初夏の道東ワイルドライフフォトスペシャル【前編】

Report by 戸塚学 / 2022年6月11日~16日

 

6月11日(土) 1日目 曇りのち雨

集合時間にみなさん間に合ったので専用車に乗り、雨が降る前に霧多布に向かいました。出発時は曇りだったのですが、目的地に近づくにつれて雨が降り出します。霧多布岬は霧の中で視界がききません。当然ラッコの親子の姿を見ることも不可能なので残念ですが宿に向かう事にしました。途中オジロワシがテトラポットにとまっていましたが、写真的にイマイチだったので停まらずに通過させてもらうことにした。移動途中にタンチョウがいる場所を通過するので、いないかなと探していると廃校になった小学校にいました。車外に出ると逃げてしまうので、車内から撮影をしてもらいました。この日は雨が止まなかったのでここで終了となりました。

 

6月12日(日) 2日目 曇りのち大雨

晴れていれば4時30分や5時からスタートしたいところですが、曇っていて暗かったので6時から宿の前で撮影開始です。タンチョウのペアが風連湖にいたのでセンダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮ってもらったり、草むらでさえずる小鳥をさがして撮影しました。

センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
センダイハギの黄色の花を前ボケに入れて撮影
風連湖にいたペアのタンチョウ
風連湖にいたペアのタンチョウ

朝食後に車へ荷物を積み込んでいると道路の対岸に真赤なベニマシコのオスが出たので、居合わせたみなさんは撮影を楽しまれたのですが、遅れた2名が撮影できなかったのが悔しかった。

オスのベニマシコ
オスのベニマシコ

落石港へ向かう途中に立派な木にとまるオジロワシのペアがいたので、ゆっくり静かに近づくが全く逃げる気配がないので、橋の上からがっちりと撮影することができました。

オジロワシ
オジロワシ

落石クルーズは少し波が心配でしたが無事出航することができました。初めはウトウがちらほら出ますが、波があるので船が揺れる、揺れる!そのため撮影の難しいこと。

ウトウ
ウトウ

ふと上を見上げるとずんぐりむっくりの鳥が飛んできました。(ずんぐりむっくり・ウトウよりも高い場所を飛ぶ???)気が付きましたが咄嗟で声が出ません!「エトピリカ!」と叫ぶと幸か不幸かあまりにも近くを飛んでいたのでみなさんが見上げた時にはすでに後ろ姿を見送るだけになってしまったが、ここ数年数を減らしているので観られただけでも超・ラッキーという事になります。

エトピリカ
エトピリカ

その後はガイドさんが若いツノメドリを見つけてくれて何とか撮影もできました。今年はチシマウガラスが多く見られるというのでその岩場へ。揺れる船上からの撮影はなかなか難しいですが、しっかり撮れたとのではと思う。参加者の皆さんはピンと来てないようだったので説明をしっかりしておく。この鳥は滅多に見られないし、夏羽なんて超レアなんだよと(笑)

ツノメドリ
ツノメドリ
チシマウガラス
チシマウガラス

その後はラッコがいる岩場へ行くと、まず親子が見られました。自分的にはこれでラッコはOKだったのですが、その後に海藻に身体を巻き付けた10数頭のラッコの群れに遭遇!これはまるでカリフォルニアじゃないか!こんなことは初めてで私自身が興奮をしてしまいました。

海藻に身体を巻き付けたラッコ
海藻に身体を巻き付けたラッコ
10数頭のラッコの群れに遭遇!
10数頭のラッコの群れに遭遇!

周辺ではケイマフリがちらほら出てくれたので撮影もできたと思います。港に入る手前でトウゾクカモメが出現。撮影はできなかったと思いますが、本来ならば沖合にいる鳥なので港近くで見られただけでもラッキーです。

ケイマフリ
ケイマフリ

本当にラッキーだったのはこの後かもしれません。船から降りて車に乗った瞬間から雨が降り出しました。結局、宿に入るまでこれが降り続けることになるとは。宿に戻る途中にある、走古丹、野付半島を雨の中で生き物を探しますが、結果はパッとしません。それでも走古丹でエゾタヌキを見られたことは個人的にラッキーでした。何しろ溜めフンは見たことがあったのですが、生きてる姿は初めてだったからです。宿に到着後は、宿の向かいにある天然温泉へ希望者だけ入浴をしてもらい楽しんでいただきました。

6月13日(月) 3日目 雨のち曇り

雨が降ってなければ5時出発の予定でしたが、雨が降っていたので6時出発に変更しました。野付半島ではシカの食害で一番撮影がしやすい場所の草が減ってしまい、小鳥たちが巣造りができないため数が激減しているようでさっぱり!それでも何とか花が咲いている別ポイントで歩きながら撮影をしてもらいましたが、気温が低いので小鳥たちが花に上がってきません。気温が低いのでエサの虫が地面近くにいるためです。それでもカッコウだけは周囲を飛び回ってくれるのでこの場所はまだ多くの小鳥たちが繁殖していることがわかりました。しかしここで小鳥たちのアップが撮れないのが悔しい限りです。

エゾシカ
エゾシカ
カッコウ
カッコウ

2時間もするとみなさん寒さで疲労困憊している様子なので一旦トドワラのネイチャーセンターで休憩をしてもらうことにした。到着と同時に私の電話が鳴る。嫌な予感がする。やはり尾岱沼のクルーズだ。「本日は波が高いので船は出ない」と伝えられる。困った!野付もダメ、船もダメ、天気もダメの八方塞がりの中、急遽地元の知人にこの周辺でいいポイントはないかとメールで聞くと近くにある公園を教えてもらった。合わせて翌日予約してあるシマフクロウが撮影できる宿にも電話をして今日、空きがあれば入れるかと聞くと大丈夫という事で、ほっとする。今日の船は乗れないがシマフクロウのチャンスが1回増えたことを伝えるとみなさんの表情が穏やかになった。

休憩後は知人に教えてもらった公園へ行き撮影を楽しむ。草原・湿地・森林と狭いながらに多様な環境があることでいろんな鳥たちを楽しむことができました。園内にはクマが出るようで公園事務所でクマ鈴を借りて散策します。クマ本体には出くわさなかったが「うんち」を観察することができました。夜も撮影があるので早めに宿に入り夕食まで各自での休憩にしました。宿は西遊旅行社の所有の宿「知床サライ」です。夕食は羅臼と思えないほどの手の込んだおしゃれな料理で、夜の撮影が無ければもっとエンジョイができたのではとちょっぴり残念な気分になってしまいました。

シマフクロウは、今年はヒナが2羽いてひんぱんにエサを捕りに来るという事で、ペアでの出現が19時50分、20時50分と続いたがその後は出現が無く、予定どおり23時に終了としました。(出なかった場合は12時まで粘る予定でした)

獲物を捕らえたシマフクロウ
獲物を捕らえたシマフクロウ
シマフクロウ
シマフクロウ

 

この記事を書いた人

戸塚 学 とつか がく
高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込み、「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることが究極の目標。野鳥を中心としたネイチャー系フォトグラファーを目指す。作品は雑誌、機関紙、書籍、カレンダー、コマーシャルなどにに多数発表。
●日本野鳥の会会員 ●西三河野鳥の会会員 ●SSP 日本自然科学写真協会会員

冬の道東でバードウォッチング三昧!【後編】

Report by 吉成才丈 / 2022年2月8日~13日

 

4日目
この日の朝は、風連湖の凍結した湖面でのワシ撮影からスタートです。うす暗いうちから周辺にスタンバイするワシの姿がありましたが、給餌の時間が迫ると飛来する個体も増えてきました。そして待望のお食事タイムが到来すると、ワシの乱舞が始まりました! ワシが飛翔するたびに、皆さんの夢中でシャッターを切っていたようです。

オジロワシとオオワシ
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)
オジロワシとオオワシ(大野一郎様 撮影)

迫力あるワシを堪能した後は、森に入って小鳥を狙いました。すると、前日までは1時間に1度しか飛来しなかったというシマエナガが、なんと出ずっぱり! 写真もバッチリお撮り頂けました。参加者の皆さん、もってますね!

シマエナガ(大野一郎様 撮影)
シマエナガ(大野一郎様 撮影)
シマエナガ(森久美子様 撮影)
シマエナガ(森久美子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)
シマエナガ(奥田恵子様 撮影)

午後は周辺の港をめぐり、美しいカモたちを狙いました。今年は冬鳥が少なく、道東のカモたちも例外ではありませんでしたが、コオリガモやクロガモなどもゲットできました。

コオリガモ(森久美子様 撮影)
コオリガモ(森久美子様 撮影)
クロガモ(大野一郎様 撮影)
クロガモ(大野一郎様 撮影)

5日目
この日は落石ネイチャークルーズの午前便に乗船。幸いにも海は穏やかで、ウミバトやケイマフリなどの海鳥を堪能することができました。やはり、海鳥は船に乗ると近くで観察できますね。

ウミバト(大野一郎様 撮影)
ウミバト(大野一郎様 撮影)
ケイマフリ(大野一郎様 撮影)
ケイマフリ(大野一郎様 撮影)
シノリガモ(大野一郎様 撮影)
シノリガモ(大野一郎様 撮影)

そして愛くるしいラッコも登場。お約束のポーズで貝を割る仕草のほかに、子供を抱いた個体も見られました。

ラッコ(森久美子様 撮影)
ラッコ(森久美子様 撮影)

午後は羅臼までロングドライブし、夕食後にシマフクロウにトライ。最近は朝方に出るということで、残念ながらこの日は、早い時間帯には出でくれませんでした。明日は日の出前からワシのクルーズなので、早めに切り上げました。

6日目
いよいよ最終日です。今朝は早起きして真っ暗な内に宿を出て、羅臼港へ向かいました。流氷ウォッチングのクルーズ船に乗り込み、流氷に向けて出港。流氷の近くに船を停めて夜明けを待ち、美しい朝焼けとワシを堪能しました。この美しい景色と迫力満点のワシを見たら、寒さも忘れてしまいますよね。

オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)
オオワシとオジロワシ(大野一郎様 撮影)

そして、この旅の最後に訪れたのが野付半島です。野付半島ではユキホオジロが時折観察されているのは知っていましたが、今回は滞在時間も短いため、正直なところ見られるとは思いませんでした。でも、残り時間が15分もない頃、偶然に偶然が重なって見られちゃったんです。じっくり観察や撮影ができずに残念でしたが、我々を見送るように、すぐに遠くへ飛んで行ってしまいました。

今回は鳥見に特化したコースを設定してもらったため、かなり効率的に見られたと思います。

ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)
ユキホオジロ(大野一郎様 撮影)

この記事を書いた人

吉成 才丈 よしなり としたけ
1962年生まれ、東京都在住。東京都千代田区で、バードウォッチング専門店<Hobby's World(ホビーズワールド)>および鳥類調査会社<(株)日本鳥類調査>経営。バードウォッチングのガイドで、全国各地も巡る。歳時記的に、毎年同じ時期に同じ探鳥地を訪ねることが多く、タカやシギチの渡り、ガン類の越冬、海鳥などを観察・撮影するのが楽しみ。バードウォッチングは、だれでも気軽に楽しめる趣味だと思っています。難しく考えることなく、皆さんのペースで楽しんで頂けるように心がけています。