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「エベレスト街道パノラマビュートレッキング 名峰ひしめく好展望地を訪ねて」は本当にパノラマビューなのか【その2】

  • ネパール

2022.05.20 update

日本では雪山の展望というと冬という感覚がある方が多いでしょう。ネパールにも四季はありますが、ヒマラヤ山脈の高峰は常に雪を抱いています。雪山が独特の形や圧倒的な迫力で次々に姿を現し、角度が変わるごとに表情を変え、ビューポイントとなる尾根上ではパノラマ風景を楽しんでいただけるのです。

 

自身が初めてエベレスト街道を歩いた時の感動を回想しながら、2019年ゴールデンウィークの写真を添え、パノラマビューの主人公達をご紹介します。※少々主観(下記「」部)が入っていますがご了承ください。

 

△タムセルク(6,623m)
トレッキング2日目(パグディン→ナムチェバザール)行程の序盤から展望が始まり、その後、主なポイントでは継続して見ることができます。カンテガ(6,779m)とセットで見られることが多いです。主観ですが「中世の盾みたいで格好良い!」と強烈に感じた記憶が残っています。

タムセルク(右:6,623m)とカンテガ(左:6,779m)

△コンデリ(6,187m)
トレッキング2日目ナムチェバザールに到着後、背後を振り返ると大きく立ちはだかっています。以降、南方面のパノラマビューを構成しつづけます。「ナムチェバザールを守る堅固な城壁だ…」と圧倒されました。3日目(ナムチェバザール→シャンボチェ)の急登のなか、コンデリの右(西)側には、隣のロールワリン山群にあたるパルチャモ(6,187m)やテンギ・ラギ・タウ(6,943m)が連なりを見せます。クンデピーク(4,239m)からの迫力の展望は、目を見張るものがあります。

すり鉢状の村ナムチェ・バザール(3,450m)に到着

コンデリ(6,187m)とナムチェバザールの村(3,450m)

△アマダブラム(6,812m)
実は、このルートではエベレストを凌ぐ勢いの人気を誇る山です。トレッキング3日目のシャンボチェの丘(3,800m)到着後に突如として現れます。形が個性的で目を奪われ、パノラマビューの準主役(時に主役!)を担っています。「掴みたくなる取っ手の様な、座りたくなる椅子の様な、触れたい!」とどこか温かさ、優しさ、親しみを感じたのを覚えています。

アマダブラム(6,812m)

△エベレスト(8,848m)
最初のビューポイントは、トレッキング2日目のナムチェバザールに至る急坂途中の休憩地トップダンダ(3,140m)です。しかし核心部は、シャンボチェの丘(3,800m)とタンボチェ(3,867m)です。「ただただ無心で見とれてしまった…」という不思議な感覚でした。
ヌプツェ(7,855m)に多少視界は遮られていますが、やはり最高峰、神々しいものを感じさせられます。

エベレスト(8,848m)

△ローツェ(8,516m)
世界第3位の高峰。同様にシャンボチェの丘(3,800m)到着後に巨大な南壁とともに姿を現します。ローとは南という意味があり、エベレストの南峰という意味です。「あんな大きな壁を登るクライマーもいるんだなぁ」と畏怖の念を感じました。実際、ローツェ南壁は今でもなお難解な課題として世界中のトップクライマーを魅了しつづけています。

ローツェ(8,516m)

これらの他にも名だたる山々が聳え、パノラマビューを形成しているのです。山岳展望は毎日移り変わり、休憩や食事の間はゆったりと山と共存したひと時をお過ごしいただけます。お勧めする四天王パノラマビューポイントは下記のとおりです。

  

【1】 シャンボチェの丘(3,800m)とその先のトラバースルート

シャンボチェの丘(3,800m)よりパノラマビュー南側(エベレストシェルパリゾートの宿とコンデリ6,187m)

シャンボチェの丘(3,800m)よりパノラマビュー北東側(左にはエベレスト山群、真ん中に逆光でタムセルク6,623mとクスム・カングル6.367m連峰)

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。前にはエベレスト(8,848m)、ローツェ(8,516m)の南壁、アマダブラム(6,812m)がそびえる。

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。背後(南)にはコンデリ(6,187m)が立ちはだかっている。

シャンボチェの丘(3,800m)でのトラバールルート。前にはアマダブラム(6,812m)がそびえる。

エベレストビューホテルのテラスよりのんびりと望むエベレスト山群(エベレスト8,848m、ローツエ8,516m、アマダブラム6,812m)

【2】 クンデピーク(4,239m) ※曇天でしたが幻想的でした。

クンデピーク手前の尾根の登り

雲間に見えたコンデリ山塊の氷河

クンデピーク(4,239m)に登頂

クンデピーク(4,239m)からクンデ村(3,840m)とクムジュン村(3,790m)を見下ろす

【3】 タンボチェ・リ(4,198m)

タンボチェ村(3,867m)より望むエベレスト山群(エベレスト8,8848m、ローツェ8,516m、アマダブラム6,812m)

タンボチェ・リ(4,198m)登頂間近

タンボチェ・リ(4,198m)より望むエベレスト山群(エベレスト8,848m、ローツエ8,516m、アマダブラム6,812m)

タンボチェ・リ(4,198m)よりパノラマビュー南西側(左にコンデリ6,187m山塊)

タンボチェ・リ(4,198m)よりパノラマビュー南側(左端にカンテガ6,779mとタムセルク6,623mおよびコンデリ6,187m山塊)

【4】 キャンジュマからナムチェバザールのトラバースルート

復路も飽きさせないエベレスト街道。コンデリ(6,187m)山塊が見えてくる。

振り返ると逆光のアマダブラム(右:6,812m)とローツェ(左:8,516m)

行程の随所にパノラマビューが散りばめられているので、飽きさせません。心のシャッターを何度もきってしまうでしょう。

 

決してハードルを高く考え過ぎることなく、ワクワクやドキドキを携えてご参加いただきたいこのコース。
初めての世界の屋根ヒマラヤの展望コースには、自信をもってお勧めします。

エベレスト街道のゴールデンウィークはネパールの国花シャクナゲが満開

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「エベレスト街道パノラマビュートレッキング 名峰ひしめく好展望地を訪ねて」は本当にパノラマビューなのか【その1】

  • ネパール

2022.05.13 update

タンボチェ・リ手前より望むエベレスト山群(エベレスト8,848m、ローツエ8,516m、アマダブラム6,812m)

言わずと知れた世界最高峰エベレスト(8,848m)。誰もが人生で一度は、ご自身の眼で見てみたい山でしょう。
眺めるもよし、撮るもよし、描くもよし。登頂ルート同様に、展望ルートもアクセスはネパール側かチベット側です。大きな違いは、歩いて近付くか(ネパール)、歩かずに近付くか(チベット)。歩ける方は、歩いた方が(苦労をした方が)感動もひとしおです。今回は、モンスーン期を除く10月~5月がシーズンにあたるネパール側の展望トレッキング(初級者レベル)に焦点を当てます。

 

「エベレスト街道パノラマビュートレッキング」のコースは、6泊7日(トレッキング期間)、最高宿泊高度は3,867m、最高到達地点は4,239mです。「富士山(3,776m)にさえ登ったこともなく、長期海外トレッキングも初めてなので、怖くて行けない…」といった声が聞こえてきそうです。回答は、「ハードルを高く考え過ぎないでほしい!」です。

 

第1の理由は、標高です。
登山難易度=標高と考えられがちですが、必ずしも比例するとは限りません。実際、日本では最高峰の富士山より難しい山は多くあります。そして、1日における体力消耗度は富士山(1泊2日)よりも小さく歩くことが可能です。
第2に、ルートです。エベレスト街道のルートはそこに暮らす山麓民族の生活道にもなっています。整備されていることに加え、村から村へと風景は常に移り変わります。露店やレストラン、畑や家畜に囲まれて、登っているという感覚すら時に忘れさせてくれる気分転換を含めた新しい発見の連続です。

トレッキングの起点ルクラ(2,827m)の空港

出発前は準備運動

川沿いのルートを進む

色鮮やかな雑貨が並ぶ露店

吊り橋を何度も渡る

学校へ通う子供ともすれ違う

マウンテンバイカーにもすれ違う

第3は、サービスです。ネパールでは運搬サービスが充実していて、かつ雇用も産み出しているためにWin/Winの関係が築かれています。運搬方法は、動物であったり、屈強な人々(時に女性も!)であったり。その日を歩き通すのに必要な荷物のみお持ちいただき、
歩くことが可能です(寝袋等は預けましょう)。

ウシ科のヤクやゾッキョはとても力強い

馬やロバも運搬を担う

凄まじい歩荷根性

何でも運び屋

独特の休憩スタイル

更に、山岳観光産業国でもあるため、ロッジや専属コックが提供する食事の質も各国のトレッカーに合わせて向上しており、体調管理しやすい環境も整っています。真面目で懇切丁寧な現地スタッフの姿勢には驚かれる方が多く、励まされたり交流を楽しみながら歩けることも魅力です。

ネパールの名物モモ(餃子)

ヤクのチーズは量り売り

とはいえ、現実として酸素は薄くなり気圧は低くなるので、高所順応が必要となります。しかし、水分を失わない様な汗をかかない歩き方、酸素を効率よく取り入れる呼吸法、宿泊地での過ごし方、ストレスを感じさせない雰囲気づくり等、添乗員や現地スタッフがひとつひとつ丁寧にご案内させていただきます。ご自身が高度障害(頭痛や吐き気等)で後々苦しまないためにも、序盤からきっちり順守いただければ大丈夫です。

ロッジで充電も可能

様々なネパール産ビールがあるが高所では厳禁!

さて、前置きが長くなりましたが、

次回、【その2】では本題、山の展望について触れて参ります。

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夏の八ヶ岳山麓ハイキング 6つの湖沼と雲海の絶景」のツアーでは、美しい信州の花々を鑑賞しながらハイキングをお楽しみいただきます。今回は、ツアーで訪れる6つのハイキングスポットをご紹介いたします。

 

1. 八千穂高原

 

八ヶ岳北麓に位置する日本一の白樺林が広がる自然園で、約200ヘクタールに及ぶ白樺林があり「東洋一」と言われています。白樺、新緑、ピンクのミツバツツジ(6月)の対比や、山野草の花を楽しみながら歩きます。途中、青く透き通る湖「遊亀湖」(ゆうきこ)があります。

 

2. 白駒池

 

標高2,100m以上の湖としては日本最大の天然湖である白駒池には、485種類の苔が生息しています。樹齢数百年の時を刻んだコメツガ、トウヒ、シラビソの原生林の散策を楽しみながら、高見石までの往復ハイキング。上空から、原生林に囲まれた神秘的な湖を一望できます。

 

3. 坪庭自然園

 

国定公園第一種特別保護地域に指定されている自然園で、北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅から散策します。横岳の噴火で噴出した溶岩が固まってできた溶岩台地に自然にできた庭園にて、6月下旬~7月上旬は特に多くの高山植物が観察できます。

 

4. 横谷渓谷

 

横谷渓谷は八ヶ岳の西側に位置し、渓流沿いに続く全長約6キロメートルの散策路があります。乙女滝、王滝、霜降の滝、おしどり隠しの滝といった数々の渓流を鑑賞しながらのハイキングをお楽しみください。

 

5. 車山高原

 

霧ヶ峰の最高峰で標高は1925mの車山は、長野県茅野市と諏訪市の境目に位置する山で、車山高原と呼ばれており、様々な小動物や草花などを見る事ができます。リフトにて上り、山頂より車山湿原や中腹に咲く花々を鑑賞しながらのハイキングをお楽しみください。

 

6. 八島湿原

 

標高1,630m、長野県のほぼ中央に位置する八島湿原には、3000ヘクタールの大草原が広がっており、国の天然記念物の指定、および国の文化財としても登録されました。中でもミズゴケの種類は18種にのぼり、約490倍もある日本最大級の釧路湿原とほぼ肩を並べています。自然豊かな湿原を一周し、高山植物や夏の花々を鑑賞しながら「天空の箱庭」とも称される美しい風景をお楽しみください。

 

 

これからベストシーズンを迎える八ヶ岳山麓。各所でハイキングを楽しみながら、ぜひ信州の大自然をご体感ください。

 

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今回は都内周辺から気軽に行ける豊かな自然スポット、福島県裏磐梯の魅力についてご紹介いたします。

 

裏磐梯とは百名山で知られる会津磐梯山の北側のエリアを指しますが(人口の数や交通量が少ないため”裏側”の印象になる)、1888年に起こった大規模な噴火にともなう山体崩壊によって、多くの尊い命が奪われてしまった場所になります。

 

ただし、当時は土砂や岩石で覆われた景色が広がっていたものの、全滅した森林を復活させるべく立ち上がった、会津若松生まれの遠藤現夢の指揮の下、多くの人々の手によって植林再生が進められました。そして、荒野に植えられたアカ松から始まり、次第にカエデ、ブナ等の広葉樹林が育ち、長い年月を経て今や深い森林が広がるオアシスのような人々の癒しの場所にまで回復したのです。

 

また、山体崩壊によって、以前より流れていた数本の沢が堰き止められて自然のダムができ、多くの湖沼群が生まれました。檜原湖を始めする豊な緑に囲まれた湖は大変美しく、登山・カヌー・釣り・バードウォッチング等様々なアクティビティを楽しむことができます。小さな沼や池の一部では、磐梯山の火山成分が溶けだすことで、ただの水たまりでは決して見ることのできない色彩を帯びるようになり、そうした特殊な色相をもつ池沼が顕著に集まる場所が五色沼として知られるようになりました。

 

2020年の夏と秋には、こうして生まれた裏磐梯の美しさを知ってもらうべく、神秘の湖沼群と磐梯山(1,816m)・安達太良山(1,700m)登頂を企画し、多くのお客様に参加していただくことができました。

 

裏磐梯を代表する”磐梯山”と”安達太良山”は、上記のような自然史とは別に、その見事な山容や、深田久弥の選ぶ百名山に選ばれていること、また比較的登りやすい山として知られます。ここで登りやすい山というのは「途中までロープウェイを使える」、「標高の高い場所からの短いルートがある」といった意味なのですが、せっかくツアーとして現地のガイド同行で行くのですから、個人では選ばないような、火山の魅力を感じることができる、達成感を一層感じることのできるコースを選びました。どちらも爆裂火口に近づく迫力のあるルートです。

 

まずは磐梯山。裏磐梯登山口より裏磐梯スキー場を経て、爆裂火口エリアへ。眼前には古い地層が露わになった火口壁が左右に延びます。復路で脇を通りましたが、この周辺に強酸性の銅沼(あかぬま)が存在しており、そこから酸性の水が地中を通って麓に流れる過程で、段々とPH値がアルカリ性になり、五色沼の様々な色合いを生む根源となっているのです。

 

ここからは急登が始まり、磐梯山山頂と櫛ヶ峰のコル(鞍部)を目指します。再び森へ入ると次第に段差が大きくなっていき、途中から手すり付きの登りとなります。

 

ゆっくり身体をぐ~っと押し上げながら登っていくと、急に視界が開きます。振り返れば森の奥に大きな檜原湖が見えます! 鬱蒼とした森を抜けたのでそよ風があたり気持ち良いです。

 

既に標高を抜いてしまいましたが、後ろに見える櫛ヶ峰の姿がこれまた見事。景色がどんどん変化していきます。さらに登って弘方清水小屋で休憩し、ハイマツ帯と岩場を抜けると頂上です!

 

反対側では猪苗代から那須高原、会津若松の方まで一望できます。何といっても眼下の猪苗代湖は美しいです。天鏡湖という呼び名がありますが、高い角度から覗き込むことによって空を映す姿がよりはっきりとわかり、その名の相応しさを感じます。

 

景色を堪能した後は、一部別のコースを通って始めの裏磐梯登山口へ。銅沼(あかぬま)から望む磐梯山の姿もコントラストがとても綺麗で何度見ても飽きません。なお、その時の天候や環境にもよりますが、厳冬期にはこの辺りに幻の黄色い滝・イエローフォールがひっそりと生成されるのです。

 

下山後、ホテルで源泉かけ流しの温泉に身体も心もふやけます…。

そして翌日はクールダウンの日。檜原湖畔にて磐梯山を大パノラマで望むカヌーと湖畔の探勝路散策をのんびり楽しみました。

 

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大阪支社 高橋です。
これまで2回に分けてご紹介した「日本屈指の景勝地・上高地」も今回が最終回です。

 

滞在3日目(最終日)は、徳沢から河童橋、上高地バスターミナルへ戻ります。
朝食前、徳沢園の周辺の散歩(散策)を楽しむと、梓川より前穂高岳と明神岳を望むことができ、さらに奥には朝靄のかかる幻想的な風景も楽しむことができました。

 

梓川に出ると幻想的な風景が広がります

 

朝食後、8時に徳沢園を出発し、まずは明神を目指すため、昨日と同じ梓川左岸の林間ルートを歩きます。同じ道なので淡々と歩くことも良いかもしれませんが、向いている方向が変わることで、昨日に見落としていた花や景観などを楽しむことができます。7月の時は、夕方から夜にかけて雨が降ったこともあり、林間ルート内の緑が洗われて非常に色鮮やかな林間ウォークを楽しむことができました。「同じ道を戻るというのはつまらない」という気持ちも判りますが、往路では気付かなかった植生や展望、自然を感じることができ、考え方1つで同じ道を戻るのも楽しいものです。

 

明神岳の変わりゆく山容を楽しんでいると、明神エリアに戻ってきました。

 

上高地を流れる美しい梓川の流れ
梓川は、信濃川水系犀川(さいがわ)上流域を示す別称で、長野県松本市の北西に位置する北アルプス・槍ヶ岳に源を発し南流します。流域は古くは「梓の産地」であり、梓弓の材料として朝廷にも献上されていたことが川の名の由来とされています。

 

水は本来無色透明です。
では、上高地を流れる梓川はなぜ美しい青色をしているのでしょうか。
太陽の光は虹の七色に代表される様々な色の光が集まっていますが、水は赤い光を吸収しやすい性質があり、深さがあるほど赤色が減り(吸収され)、その分青さが際立って見えます(反射)。
専門ガイドの解説では、上高地で特筆すべきは「砂の白さ」とのことでした。
上高地でご覧いただける白い砂(場所によっては砂浜のように溜まっている場所も)の正体は「花崗岩が砕けたもの」。花崗岩は⾧石(白い粒)、石英(透明な粒)、黒雲母(黒い粒)で形成されていますが、この3 種は熱膨張率が違い、隣り合った粒同士がそれぞれの比率で伸縮し、その結果隙間ができてバラバラに割れてしまいます。上高地はこの脆い花崗岩の砕けた砂が川床にあることで川の青さが際立つという効果もあるそうです。

 

美しい梓川の流れ(明神周辺)

 

明神エリアから梓川左岸ルートを歩く
明神エリアでの休憩後は、昨日とは別のルートである梓川右岸ルートを歩きました。
昨日歩いた左岸ルートと比べ、少しアップダウンがあり、時折木段などもありましたが、小さな沢の流れもあり、非常に印象的な風景でした。
足元に広がる笹の葉、針葉樹と広葉樹が混在する木々の緑も美しく、陽光が射し込むことで、色鮮やかな風景となり、上高地らしい風景の中、気持ちよく歩くことができました。

 

緑鮮やかな梓川右岸ルート

 

水の流れが美しい 岳沢湿原
色鮮やかな林床に陽光が射しこむ風景や、木々の間から大正池の畔に聳える焼岳の展望を楽しみながら、のんびりと歩いていると、岳沢湿原エリアに入ります。

 

岳沢湿原は、梓川左岸に位置し、岳沢より流れ来る筋と善六沢が合流するあたりに位置する湿原です。湿原上の展望ウッドデッキから正面に見える六百山(標高2,450m)と立ち枯れの木、澄んだ湧水が何とも趣のある風景を創り出しています。
岳沢湿原からの展望を楽しんでいると、上高地では年間を通じて棲息するマガモ(カモ科)をご覧いただけることもあります。

 

岳沢湿原の風景

岳沢湿原から六百山を望む

 

河童橋周辺より最後の穂高連峰の風景を楽しむ
岳沢湿原より梓川右岸ルートの最後の区間を歩くこと10 分、穂高連峰の展望ポイントに到着します。さらに、そこから数分歩くと上高地のシンボル・河童橋となります。
前日に穂高連峰の景観を楽しめなかったとしても、このタイミングで再度穂高連峰の展望を楽しんでいただけるチャンスがあります。
7月のツアーでは、滞在1,2日目は雲がかかり、スッキリとした展望は楽しめませんでしたが、最終日に快晴の中で穂高連峰の風景を楽しむことができ、奥上高地自然探勝ハイキングが終了と同時に、心ゆくまで穂高連峰の風景を楽しみました。

 

穂高連峰と梓川の展望

河童橋から望む焼岳

 

ゴール後は、カフェで優雅にコーヒーとレアチーズケーキと共にのんびりと過ごしたり、土産店巡りを楽しんだり、それぞれの時間をお過ごしいただきます。その後、到着日にお世話になったホテル(西糸屋山荘)で預かってもらっていた荷物を受け取り、3日間に渡って堪能した上高地とお別れをします。

 

上高地からは乗合シャトルバスで松本駅へ向かいますが、バスに乗ったら終わりではありません。乗合シャトルバスは自由席のため、必ず「進行方向右側の席」を確保してください。出発直後は林間の車道を走行しますが、すぐに大正池や焼岳の風景が右側にご覧いただけます。さらに振り返ると、穂高連峰の風景もご覧いただけ、これが上高地との本当のお別れです。

 

車窓より大正池と穂高連峰を望み、上高地とお別れしました

 

3回に分けて「日本の名勝・上高地」をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
ツアーレポートの掲載しきれない上高地の見どころはまだまだ沢山ありますので、またの機会にご紹介したいと思います。

 

また、10月は上高地の紅葉シーズンとなります。
弊社でも「”清流の国” 岐阜から上高地へ 4つの自然探勝ハイキング」では奥上高地自然探勝ハイキング(徳澤園宿泊)を組み入れており、「秋の千畳敷カール・乗鞍・上高地を撮る」では、徳澤までは訪れませんが、上高地で1泊するため、朝夕など刻一刻と変化する上高地の風景の撮影を心ゆく間で堪能することができます。
このツアーレポートで上高地へ興味が湧いた方、また上高地へ再び訪れたいと思われた方も、是非上高地に訪れてみてください。

 

7月には、『上高地ネイチャーガイド FIVESENSE(ファイブセンス)』の専門ガイドさんにお世話になりました。各所で上高地の自然・植生・地勢など幅広く解説してくれ、何より上高地への愛情がこちらへも伝わってくる素晴らしいガイドさんでした。

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