韓国最大のクロハゲワシ越冬地と越冬する鳥たち【後編】

Report by 戸塚学 / 2024年1月12日~16日

<4日目>

この日は2か所のワシミミズクポイントを巡ります。1ヶ所目は光が悪くなかなか厳しい状況のなか、昨日とは違う参加者がすぐにワシミミズクを発見!凄く見つけにくい場所なのに・・・ガイド失格や(笑)光がイマイチなので一応撮影してもらった後、もう1ヶ所へ一旦行く事にします。こちらはほぼ鉄板な場所なので軽い気持ちだったのに・・・探しても見当たりません。最近この場所はカメラマンがたくさん来て必要以上に近づくのでどこかへ行ってしまった可能性もあります。葦原ではカシラダカ、ミヤマホオジロ、ベニマシコ、ダルマエナガ、カササギを見ることができました。帰り際に参加者が「あの猛禽は?」と指をさすとそこにはクロハゲワシが飛んでいました。もう一度気を取り直してワシミミズクがいた場所へ行くとまだいました!今度は若干光が良くなっていたのでリベンジ撮影を楽しみました。それにしても北風が強くて寒いので北上してきたんだなぁと実感します。

ワシミミズク
ワシミミズク
ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ

この後は夕方に36万羽と言われるトモエガモが集結する場所へ向かいます。ただ時間が早いので干潟で観察と撮影です。ズグロカモメ、ユリカモメ、セグロカモメっぽいのはモンゴルか?ダイシャクシギかホウロクシギも遠く陽炎の中に揺らめいています。干潟の杭にオジロワシとハヤブサもいます。カモ類はマガモとツクシガモは何とか確認できるが他は遠くてわからない。この上流域でトモエガモが集まり乱舞するというので一番いい場所を探すのですが、どうやら対岸に来てしまったようで再び移動です。この時対岸には数名の人しかいなかったのですが現地に来ると道路わきに車がたくさん停まっています。堤防に上がると目の前に広がるトモエガモの大群!これだけでも圧巻なのにこれが頭上で乱舞するなんて想像すると鼻血が出そうだ(笑)。空腹なのか一部のトモエガモたちが河川敷に上がり草を貪り食っているのでそちらも撮影してもらいます。ふと周りを見るとずいぶんと人が集まっているなと思うと・・・パトカーが来て「車をどかせ」とサイレンを鳴らし拡声器で呼びかけるが誰も動きません。恐るべし韓国人(笑)17時まで粘ったのだが、飛ばないの切り上げて移動を始めるとパトカーが2台追加で来ていた!これは来年どうなる事やら。ここ数年の間に韓国でも野鳥カメラマンが爆発的に増えているようで、いずれ日本のようになるのかなと感じさせられました。

トモエガモの大群!
トモエガモの大群!
トモエガモの大群
トモエガモの大群
トモエガモ
トモエガモ

<5日目>

帰国までのギリギリまで撮影を楽しむためクロツラヘラサギの繁殖地へ行くと・・・池が凍結している!そのせいか繁殖用の人工島にクロツラヘラサギが1羽もいない!!!セグロカモメ系が飛んでいる以外、ツクシガモ、ホシハジロ、マガモ、カルガモが見られるだけ。さてどうしたものかと思っていても仕方ないので「ここの葦原にはダルマエナガが多いので探しましょう!」と伝えると小鳥の声がそこら中から近づいてきたと思ったら混群に取り囲まれているではありませんか!アトリ、シメ、コイカル、シロガシラ、キクイタダキ、スズメ、シジュウカラ、エナガ、シマエナガ、ヒガラ、ダルマエナガ!私はパニックになっていて見落としたがヒゲガラまでもいたようです。これがほぼ1時間私たちの周りから動かなかったのだから超ラッキーとしか言いようがない。日本では考えられないが、シマエナガとエナガを同時に見られるなんて!小鳥たちが去ってしまって静かになったので、少々時間は早いのですが心地よい放心状態のまま仁川空港に向かい帰国の途に就きました。

アトリ
アトリ
エナガ
エナガ
シマエナガまで!
シマエナガまで!

参加していただいたみなさまお疲れさまでした、超少人数でゆっくりとした日程と朴さん厳選の食事も堪能できて超ラッキーなツアーになったと思います。

【撮れた鳥&哺乳類】
クロハゲワシ・ワシミミズク・オジロワシ・ノスリ・オオノスリ・ハイイロチュウヒ・オオタカ・ハイタカ・チョウゲンボウ・ヒシクイ・オオヒシクイ・マガン・トモエガモ・ユリカモメ・ズグロカモメ・ドバト・コウライバト・カササギ・ヒガラ・シジュウカラ・エナガ・シマエナガ・シロガシラ・ダルマエナガ・ジョウビタキ・ギンムクドリ・カシラダカ・ミヤマホオジロ・アオジ・コイカル

【見られた鳥&哺乳類】
ハヤブサ・チュウヒ・ツクシガモ・マガモ・ホシハジロ・オナガガモ・カルガモ・カワアイサ・マガモ・カンムリカイツブリ・カワウ・アオサギ・ダイサギ・コサギ・クロツ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡り鳥の楽園・秋の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年10月28日~30日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今秋は……?

 

1日目。まずはとるものもとりあえず、26日から滞在中の珍鳥・オガワコマドリを見に学校方面へ向かいます。途中、雨が降り出し、雨宿りしながら現場到着。ところが、アオジやカシラダカ、ジョウビタキなどは出てくるものの、待てど暮らせど、オガワコマドリが出てきません。朝はいたので、まだいるはずです。それもそのはず、上空をトビやハイタカがちょくちょく飛んでいます。これでは警戒して出てきません。やっとこれらがいなくなり、またしばし待ったところに、ようやくオガワコマドリ登場!気の済むまでじっくりと観察撮影しました。

オガワコマドリ(撮影:平野様)
オガワコマドリ(撮影:平野様)

 

観察風景
観察風景

 

オガワコマドリを堪能したら、雨が降ってきたので雨宿りです。その間、ハイタカが現れ止まってくれました。

ハイタカ(撮影:簗川)
ハイタカ

 

移動し、道路際に出てくるルリビタキやクロジなどを見ながら、次のポイントで待機。

クロジ(撮影:簗川)
クロジ

カキにやってくる鳥待ちです。時間の都合であまり待機できませんでしたが、メジロとマミチャジナイを観察。最後は1の畑で珍鳥・オジロビタキを見るため移動中に珍鳥・ムジセッカを確認。動きが早く大変だったものの、無事見れました。そうこうしているうちに時間がなくなり、オジロビタキは少し待った程度では出会えませんでした。

 

2日目。朝食前にオガワコマドリに会いに行きました。果たして、まだ残っているか?途中の道では、昨日に比べて鳥が減っている感じです。現場到着後、ほどなくしてオガワコマドリ登場!まだいてくれました。しきりに餌をとっています。ミヤマホオジロやカシラダカ、アオジも数羽。

アオジとカシラダカ(撮影:平野様)
アオジとカシラダカ(撮影:平野様)

朝食後、スタート時間からまたしても雨が降ってきました。どうもすっきりしない天気です。少し雨宿りをし、出発。やはり鳥は減っています。オジロビタキのいる1の畑で、しばし待ちました。しかし、声もせず。抜けてしまったか?それでもオオムシクイが現れ、楽しむことができました。

オオムシクイ(撮影:簗川)
オオムシクイ

2の畑、マユミに来る鳥待ちです。ジョウビタキの他にルリビタキも来ました。

ルリビタキ(撮影:平野様)
ルリビタキ(撮影:平野様)

ごどいも畑ではコホオアカの声がします。3の畑へ移動し、お昼です。鳥待ちしながらでしたが、成果はイマイチ。土捨て場に移動するも、特に何もいなませんでした。中村の畑ではオオムシクイとキマユムシクイを見ました。どっちがどっちなのか、わからなくなる場面も。

キマユムシクイ(撮影:平野様)
キマユムシクイ(撮影:平野様)

オオムシクイ(撮影:平野様)
オオムシクイ(撮影:平野様)

山グラウンド、しばし休憩し、ドコモの畑の隣の畑に寄り、昨日、マミチャジナイなどが来たカキノキに行きましたが、今日は現れず。何もいない。最後はオガワコマドリに会いに行きましたが、これまたお留守で、この日を終えました。

 

3日目。今朝の朝食前の探鳥は自由行動としました。みなさん、それぞれ行動したようです。ガイド簗川は、とりあえず、オガワコマドリがまだいることを確認しました。

朝食後、出航までの4時間半は、昨日と同じように勝浦港から探鳥しました。昨日、そして一昨日と比べると、鳥は段々と減ってきているようです。アオジ、カシラダカ、ミヤマホオジロがパラパラと出てくる程度。

ミヤマホオジロ(撮影:平野様)
ミヤマホオジロ(撮影:平野様)

1の畑でオジロビタキを探すも現れず。昨日のオオムシクイはまだ同じように採餌していました。

2の畑では、昨日まで観察したはしたものの、遠かったりすぐいなくなったりしてよく観察できなかったコホオアカとムジセッカを中心に畑を回りました。ムジセッカはちょっと距離はあったものの、昨日よりはじっくり観察できました。

ムジセッカ(撮影:平野様)
ムジセッカ(撮影:平野様)

コホオアカは見つからなかったので、今度はマユミの実に来る鳥待ちをしました。ジョウビタキ、そしてルリビタキが時折やってきては、世話しなく動き回り、マユミの実を採餌していました。

ここでちょっと小休止。ベンチで休んでいると、何やら人だかりが。オジロビタキが出ているようです。早速行って、観察。杭に止まっては移動しながら、採餌するかわいい姿を見ることができました。

 

我々も食事をとることとし、ベンチで休憩しながら昼食の時間です。すると、今度は目の前にオジロビタキ!よほどお腹が空いているのか、採餌に余念がありません。じっくりと堪能できました。

オジロビタキ(撮影:平野様)
オジロビタキ(撮影:平野様)

時折小雨が降り、鳥の個体数こそ少なめでしたが、オガワコマドリをはじめ、オジロビタキやムジセッカなど、珍鳥はまずまずの成果の3日間でした。参加者の皆さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2022年5月14日~16日

 

日本海側の離島は、渡りの時期は鳥、鳥、鳥…色々な鳥が所せましとあちこちで見られるのが特徴です。はてさて、今春は……?

 

1日目。一足早く島に入っていたガイドの簗川ですが、なんて言うことでしょう!島に鳥がいません。珍鳥どころか、普通種もいない有様。本当にほとんどいません。原因は晴天続きなことが考えられます。鳥が島に降りるのは、理屈上は天気が悪い時です。大海原を渡っている時に天気が崩れると、緊急避難的に島に降ります。逆に天気がいいと、島には降りませんし、島にいたものは飛び立っていきます。

 

そんな中でのスタートとなりました。何もいない島内をただただ歩くだけの時間が過ぎていきました。ようやく法木でミヤマホオジロ♂とキビタキ♀を見ました。

ミヤマホオジロ
ミヤマホオジロ(撮影・日下部様)

ヘリポートではチゴハヤブサがあっという間に通り過ぎ、サンショウクイが林縁に出てきました。

サンショウクイ
サンショウクイ

鼻戸崎では夕方恒例のアマツバメの乱舞が観察できました。

アマツバメ
アマツバメ(撮影・大林様)

校庭にも寄りました。ここも鳥がいませんでしたが、桜の木の下に鳥影がありました。アカハラです。

アカハラ
アカハラ(撮影・日下部様)

校庭での探鳥
校庭での探鳥

すると今度は冬鳥のジョウビタキ♂の登場です。

ジョウビタキ
ジョウビタキ(撮影・日下部様)

まだいるとは驚きです。帰り道では中村集落でムギマキのさえずりが聞こえてきましたが、姿は見えず。コシアカツバメの声がすると思ったら、上空を飛ぶ姿を確認しました。手前の電線にコシアカツバメがいて、ツバメと並んでいました。

コシアカツバメ
コシアカツバメ(撮影・大林様)

2日目。早朝、カラスバト狙いで定点です。いつもは30分も待っていれば現れて、そこそこじっくりと見られるのですが、ついてない時はついてないらしく、現れてくれませんでした。続いて校庭へと向かいました。今日もジョウビタキがいました。オオルリのさえずりが聞こえてきたので、辺りを見渡すと、いました。

オオルリ
オオルリ

緑に青がきれいです。続いて「ツィー」と小声で飛び出してきたのはマミチャジナイです。

マミチャジナイ
マミチャジナイ(撮影・日下部様)

さて、この日は1便欠航です。朝食後、ウミネコのコロニーを観察し、孵ったばかりのヒナを確認。

ウミネコのコロニー
ウミネコのコロニー(撮影・日下部様)

お隣の崖には、常連のハヤブサが登場。そのうがパンパンに膨れています。

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・日下部様)

鳥は相変わらずしないので、観光がてらに柏木山に登り、御積島を眺めました。

白瀬沢ダムでは、昼食をとりながらセンダイムシクイとオオルリなどが少し観察できました。マミジロのさえずりも聞こえました。

センダイムシクイ
センダイムシクイ(撮影・大林様)

四谷ダムも鳥影はなく、林道を進んで八幡崎へ。すると、2の畑でアカモズの亜種カラアカモズが出たとの情報が入り、戻って再び2の畑へ。島中のバードウォッチャーが集まったかのように人だかりが!探すことしばし、いました、いました、カラアカモズ!

やや遠いものの、いい所に止まっては地面に降りて、餌をとることを繰り返しています。ようやく鳥を見た感が出てきました(笑)

亜種カラアカモズ
亜種カラアカモズ(撮影・日下部様)

3日目、最終日です。今日も鳥はいません。昨日同様、ウミネコのコロニーとハヤブサを観察。

ウミネコの親子
ウミネコの親子(撮影・大林様)

ハヤブサ
ハヤブサ(撮影・大林様)

風もなく天気もいいので、一路、荒崎へ向かいました。御積島を眺めつつ、名物のカンムリウミスズメを探します。ベタ凪なので好都合です。すると、200m程度は離れているものの、6羽のカンムリウミスズメを確認!うち3羽は少し手前にいます。これはラッキーです。御積島とカンムリウミスズメを見ながら昼食をとり、今回のツアーを終えました。

カンムリウミスズメ
カンムリウミスズメ(撮影・大林様)

 

天気が良すぎて生憎、鳥はいませんでしたが、これも離島の宿命です。次回はきっといい鳥に出会えることを期待しながら、解散しました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!