クマゲラの棲む利尻の森と礼文島・サロベツ湿原【前編】

Report by 今堀魁人 / 2021年5月15日~19日

前日までの天気予報では半分以上が雨予報、そして風も強い予報でどんなツアーになるかとドキドキしながらのツアースタートとなりました。

初日は稚内空港で合流後、サロベツ湿原周辺でバードウォッチングです。まず最初に訪れたのは幌延ビジターセンター、通称「下サロベツ」と呼ばれる場所です。

 

ノビタキ
ノビタキ(オス)

木道を歩くとすぐに出会えたのは、北海道を代表する草原性の夏鳥の一種ノビタキです。営巣の準備をしているようで、オスメスがせわしなく飛び交っています。真っ黒で胸のオレンジ色が目立つオスのノビタキに、一気にテンションが上ります。何度もノビタキに足止めをされながらゆっくり歩いていくと、今後は林から美しい囀りが。ノゴマです。一瞬だけ美しい赤い喉を見せてくれましたがすぐにどこかへ行ってしまいました。また利尻、礼文で出会えることに期待です。

その後はレモンイエローのセキレイ、ツメナガセキレイも姿を現してくれました。最初はかなり遠い距離でしたが、帰り際には目の前の低灌木にとまり、しっかりと爪の長いところまで見せてくれたり、一瞬ですがメスも姿が見れたりと楽しませてくれました。

ツメナガセキレイ
姿を見せてくれたツメナガセキレイ

その後、初日の本命であるサロベツ湿原に向かいます。道中で見られた利尻島の景色は、天から光が差し込み幻想的な風景でした。

利尻島
幻想的な利尻島の風景

サロベツ湿原では、時期が少し早いですがシマアオジが一番の目玉、その他にもオオジシギやチュウヒの観察を狙います。木道を歩き探しますが、この日の気温が低かったせいか鳥の活性が低く、全く姿が見えません。やっと見られたノビタキを利尻島背景で観察します。

ノビタキ
ノビタキ(オス)

シマアオジも渡ってきていないようで観察できませんでしたが、木道が終わる直前に上空から「ジュ~ビヤク!ジュービャク!ブブブブブ!」の音が!オオジシギです。上空で2羽がディスプレイフライトを始めたようで、写真に撮るのは難しかったですが、素敵な求愛行動を観察できました。その後も目の前の湿原をV字飛行する姿が。

チュウヒ
チュウヒ(オス)

チュウヒのオスです。すぐに木の陰に消えていってしまいましたが、サロベツ湿原を代表する草原の鳥たちに出会うことができました。

 

2日目はあいにくの雨ですがフェリーに乗り、一路礼文島へ向かいます。途中の航路ではアカエリヒレアシシギの群れに何度も出会い、中にはハイイロヒレアシシギの綺麗な個体も混ざっていました。

アカエリヒレアシシギ・ハイイロヒレアシシギ
アカエリヒレアシシギとハイイロヒレアシシギ

観察中突如ぴょんぴょんと跳ねる生き物の姿が。写真を撮るとキタオットセイです。合計で15頭以上いたでしょうか。とても楽しませてくれました。

キタオットセイ
キタオットセイ

礼文島に到着後は北部で探していきます。あいにく島の上部は霧の中。海岸線を中心に探します。途中の海岸にはシノリガモやウミアイサが見られ、じっくりと観察することができました。

シノリガモ
シノリガモ

旧礼文空港にはガンの仲間、亜種オオヒシクイが4羽採餌しています。ここからどこまで渡っていくのでしょう。

北部の桜の名所へ行こうと向かう途中には、上空に大きなシルエットが。オジロワシかな?と双眼鏡を覗くと、この時期には珍しいオオワシの若鳥でした。この鳥がこの時期に見られるチャンスがあるのも、サハリンに近い礼文島ならではです。

オオワシ
オオワシの若鳥

その後は霧が濃く鳥が見えないため撤退、花の名所として特に有名な礼文島の高山植物を見るため高山植物センターへ。

カワラヒワ
カワラヒワ

花を見ていると、お客様から「あれヒメウ?」の声が。
ふと上を見ると、何故かマナヅルが飛んでいます。予期しない場所で予期しない鳥に出会ったため、全員が写真も撮ることができず、ただ呆然と眺めていました。

イワツバメ
道中にいたツバメ

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!

立山のライチョウを撮る 5月編

Report by 戸塚学 / 2021年5月15日~16日

眠るオスのライチョウ

3日前から先入りして下見兼自身の撮影をしつつ、微妙な天気予報で晴れなのに晴れなかったりの連続で、やきもきしながら室堂ターミナルでツアー当日11時から待つと1名早く到着して宿に荷物を置いてきたというIさんと合流。今回は珍しく皆さん予定通りの時間に合流です。(大体いつもは1~2時間早く来て周囲をうろうろしてるんですよね(笑))

イワツバメの飛翔

明日から天気が崩れる予報でも、この時間では快晴のいい天気なので屋上でイワツバメの飛翔を30分撮影してもらう。12時30分に宿へ向かって歩き出し、到着後はそのまま食事。ここで簡単な撮影スケジュールとライチョウの行動を説明します。食後は荷物を部屋に置き、施設の説明をしてすぐ撮影開始です。宿から出たところで人が集まっているのを確認。ライチョウのペアがいたので早速撮影してもらったのだが、すぐハイマツに潜ってしまったので他のライチョウを探しに行くことに。

ライチョウのペア
ディスプレイ

今年は4月の時点で雪の量は普通だったのに5月、この時期にしては雪が多い!そのせいかいつもはお立ち台と利用する大岩に上がる個体がいない!それが狙いなので困りものだが。そんなお立ち台を説明しながらライチョウを探すがいない。そこで先ほど見つけた場所に戻るとハイマツに潜って休息するメスを見つけ撮影をしてもらっていると、奥にわずかに移動するオスを発見。進行方向で待つとメスも移動をはじめペアでの撮影がしっかり撮ることができ、みなさんの表情にも余裕が(笑)再びハイマツに潜ってしまったので別の場所へ移動です。

ライチョウのペア
ディスプレイ

ここでもライチョウが出てしまった!いい場所だが突然の霧で真っ白!しばらくすると飛んで行ってしまった。ここらあたりで休憩を予定していたが、反対側でもオスが出て他のオスに対して警戒をしているのか、走り回っている。よく見るとメスもいた。そんな姿を撮影してもらっているともう1羽メスがいることが判明。メス2羽のツーショットまで撮ることができた。これはかなり珍しいシーンなのでしっかりとってもらった。その後メス同士のけんかやオスが1羽のメスに対して追い出し行動をはじめた。さて皆さん撮れたかどうかはわからないがいろんなシーンは堪能ができたはず。霧も濃くなったので一旦宿で休憩。

メスの飛翔
2羽のメス

ここで私的には夕日は無理かなと思っていたが、急に霧がはれたので温かい服を準備してもらいライチョウを探しに行くと、これまたすぐにペアが見つかった。光はいいがロープと岳の支柱が邪魔で苦労する。全然動かないので切り上げて夕日のポイントへ移動しました。

夕焼けの大日岳

ここでは三脚でがっちりと夕日の撮影を予定していたのですが、ものすごい強風でとても三脚を立てられない。(突風で三脚が飛ばされてしまう)そこで手持ちでの撮影をしてもらう。天気の変わり目ということもあったのでしょうが、1年でも数回しか見ることができないほどの夕焼けを寒さに耐えながら大興奮で撮影していただきました。おかげで夕食時間にちょっぴり遅刻(笑)。夜は立山側が曇っていたので星の撮影は中止しましたが、その後晴れたようで。皆さんに声をかけようか悩んだのですが、お疲れのようなのでそのままにしました。

 

2日目は朝5時に雨が降っていれば撮影は中止して6時から朝食。雨の降り具合でそのあとの行動を決めるとしてあった。5時、窓の外は雨が本降りなので撮影は中断。6時に皆さん揃って朝食を摂りました。その後、8時に再度喫茶室に集まっていただき今後の行動を話し合いました。

結果、皆さん帰ると行くことで決まったので荷物をまとめ、降りしきる雨の中出発して脱落者もなく、無事室堂ターミナルに到着。そしてここで解散となりました。

 

4月・5月と1泊2泊でのツアーを各1本ずつ行いましたが、やはり詰め込み過ぎな内容になっていたかな?と感じました。標高が高く酸素が薄いので疲れも平地とは違います。今後は2泊3日とお試し1泊2日を織り交ぜてもいいと感じました。

 

ご参加のみなさま、2日目は大雨&強風で雪の上の歩行と大変でしたが、1日目でがっちりとライチョウと夕日は堪能できたと思います。本当にお疲れさまでした。

残照の立山

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

渡り鳥の楽園・春の飛島

Report by 簗川堅治 / 2021年5月6日~11日

 

出発前の予報では、予定通り初日の7日は出航するものの、帰りの日の9日、そしてその次の10日は欠航の可能性が高いようでしたが、ツアーは予定通り行うこととなりました。

 

まずは初日。この日は全国的に暖かくなる予報で、穏やかな中、スタートしました。宿泊先前には昨日まで珍鳥セグロサバクヒタキ♀がいたのですが、渡っていってしまったようで、その姿はありませんでした。残念!

キビタキ(撮影:樽井一郎様)

お昼をとりながら、ダムサイトでヒタキやムシクイの観察です。早速、キビタキ♂が現れました。

なかなか奥から出てきませんでしたが、最終的には目の前で見ることができました。他、エゾムシクイなども見ることができました。

キマユホオジロ(撮影:樽井一郎様)

続いて3の畑です。コウライウグイス情報がありましたが、現れず。小休憩をしたあと、お花畑と呼ばれる畑へ。道中、現れたのは珍鳥キマユホオジロです。草地にいて、なかなかじっくりと観察撮影できずにいたところ、珍鳥コホオアカも登場。なんと珍鳥2羽並んでの採餌を見ることができました。さすが飛島ならではの光景です。肝心のお花畑は、お目当てのシマノジコはいなくなっていたようです。その後、マミジロキビタキやムギマキ情報があったので立ち寄りましたが、残念ながら見られず。最後は校庭で、コホオアカ、ホオアカ、ノジコなどを見て、この日を終えました。

 

2日目。朝食前に校庭に行きました。風がやや強いです。鳥影はあまりなく、種類も昨日とあまり変わり映えしませんでした。そんな中、寺島の住人、ハヤブサが現れ、小鳥たちは一斉に藪へと消えました。朝食後はカラスバトに挑戦です。とあるポイントで待つことしばし。「グルル……グルル……」と飛翔時に発する独特の鳴き声を出しながら、カラスバトが現れ、枝に止まりました。ちょっと枝被りながらも姿が見えるところに止まってくれ、全員姿を見ることができました。

 

アマツバメとウミネコの営巣地を見たあとは、ハヤブサです。子育て中と思われるハヤブサ。苦労の末、こちらも見ることができました。今度は畑を回ります。しかし、晴れ続きなので鳥影はまばらです。離島の宿命です。ムギマキのさえずりや綺麗なオオルリを確認したくらいでした。お昼になり、ダムサイトで昼食をとりながら、鳥待ちです。ここでも現れる鳥たちは昨日と変わり映えしませんでした。どうにも、うまくいきません。すると、オジロビタキ♂情報が入ったので、現場へ向かいました。

コサメビタキ(撮影:浅井賢治様)

現場到着。複数のコサメビタキを中心に、キビタキ、センダイムシクイ、エゾムシクイなどがフライングキャッチをしている姿がありました。

ムギマキ(撮影:浅井賢治様)

目の前まで飛んできては虫を捕らえ、翻って戻っていきます。軽業です。すると、ムギマキ♂が現れました。しかし、全員ゆっくりと見ることはできず、どこかへ行ってしまいました。また、肝心のオジロビタキ♂も見当たらず。小休止を挟み、山グランドでムギマキを探します。複数いるとの情報です。探し始めて間もなく、まずは1羽目。♀の若い個体のようです。それにしても、止まったと思うとすぐに飛んで、なかなか思うように観察できません。そうこうしているうちに、2羽目、♂の若い個体が出てきました。しかし、これもじっとしてくれません。今度は♂の成鳥が来ました。少なくとも3羽はいたようで、なんとかじっくり見ることができました。

 

続いてはヘリポートです。休憩しながら鳥待ちしていると、またムギマキが出てきました。綺麗な個体です。今年はムギマキの当たり年のようです。鼻戸崎も鳥影は少なかったものの、珍鳥シマゴマが鳴いてくれたので、藪から出てくることを祈りつつ、しばし待ちました。3度鳴いてくれたものの、結局、現れず。最後は校庭です。朝よりもさらに鳥影は減り、ホオアカを見た程度で2日目を終えました。

 

3日目。早朝は自由行動とし、みなさん、それぞれに楽しまれたようです。朝食中に「本日の定期船は海上荒天のため、欠航となりましたのでお知らせします」の島内アナウンスが流れました。1泊の延長を余儀なくされました。朝食後、1の畑でムギマキ♂を見て、西にある御積島が見える展望台へ寄り、2の畑へ行きました。オオルリ、キマユムシクイ、キマユホオジロがいました。3の畑でトイレ休憩をした時に、上空をツミが通過していきました。そのうが膨らんでいたので、食事直後のようでした(この時刻のちょっと前に、違う場所でツミがアカハラを捕食した場面を撮影した別のバーダーがいて、どうやら同一個体のようです)。この日は林道を歩くことにしました。しかし、全く鳥影なしでした。

オジロビタキとムギマキ(撮影:吉田徹様)

昨日、ムギマキやムシクイがたくさんいた四谷ダムへ向かいました。昨日同様、コサメビタキやムギマキ、ムシクイ類がたくさん出てきました。珍鳥オジロビタキ♂、発見です。時折「ジジジジ……」と鳴いては、比較的近くまできました。オジロビタキの後ろにムギマキが止まった場面も。楽しく、あっという間の時間を過ごしました。

カラフトムジセッカ(撮影:吉田徹様)

法木では、珍鳥カラフトムジセッカが道路に出てくる場面に遭遇しました。山グランドやヘリポートでムギマキ♂なども見ました。鼻戸崎ではコルリ♀、カラスバトを観察。最後は校庭へ行きましたが、いい鳥はいませんでした。

チゴモズ(撮影:簗川堅治)

4日目。この日も残念ながら欠航です。希望者のみ、案内することとなりました。朝、ヘリポートへ行ってみると、5月下旬に出るチゴモズがもう来たという情報が入りました。しばしチゴモズ待ちです。結果として、出たは出たのですが、一部の方だけが見れたようです。それでも、珍鳥コウライウグイスが飛んできて、みなさん騒然となった場面もありました。続いて珍鳥アカガシラサギ情報が入り、今度はそれを探します。しかし、残念ながら会えず。最後は再びチゴモズ狙いでヘリポートへ。到着早々、チゴモズに出会うことができました。

 

島流しに遭い、2日も延泊となったツアーでしたが、みなさんそれぞれにいい鳥に出会え、楽しいひとときを過ごすことができたようです。離島での鳥との出会いは、やはり格別です。参加者のみなさん、お疲れ様でした。

 

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!