立山のライチョウを撮る 【2022年5月編 その2】

Report by 戸塚学 / 2022年5月23日~25日


<1日目> 快晴 

早朝まで雨が降っていたが、集合時間には晴れ上がった。時間通りみなさん集合したので室堂ターミナル屋上へイワツバメを撮影に向かったが・・・いない!全然いない。どういうことだ!20分ほど待ってもイワツバメ少ししかいないので宿へ向かう。

ランチ&ミーティングを済ませさっそくライチョウ探しに出る。天気が良すぎるせいか出が悪く、探すが見当たらない。とりあえずベースにしてあるポイントで待機をするとオスが喧嘩しながら飛びまわっている姿を見つけたので、宿の前に移動して飛翔する姿を撮影してもらった。

 
 
ライチョウ オス
ライチョウ オス

その後、知人が「ここにいるよ!」と電話連絡を入れてくれたのでそちらへ移動。しかしライチョウは結構厳しい場所にいて雪の斜面を上がり、何とか撮影をすることができた。夕方は夕日を狙ったが、雲海が赤く染まっただけで肩透かしで終わってしまった。夕食後20時に宿の玄関に集合してここで星の撮影用にカメラをセッティングする。明るい場所でこの設定をしないと暗い場所は無理なのだ。さて5分ほど雪の上を歩き山小屋の灯りの影響を受けない場所で撮影をしてもらうが何も見えない!「とにかくシャッターを切って」と言ってシャッターを切った後みなさんいっせいに「写ってる!」の声。その後は明るさを調節したり、角度を少しずつ変えながら撮影をしてもらい約30分の星空撮影は終了。これ以上粘ると明日も早いので納得してもらう。

星空

<2日目> 快晴 

5時に出発するとすぐにライチョウのペアが見つかったので撮影してもらう。すぐ近くでウソが良く出るのでこちらも撮影してもらうが、はじめ「ウソが近くで撮れるから」と言っても皆さん反応が悪い!そこでほぼ無理やり連れて行き撮影してもらうときれいでかわいいウソにぞっこんになっていた。

ライチョウ ペア
ウソ

立山から朝日が昇ると先ほどのペアのオスが「ここに上ったらいいね」と言っていた岩の上に上がって奥大日岳をバックに撮影できた!これで今回のライチョウの喧嘩・青空&岩の上&山バックを撮れてしまった!!!

ライチョウ ペア

朝食後はこのペアのいた場所へ戻るとまだいたので、青空バックのネズの上にいる写真やペアの写真を撮ってもらうが、日差しが強くなるとハイマツの下に入ってしまって動かなくなってしまったので「昨日の夢よ、ふたたび」で宿の前のテラスで飛び回るライチョウを待つと、喧嘩で飛び回りはしなかったが飛ぶ姿と山をバックにとまる姿を撮影できた。

ライチョウ オス

11時30分に終了してランチにする。その後は15時まで休憩にする。15時から捜索すると2ペア確認できたがどちらもハイマツの下から動かないのでこちらも待機。16時を過ぎると動き出したのでそれに就いて行くと、メスが砂浴びを開始。予定外の砂浴びの撮影まで撮れてしまった。

ライチョウ メス
ライチョウ メス

その後ペアで動き出したので先回りして待つと、広角レンズでの撮影までできてしまった。一旦夕食に戻り、夕陽の撮影に出ると先ほどのペアがいたので夕日で染まる姿も撮ることができた。夕陽は雲がかかりイマイチだったが誰も文句を言わないのは当然か(笑)

<3日目> 快晴

5時からの早朝撮影はどういうわけか全く見つからない。時間がもったいないので一旦宿に戻り休憩を兼ねて6時30分から朝食を食べ、荷物をまとめてもらい撮影に出る。最終日なので少し遠くまで探しに行くとさっそく見つかった!しばらく撮影した後ハイマツの下に入ってしまったので切り上げる。もう一つのポイントへ行くとこちらもペアが見つかったのでしばらく撮影してもらうとこちらもハイマツの中へ消えていった。みなさん昨日からしっかり撮れているので顔に余裕がある。ひとまずベースポイントへ戻りましょうか?伝え移動を始める。途中で「あの大きな岩場にライチョウがいるといいよね」なんて話して歩いていると・・・その場所に近づくと人影が?なんと・・・いた!ありえないマジでいた!こんなチャンスはないのでがっつり撮ってもらう。

ライチョウ オス

早めに切り上げる予定ではあったのだが、みなさん完全に「帰るモード」になっているので荷物をまとめ10時に室堂ターミナルへ向かい無事ここで解散となった。

それにしてもこれだけ当たりを引くとは信じられないが、今回の参加者は超ラッキーなのは間違いない。

立山
カヤクグリ

撮れた鳥
ライチョウ・カヤクグリ・ウソ・星空
観られた鳥や獣
ハシブトガラス・トビ・イワツバメ・アマツバメ・メボソムシクイ・ウグイス・ホシガラス・シジュウカラ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る 【2022年5月編 その1】

Report by 戸塚学 / 2022年5月20日~21日


<1日目> 雨時々曇り 

早朝は曇りだったが、7時頃から雪になりその後は雨になった。予定ではターミナル集合後イワツバメの撮影を予定していたが、残念ながらこの天気なので中止にする。そのまま宿に向かった。宿ではミーティングをしながらランチを食べる。各種説明が終わった後、外は小雨のようなのでライチョウを探しに出る。見晴らしのいい場所へ行くと、地獄谷の噴煙が見える岩の上にオスがいたので撮影をしてもらう。

ライチョウ オス
ライチョウ オス
ライチョウ オス
ライチョウ オス

昨日から入っているのだが岩とまりは初めてで、ほっと胸をなでおろす。昨日はまったく岩に上がらなかったのだ。10分もしないうちに飛び立ってしまい、戻ってくるかもしれないと待つが結局戻らず移動をすることにした。雨宿りを兼ねて宿まで来るとオスの鳴き声が?振り向くとこちらに向かって飛んで来てテラスの下に着地。「飛ぶか?飛ぶか?」と期待をして彼の進行方向へ移動するも飛び立ちはうまく撮れなかったようだ。移動中しばし雨も止んだ間にウソが撮れたのはラッキーだった!

ウソ
ウソ

 

<2日目> 雨のち霧

5時に集合するが外は雨・・・。予報では止んでいるはずだが仕方ない。準備をすると宿の前でいきなりオス同士の喧嘩が!しかし小競り合いですぐに1羽は見失い、もう1羽は立ち入り禁止の場所へ走って行ってしまった。とりあえず雨ではあるが捜索に出かけると、すぐにペアが見つかった。光はあまりよくはないが、雨も上がり日も差してきた。そこで撮影してもらい私は別の個体を探しに行くと見つけたが、動きが無かったのと霧が出てきたので朝食にする。

朝食後・・・霧が凄い!視界が無いので待機する。約30分後、一気に霧がはれたので出発。すぐにペアが見つかったので撮影をしてもらい、その間に別個体を探すとサクッと見つかったので参加者を呼びに行こうとすると2人が「飛んで行ったしまったから」と戻ってきたので今見つけたライチョウを撮りに行く。遊歩道脇で人がひしめき合っている中撮ってもらっていたが、よくとまる岩を双眼鏡で覗くと「いた!」すぐにそちらに移動開始。あと5分も歩けば着くという場所でライチョウが飛び去る姿が?飛ばれた!

ライチョウ オスの飛翔
ライチョウ オスの飛翔

なんとなくこちらに来そうだったので待っていると私たちがいる前の岩にとまった。本当ならバックに奥大日岳が入るのだが、霧で隠れているから仕方ない。それでも飛び立つところが撮れたので満足をされていた。その後もライチョウは見つかるが、霧が思うように晴れず12時少し前に終了してランチをとったのち解散となりました。

ライチョウ オス
ライチョウ オス

今回は天気がめちゃめちゃ悪いわけではないが、こちらが想定した「山バックのライチョウ」は撮影することができずに残念でしたが、ライチョウ自体はふつうに見られることができたので今後もできるようなら計画をしたいと思います。

イワヒバリ
イワヒバリ
カヤクグリ
カヤクグリ

撮れた鳥
ライチョウ・イワヒバリ・カヤクグリ・ウソ
観られた鳥や獣
ノスリ・ハシブトガラス・イワツバメ・アマツバメ・メボソムシクイ

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

立山のライチョウを撮る 【2022年4月編】

Report by 戸塚学 / 2022年4月24日~26日

<1日目>

天気予報は晴れだったが、まぁ大荒れにならなければ初日だしOKだ。15時に室堂ターミナル集合なので、待っていると時間通りにみなさん到着。ここでサングラスの有無を確認。サングラスを忘れてきた場合ここで買ってもらうことにしている。これは雪目対策。この時期の立山では残雪とモーレツな紫外線により雪目になりやすいのだ。ひどい場合、涙が止まらないとかまともに目が見えないなどの症状が出るので、サングラスは絶対条件としている。宿まで歩いて向かうのだが、来る途中にライチョウがいたので、ザックからカメラを出してもらい、いたらすぐ対応ができるようにしてもらう。ライチョウはいたが、ハイマツの下に潜って休憩中。

ハイマツの下に潜って休憩中のペア
ハイマツの下に潜って休憩中のペア

動きそうもないので待たずに宿へ向かう。荷物を降ろし、チェックインを済ませたのちライチョウを探しに行く。一番近いポイントで、まだらのオスを発見。これまた微妙な枝かげで休憩中。みなさんにはこのオスを撮ってもらいながら、この場所で待機をしてもらう。その間に私は少し離れたポイントへ捜索。見つけたら常連のお客様に電話で連絡して揃って来てもらうようにする。さて現着すると・・・いた!

  ライチョウのペア

あまりにもいい場所にいたので電話をして来てもらう。カメラマンは、私たち以外いない。という事は心置きなく撮影ができる。とはいえ、このペアまったりとして動きが見られない。時計は16時。「あと30分くらいで動くと思います。またこの場所は17時30分で斜面に太陽が隠れるので、それまでに動くことを祈りましょう!」と伝える。

そして16時30分メスが動き出すと、オスがエスコートを開始。2羽は採餌しながら私の思惑通りのコースを歩く。その間、辺りにはシャッター音が鳴り響く。

  白いメスのライチョウ 歩くオスのライチョウ

17時30分太陽も斜面に隠れる頃、ライチョウのペアもいい場所から移動したので、切り上げて夕陽を狙いに行く。ちょっと変わった雲が西の空に広がり「ドラマチックな夕陽」を連想させワクワクする。このポイントには先ほどいたオスのライチョウもいたので、風景とライチョウの2本立てで撮影を楽しんでもらっていたが、日没近くにこのオスライチョウは飛んで行ってしまった・・・。夕陽は思ったほど良くなく肩透かしで終わってしまったが、ペアをしっかり撮影できたので皆さんの表情がいい。夕食後の星空の撮影だが、空には雲が広がっていたため中止となってしまった。

<2日目>

5時30分に集合すると、すっきりしない天気。とりあえずライチョウを探すが、見当たらない。ここで予定を変更して6時に朝食を食べることにして、午前中の撮影を早めることにした。これは日帰りのカメラマンが室堂に到着するのが9時くらいなので、それまでに邪魔されずがっちり撮りたいためだ。見晴らしのいい場所に移動してもらい、カヤクグリの撮影をしながら待ってもらうことに。そして私はライチョウの捜索に出た。先入りしてから鉄板だったポイントにペアがいない!「困った」しかし近くのポイントを覗くとペアがいた!さっそくみなさんを呼び、来てもらう。

ここであることに気が付いた。数日前に見た時とオスが違う。足環が無いので一目瞭然、今いるオスは足環をしていないのだ。こんなこともあるものだと思いつつも皆さんには撮影をしてもらう。運がいいことに斜面なので大日岳を入れた撮影ができるのだ!

奥大日岳を背景にペアを撮影
奥大日岳を背景にペアを撮影

しかし時間がたつにつれ、天気が良すぎるせいか非常に暑い!暑さが苦手なライチョウなので涼しいハイマツの下に潜ってしまった。ここで一旦撮影を切り上げて宿へ向かう。途中にもライチョウのペアがいたが、こちらもハイマツの下でまったりなので撮影をせずに宿へ。ちょっと早いがここで昼食とお昼寝タイムとする。

合間に撮影できたウソ
合間に撮影できたウソ

15時に集合後、今回まだ行っていないポイントへ向かおうとすると、どうやらライチョウがいるのは双眼鏡を覗いてわかった。その理由は、植生が出ている場所にカップルなのか夫婦が入り込んで、ハイマツの下を覗いた後にライチョウがいると思われる場所で座り込んでいたからだ。注意しないわけにはいかないので、みなさんを連れて現場へ。その二人には少し離れた場所から声をかけ「そこへ入らないでください!」と叫ぶとすんなり出てくれた。できればそこにとどまって「なぜ注意をされたか」の理由を聞いてほしかったが、私たちが到着する前にどこかへ行ってしまった。高山では一見、裸地に見える場所にも高山植物の種が眠っていたりして、踏まれるとダメージを受けてしまうため、雪が無い季節は遊歩道外へは出られないが、雪のある時期はどうしてもこういうことが起きてしまう。ほとんどが悪気もないし知らずにやってしまうので説明をするようにしている。これはもちろん参加者にも徹底してもらっている。ついつい撮影に夢中になるとやりがちな行動なのだ。

伸びてこちらを覗うメス
伸びてこちらを覗うメス

オスのライチョウの顔が少しだけ見えるが、撮影には厳しく、ここで待っていいただきながら私は午前中のポイントへ行くと、いた!オスがいた。今度は大日岳ではなく太陽の位置が反対なので雄山をバックに撮れそうだったため、みんなを呼びに行く。しばらく待つ事にはなったが、ハイマツの下からメスも現れ、立山バック&青空の撮影をすることができた!しかし今回は当たりすぎだ!ペアが移動してしまったので夕日のポイントへ私たちも移動。その近くに別のペアがいたが、まだ休憩中のようでパスをする。そう・・・だんだん贅沢になるのだ(笑)

夕日はイマイチで、焼けることもなく終了。宿に戻ろうとすると先ほどのペアがいい場所に出てきていた!ここでは広角レンズで狙えそうなので、先行して宿に向かった2人に電話をかけて戻ってきてもらい、暗くなるまで撮影をすることができた。 夕食後、外に出ると満天の星空!だがしかし、先ほどまで無風だったのに強風が吹き荒れている!これでは三脚がぶれてしまい星の撮影ができないので、ここで終了となる。

日没後のぺア
日没後のぺア
夕焼けの雄山(おやま)
夕焼けの雄山(おやま)

<3日目>

5時30分に集合すると曇り、しかし晴れ間も見える?昼まで持つかなと悩ましい。ただし参加者の皆さん、2日間でお腹いっぱい良いシーンを撮影できたので、本日は余裕の表情と撮影スタイル。宿の玄関前にライチョウのペアがいたので撮影してもらっていると、オスが移動していい場所へ!まったくどうなってんだ、ツキまくりじゃないか!!!

時計を見てもう少し撮影ができそうだったので、宿から少し上がったポイントへ行くと、またしてもライチョウのペア!午後から雨の天気予報だったので、「早めに上がるかも」とアナウンスをしておいたがこれはもう、朝食時間の終了間際まで撮影してもらう。7時30分に切り上げ朝食を食べていただき、たくさん撮れたし天気が午後から雨なので濡れる前に切り上げようと思うと伝えると、皆さんからOKが出た。というより一部の方は早く帰ってPCで写真が見たいようなのだ(笑)。1名はもともと登山好きなので適当な時間に下山するという事で、私を含めた参加者5名は、9時に宿を出て室堂ターミナルで解散となりました。立山駅到着後、車を走らせるとすぐに雨が降ってきた!時間は11時30分。最後の最後までもってる方ばかりのツアーだったとしみじみ感じた。

白い雄
白いオスのライチョウ

撮れた鳥
ライチョウ・ウソ・カヤクグリ
観られた鳥や獣
イワヒバリ・ハシブトガラス・メジロ・ヒヨドリ・ウグイス

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員