夏の富士山・奥庭の野鳥と大磯海岸でのアオバト観察

Report by 吉成才丈 / 2022年8月22日~24日

<1日目>

途中から乗車する方を除き、新宿のバスターミナルに集合。ここから乗り換えなしで、標高約2,300mの富士山五合目まで行かれるのは本当に便利です。

予定より少し遅れて奥庭荘に着き、先着組に様子を聞くと、「この日の午前中はウソが1回出ただけ..」という不安な返答。

奥庭荘の水場
奥庭荘の水場

たしかに、昼食を済ませてじっと待っても、小鳥たちは出てきてくれません。

雨が多いことも影響しているのだろうと思ってさらに待つと、夕方になってようやく、ルリビタキやウソ、キクイタダキなどが出てきてくれました。
頂いた写真はどれもどアップですが、被写体までの近さが感じられますよね。

ルリビタキ(冨安市子様撮影)
ルリビタキ(冨安市子様撮影)
ウソ(冨安市子様撮影)
ウソ(冨安市子様撮影)

奥庭荘は山小屋なので夜間の消灯も早いのですが、早めの夕食後には、ガスの中で赤く染まる富士山も見られました。

ちなみに、奥庭荘の夕食は山小屋にしては豪華でウナギもついており、皆さん驚かれていました。

夕方の富士山山頂付近
夕方の富士山山頂付近

<2日目>

昨夜は時折強い雨が降ったものの、未明には雲がない時間帯もあったようで、素晴らしい星空の写真を撮られていた方がいて驚かされました。

夜明けの富士山の風景も美しく、これだけでも来る価値があると思います。

夜明けの富士山
夜明けの富士山

昨日は水場への飛来が少なくハラハラしましたが、この日は朝からルリビタキやウソ、メボソムシクイ、ヒガラなどがコンスタントに出てくれました。

メボソムシクイ(冨安市子様撮影)
メボソムシクイ(冨安市子様撮影)

光線状態もよく、シャッターチャンスも多かったと思いますが、平地では見慣れないウソの幼鳥はかわいかったですね。

ウソの幼鳥
ウソの幼鳥

そして、水場には降りてきませんでしたが、ホシガラスは近くのカラマツなどにとまってくれました。

ホシガラス(冨安市子様撮影)
ホシガラス(冨安市子様撮影)

奥庭荘の水場はすぐ目の前にあり、最短のポジションだと10mを切るほどの近さなので、観察は双眼鏡でも十分楽しめ、撮影は大砲レンズでなくても大丈夫です。

また奥庭荘の良さは、自分のペースで鳥見や撮影が楽しめる点にもあり、近くの散策路で景色や植物を見ながら鳥を探したり、奥庭荘で頼めるコーヒーを飲みながら座敷で鳥を見ることもできます。

なかには2階の室内から窓を開けて見下ろす方もおり、銘々に亜高山の鳥を楽しんでいただきました。

翌日のアオバト観察に備え、昼食後には大磯方面へ移動しました。

<3日目>

大磯・照ヶ崎海岸のアオバトは早朝からの飛来が多いため早めに現着したものの、すでに10名以上のカメラマンがスタンバイしていました。

アオバトは数羽から30羽ほどの群れがコンスタントに飛来し、磯におりては海水を飲む行動が観察されました。

アオバトの群れ
アオバトの群れ
アオバト
アオバト
海水を飲みに降りたアオバト
海水を飲みに降りたアオバト

しかし、この日はハヤブサ幼鳥が頻繁にアオバトを狙って群れに突っ込み、アオバトも落ち着いて海水を飲んでいられませんでした。

ハヤブサは若く、狩りも未熟なため、なかなかアオバトを捕らえることができません。おかげで(?)、緊迫の狩りの様子を何度も見ることができました。

やっとアオバトを捕らえたと思ったら、その後、海上に獲物を落としてしまいました…

獲物を捕らえたハヤブサ
獲物を捕らえたハヤブサ

アオバト以外にもクロサギやカワセミが出たり、ミサゴが海に飛び込んだりで、あっという間に時間が過ぎていきました。

トビ(冨安市子様撮影)
トビ(冨安市子様撮影)
ミサゴ
ミサゴ
クロサギ(冨安市子様撮影)
クロサギ(冨安市子様撮影)

暑さもあり、アオバトの飛来も少なくなるので早めに切り上げて解散しましたが、皆さん、チェックアウトしていなかった部屋に戻り、シャワーを浴びてお帰りになられたと思います。

大磯のアオバトは早朝の時間帯がよいので奥庭荘と組み合わせてみましたが、環境にも鳥にも変化があり、バラエティに富んだ鳥見ができたと思います。

また、ほぼ歩かずに自分のペースで楽しめるので、のんびり楽しみたい方には最適だと感じました。

(観察種数29種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【後編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月14日(火) 4日目 曇りのち晴れ

曇りなのか、霧なのか微妙な天気だが時間通りシャチをメインに観察する船に乗船しました。出航すると案内役のスタッフのアナウンスで「ミンククジラを探しに行きます」という事でその海域に移動します。確かにミンククジラは出るのですが相変わらず「背びれがちょっぴり」見えるだけですぐ隠れてしまう。シャチのようにゆっくりと堪能させてくれないのがとても歯がゆい。その後は船3艘でシャチを探しますが見つかりません・・・。

ハシボソミズナギドリの大群も見つからず、まばらにウトウとフルマカモメが飛んでいるだけで久々の「知床海上砂漠」を味わう羽目に。とはいえ生き物相手だから仕方がないことです。時間になったので船が帰港しようと走り出すと、どこからともなくフルマカモメの大群が、船が巻き上げる波に乗るようについてきました!大慌てで2階にいる参加者を呼びに行きしっかりと撮影をしてもらうことができました!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまった!

フルマカモメ
フルマカモメ

午後はすっきりと晴れたので知床峠にギンザンマシコを狙いに行きました。最近あまり出てないような噂を聞いていたので「出るだけでもラッキーかな」と思って、余裕をぶっこいて絶景の中でみなさんとおしゃべりしながらお弁当を食べていると、ドライバーさんが私を呼ぶ?「戸塚さん、これマシコ?」と指さす先に・・・ハイマツの茂みに真赤なオスが、それも超近い!すぐにみんなを呼ぶが、撮れる場所は1ヶ所のみ。ワタワタしてるうちに上に移動。これまた近いが胸から上しか見えない。そうこうするうち離れた場所へ移動して、ハイマツのてっぺんでしばらくとまってくれたが、ハイマツの下に落下したのちそれっきり消えてしまった・・・残念。

ギンザンマシコ
ギンザンマシコ

15時30分に切り上げ、帰り際に羅臼ビジターセンター寄ってから宿へ。昨日同様、夕食まで休憩をしました。夕食後はシマフクロウ・リベンジ撮影会。昨日同様に19時50分ごろ1羽が出現。20時50分ごろ1羽が来たのち、知らぬ間にもう1羽が来ていてペアでの撮影もできた。そしてこれまた昨日同様23時まで出現なしで終了となりました。

シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

6月15日(水) 5日目

6時50分いきなり電話で起こされると、今日乗るシャチクルーズ船の会社だった。「今日は沖合の波が高いので欠航となりました」と言われ、唖然とする。快晴の超いい天気なのに・・・まぁ仕方ない。朝食時にみなさんに事情を説明して、ギンザンマシコ・リベンジ撮影会に切り替えました。昨日見た場所を重点的に探しますが見当たりません。ぶらぶらしながら探していると少し離れたところにカメラマンの群れが?しばしそこに集まるカメラマンの皆さんと同じ方向を見ていると・・・赤いオスが出た!すぐに参加者を呼びに行き、そこで待機。その後は結局、私が見た位置よりも近くには出なかったが4、5回出てくれたので、撮影結果は微妙だが、その赤い姿はしっかりと確認ができたでしょう。

一旦みなさんから離れるので説明をして、私だけ電話の電波が繋がるピンポイントへ移動しました。待っているのは午後のクマ・クルーズの船長からの連絡です。15分も待ったころ船長から電話がかかり「出るよ」の言葉に大急ぎで下山してお弁当を買い、車内で食べながら指定された港へ向かいました。

小舟でのクルーズなのでクマが出れば結構近くまで寄ることができので、初めに出た若いクマはかなり近くで撮影ができました。その後も次々とクマたちに出会うことができ、岬の先端では1頭の子連れのクマと2頭の子連れのクマも撮ることができました。それにしてもみなさんには岬の先端なんて滅多に来ることなんてできないので、これも超ラッキーなんだよと説明をする。

ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ

岬まで来てしまったため、ちょっと時間も押してしまったので帰りは速度を上げて港に向かいます。なのでクマがいても寄ることはないかなと思っていましたが、途中で船長が「2頭いる」と若い2頭の兄弟と思われるクマを見つけ、撮影をさせてくれました。この日出会えたクマは合計9頭と、私的には過去最高の遭遇率でした。ちょっぴり時間をオーバーしてしまったが、船長の計らいで有意義なクルーズになりました。

ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ
ヒグマ

今日の宿は斜里なので、移動にちょっと時間がかかるためどこにも寄らず帰るつもりが、出発してすぐに仔キツネを見つけてしまったので・・・撮影会開始。これがまた愛嬌のある個体で外に出て撮影しても逃げないし、一人遊びやポージングまでしてくれるので撮影時間が長くなるのは致し方なく、仔キツネが番屋の床下に消えるまでみなさんしっかりと楽しんでいただきました。

キタキツネ
キタキツネ

ドライバーさんから内陸の根北峠と知床峠どちらで行きますか?と聞かれたので天気もいいし、夕景がきれいな知床峠経由でお願いした。クマにもちょっぴり期待しましたが遭遇もなく、ほぼ時間通り無事宿に到着しました。

6月16日(木) 6日目 小雨のち晴れ

とうとう最終日、雨が降っていましたが、出発と同時に小雨になり止みました。小清水原生花園で小鳥を狙う前に、道路の反対側の湯沸湖湖畔に放牧してある馬たちがいるので、そちらを撮影してもらうことにしました。野生動物ではないのですぐ撮影を切り上げるかなと思ったのですが、結構みなさん必死に撮影しているので堪能するまで楽しんでもらいました。小鳥たちは気温が低いせいかあまり出てきません。しかし気温が上がりだすと、あちこちから虫の鳴き声のようなマキノセンニュウのさえずりが聞こえだします。センニュウ類はシマセンニュウ以外は「声はすれども姿は見えず」でストレスが溜まります。(笑)今年は寒いせいか花の咲きも遅くイマイチでしだが、それでもクロユリは見ることができました。

クロユリ
クロユリ

10時を過ぎたので、このツアーの最終ポイントへ移動します。ここでは湖畔の道を散策しながら生き物を探します。カワセミ、コチドリ、キバシリを確認撮影できたのは良かった。キツツキ類にも期待しましたが、時間的に厳しい(早朝が一番出る確率が高い)せいもあり、期待したクマゲラ・コアカゲラは見られずに残念でした。雨も上がり晴れてくると暑いくらいです。空港で荷物のパッキングもいいのですが、晴れているし広い駐車場でのんびりとパッキングしてもらうことにしました。荷物を積み込み、予定時間ぴったりに空港へピックアップをして無事終了となりました。そして私だけ中標津空港へ送ってもらうことになっていたので、車で走り出すと雨が降りはじめました!悪い天気ながらそれなりに今回の参加者の皆さんは当たりを引いていることを実感することになりました。
参加されたみなさま、5泊6日という長い時間本当にお疲れさまでした!

オオジュリン
オオジュリン
ノゴマ
ノゴマ
ノビタキ
ノビタキ
アマツバメ
アマツバメ

撮れた鳥
ウミウ・ヒメウ・チシマウガラス・アオサギ・フルマカモメ・ハシボソミズナギドリ・タンチョウ・カッコウ・アマツバメ・コチドリ・オオジシギ・オオセグロカモメ・ウミガラス・ケイマフリ・ウトウ・エトピリカ・ツノメドリ・オジロワシ・シマフクロウ・キバシリ・アカゲラ・ハシブトガラ・シジュウカラ・シマセンニュウ・コヨシキリ・コムクドリ・ノゴマ・ノビタキ・ハクセキレイ・カワラヒワ・ベニマシコ・ギンザンマシコ・アオジ・オオジュリン・コムクドリ

見れた鳥
ヒドリガモ・マガモ・スズガモ・ツツドリ・ウミネコ・トウゾクカモメ・トビ・カワセミ・クマゲラ(食痕)・モズ・ハシブトガラス・ハシボソガラス・ヤマガラ・ヒバリ・ツバメ・イワツバメ・ヒヨドリ・シロハラゴジュウカラ・ムクドリ・スズメ・キセキレイ・ウソ・ホオアカ・カワアイサ・キジバト・ツツドリ

声を聞けた鳥
コマドリ・アカハラ・トラツグミ・ホトトギス・ウグイス・エゾムシクイ・センダイムシクイ・マキノセンニュウ・エゾセンニュウ・オオヨシキリ・キビタキ

他の生き物
ヒグマ(撮)・ラッコ(撮)・ミンククジラ(撮)・エゾシカ(撮)・エゾタヌキ・キタキツネ(撮)・シマリス・ネズミ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月11日(土) 1日目 曇りのち雨

集合時間にみなさん間に合ったので専用車に乗り、雨が降る前に霧多布に向かいました。出発時は曇りだったのですが、目的地に近づくにつれて雨が降り出します。霧多布岬は霧の中で視界がききません。当然ラッコの親子の姿を見ることも不可能なので残念ですが宿に向かう事にしました。途中オジロワシがテトラポットにとまっていましたが、写真的にイマイチだったので停まらずに通過させてもらうことにした。移動途中にタンチョウがいる場所を通過するので、いないかなと探していると廃校になった小学校にいました。車外に出ると逃げてしまうので、車内から撮影をしてもらいました。この日は雨が止まなかったのでここで終了となりました。

 

6月12日(日) 2日目 曇りのち大雨

晴れていれば4時30分や5時からスタートしたいところですが、曇っていて暗かったので6時から宿の前で撮影開始です。タンチョウのペアが風連湖にいたのでセンダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮ってもらったり、草むらでさえずる小鳥をさがして撮影しました。

センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
風連湖にいたペアのタンチョウ
風連湖にいたペアのタンチョウ

朝食後に車へ荷物を積み込んでいると道路の対岸に真赤なベニマシコのオスが出たので、居合わせたみなさんは撮影を楽しまれたのですが、遅れた2名が撮影できなかったのが悔しかった。

オスのベニマシコ
オスのベニマシコ

落石港へ向かう途中に立派な木にとまるオジロワシのペアがいたので、ゆっくり静かに近づくが全く逃げる気配がないので、橋の上からがっちりと撮影することができました。

オジロワシ
オジロワシ

落石クルーズは少し波が心配でしたが無事出航することができました。初めはウトウがちらほら出ますが、波があるので船が揺れる、揺れる!そのため撮影の難しいこと。

ウトウ
ウトウ

ふと上を見上げるとずんぐりむっくりの鳥が飛んできました。(ずんぐりむっくり・ウトウよりも高い場所を飛ぶ???)気が付きましたが咄嗟で声が出ません!「エトピリカ!」と叫ぶと幸か不幸かあまりにも近くを飛んでいたのでみなさんが見上げた時にはすでに後ろ姿を見送るだけになってしまったが、ここ数年数を減らしているので観られただけでも超・ラッキーという事になります。

エトピリカ
エトピリカ

その後はガイドさんが若いツノメドリを見つけてくれて何とか撮影もできました。今年はチシマウガラスが多く見られるというのでその岩場へ。揺れる船上からの撮影はなかなか難しいですが、しっかり撮れたとのではと思う。参加者の皆さんはピンと来てないようだったので説明をしっかりしておく。この鳥は滅多に見られないし、夏羽なんて超レアなんだよと(笑)

ツノメドリ
ツノメドリ
チシマウガラス
チシマウガラス

その後はラッコがいる岩場へ行くと、まず親子が見られました。自分的にはこれでラッコはOKだったのですが、その後に海藻に身体を巻き付けた10数頭のラッコの群れに遭遇!これはまるでカリフォルニアじゃないか!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまいました。

海藻に身体を巻き付けたラッコ
海藻に身体を巻き付けたラッコ
10数頭のラッコの群れに遭遇!
10数頭のラッコの群れに遭遇!

周辺ではケイマフリがちらほら出てくれたので撮影もできたと思います。港に入る手前でトウゾクカモメが出現。撮影はできなかったと思いますが、本来ならば沖合にいる鳥なので港近くで見られただけでもラッキーです。

ケイマフリ
ケイマフリ

本当にラッキーだったのはこの後かもしれません。船から降りて車に乗った瞬間から雨が降り出しました。結局、宿に入るまでこれが降り続けることになるとは。宿に戻る途中にある、走古丹、野付半島を雨の中で生き物を探しますが、結果はパッとしません。それでも走古丹でエゾタヌキを見られたことは個人的にラッキーでした。何しろ溜めフンは見たことがあったのですが、生きてる姿は初めてだったからです。宿に到着後は、宿の向かいにある天然温泉へ希望者だけ入浴をしてもらい楽しんでいただきました。

6月13日(月) 3日目 雨のち曇り

雨が降ってなければ5時出発の予定でしたが、雨が降っていたので6時出発に変更しました。野付半島ではシカの食害で一番撮影がしやすい場所の草が減ってしまい、小鳥たちが巣造りができないため数が激減しているようでさっぱり!それでも何とか花が咲いている別ポイントで歩きながら撮影をしてもらいましたが、気温が低いので小鳥たちが花に上がってきません。気温が低いのでエサの虫が地面近くにいるためです。それでもカッコウだけは周囲を飛び回ってくれるのでこの場所はまだ多くの小鳥たちが繁殖していることがわかりました。しかしここで小鳥たちのアップが撮れないのが悔しい限りです。

エゾシカ
エゾシカ
カッコウ
カッコウ

2時間もするとみなさん寒さで疲労困憊している様子なので一旦トドワラのネイチャーセンターで休憩をしてもらうことにした。到着と同時に私の電話が鳴る。嫌な予感がする。やはり尾岱沼のクルーズだ。「本日は波が高いので船は出ない」と伝えられる。困った!野付もダメ、船もダメ、天気もダメの八方塞がりの中、急遽地元の知人にこの周辺でいいポイントはないかとメールで聞くと近くにある公園を教えてもらった。合わせて翌日予約してあるシマフクロウが撮影できる宿にも電話をして今日、空きがあれば入れるかと聞くと大丈夫という事で、ほっとする。今日の船は乗れないがシマフクロウのチャンスが1回増えたことを伝えるとみなさんの表情が穏やかになった。

休憩後は知人に教えてもらった公園へ行き撮影を楽しむ。草原・湿地・森林と狭いながらに多様な環境があることでいろんな鳥たちを楽しむことができました。園内にはクマが出るようで公園事務所でクマ鈴を借りて散策します。クマ本体には出くわさなかったが「うんち」を観察することができました。夜も撮影があるので早めに宿に入り夕食まで各自での休憩にしました。宿は西遊旅行社の所有の宿「知床サライ」です。夕食は羅臼と思えないほどの手の込んだおしゃれな料理で、夜の撮影が無ければもっとエンジョイができたのではとちょっぴり残念な気分になってしまいました。

シマフクロウは、今年はヒナが2羽いてひんぱんにエサを捕りに来るという事で、ペアでの出現が19時50分、20時50分と続いたがその後は出現が無く、予定どおり23時に終了としました。(出なかった場合は12時まで粘る予定でした)

獲物を捕らえたシマフクロウ
獲物を捕らえたシマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

初夏のみちのく山形 海から山まで -目指せ100種!-

Report by 簗川堅治 / 2022年6月9日~12日

 

山形県を一周し、初夏の鳥たちをできるだけ多く楽しむツアーです。結果としては雨も降らなかったことが幸いし、104種を確認することができました。

 

1日目。出発はガイドの簗川の地元・天童市です。まずは「こんな所で?」という場所でコチドリを観察。ヒバリが鳴き、ノスリが電柱に止まっています。

続いては神社へ。沼のほとりで朝をとるヨシゴイ、飛び交うコムクドリ、そして「キーキーキー」と鳴くチゴハヤブサを確認。次の目的地に移動中にオナガをゲット。

ヨシゴイ
ヨシゴイ
チゴハヤブサ
チゴハヤブサ

今度は違う神社で巣立って大きくなったフクロウを観察。かわいい!また移動して、こちらでも巣立って大きくなったバンの兄弟を観察。

フクロウ
フクロウ

今度は猛禽類を観察しに行く途中で、越夏中のキンクロハジロをゲットし、山間部へ到着です。猛禽類の定点です。しばらくしてノジコを観察、サシバが登場し、オシドリが通過。残念ながら、イヌワシ、クマタカは出ませんでした。

ノジコ
ノジコ

次の場所に移動中にハリオアマツバメとアマツバメなどを追加し、この日、最後の場所でトラフズクを観察しました。

トラフズク
トラフズク

2日目。早朝探鳥でアカショウビン、キバシリ、そしてオオアカゲラを狙います。しかし、それどころか、他の鳥もあまり鳴いておらず閑古鳥状態。結局、キバシリとアカショウビンは声のみ、オオアカゲラはそれらしい声は聞こえましたが確認まで至らず。他、ノジコやコサメビタキ、コガラ、ニュウナイスズメなどを確認して朝食の時間となりました。

山頂
山頂

朝食後は山間部で猛禽類を探すも時間帯が早かったせいもあり収穫はなし。河原ではカワガラスやオシドリを確認しました。

続いては、ちょっと難関のコジュリンとオオジュリン、そしてアリスイに挑戦。見づらかったものの、コジュリン、オオジュリンは確認できました。アリスイは声すらせず。他、コヨシキリやホオアカ、そして居残りのオオハクチョウを観察しました。

コヨシキリ
コヨシキリ

お昼を挟んで、シロチドリ探しです。いるはいるものの、遠すぎて陽炎ゆらゆらの中での観察でした。キアシシギは思わぬ収穫です。

続いて、ミサゴの巣を離れた場所から観察しようとしたところ、真上につがいが登場!ラッキーでした。

ミサゴ
ミサゴ

今度は、これまた難関のチゴモズです。しかし、けっこうあっさりと登場。オオタカも確認できました。おまけはイスカでした。

チゴモズ
チゴモズ

なかなか順調なので、ササゴイに挑戦。しかし、現れてくれませんでした。それでもカッコウやノスリ、そして小鳥を追いかけるオオタカの姿が観察できした。

この日最後はコアジサシを探しました。ところが今年はひと月前に100羽ほどいた群れが全くいなくなり、残念な結果になりました。それでも愛想の良いシロチドリで楽しいひとときを過ごしました。

シロチドリ
シロチドリ

3日目。まずは山形県唯一のカンムリカイツブリの繁殖地へ。無事見られ、マガモも追加。しかし、他はパッとしなかったため、山へ移動し、巣材をくわえたイカルや巣立ったエナガなどを観察しました。

イカル
イカル
カンムリカイツブリ
カンムリカイツブリ

朝食後は移動途中でハヤブサの親子と観察し、その後、コシアカツバメをじっくりと観察し、山間部へ。ここでまたクマタカを待つも現れず。移動中にクロサギを探すも、これまた現れず。

コシアカツバメ
コシアカツバメ

一旦、新潟県に入り、再び山形県内へ入り、ブッポウソウを待ちます。無事、観察できました。クマタカも期待しましたが、今度も現れず。

ブッポウソウ
ブッポウソウ

移動して湿地帯でケリを探しましたが、これも外しました。しかし、チョウゲンボウと山形県ではもっとも見づらい鳥のひとつ、セッカを確認。

この日の最後は、急きょ予定を早め亜高山帯へ。翌日が雨予報だったためです。高山帯では、きれいなウソが間近で見られたり、ホシガラス、メボソムシクイなどを追加確認しました。

4日目。雨予報でしたが、結果としては降らずに済みました。ラッキーです。早朝、ビンズイ、ルリビタキなどで楽しみ、朝食後は㊙の鳥を観察。

ルリビタキ
ルリビタキ

解散の時間も迫ってくる中、市街地の公園でアオバズクやチゴハヤブサを観察して、すべての行程を終え、最後は山形名物「冷たい肉そば」でお腹も満腹にして解散しました。

アオバズク
アオバズク

せわしない日程でしたが、たくさんの鳥を観察することができました。ありがとうございました。

この記事を書いた人

簗川 堅治 やながわ けんじ
1967年生まれ。山形県在住。日本野鳥の会山形県前支部長。「何しったのやぁ?こだい寒いどごで(何してるんですか?こんなに寒い所で)」「鳥ば見っだのよぉ(バードウォッチングです)」「こだい寒いどぎ、ほだなどさ、鳥あて、いだんだがしたぁ?(こんなに寒い時にそんな所に鳥がいるんですか?)」私の地元では、こんな会話が日常茶飯事です。鳥はいつでもどこでも楽しめます!見て、聞いて、撮って楽しんでもらうのはもちろん、ほっこりとした温かい時間を過ごしてもらえるように山形弁でがんばります。おらいの(私の)島、飛島さもきてけらっしゃい(飛島にもきてください)!

立山のライチョウを撮る 【2022年5月編 その2】

Report by 戸塚学 / 2022年5月23日~25日


<1日目> 快晴 

早朝まで雨が降っていたが、集合時間には晴れ上がった。時間通りみなさん集合したので室堂ターミナル屋上へイワツバメを撮影に向かったが・・・いない!全然いない。どういうことだ!20分ほど待ってもイワツバメ少ししかいないので宿へ向かう。

ランチ&ミーティングを済ませさっそくライチョウ探しに出る。天気が良すぎるせいか出が悪く、探すが見当たらない。とりあえずベースにしてあるポイントで待機をするとオスが喧嘩しながら飛びまわっている姿を見つけたので、宿の前に移動して飛翔する姿を撮影してもらった。

 
 
ライチョウ オス
ライチョウ オス

その後、知人が「ここにいるよ!」と電話連絡を入れてくれたのでそちらへ移動。しかしライチョウは結構厳しい場所にいて雪の斜面を上がり、何とか撮影をすることができた。夕方は夕日を狙ったが、雲海が赤く染まっただけで肩透かしで終わってしまった。夕食後20時に宿の玄関に集合してここで星の撮影用にカメラをセッティングする。明るい場所でこの設定をしないと暗い場所は無理なのだ。さて5分ほど雪の上を歩き山小屋の灯りの影響を受けない場所で撮影をしてもらうが何も見えない!「とにかくシャッターを切って」と言ってシャッターを切った後みなさんいっせいに「写ってる!」の声。その後は明るさを調節したり、角度を少しずつ変えながら撮影をしてもらい約30分の星空撮影は終了。これ以上粘ると明日も早いので納得してもらう。

星空

<2日目> 快晴 

5時に出発するとすぐにライチョウのペアが見つかったので撮影してもらう。すぐ近くでウソが良く出るのでこちらも撮影してもらうが、はじめ「ウソが近くで撮れるから」と言っても皆さん反応が悪い!そこでほぼ無理やり連れて行き撮影してもらうときれいでかわいいウソにぞっこんになっていた。

ライチョウ ペア
ウソ

立山から朝日が昇ると先ほどのペアのオスが「ここに上ったらいいね」と言っていた岩の上に上がって奥大日岳をバックに撮影できた!これで今回のライチョウの喧嘩・青空&岩の上&山バックを撮れてしまった!!!

ライチョウ ペア

朝食後はこのペアのいた場所へ戻るとまだいたので、青空バックのネズの上にいる写真やペアの写真を撮ってもらうが、日差しが強くなるとハイマツの下に入ってしまって動かなくなってしまったので「昨日の夢よ、ふたたび」で宿の前のテラスで飛び回るライチョウを待つと、喧嘩で飛び回りはしなかったが飛ぶ姿と山をバックにとまる姿を撮影できた。

ライチョウ オス

11時30分に終了してランチにする。その後は15時まで休憩にする。15時から捜索すると2ペア確認できたがどちらもハイマツの下から動かないのでこちらも待機。16時を過ぎると動き出したのでそれに就いて行くと、メスが砂浴びを開始。予定外の砂浴びの撮影まで撮れてしまった。

ライチョウ メス
ライチョウ メス

その後ペアで動き出したので先回りして待つと、広角レンズでの撮影までできてしまった。一旦夕食に戻り、夕陽の撮影に出ると先ほどのペアがいたので夕日で染まる姿も撮ることができた。夕陽は雲がかかりイマイチだったが誰も文句を言わないのは当然か(笑)

<3日目> 快晴

5時からの早朝撮影はどういうわけか全く見つからない。時間がもったいないので一旦宿に戻り休憩を兼ねて6時30分から朝食を食べ、荷物をまとめてもらい撮影に出る。最終日なので少し遠くまで探しに行くとさっそく見つかった!しばらく撮影した後ハイマツの下に入ってしまったので切り上げる。もう一つのポイントへ行くとこちらもペアが見つかったのでしばらく撮影してもらうとこちらもハイマツの中へ消えていった。みなさん昨日からしっかり撮れているので顔に余裕がある。ひとまずベースポイントへ戻りましょうか?伝え移動を始める。途中で「あの大きな岩場にライチョウがいるといいよね」なんて話して歩いていると・・・その場所に近づくと人影が?なんと・・・いた!ありえないマジでいた!こんなチャンスはないのでがっつり撮ってもらう。

ライチョウ オス

早めに切り上げる予定ではあったのだが、みなさん完全に「帰るモード」になっているので荷物をまとめ10時に室堂ターミナルへ向かい無事ここで解散となった。

それにしてもこれだけ当たりを引くとは信じられないが、今回の参加者は超ラッキーなのは間違いない。

立山
カヤクグリ

撮れた鳥
ライチョウ・カヤクグリ・ウソ・星空
観られた鳥や獣
ハシブトガラス・トビ・イワツバメ・アマツバメ・メボソムシクイ・ウグイス・ホシガラス・シジュウカラ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る 【2022年5月編 その1】

Report by 戸塚学 / 2022年5月20日~21日


<1日目> 雨時々曇り 

早朝は曇りだったが、7時頃から雪になりその後は雨になった。予定ではターミナル集合後イワツバメの撮影を予定していたが、残念ながらこの天気なので中止にする。そのまま宿に向かった。宿ではミーティングをしながらランチを食べる。各種説明が終わった後、外は小雨のようなのでライチョウを探しに出る。見晴らしのいい場所へ行くと、地獄谷の噴煙が見える岩の上にオスがいたので撮影をしてもらう。

ライチョウ オス
ライチョウ オス
ライチョウ オス
ライチョウ オス

昨日から入っているのだが岩とまりは初めてで、ほっと胸をなでおろす。昨日はまったく岩に上がらなかったのだ。10分もしないうちに飛び立ってしまい、戻ってくるかもしれないと待つが結局戻らず移動をすることにした。雨宿りを兼ねて宿まで来るとオスの鳴き声が?振り向くとこちらに向かって飛んで来てテラスの下に着地。「飛ぶか?飛ぶか?」と期待をして彼の進行方向へ移動するも飛び立ちはうまく撮れなかったようだ。移動中しばし雨も止んだ間にウソが撮れたのはラッキーだった!

ウソ
ウソ

 

<2日目> 雨のち霧

5時に集合するが外は雨・・・。予報では止んでいるはずだが仕方ない。準備をすると宿の前でいきなりオス同士の喧嘩が!しかし小競り合いですぐに1羽は見失い、もう1羽は立ち入り禁止の場所へ走って行ってしまった。とりあえず雨ではあるが捜索に出かけると、すぐにペアが見つかった。光はあまりよくはないが、雨も上がり日も差してきた。そこで撮影してもらい私は別の個体を探しに行くと見つけたが、動きが無かったのと霧が出てきたので朝食にする。

朝食後・・・霧が凄い!視界が無いので待機する。約30分後、一気に霧がはれたので出発。すぐにペアが見つかったので撮影をしてもらい、その間に別個体を探すとサクッと見つかったので参加者を呼びに行こうとすると2人が「飛んで行ったしまったから」と戻ってきたので今見つけたライチョウを撮りに行く。遊歩道脇で人がひしめき合っている中撮ってもらっていたが、よくとまる岩を双眼鏡で覗くと「いた!」すぐにそちらに移動開始。あと5分も歩けば着くという場所でライチョウが飛び去る姿が?飛ばれた!

ライチョウ オスの飛翔
ライチョウ オスの飛翔

なんとなくこちらに来そうだったので待っていると私たちがいる前の岩にとまった。本当ならバックに奥大日岳が入るのだが、霧で隠れているから仕方ない。それでも飛び立つところが撮れたので満足をされていた。その後もライチョウは見つかるが、霧が思うように晴れず12時少し前に終了してランチをとったのち解散となりました。

ライチョウ オス
ライチョウ オス

今回は天気がめちゃめちゃ悪いわけではないが、こちらが想定した「山バックのライチョウ」は撮影することができずに残念でしたが、ライチョウ自体はふつうに見られることができたので今後もできるようなら計画をしたいと思います。

イワヒバリ
イワヒバリ
カヤクグリ
カヤクグリ

撮れた鳥
ライチョウ・イワヒバリ・カヤクグリ・ウソ
観られた鳥や獣
ノスリ・ハシブトガラス・イワツバメ・アマツバメ・メボソムシクイ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

バードアイランド三宅島・野鳥撮影の旅

Report by 戸塚学 / 2022年5月16日~18日

 

5月16日(月) 初日移動
明日の三宅島の天気予報はあまりよくないが竹芝桟橋は曇り。予定通り出航した。出航してすぐは甲板からレインボーブリッジ通過の瞬間を見られるとあって数人が見学に行った。

 

5月17日(火) 三宅島 雨時々曇り
5時に新鼻荘の送迎車で宿へ。なんとなく雨が小降りになってきたので、レンジャーの話ではタネコマドリは「迷子椎」近くで出がいいというので大路池の周回散策路を歩きながら、鳥達の声を楽しみつつ、姿を探して移動。しかし三宅島の暗い森は厳しい・・・。声はすれども姿は見えず。アカコッコは道路に出てもすぐに飛び去る・・・。迷子椎のところでもタネコマドリの声はすれども姿は見えず・・・。いいところまで近づくが・・・去って行く。望み薄な感じなのでトイレのある桟橋まで足を延ばす。桟橋からは対岸にダイサギの姿が見られ、小雨が降る暗い中だがいい雰囲気なので撮影をしてもらう。そうこうしているうちにオシドリのペアが飛んできたので遠いけれどもこちらも撮ってもらう。湖岸の桑の実にシチトウメジロが集まるのでこちらも撮影してもらい、一旦アカコッコ館を目指す。

ダイサギ

オシドリ

シチトウメジロ

アカコッコ館では雨宿りをしながら撮影を試みるが暗いし視界が無くて手に負えないため、早々に切り上げ宿へ戻る。宿に戻るとおかみさんが庭にもアカコッコや小鳥が来るから撮ればいいと解放してくれたので12時まで撮影をすることにした。アカコッコは来なかったがオーストンヤマガラとカワラヒワが良くエサ台に来てくれたのと、上空を飛翔するカラスバトは10回以上見ることができた!

オーストンヤマガラ

カワラヒワ

12時タクシーが迎えに来たので目的地を急遽変えていつもお世話になっている宿へ行ってもらう。今年この宿の周辺だけアカコッコが多いというのだ。そこで傘を差しながら細い道を進むとアカコッコがいた!結構な頻度でアカコッコを見つけることができたのでみなさん何とか撮影ができたようでほっとする。ここで問題が!私のミスで明日が3時間、今日が2時間の予定を勘違いしてしまいタクシーの運転手に明日2時間に変更できるかと聞いてOKが出てほっとする。まぁミスのおかげでアカコッコを堪能できたのだから結果OKだろう。宿に戻ってからも庭の撮影をしているとアカコッコが来てくれたが、私は撮るどころか見ることもできなかった・・・いとかなし。そのまま終了して夜は地魚と地元の食材のおいしい晩御飯をいただきました。

アカコッコ

5月18日(水) 三宅島 晴れ
4時半から庭の小鳥とアカコッコ撮影。6時にタクシーが来たので伊豆岬へ移動。到着してドアを開けると・・・!すでにウチヤマセンニュウのさえずりがあちこちから聞こえる。すぐに双眼鏡で覗くと、いるいるいっぱいいる!できるだけ近い個体を見つけ場所を教えて撮ってもらう!よかったこんなに早くカタが付くとは。他にもウグイスのさえずりも目立つところでしていたのでしっかりと撮ってもらう。カラスバトも多くいるのだがこちらは遠い・・・。

ウチヤマセンニュウ

ウグイス

昨日のミスで2時間になってしまったがとても有効な2時間を堪能することができた。
一旦宿に戻り朝食を食べたのち、荷物をまとめて大路池の遊歩道へ。今日は迷子椎まで行かず途中のポイントで鳥を探すことにする。あまり鳥たちの姿が見られないので、各自で移動撮影をしてもらったことが良かったようで一部の方たちはタネコマドリやモスケミソサザイを撮ることができたようだ。残念ながら私は、モスケミソサザイは見られたがタネコマドリは見ることができなかった。

 

12時に宿のおかみさんに港に送ってもらう途中、阿古の集落にある溶岩が入った中学校を見学。火山島の生の姿を実感することができた。船上では甲板で鳥を探すが島を離党してすぐのカンムリウミスズメは外した。しかしオオミズナギドリや時々混じる黒いハシボソミズナギドリを観察&撮影しながら伊豆大島近くに来るとイルカの群れが現れた。ここでようやくクロアシアホウドリが2羽出てくれた!この先はオオミズナギドリ以外の期待が持てないこともあり、皆さん疲れたようで流れ終了(笑い)。夕日と富士山や夕焼けと羽田空港の飛行機を狙いつつ船は無事竹芝桟橋へ・下船と同時にそのまま解散となりました。

クロアシアホウドリ

オオミズナギドリ&ハシボソミズナギドリ

本当ならアカコッコ間の水場でばっちり撮影ができるはずが今年は鳥達の動きがいつもと違う+雨という天候不良により歩かないつもりが相当歩く結果になったことは申し訳なく思いましたが、地元の方たちの情報のおかげで歩いたことでアカコッコの撮影ができたことは何物にも代えがたい収穫だったのではと感じました。

 


撮れた鳥
カラスバト・ハシボソミズナギドリ・クロアシアホウドリ・ダイサギ・ミヤケコゲラ・シジュウカラ・オーストンヤマガラ・ウグイス・イイジマムシクイ・シチトウメジロ・ウチヤマセンニュウ・モスケミソサザイ・アカコッコ・タネコマドリ・カワラヒワ・オシドリ
観られた鳥・さえすり
コジュケイ・二ホンキジ・ウSP・アマツバメ・ウミネコ・ミサゴ・トビ・ノスリ?・アオバズク・ハシブトガラス・ヒヨドリ・イソヒヨドリ・スズメ
哺乳類
イタチ

 


この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る 【2022年4月編】

Report by 戸塚学 / 2022年4月24日~26日

<1日目>

天気予報は晴れだったが、まぁ大荒れにならなければ初日だしOKだ。15時に室堂ターミナル集合なので、待っていると時間通りにみなさん到着。ここでサングラスの有無を確認。サングラスを忘れてきた場合ここで買ってもらうことにしている。これは雪目対策。この時期の立山では残雪とモーレツな紫外線により雪目になりやすいのだ。ひどい場合、涙が止まらないとかまともに目が見えないなどの症状が出るので、サングラスは絶対条件としている。宿まで歩いて向かうのだが、来る途中にライチョウがいたので、ザックからカメラを出してもらい、いたらすぐ対応ができるようにしてもらう。ライチョウはいたが、ハイマツの下に潜って休憩中。

ハイマツの下に潜って休憩中のペア
ハイマツの下に潜って休憩中のペア

動きそうもないので待たずに宿へ向かう。荷物を降ろし、チェックインを済ませたのちライチョウを探しに行く。一番近いポイントで、まだらのオスを発見。これまた微妙な枝かげで休憩中。みなさんにはこのオスを撮ってもらいながら、この場所で待機をしてもらう。その間に私は少し離れたポイントへ捜索。見つけたら常連のお客様に電話で連絡して揃って来てもらうようにする。さて現着すると・・・いた!

  ライチョウのペア

あまりにもいい場所にいたので電話をして来てもらう。カメラマンは、私たち以外いない。という事は心置きなく撮影ができる。とはいえ、このペアまったりとして動きが見られない。時計は16時。「あと30分くらいで動くと思います。またこの場所は17時30分で斜面に太陽が隠れるので、それまでに動くことを祈りましょう!」と伝える。

そして16時30分メスが動き出すと、オスがエスコートを開始。2羽は採餌しながら私の思惑通りのコースを歩く。その間、辺りにはシャッター音が鳴り響く。

  白いメスのライチョウ 歩くオスのライチョウ

17時30分太陽も斜面に隠れる頃、ライチョウのペアもいい場所から移動したので、切り上げて夕陽を狙いに行く。ちょっと変わった雲が西の空に広がり「ドラマチックな夕陽」を連想させワクワクする。このポイントには先ほどいたオスのライチョウもいたので、風景とライチョウの2本立てで撮影を楽しんでもらっていたが、日没近くにこのオスライチョウは飛んで行ってしまった・・・。夕陽は思ったほど良くなく肩透かしで終わってしまったが、ペアをしっかり撮影できたので皆さんの表情がいい。夕食後の星空の撮影だが、空には雲が広がっていたため中止となってしまった。

<2日目>

5時30分に集合すると、すっきりしない天気。とりあえずライチョウを探すが、見当たらない。ここで予定を変更して6時に朝食を食べることにして、午前中の撮影を早めることにした。これは日帰りのカメラマンが室堂に到着するのが9時くらいなので、それまでに邪魔されずがっちり撮りたいためだ。見晴らしのいい場所に移動してもらい、カヤクグリの撮影をしながら待ってもらうことに。そして私はライチョウの捜索に出た。先入りしてから鉄板だったポイントにペアがいない!「困った」しかし近くのポイントを覗くとペアがいた!さっそくみなさんを呼び、来てもらう。

ここであることに気が付いた。数日前に見た時とオスが違う。足環が無いので一目瞭然、今いるオスは足環をしていないのだ。こんなこともあるものだと思いつつも皆さんには撮影をしてもらう。運がいいことに斜面なので大日岳を入れた撮影ができるのだ!

奥大日岳を背景にペアを撮影
奥大日岳を背景にペアを撮影

しかし時間がたつにつれ、天気が良すぎるせいか非常に暑い!暑さが苦手なライチョウなので涼しいハイマツの下に潜ってしまった。ここで一旦撮影を切り上げて宿へ向かう。途中にもライチョウのペアがいたが、こちらもハイマツの下でまったりなので撮影をせずに宿へ。ちょっと早いがここで昼食とお昼寝タイムとする。

合間に撮影できたウソ
合間に撮影できたウソ

15時に集合後、今回まだ行っていないポイントへ向かおうとすると、どうやらライチョウがいるのは双眼鏡を覗いてわかった。その理由は、植生が出ている場所にカップルなのか夫婦が入り込んで、ハイマツの下を覗いた後にライチョウがいると思われる場所で座り込んでいたからだ。注意しないわけにはいかないので、みなさんを連れて現場へ。その二人には少し離れた場所から声をかけ「そこへ入らないでください!」と叫ぶとすんなり出てくれた。できればそこにとどまって「なぜ注意をされたか」の理由を聞いてほしかったが、私たちが到着する前にどこかへ行ってしまった。高山では一見、裸地に見える場所にも高山植物の種が眠っていたりして、踏まれるとダメージを受けてしまうため、雪が無い季節は遊歩道外へは出られないが、雪のある時期はどうしてもこういうことが起きてしまう。ほとんどが悪気もないし知らずにやってしまうので説明をするようにしている。これはもちろん参加者にも徹底してもらっている。ついつい撮影に夢中になるとやりがちな行動なのだ。

伸びてこちらを覗うメス
伸びてこちらを覗うメス

オスのライチョウの顔が少しだけ見えるが、撮影には厳しく、ここで待っていいただきながら私は午前中のポイントへ行くと、いた!オスがいた。今度は大日岳ではなく太陽の位置が反対なので雄山をバックに撮れそうだったため、みんなを呼びに行く。しばらく待つ事にはなったが、ハイマツの下からメスも現れ、立山バック&青空の撮影をすることができた!しかし今回は当たりすぎだ!ペアが移動してしまったので夕日のポイントへ私たちも移動。その近くに別のペアがいたが、まだ休憩中のようでパスをする。そう・・・だんだん贅沢になるのだ(笑)

夕日はイマイチで、焼けることもなく終了。宿に戻ろうとすると先ほどのペアがいい場所に出てきていた!ここでは広角レンズで狙えそうなので、先行して宿に向かった2人に電話をかけて戻ってきてもらい、暗くなるまで撮影をすることができた。 夕食後、外に出ると満天の星空!だがしかし、先ほどまで無風だったのに強風が吹き荒れている!これでは三脚がぶれてしまい星の撮影ができないので、ここで終了となる。

日没後のぺア
日没後のぺア
夕焼けの雄山(おやま)
夕焼けの雄山(おやま)

<3日目>

5時30分に集合すると曇り、しかし晴れ間も見える?昼まで持つかなと悩ましい。ただし参加者の皆さん、2日間でお腹いっぱい良いシーンを撮影できたので、本日は余裕の表情と撮影スタイル。宿の玄関前にライチョウのペアがいたので撮影してもらっていると、オスが移動していい場所へ!まったくどうなってんだ、ツキまくりじゃないか!!!

時計を見てもう少し撮影ができそうだったので、宿から少し上がったポイントへ行くと、またしてもライチョウのペア!午後から雨の天気予報だったので、「早めに上がるかも」とアナウンスをしておいたがこれはもう、朝食時間の終了間際まで撮影してもらう。7時30分に切り上げ朝食を食べていただき、たくさん撮れたし天気が午後から雨なので濡れる前に切り上げようと思うと伝えると、皆さんからOKが出た。というより一部の方は早く帰ってPCで写真が見たいようなのだ(笑)。1名はもともと登山好きなので適当な時間に下山するという事で、私を含めた参加者5名は、9時に宿を出て室堂ターミナルで解散となりました。立山駅到着後、車を走らせるとすぐに雨が降ってきた!時間は11時30分。最後の最後までもってる方ばかりのツアーだったとしみじみ感じた。

白い雄
白いオスのライチョウ

撮れた鳥
ライチョウ・ウソ・カヤクグリ
観られた鳥や獣
イワヒバリ・ハシブトガラス・メジロ・ヒヨドリ・ウグイス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
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