トレッキングの拠点はカトマンズより西に200km、温暖なリゾート地の趣のある町ポカラ。ここから車を走らせたナヤプルからトレッキングが始まります。標高は1,000m程でバナナの木が生い茂る亜熱帯の雰囲気の中を歩き始めます。谷沿いに広がる広大な新緑の段々畑を眺めながら歩いていくと、我々を迎えてくれるのは素朴な暮らしを続けるグルン族の村人たち。トレッキングルートは彼らの生活道。
アンナプルナ南峰とヒウンチュリの展望地・ガンドルンを過ぎ、タダパニを越えてからシャクナゲの原生林が始まります。ここでの見事に咲き誇る大輪のシャクナゲのトンネルの美しさにはただただ圧倒されるばかり。そして、辿り着いたゴラパニで姿を現すのは堂々とそびえる世界第7位峰・ダウラギリⅠ峰(8,167m)。ここを訪れる人は早朝にプーンヒルと呼ばれる丘を目指します。プーンヒルからはさらに展望が開け、ダウラギリⅠ峰やアンナプルナ山群が朝日を浴び、赤く燃える姿はまさに神々しいものです。
エベレスト街道やアンナプルナ山域に次いで人気のあるトレッキングルートがランタン谷トレッキングです。トレッキング拠点のシャブルベンシは、他のトレッキングエリアに比べ、土産物屋等もほとんど無く、昔ながらのネパールの山村の雰囲気を残した村です。歩き始めると、すぐにランタン・コーラ(川)沿いにランタン谷に入り、しばらくは樹林帯の中を進んで行きます。そして現れるシャクナゲの原生林。白やピンクの花を付けたシャクナゲが多いのが印象的です。
チベット人のような顔立ちの村人達は、ネパールの部族タマン族を名乗っていますが、実はかつてチベットからヒマラヤを越えて来た正真正銘のチベット人とのこと。森林限界を超えてたどり着いたランタン村では彼らがヤク等の牧畜や農業を営む山の暮らしを見ることが出来ます。
トレッキングのハイライトとなるのはランタン谷をさらに奥へ行ったキャンジンゴンパ。ランタン山群の明主ランタン・リルン(7,225m)をはじめ、キムシュン、ナヤ・カンガ等の白銀の秀峰群に囲まれた展望はまさに圧巻。かつて、イギリス人探検家のティルマンがランタン谷を外国人として始めて訪れた時、「世界一美しい谷の一つ」と称したのもうなずける美しさが我々を迎えいれてくれます。