渡り鳥の楽園・秋の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年10月28日~30日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今秋は……?

 

1日目。まずはとるものもとりあえず、26日から滞在中の珍鳥・オガワコマドリを見に学校方面へ向かいます。途中、雨が降り出し、雨宿りしながら現場到着。ところが、アオジやカシラダカ、ジョウビタキなどは出てくるものの、待てど暮らせど、オガワコマドリが出てきません。朝はいたので、まだいるはずです。それもそのはず、上空をトビやハイタカがちょくちょく飛んでいます。これでは警戒して出てきません。やっとこれらがいなくなり、またしばし待ったところに、ようやくオガワコマドリ登場!気の済むまでじっくりと観察撮影しました。

オガワコマドリ(撮影:平野様)
オガワコマドリ(撮影:平野様)

 

観察風景
観察風景

 

オガワコマドリを堪能したら、雨が降ってきたので雨宿りです。その間、ハイタカが現れ止まってくれました。

ハイタカ(撮影:簗川)
ハイタカ

 

移動し、道路際に出てくるルリビタキやクロジなどを見ながら、次のポイントで待機。

クロジ(撮影:簗川)
クロジ

カキにやってくる鳥待ちです。時間の都合であまり待機できませんでしたが、メジロとマミチャジナイを観察。最後は1の畑で珍鳥・オジロビタキを見るため移動中に珍鳥・ムジセッカを確認。動きが早く大変だったものの、無事見れました。そうこうしているうちに時間がなくなり、オジロビタキは少し待った程度では出会えませんでした。

 

2日目。朝食前にオガワコマドリに会いに行きました。果たして、まだ残っているか?途中の道では、昨日に比べて鳥が減っている感じです。現場到着後、ほどなくしてオガワコマドリ登場!まだいてくれました。しきりに餌をとっています。ミヤマホオジロやカシラダカ、アオジも数羽。

アオジとカシラダカ(撮影:平野様)
アオジとカシラダカ(撮影:平野様)

朝食後、スタート時間からまたしても雨が降ってきました。どうもすっきりしない天気です。少し雨宿りをし、出発。やはり鳥は減っています。オジロビタキのいる1の畑で、しばし待ちました。しかし、声もせず。抜けてしまったか?それでもオオムシクイが現れ、楽しむことができました。

オオムシクイ(撮影:簗川)
オオムシクイ

2の畑、マユミに来る鳥待ちです。ジョウビタキの他にルリビタキも来ました。

ルリビタキ(撮影:平野様)
ルリビタキ(撮影:平野様)

ごどいも畑ではコホオアカの声がします。3の畑へ移動し、お昼です。鳥待ちしながらでしたが、成果はイマイチ。土捨て場に移動するも、特に何もいなませんでした。中村の畑ではオオムシクイとキマユムシクイを見ました。どっちがどっちなのか、わからなくなる場面も。

キマユムシクイ(撮影:平野様)
キマユムシクイ(撮影:平野様)
オオムシクイ(撮影:平野様)
オオムシクイ(撮影:平野様)

山グラウンド、しばし休憩し、ドコモの畑の隣の畑に寄り、昨日、マミチャジナイなどが来たカキノキに行きましたが、今日は現れず。何もいない。最後はオガワコマドリに会いに行きましたが、これまたお留守で、この日を終えました。

 

3日目。今朝の朝食前の探鳥は自由行動としました。みなさん、それぞれ行動したようです。ガイド簗川は、とりあえず、オガワコマドリがまだいることを確認しました。

朝食後、出航までの4時間半は、昨日と同じように勝浦港から探鳥しました。昨日、そして一昨日と比べると、鳥は段々と減ってきているようです。アオジ、カシラダカ、ミヤマホオジロがパラパラと出てくる程度。

ミヤマホオジロ(撮影:平野様)
ミヤマホオジロ(撮影:平野様)

1の畑でオジロビタキを探すも現れず。昨日のオオムシクイはまだ同じように採餌していました。

2の畑では、昨日まで観察したはしたものの、遠かったりすぐいなくなったりしてよく観察できなかったコホオアカとムジセッカを中心に畑を回りました。ムジセッカはちょっと距離はあったものの、昨日よりはじっくり観察できました。

ムジセッカ(撮影:平野様)
ムジセッカ(撮影:平野様)

コホオアカは見つからなかったので、今度はマユミの実に来る鳥待ちをしました。ジョウビタキ、そしてルリビタキが時折やってきては、世話しなく動き回り、マユミの実を採餌していました。

ここでちょっと小休止。ベンチで休んでいると、何やら人だかりが。オジロビタキが出ているようです。早速行って、観察。杭に止まっては移動しながら、採餌するかわいい姿を見ることができました。

 

我々も食事をとることとし、ベンチで休憩しながら昼食の時間です。すると、今度は目の前にオジロビタキ!よほどお腹が空いているのか、採餌に余念がありません。じっくりと堪能できました。

オジロビタキ(撮影:平野様)
オジロビタキ(撮影:平野様)

時折小雨が降り、鳥の個体数こそ少なめでしたが、オガワコマドリをはじめ、オジロビタキやムジセッカなど、珍鳥はまずまずの成果の3日間でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の楽園・秋の飛島【後編】

Report by 簗川堅治 / 2021年10月22日~24日

 

ツアー2日目
集合前の時間帯に、おばこ前でシラガホオジロ情報が入ってきました。早速、みんな集合し、難なくシラガホオジロ♂を見ることができました。

朝食後は天気が芳しくなく、結局、出発したのは10時過ぎになりました。集合時、昨日見たハイイロオウチュウを確認。今までとは行動が違い、フライング・キャッチを繰り返しながら、どんどん南へ移動していました。そのうち、またこちらへ戻ってきました。昨日同様、じっくり見ることができました。

校庭ではミヤマホオジロやツグミなど、ヘリポートでは多数のカシラダカやヨーロッパビンズイなどを見ました。

今度は最近よく出ているシロハラホオジロのポイントへ。出てはくるのですが、一瞬だったり、草の陰だったりで、よく見ることはできませんでした。また明日のお楽しみです。
3の畑へ移動です。あまり鳥影はありません。その時、ムジセッカの声がしましたので、粘ります。こちらも草の陰で見づらかったものの、なんとか見ることができました。
宿への帰り際、路上で一生懸命採餌するマヒワに遭遇。疲れ果てているのでしょう、我々には見向きもせずに採餌に夢中で足元までやってきました。無事、越冬地まで渡ってほしいと長いつつ、宿へ帰りました。

 

ツアー3日目
最終日。おばこ前周辺でシベリアジュリン情報があったので探します。しかし、確認できませんでした。校庭へ向かいながら、今日も滞在中のハイイロオウチュウを見てから、ヤマヒバリ情報があった中村集落でそれを探します。残念ながら、これも確認できず。校庭の手前で、やたらと小さいカラスが目の前に現れました。コクマルガラスです。幼鳥のようです。昨日の夕方のマヒワのように、我々を気にすることもなく、採餌に夢中です。この個体も疲れ果てている様子でした。

校庭到着です。でも、目ぼしい鳥はいません。ヘリポートや昨日じっくり見られなかったシロハラホオジロを見に行こうと思っていたところ、突然の雨!大木の下で30分ほど雨宿りをしました。この雨宿りで時間がなくなってしまい、結局、シロハラホオジロの場所へは行けませんでした。

最後にもう一度、ヤマヒバリの現場に差し掛かったと同時くらいにヤマヒバリは飛んでいったようでした。なんてこった。諸事情により、ここで解散とし、粘った方々は無事、ヤマヒバリを見ることができたようです。

例年より鳥は少なめでしたが、秋の飛島を楽しむことができたかと思います。大変お疲れ様でした。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の楽園・秋の飛島【前編】

Report by 簗川堅治 / 2021年10月22日~24日

 

定期船とびしまは検査のため、代船のきららの初運航日でのスタートとなった22日、無事、出航しました。

まずは、昨日確認され、今朝もいたハイイロオウチュウを狙いました。本来は南の鳥で、中国南部などに生息しています。飛島では2017年の秋以来、2度目の記録のド珍鳥です。しかし、なかなか出てきません。約一時間待ちましたが、現れないので引き上げることとしました。抜けてしまったか?

するとちょうど、すぐ近くでコノドジロムシクイがいることがわかり、草地や樹上で採餌する珍鳥・コノドジロムシクイをじっくり見ることができました。

今度は階段を上がり、「3の畑」へ行きました。今年は島中の柿の実が夏に落ちてしまい、ほとんどなっていません。柿の実がなっていれば色々な鳥が訪れ楽しめるのですが、それも叶いません。わずかに残された柿の実にメジロがきていました。他、畑ではミヤマホオジロ、カシラダカ、ジョウビタキなどを見ることができました。北へ進み、鳥海荘の畑の脇の畑でもわずかに残った柿の実にシロハラやツグミが来ていました。

今度は山グラウンドでニシオジロビタキ情報が出てきましたので向かいます。トイレ休憩を兼ねて、山グラウンドでニシオジロビタキを探すことしばし。独特の「ディッ…ディッ…」という声とともに、ニシオジロビタキの登場です。♀型のようです。地上30cm程度を鳴きながら移動し、餌を探していました。

ヘリポに移動しましたが、芳しくありませんでしたので、校庭に向おうとしたところに、開始時に見られなかったハイイロオウチュウが出ていると情報が入りました。校庭をパスして、急ぎ、現場に向かいました。歩くこと約15分。いました!ド珍鳥・ハイイロオウチュウです。電線に止まっては飛び立つのを繰り返しています。フライング・キャッチをして飛んでいる虫を捕っているようです。全身灰色で目の周りが白く、愛嬌のある顔をしています。長い尾の先端が二股に分かれ、外側に反っているところはオウチュウ類の特徴です。ハイイロオウチュウのお陰で、いい一日の終わりにすることができました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!