仙台湾でたっぷり海鳥観察 2本目

Report by 田野井博之 / 2025年1月28日~31日

●1日目

この日は西寄りの強風によりチャーター船は欠航となりました。そこで、南三陸町の志津川湾へコクガンを見に行くことにしました。志津川湾はコクガンの餌となる海草のアマモが豊富なため、毎年たくさんのコクガンが越冬しています。

ポイントに到着すると、すぐに40羽ほどのコクガンを見つけました。漁港のスロープでアマモを食べています。同じ場所にはイカルチドリとイソシギの姿もありました。漁港の堤防から海上を見ると、さらに100羽超のコクガンのほか、ハジロカイツブリやワシカモメなども見られました。

アマモを食べるコクガン
 

 

午後は県内北部のシジュウカラガンの群れが見られているエリアへ。なかなか群れが見つからず時間はかかりましたが、オオハクチョウやコハクチョウと共に採餌する160羽ほどの群れを見つけ観察することができました。

最後に仙台市近郊のカモ類が越冬する沼に立ち寄り、オナガガモやホシハジロなどのカモ類を観察しました。今冬はカモ類が少ないためちょっと寂しい様子でした。雨の止み間もなくなってきたため、この日の観察を早めに終えました。

 

 

●2日目

この日は朝のうちだけ強風が収まる予報となったため、船長と相談して早朝から出船することにしました。

夜明けとともに出港し、ウミスズメ類を探します。アカエリカイツブリやクロガモを観察しつつしばらく進んでいくと、風波の合間に見え隠れするマダラウミスズメを1羽見つけました!この個体はすぐに飛び立ってしまいましたが、降り立った先へ行ってみると別の1羽が一緒にいて、2羽の姿をじっくりと見ることができました。

マダラウミスズメはその後も1~2羽で海面に浮く姿があり、計7羽を見ることができました。複数のマダラウミスズメが見られた一方で、21日発のツアーと同様に、ウミスズメは例年よりもかなり少なめでした。

今回のツアーのメインターゲットの1つ、マダラウミスズメ
ビロードキンクロ

 

今回は強風を避けるため岸沿いを航行したため、アビ類はアビ1種のみが見られました。警戒心が強いため浮いている姿を近距離で観察する機会は少ないですが、飛翔するアビは船の近くを通過する様子を何度か見ることができました。

クロガモやビロードキンクロなどの海ガモ類は、21日発ツアーと同様に、例年よりも少ない結果となりました。両種とも警戒心が強いため浮いている姿を近距離で観察する機会は少ないですが、何度か小群に接近して比較的近くから観察することができました。

航海中は幸いにも風はそれほど強くならず、気づけば約7時間を船上で過ごしていました。14時前に帰港し、この日の観察を終えました。

 

 

●3日目

この日は再び西寄りの風が強まり、暴風警報が発令されました。残念ながらチャーター船は欠航のため、県北のガン類を見に行くことにしました。

まずはカリガネを探すことに。毎年越冬しているエリアを訪れ、採餌する30羽ほどの群れを観察することができました。このカリガネはマガンと一緒にいたため、体の大きさや嘴の形など、特徴を比較しながら見ることができました。

採餌するカリガネ
 

続いてはハクガンを探すことに。かなり遠方へ採餌に行く日もあり、また、最近は日中に見つけることが難しいと聞いていたものの、あっさりと70羽ほどの群れが見つかりました。そして、この群れにはアオハクガン(ハクガンの青色型)も1羽混じっていました!ハクガンの渡来数の増加とともにアオハクガンの記録も増えてきていますが、まだまだ個体数も少なく観察は容易ではないので、とても嬉しい発見でした。

ハクガンの群れ(中央やや右寄りにアオハクガンが混じる)

 

最後は蕪栗沼で1時間ほど探鳥しました。この冬はカモ類が少ないため沼の水鳥はやや寂しい状況でしたが、オオヒシクイやチュウヒ、そして毎年越冬しているヘラサギを見ることができました。特にヘラサギはその独特な採餌方法を見ることができました。

強風に悩まされた今回のツアーでしたが、無事にチャーター船を出して海鳥を観察することができ、また、駆け足ではありましたが宮城県の水鳥を見て頂くことができました。

3日間、大変お疲れさまでした!

この記事を書いた人

田野井博之 たのい ひろゆき
1985年生まれ。小学生の時に野鳥の観察を始める。東北地方を中心に鳥類調査に携わりつつ、関心のある海鳥やシギ・チドリ類、チュウヒなどを見るため全国各地へ。特に海鳥の識別や生態に強い興味を持ち、国内外を問わず観察を続けている。