠慮せず、ぜひ、こうした歳時記的な鳥見を楽しんで頂きたいと思います。

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。