【本の紹介】火山と生きる海鳥 千島列島探検記

日本初!千島列島の自然や野生動物の姿に迫った写真集

2019年6月、天売島を拠点に世界で活躍する自然写真家・寺沢孝毅氏と西遊旅行による、千島列島探検クルーズを実施しました。

その際に出会った野生動物の姿や、ライコケ島の95年ぶりの大噴火などの記録をまとめた寺沢孝毅氏の写真集「火山と生きる海鳥 千島列島探検記」をご紹介します。2020年3月5日刊行、日本初となる千島列島の自然や野生動物の姿に迫った、貴重な資料です。


公式サイトより一部抜粋

2019年6月、日本を出発した隊員13名は、カムチャツカ半島から航行開始と同時に巨大低気圧と遭遇。それを二日がかりでやり過ごし、南下の末にようやく到着したウシシル島で、筆者はシラヒゲウミスズメを含むウミスズメ類100万羽の渦の中へ・・・。未知なる野生の圧倒的生命力に歓喜した直後、90キロ北にあるライコケ島が大噴火したことを知る。
探検隊は奇跡ともいえる大噴火翌日のライコケ島に到着し、その惨状を目の当たりにする。島全体が海鳥繁殖地という野生の楽園はどうなったのか? そのあとに訪問したチリンコタン島では、噴火から植生や海鳥繁殖地が復元する途中の段階を確認することができた。
誰も見たことのない野生の生き生きした姿を、美しくも厳しい写真と探検手記を織り交ぜて紹介する比類なきドキュメンタリーです。

 

噴火翌日のライコケ島 撮影をする寺沢孝毅氏

千島列島は観光客が訪れることの難しい地域のため、普段目にする事のできない貴重な写真の数々と、リアリティあふれる文章が千島列島の今を伝えてくれます。ぜひご覧ください!

>>寺沢孝毅氏の公式サイトはこちら

根室海峡のシャチ・ミズナギドリと大雪山のギンザンマシコ【後編】

Report by 今堀魁人 / 2021年6月18日~24日

4日目は旭岳に向かう前に紋別のオムサロ原生花園に向かいます。オムサロ原生花園では前日撮影が難しかったシマセンニュウやコヨシキリが見られ皆さん楽しまれました。帰る直前には車の横に綺麗なベニマシコのオスが現れ、センダイハギの黄色い前ボケとのコラボレーションで撮影できました。旭岳に向かう途中にはエゾライチョウを探しましたが、残念ながら今回は見られませんでした。

シマセンニュウ
シマセンニュウ
コヨシキリ
コヨシキリ

ベニマシコ昼からはガイドさんと合流し旭岳でギンザンマシコ探しです。残雪の上を歩きながら歩いていくと、カヤクグリやビンズイがあちこちで囀りを響かせています。この時期にはない残雪の上を歩き少々苦労しましたが、観察ポイントに到着し早速ギンザンマシコを探していきますが全く出る気配がありません。16時を過ぎ見られたのはカヤクグリとノゴマとルリビタキ、そしてウソのみです。今日は見られないかなと諦めの気持ちが出てきた頃、ちらっとだけ遠くにギンザンマシコのメスが出てきましたが、すぐにハイマツに隠れてしまいその後見ることはできませんでした。生存確認はできたので、なんとか明日は見つけたいものです。

 

5日目は新型コロナウイルスの影響で早朝ロープウェイは運行しておらず、朝はホテルの周辺でバードウォッチングです。コガラやヒガラ、コルリなどの囀りを聴きながら森に入ります。途中キビタキの声が近くで聞こえ、ダケカンバを見ると綺麗なオスの成鳥がいました。大きく動かずにいてくれたおかげで、皆さんじっくりと観察できたようです。その後帰りの道中では普段あまり姿を見ることがないウグイスを観察することもできました。

ウグイス
ウグイス

9時からは再度旭岳に登りギンザンマシコ探しです。カヤクグリが目の前のハイマツにとまり楽しませてくれましたが、なかなかギンザンマシコは現れず段々と終わりの時間が気になりだします。

カヤクグリ
カヤクグリ

ふと形に違和感を覚えた遠くのハイマツを双眼鏡で覗くとギンザンマシコのオスが!慌てて皆さんと場所を共有し2枚だけ確認写真を撮ると、スッとハイマツから降り、その後は姿を現すことはありませんでした。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

その後終了の時間までギンザンマシコを探している間は、少し離れた看板の上で囀るノゴマを見つけ、静かに寄るとファインダーに入り切らないほど目の前で美声を聞かせてくれました。

ノゴマ
ノゴマ

時間となり下山し、次は十勝岳に移動です。途中北海道を代表するコンビニ、セイコーマートで昼食を買い、到着後綺麗な山を眺めながらピクニック気分でお昼ごはんです。食後は氷河期の生き残りであるナキウサギを探しに行きます。ポイントに到着し、静かに待つとピチッというナキウサギの鳴き声が!途中にはシマリスがそばを通過してくれ、可愛い姿を見せてくれ、ナキウサギもこの流れで見れるかなと期待が高まりましたが、残念ながら今回は出会えませんでした。

シマリス
シマリス

6日目は旭岳からサロベツ原野へ移動です。最初は幌延ビジターセンターのある通称下サロベツでバードウォッチングです。ツメナガセキレイがしきりに姿を見せ、遠くにはチュウヒの姿が見えていました。サロベツ原生花園では今年はシマアオジの姿が確認されておらず、残念ながら出会うことはできませんでしたが、ノビタキやアリスイなどに出会い楽しませてくれました。ホテルでは夕食後窓を開けると付近から「キョキョキョキョ……」とヨタカの声が。その他にもオオジシギやヤマシギなど贅沢な自然のBGMを聞きながら就寝です。

ツメナガセキレイ
ツメナガセキレイ

7日目はツアー最終日です。この日はサロベツ湿原を代表する野鳥ひとつであるアカエリカイツブリを探します。早朝はご希望の方のみで周辺にバードウォッチングです。朝靄の美しい牧草地を見ながら、キャンプ場と沼を散策です。キャンプ場では車から降りるとアカハラの囀りが聞こえ、見上げるとトドマツの梢にシルエットで姿を確認することができました。歩いているとアカゲラが子育てをしており、盛んにヒナが餌をねだり鳴いています。これには親も大忙しで1分おきに餌を運びてんやわんやです。沼では遠くに浮かぶ2羽の鳥が。確認するとアカエリカイツブリ抱卵の準備をしています。朝食後最後のバードウォッチングに出かけ、アカエリカイツブリの距離の近い個体を探します。複数の沼を探すもなかなか見られず、以前繁殖を確認した沼を最後の望みに覗くと、ペアは確認できませんでしたが、アカエリカイツブリの夏羽が見られました。

アカエリカイツブリ
アカエリカイツブリ

今回のツアーでは草原の小鳥から高山の鳥まで様々なものを観察でき、移動は長かったですが有意義な時間を過ごされたのではないでしょうか。この時期は特に草原性鳥類の子育てが見られるのが最大の魅力です。来年もこの時期に行えれば幸いですので是非また北海道の小鳥達に会いにお越し下さい。ツアーにご参加された皆様お疲れさまでした!

この記事を書いた人

今堀魁人 いまほり かいと
北海道紋別市出身。西遊旅行・バードガイド、ネイチャーガイド。幼い頃から野鳥や自然に魅了され、北海道を中心に野鳥・野生動物の撮影に没頭。まだまだ駆け出しの身ですが、生まれ育った北海道を拠点に、自然の中で暮らす野鳥の魅力をツアーを通して感じていただけるよう精進しております。ぜひ世界遺産「知床・羅臼」にも遊びに来てください!