夏の富士山・奥庭で亜高山帯の野鳥と
大磯海岸でアオバト観察

report by 吉成才丈 2023年8月21日~23日

 

1日目

今回は全員が新宿のバスターミナルに集合し、乗り換えなしのバスで、標高約2,300mの富士山五合目に向かいました。この暑い時期ですからね、高速道路上のバス停にとまる以外はダイレクトに現地に行くことができるので、本当に便利で快適です。

ほぼ予定通りに奥庭荘に着くと、さっそくかぶりつきで撮影する方、まずは昼食をとる方など、銘々で自由に行動していただきました。奥庭では散策もできますが、歩く距離も短く散策路も整備されていて危険は少ないため、各自で思い思いに行動できるのも魅力の一つだと思います。

水場
水場

水場では、ウソやルリビタキ、ヒガラ、キクイタダキ、メボソムシクイなどがパラパラと出てきてくれました。最短だと、鳥までは10mもない条件なので、手持ちの撮影システムで撮られていた方でも、バッチリと写っていると思います。この日の午後だけでも十分満足という声も聞こえるほど、小鳥たちは、かなりの頻度で出てきてくれました。

ウソ(HO様撮影)
ウソ(HO様撮影)
キクイタダキ(HO様撮影)
キクイタダキ(HO様撮影)

奥庭荘は山小屋なので、お風呂もシャワーもありません(涼しいので汗もかかず、朝晩は肌寒いほど)。夕食もまだ明るい時間の16時30分と早いのですが、食事の内容は山小屋とは思えないほど豪華です。

豪華でボリュームのある夕食
豪華でボリュームのある夕食

夕食を終えても明るいので、奥庭荘のご主人が散策路を案内してくれました。あいにく、西の空の雲が厚かったので富士山は赤く染まりませんでしたが、間近に見える富士山山頂も楽しめました。そして夜になると、雲の合間から星空も見えました。最近のスマホは性能がよく、星空も簡単に撮れてしまうのですね。2枚とも、iPhoneで撮影した画像です。

富士山と星空
富士山と星空
星空
星空

 

2日目

明け方は晴れており、富士山の稜線から昇るご来光も見ることができました。

日の出
日の出

昨日同様、この日も小鳥たちはよく出てきてくれました。昨日は出てこなかったルリビタキのオスも何度もやってきましたが、オスだけでも3個体いるような印象でした。本当に、ルリビタキのオスは美しいですね。

ルリビタキのオス(HO様撮影)
ルリビタキのオス(HO様撮影)
メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)
メボソムシクイ(左)、ルリビタキ(右)
左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ
左からヒガラ、ウソ、メボソムシクイ

この日の午前中は奥庭荘で楽しみ、昼食後には、翌日のアオバト観察に備えて大磯方面へ移動しました。

 

3日目

あいにく、この日の天気予報は曇りベースの雨…。天候の回復を願い、まだ薄暗いうちにホテルを出発し、大磯・照ヶ崎海岸に到着。到着時から少し降りましたが、階段下のわずかなスペースで雨宿りしていると次第に雨が上がり、なんと晴れ間まででてきました。アオバトも飛来はするものの、なにかに警戒してなかなか岩場に降りません。また、飛来してくる方向の山はかなり雨が降っていたようで、晴天時よりはアオバトの個体数は少ないようでした。でもそのうち徐々に岩場に降りるようになり、海水を飲む様子なども観察できました。

飛来してきたアオバト
飛来してきたアオバト
海水を飲むアオバト
海水を飲むアオバト
波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)
波で飛び上がったアオバト(HO様撮影)

そして、海水を飲んでいたアオバトが一斉に飛び立つと、ハヤブサの幼鳥が登場しました。アオバトを襲う様子は見られませんでしたが、やはりどこかに潜んでいたようですね。

ハヤブサ幼鳥
ハヤブサ幼鳥

最終日は雨予報でハラハラしましたが、昨年は快晴でかなり暑かったことを考えると、今年は過ごしやすくて助かった面もあります。観察を終えると、チェックアウト時間を延長していたホテルに戻って解散しました。きっと皆さん、シャワーを浴びてお帰りになられたことと思います。標高2,300mの亜高山の鳥と海岸のアオバトという面白い組み合わせですが、今年もバラエティに富んだ鳥見が楽しめました。

 

(観察種数27種)

 

 

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

夏の富士山・奥庭の野鳥と大磯海岸でのアオバト観察

Report by 吉成才丈 / 2022年8月22日~24日

<1日目>

途中から乗車する方を除き、新宿のバスターミナルに集合。ここから乗り換えなしで、標高約2,300mの富士山五合目まで行かれるのは本当に便利です。

予定より少し遅れて奥庭荘に着き、先着組に様子を聞くと、「この日の午前中はウソが1回出ただけ..」という不安な返答。

奥庭荘の水場
奥庭荘の水場

たしかに、昼食を済ませてじっと待っても、小鳥たちは出てきてくれません。

雨が多いことも影響しているのだろうと思ってさらに待つと、夕方になってようやく、ルリビタキやウソ、キクイタダキなどが出てきてくれました。
頂いた写真はどれもどアップですが、被写体までの近さが感じられますよね。

ルリビタキ(冨安市子様撮影)
ルリビタキ(冨安市子様撮影)
ウソ(冨安市子様撮影)
ウソ(冨安市子様撮影)

奥庭荘は山小屋なので夜間の消灯も早いのですが、早めの夕食後には、ガスの中で赤く染まる富士山も見られました。

ちなみに、奥庭荘の夕食は山小屋にしては豪華でウナギもついており、皆さん驚かれていました。

夕方の富士山山頂付近
夕方の富士山山頂付近

<2日目>

昨夜は時折強い雨が降ったものの、未明には雲がない時間帯もあったようで、素晴らしい星空の写真を撮られていた方がいて驚かされました。

夜明けの富士山の風景も美しく、これだけでも来る価値があると思います。

夜明けの富士山
夜明けの富士山

昨日は水場への飛来が少なくハラハラしましたが、この日は朝からルリビタキやウソ、メボソムシクイ、ヒガラなどがコンスタントに出てくれました。

メボソムシクイ(冨安市子様撮影)
メボソムシクイ(冨安市子様撮影)

光線状態もよく、シャッターチャンスも多かったと思いますが、平地では見慣れないウソの幼鳥はかわいかったですね。

ウソの幼鳥
ウソの幼鳥

そして、水場には降りてきませんでしたが、ホシガラスは近くのカラマツなどにとまってくれました。

ホシガラス(冨安市子様撮影)
ホシガラス(冨安市子様撮影)

奥庭荘の水場はすぐ目の前にあり、最短のポジションだと10mを切るほどの近さなので、観察は双眼鏡でも十分楽しめ、撮影は大砲レンズでなくても大丈夫です。

また奥庭荘の良さは、自分のペースで鳥見や撮影が楽しめる点にもあり、近くの散策路で景色や植物を見ながら鳥を探したり、奥庭荘で頼めるコーヒーを飲みながら座敷で鳥を見ることもできます。

なかには2階の室内から窓を開けて見下ろす方もおり、銘々に亜高山の鳥を楽しんでいただきました。

翌日のアオバト観察に備え、昼食後には大磯方面へ移動しました。

<3日目>

大磯・照ヶ崎海岸のアオバトは早朝からの飛来が多いため早めに現着したものの、すでに10名以上のカメラマンがスタンバイしていました。

アオバトは数羽から30羽ほどの群れがコンスタントに飛来し、磯におりては海水を飲む行動が観察されました。

アオバトの群れ
アオバトの群れ
アオバト
アオバト
海水を飲みに降りたアオバト
海水を飲みに降りたアオバト

しかし、この日はハヤブサ幼鳥が頻繁にアオバトを狙って群れに突っ込み、アオバトも落ち着いて海水を飲んでいられませんでした。

ハヤブサは若く、狩りも未熟なため、なかなかアオバトを捕らえることができません。おかげで(?)、緊迫の狩りの様子を何度も見ることができました。

やっとアオバトを捕らえたと思ったら、その後、海上に獲物を落としてしまいました…

獲物を捕らえたハヤブサ
獲物を捕らえたハヤブサ

アオバト以外にもクロサギやカワセミが出たり、ミサゴが海に飛び込んだりで、あっという間に時間が過ぎていきました。

トビ(冨安市子様撮影)
トビ(冨安市子様撮影)
ミサゴ
ミサゴ
クロサギ(冨安市子様撮影)
クロサギ(冨安市子様撮影)

暑さもあり、アオバトの飛来も少なくなるので早めに切り上げて解散しましたが、皆さん、チェックアウトしていなかった部屋に戻り、シャワーを浴びてお帰りになられたと思います。

大磯のアオバトは早朝の時間帯がよいので奥庭荘と組み合わせてみましたが、環境にも鳥にも変化があり、バラエティに富んだ鳥見ができたと思います。

また、ほぼ歩かずに自分のペースで楽しめるので、のんびり楽しみたい方には最適だと感じました。

(観察種数29種)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。

夏の富士山奥庭で亜高山帯の野鳥観察

Report by 吉成才丈 / 2021年8月21日~22日

真夏の暑さとは無縁の富士山五合目・奥庭ですが、直前の天気予報は雨…。少しでも好転することを願いつつ、新宿のバスターミナルを出発しました。途中、富士山の姿が見えてきてほっとしましたが、やはり厚い雲が気になります。今回は1泊2日の短い行程なので、できるだけよい条件で..と富士山に祈りながら向かいました。

車窓の富士山
車窓の富士山

昼すぎに奥庭荘に到着すると天気は曇りで、時折、陽も差し始めるという好条件。標高も2,200m近くあるので気温も20度ほどと涼しく、下界とは異なり快適そのものです。

奥庭荘
奥庭荘

なぜこの奥庭荘を訪ねたかというと、ここには高山では貴重な水場があり、亜高山帯の鳥たちが水を飲んだり水浴びに来る様子が間近で観察できるのです。間近で、ですよ!

ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)

さっそく観察・撮影のスタンバイをすると、ルリビタキやウソ、ホシガラスが水場にやってきてくれました。

ルリビタキ(幼鳥)
ルリビタキ(幼鳥)
ウソ(オス)
ウソ(オス)
ホシガラス
ホシガラス

すこし慣れてくると、皆さんも鳥たちの行動パターンが分かるようになり、水場の前後にとまる木や岩にとまる姿も撮れるようになります。

ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)
ルリビタキ(オス)

そして翌日の午前中も天気はもち、昼頃まで亜高山帯の鳥たちを楽しむことができました。

奥庭の魅力は、夏の暑い時期に亜高山帯の鳥たちが間近で楽しめること。
水場だけならほぼ歩かず、片道約300mの散策路を歩くと景色や野鳥、高山植物などが楽しめ、自分のペースで自由に観察・撮影ができること。体力に自信のない方もOKです。そして雲がかからなければ、夕方には赤く染まる富士山が間近に見えることなど。今回は雲がかかって赤富士は見られませんでしたが、鳴声をたよりにキクイタダキやメボソムシクイを撮影された方もいました。

 

暑さと鳥の端境期で出かける場所も少ないこの時期には、標高が高くて快適な奥庭は最適な鳥見スポットです。来年は、赤く染まる迫力ある富士山もぜひ..。

目の前の富士山の迫力は写真では伝わりません
目の前の富士山の迫力は写真では伝わりません

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。